なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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サンタはハロウィンを祝えるか?

「ハロウィン武器……いんやクリスマスだからクリスマス武器?」

「もう普通にブルアカ銃とかでいいんじゃないかな?」

「……ブルアカ勢から文句を言われそうだけど、まぁ仕方ないか。ともかく、これに関してはUちゃんのせいじゃないよ」

「本当に?私がハロウィンの権化だから変なことになった、とかない?」

「ないない」

 

 

 いやまぁ、取り出したのがUちゃん──ハロウィンの権化であるエリちゃんの、その究極の姿として現れた存在であることから、そういう勘違いをしてしまうのはわからんでもないけど。

 とはいえ、少なくともこの銃からハロウィン要素を見いだすことはできない。

 なのでまぁ、今回に関しては()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というのが正解だろう。

 

 

「事態ってことは……」

「うむ、今年のクリスマスにおけるトラブルはこれだろうね。……それと、ハロウィンに起きてた問題は結局解決してなかった、ってことになるというか」

 

 

 いやまぁ、結局あのカボチャ頭を捕まえられてなかったんだから当たり前なんだけど。

 ……でもこうして新しいトラブルの種を見たことで理解したこともある。

 恐らくだが、カボチャ頭という想定事態が間違っているのだ。

 

 

「と、言うと?」

「その時期のイベントごとに合わせて姿を変えてるだけで、本質は全く別物ってこと。なんなら今回姿を見せてくる場合は雪だるまになってるかも?」

「ええ……」

 

 

 雪だるま怪人……ス・ノーマン・パー?*1

 まぁともかく、装っているイベント自体に特に意味がない、というのは間違いあるまい。

 あるいは、その時々によって自身を顕現させやすいイベントに寄生している、とでも言うべきか。

 

 

「……なんというか、凄まじく面倒事の気配がするんだけど?」

「そうだねぇ、かなりの厄介事だと思うよ、これは」

 

 

 なにせ、結局なんのためにこの銃をばら蒔いているのか、というのがわからない。

 あえて予想するなら、回収された武器──銀ちゃんやモモンガさんに渡された物になにかしらの意味がある、とするのが正しいような気もするが。

 

 

「既にばら蒔かれてる武器達を触媒になにかをする、って可能性もあるからねぇ」

「結局個人管理になっちゃったもんね、あれ」

 

 

 ちらり、と脳裏を過るのは自宅に保管してあるハロウィン武器達のこと。

 一ヶ所に纏めて管理、というのはどうにも嫌な予感がしたため各々で管理する方向に持っていったのだが、それはそれで干渉の起点となるものをあちこちにばら蒔いてしまっている、と捉えられなくもないというか。

 

 それに、回収された武器に関しても──口頭に出して指摘はできないものの、『どうなったか?』の答えが複数あるので微妙に困るというか。

 相手方が回収したパターンは寧ろわかりやすいが、これが『琥珀さんが回収していた』パターンだとややこしくなる。

 

 単純に琥珀さんが回収したと仮定しても、あの二人が元に戻ったあと残っていた武器を回収したのか、はたまた琥珀さんが回収したから二人が元に戻ったのか……という二パターンの説を考慮しないといけない。

 なんならこれは二人が戻ったタイミングに焦点を合わせた考察なので、それ以外に状況を動かすなにかがあった可能性だってある。

 

 また、それらの考察を抜きにしても、武器の所在に繋がる因果が途切れているため、琥珀さんの元に件の武器があるのでは?……と疑うこと自体ができない。

 いや、正確には疑っても構わないけど、その場合琥珀さんが暴走するなどの余計にややこしいことに派生する可能性が非常に高い。

 なにせなんのために件の武器を回収したのか、ってところがまったくわからんのだ。

 そもそも回収してないパターンもあると仮定すると、私が無闇矢鱈に疑ったのでそれに傷付いて(?)暴走する、みたいなこともあるかもしれない。

 

 ……要するに、今現在琥珀さんに関して言及するのはタブーと化している、ってことだ。

 したいんなら先に証拠を掴め、というか。

 あとは、単にカボチャ頭が回収したって考えた方が『二人が元に戻った理由』とかについて考察する必要がなくなる、ってのもあるかな?

 

 ……うん、琥珀さんが回収するまで戻ってなかった場合、彼女が武器を回収したので戻ったという『武器が原因』パターンと、琥珀さん自身が元に戻す手段を持っていた『琥珀さんが原因』パターンがある、なんて話になっちゃうからね。

 ややこしさ単純に考えて倍以上なんだわ。

 その辺二人が覚えてれば良かったんだけど……因果が切れてることもあって覚えてなかったので真相は闇に葬られたのでした、と。

 

 ……まぁ、この辺は今回の事件を解決する頃には真相がわかってるかも知れないし、一先ず脇に置いておくとしよう。

 ここで気にすべきなのは、今現在手元にある武器──仮称ブルアカ銃について。

 ハロウィンにばら蒔かれたモノとほぼ同じ性質を持っているこれは、手に入れた人間を青春の記録(ブルーアーカイブ)に染め上げるもの、ということになる。

 

