なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「で、この辺なんとかできないか、って感じに琥珀さんに話を聞きにきたわけなのですよ」
「ななななるほど~?平日かつイブに突然来訪なさるものだから、なにがあったのかと思いましたがそれは大変でしたね~☆」
(うわー目が泳いでいる)
それで隠し通せてるつもりなんです?
いやまぁ、色々とブラフを積んでる可能性もあるけど。
……ってなわけで、流石にあのまんまだとサンタとして動くのは無理、ってことになり対策を練るため、スノーホワイトを持って琥珀さんの研究室にやってきた私達。
サンプルは多い方がいいだろう、ってことでアスナさんも同行していたり。
「……ええと、確かアスナさんもハロウィン武器をお持ちだった、とか?」
「まぁそうですね。それとキーアちゃんも持ってますし、ここにいる人だとクリスさんもお持ちだとか」
「ああはいそれに関しては勿論借り受けて検査とかしてますけどね~?」
……うん、クリスだけじゃなくて他二つも持ってるなら結構な調査結果を持ってそうだよね?
とはいえその辺には触れず、ここに来る前に取りに言っておいたYASUTHUNAと飛鷹を琥珀さんに渡す。
「……ヤスツーナガキータヨー」
「いや、ファントム・キングダムなんて誰がわかるんですか」
「ファントム・ブレイブの新作出るしその流れで……」
「……いや、なんの話をしとるんだアンタら」
無敵の宇宙戦艦の話、かな?*1
ともかく、可変型逸脱砲『YASUTHUNA』と『飛鷹』を琥珀さんに渡し、研究して貰うことに合意する私達である。
「それは構わないのですが、手元に残してらっしゃらなくて大丈夫なんです?なんでも、件の武器の侵食を弾くにはこの子達を持ってないとダメとかなんとか……」
「その辺に関してはご安心を。変身でひっぺがせることは既に判明してるんで、そこら辺応用した対策はすでに構築済みですので」
「あれ?琥珀さんに頼む意味ありますかそれ?」
「根本的な対策にはなってないので……」
この辺の驚き具合からして、根本的な原因については究明しきれてない感じかな?
……とかなんとか当たりを付けつつ会話を続ける私である。
「そうなんです?」
「変身に紐付けてひっぺがせる、ってのは【継ぎ接ぎ】共通の仕様でしょう?……裏を返すと状況によっては延々と【継ぎ接ぎ】が起こる、みたいなことになる可能性もあるわけで」
「あ~、起因が残り続けてる限り発生も止まらない、って例の奴ですね?」
「ですです。……今回の話、武器に【継ぎ接ぎ】の原因があるわけですけど、それゆえに元を叩かないことには防ぎ切れんのですよね」
まぁ、性質上『ブルアカの生徒みたいになる』って方式に整えられているため、その部分を満たしている間は新しい【継ぎ接ぎ】は起こらんのだけれども。
……逆に言うと変身扱いでひっぺがすとその時点で生徒ではなくなり、同時に新しい武器による【継ぎ接ぎ】を受け入れられる状態になる、ということでもある。
わかりやすく言うと『換装』に近い状態になる、というか?
……まぁそんなわけなので、今回の対策は次のようになっている。
「遠隔地に武器を置いていても、生徒としての属性を保ったままにする……ですか?」
「結局は【継ぎ接ぎ】なわけですから、変身という言葉の指す範囲を広げればある程度は融通が効く、ってわけですね」
そういう私とアスナさんの後頭部には、燦然と輝くヘイローが。
……基本的に生徒化は武器を持っている間にしか働かないのだが、その辺を拡張して
「ただこの対策、微妙に問題がありまして……」
「ほう、それはどんな?」
「長時間この状態をキープし過ぎると元に戻れなくなるんです……」
「バカなんですか!?」
いや待った、話を聞いてほしい。
さっきも言ったように、この生徒化という【継ぎ接ぎ】は、『武器を持つことで』『生徒になってしまう』というものだ。
前半が原因で後半が結果、というとてもわかりやすい原理を持つ現象だ。
その上で、再度この現象の変化を受けないようにするためにできる対策は主に二つ。
一つは前者を満たさないようにすること。
……この場合は新しい・ないしは出所不明な武器を持たない、というのが主な対処となる。
なるのだが、虚を付いて武器を持たせようとしてくるため対策は容易ではない。
ならばと代案としてあがるのが、後者を満たさないようにすること。
すでに生徒であるならばそこからさらに生徒になることはない、という半ば屁理屈染みた対処である。
「この場合、単純になにかの生徒になる、みたいな効果だったら防ぎようがなかった。生徒という概念の定義次第では、既に生徒であっても他の生徒に該当する、みたいな感じで二重以上に状態を重ねることも可能だったろうからね」
例えば、なにかを学んでいる者を生徒だと仮定する場合。
学ぶというのは、なにも学校だけで行われるモノではない。
普通に日々の生活の中でも発生しうるモノであり、教える側と教えられる側が定義できるのなら自然と『教えられる側が生徒』という扱いになる。
また、特定の学科に通っている状態で別の部門を習っている、みたいなパターンも学生としての役割が重複している状態と見なせなくもないだろう。
塾生なんかは学校と塾の二足のわらじを履いていると仮定できるし、大学在学中に免許を取りに行けば『自動車学校』に通うことになるから肩書きも増える、と言えなくもない。
総じて、単に生徒になる、ということのみを定義していたものであった場合、対策を練るのは不可能に近いということになる。
今現在使ってる『既に生徒だから他の生徒にはなれません』、っていうものの根本部分から揺るがしてきかねないわけで、仮にそっちだったら私も色々投げてたところだろう。
「まぁ、実際には『ヘイローを浮かべた生徒になる』的なモノだったわけなんですけど。……つまり、
「まぁ、武器を持ってる人が優先して対策に当たる、というのはそれを前提にしたものですからね~。……で、いい加減今現在キーアさんがやってる対策について詳しく説明して欲しいのですが?」
「やってることは単純だよ。ブルアカの生徒って判断するために重要なのはヘイローでしょ?」
「ええまぁ、そういうことになりますね……って、まさか?」
「そのまさか。『武器を持つことで』『ヘイローが浮かんだ』わけだけど、個人に【継ぎ接ぎ】が超過しないのは『ヘイローがあること』が主な理由。──つまり、予めヘイローを【継ぎ接ぎ】しとけば問題ないってわけ」
「な、なんという力業……!」
そう、武器はあくまで副産物。
対象の存在が『ブルアカの生徒化しているかどうか』を判別する最大のポイントは、その人物の後頭部に浮かぶヘイローの有無。
これはコラボキャラクター達にすら浮かんでいたことから、『キヴォトスで生徒となっている存在は全てそうなっている』という基礎の部分に当たる。
ゆえに、武器によってヘイローが浮かぶ──武器によって生徒に変身しているという状況と、別口でヘイローを付与している──生徒になっている、というのはどちらも現在の状態が生徒である、という意味では同じなのだ。
従って、武器を使わずヘイローを付与する、という形でも武器の侵食を防ぐことができる、というわけなのだ。
「まぁ、武器とは無関係にヘイローを【継ぎ接ぎ】していること、及び武器の影響を受けないようにするのに
「そりゃそうでしょうよ!?この武器の侵食力は過去類を見ないレベルのもの!変身でごまかせる程度の【継ぎ接ぎ】なら余裕で貫通しかねませんよ!?」
「ははは、本体は【継ぎ接ぎ】でごまかせるのに擬態はごまかしが効かないって嫌がらせにも程がある……」
「でしょうねー!?」
……うん、後頭部に浮かんでるヘイローが、それぞれ武器を持った時に浮かぶそれと同じってところからなんとなく察せるかもしれないが……。
このごまかしヘイロー、地味ーにヤバイことになっている。
というのも、完全に別口でヘイローもどきを作って浮かべているのではなく、件の武器との繋がりによって発生するヘイローを浮かべている、という形になっているのである。
意味がよくわからない?
んじゃまぁ簡潔に説明すると、ヘイローの有無が生徒か否かの判別の要である、というのは前述の通り。
個人の判別にも使えるらしい(とはいえ生徒達本人にはちゃんと認識できてないらしい)それは、一人一人別々のヘイローが浮かんでいる、ということの証左である。
その上で、件の武器によって発生するヘイローというのは、実のところ武器を持っている本人を証明するものではないのだ。
大雑把に言うと、
なので、仮に他の武器を持って生徒化した場合、後頭部に浮かぶヘイローは微妙に形の違うものになるのである。
これがなにを意味するのか。適当にヘイローを偽装しても看破されるのである。
つまり、武器によって浮かぶヘイローは武器によって浮かぶヘイローでしか阻害できないわけだ。
……となると取れる方法は一つ。武器を持っている間ヘイローが浮かぶのではなく、
「結果、普通の【継ぎ接ぎ】より接着面を強くしないといけなくなっちゃって……この状態で長く居すぎるとヘイローがひっぺがせなくなるんだよね」
「おばか~~~!!」
仕方がないじゃないか、研究進めて貰いながら探索等も行うにはこれしかなかったんや……。
思わず遠い目をする私達に、琥珀さんは盛大にため息を吐き出したのでしたとさ。