 

「……あっ、その辺変わってないんだ?」

「変わってないから続き物のトラブルだ、って判断したんだよ。……まぁ、変わってる部分もあるんだけど」

「おっと、それは一体?」

「フレーバーの部分、かな。私らの持ってるやつは()()()()()()()()()()()()()()()解説文を持ってたけど、これにはそういうのがないね」

「……ふぅん?」

 

 

 例えば、今目の前にある銃。

 おもちゃの銃って感じの見た目のこれは、しかして特にバックグラウンドが設定されている様子はない。

 明らかに子供向けの──特撮などのなりきりのために用意されたような外見であるにも関わらず、解説で読み取れる情報は精々名前くらいであった。

 

 

「多分だけど、イベントの性質が武器の違いを作ってるんじゃないかな?」

「イベントの……」

「性質?」

 

 

 首を傾げるアスナさん達に向けて、私は小さく頷いたのち解説を続けた。

 

 まず、ハロウィンというのはその本質は死者へ向けた祭である。

 日本におけるお盆に近いモノであると説明されることからわかるように、先祖達の霊を迎え入れ悪霊達を追い払う──言うなれば死者達に纏わる祭なわけだ。

 

 

「対してクリスマスは今を生きる人のための祭。聖人に纏わる祭という意味では似てるけど、主役となる人物は本来まったく別なんだよ」

「現代だとどっちも子供のための祭のような気がするけどね」

 

 

 まぁ、その辺は祭というもの自体子供が楽しむものになりやすい、みたいなところがあるというか。

 ……裏を返すと『子供が楽しむもの』なので『青春に纏わるもの』、すなわちブルーアーカイブに関連するものだという風に無理矢理定義できてしまう面もあるのだが。

 

 

「……ん?その言い草だともしかして……」

「そうだね、ここでもまた相手を取り逃したなら、今度は正月とかひな祭りとか、色んな祭に紛れて行動するようになるだろうね」

「うっわ面倒臭い」

 

 

 祭が子供のモノというのが是であるならば、そりゃどんな祭であれ混ざり込むことができるだろう。

 そういう意味でも、相手をこのクリスマスで取っ捕まえるのが重要になるわけだ。

 

 

「そのために必要なことは、やっぱりこの武器について調べることだろうね」

「まぁ、今のところ唯一の手がかりだもんね」

 

 

 で、話を戻して。

 ハロウィン武器と今手元にある武器の違いだが、大雑把に言うと()()()()()()ということになる。

 

 

「でき方?」

「どっちの祭も子供向けの面があるのは間違いないけど、その意味合いが違うというか?ハロウィンの方は子供側がお菓子をねだりに行くけど、クリスマスの方は──実態はどうあれ大人が子供達に贈るのが基本。子供がなにかを得る、って点では似てるけど主体が反転してるんだよ」

「……なるほど?」

「その性質が武器にも出てる。ハロウィンは子供がねだる──子供が勝ち取る(能動的な)モノだから、それを手に入れた本人の性質が強く反映される。けれど、クリスマスのプレゼントは大人から貰う(受動的な)モノだから──」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()、と。

 つまるところ、今しがた私達の目の前にある武器──スノードロップは、贈る相手を想定せず適当に取り出したモノであるため、特になにも設定されていない状態になった、というわけだ。

 

 

「……ええと、もしかしてなんだけど。それってプレゼントを贈る段階になって、贈る相手のことを知っている状態でプレゼントを取り出したら……」

「うん、予想通りだよ。相手が望むものが意匠とかに反映されるだろうけど……出てくるものは結局ブルアカ銃です、なんてことになる可能性大だろうね」

「はた迷惑過ぎる!?」

 

 

 まぁ、プレゼントの製作システムに寄生する形で効果を発揮している以上、元のシステムに関連した出力の仕方になるのはある種当たり前なのだが。

 

 ……ともかくである。

 件の黒幕(カボチャ頭)がプレゼント袋に干渉している以上、その影響を排除しない限り件の武器が袋の中から取り出される可能性を排除することはできないだろう。

 無論、特に関係もなく普通にプレゼントを作り出せる可能性の方が高いとは思うが……。

 

 

「ガチャで星5とかが当たるくらいの確率でハズレ(武器)が出る可能性がある、となると迂闊に使えないよなぁってなるよね」

「だからって止めようにも止められないんだよね?」

「まぁ、そうだね。プレゼントの製作を止めると漏れなくその機能が停止する──郷内に嫉妬を主成分とした【兆し】が蔓延することになる。一応ビワとかハクさんが消費すればすぐにすぐ問題になることはないと思うけど……」

「その処理能力を越えた【兆し(嫉妬)】が流れ込んできた時点でおしまい、ってことかぁ……」

「端的に言うとそうなるね」

 

 

 うん、良くもまぁこんな面倒臭いところに仕込んでくれやがったな、ってなるというか?

 ……思わず渋い顔になるのも仕方ないと思うんだ。

 

 

*1
『映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』の敵役の一人。その特徴的な言動などから人気のあるキャラクターでもある

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