なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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師走に走るは師の役目

「あーもうわかりました。私も腹を括りましょう。調査を全力で終わらせ、お二方を無事元の姿に戻れるようにします」

「おお、それはありがたい。因みにこの姿での活動限界は明日の深夜零時、つまりは二十六日になるまでだね」

「長いんだか短いんだか……」

 

 

 こういう時は短期決戦が一番だよね!

 ……ってなわけで、武器についての話は琥珀さんに一任し、私達は一先ず元の場所に戻ることに。

 まぁ、正直単に探し回った程度で相手が見つかるとも思えないので、基本的には琥珀さんの報告待ちになるから、みたいなところが大きいが。

 

 

……まぁ、適当なタイミングでなにかしら伝えてくれるでしょう

「?キーアちゃんなにか言った?」

「別になにもー」

 

 

 なお、仮に彼女が例の武器を確保した人間であった場合、適当なタイミングで情報が飛んでくるだろうなー、という予想であることは周囲には秘密である。

 ……その辺確かめようとしたら普通にバレそうなのでスルーするしかないが、まぁあの反応からして確実だろうなー、とは。

 後々ややこしいことになりそうなので言及はしないけど。

 

 え?もし仮に琥珀さんが隠していることがまったく別の話だった場合?

 その辺は私の予想がミスってたってだけなので素直に彼女からの報告を待ちますよ、心持ちが違うだけで結局それを待たなきゃいけないのは変わらんし。

 

 

「それにしても……ハロウィンの話が終わってないとは思わなかったね」

「まぁ、尻切れトンボみたいな終わり方だったからね、予想はできなくもなかったよ」

 

 

 アスナさんと一緒にサンタ達の詰め所に戻りつつ、他愛ない会話を重ねていく。

 ……正直探知できないというか目星がない時点で戻るくらいしかすることない、ってのも理由の一つではあるのだが。

 

 

「そういえば、本当に探知できないの?キーアちゃんってそういうの得意そうだけど」

「あー、あの時確か『面倒なことになりそうだから止めた』って言ってたの覚えてる?」

「え?えーと、そんなことも言ってたような……」

「その理由がね、なんとなーくだけど一つの原因だけじゃなさそうに思えたから、ってのがあったんだよね」

「一つの原因じゃない?」

 

 

 うむ、と頷きながら続きを話す。

 あの時例にあげたのは『あの人(『星女神』様)』とか『あの人(『月の君』様)』とかに繋がりそう、というものであった。

 とはいえこれは犯人がその人達である、という意味ではない。……というか、その人達が犯人だと正直どうしようもない。

 

 

「【星の欠片】の基本原理って覚えてる?」

「えーと……今のところそんな感じじゃないけど、基本的には世界を滅ぼそうとするような危険な存在……だったっけ?」

「行動の結果そうなるだけで、進んでそうしてるわけじゃないけどね」

 

 

 まぁ、見初めた誰かのための新しい世界を作りたがる、って時点で今の世界を滅ぼそうとしているって評はなに一つ間違ってないわけだけど。

 とはいえその辺は関係ない……とも言いきれないけど触れるとややこしくなるのでとりあえず脇に置いておく。

 

 ここで重要なのは『見初めた誰か』の部分である。

 

 

「……んん?」

「わかりやすく言うと、【星の欠片】は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ってこと」

 

 

 ささらさんとかね、と言えば『ああ……』と納得したように頷いたアスナさん。

 ジーク君に対してもそうだけど、彼女って自身の世界に招き入れた人達にすっごく献身的だからね。

 まぁ、今はほとんどジーク君にご執心だけど。

 

 ……ともあれ、【星の欠片】は割りと気安く・かつ雑に力を貸してくれるタイプの存在である、ということは間違いない。

 これがどういう意味を持つのかと言うと、すなわち()()()()()()()()()()()()()ということになるのである。

 

 

「……あー」

「助けを求められ、かつ相手のことを気に入っていれば、その人物がなにを目的にしていようが普通に力を貸してくれるってわけ。流石に新世界を作りたくなるレベルで気に入ることは稀だけど、そのレベルじゃなくても……そうだなぁ、近所でよく挨拶をする関係、くらいの気安さでも世界征服全面支援してくれるレベルで助けてくれる、って言えばその面倒臭さも理解できるんじゃない?」

「いやそれ面倒ってレベルの話かな……?」

「並行世界含めて全部貴方のために捧げます、とかされるよりはマシじゃない?」

「極端な例過ぎるよ!?」

 

 

 いやまぁ、そういう極端な存在の『ほんのちょっと』なわけだから……。

 

 ともかく、【星の欠片】にとってのちょっとした手伝い、というのが普通の人にとってはた迷惑なことになる可能性が高いのは事実。

 ゆえに、今回の場合『あの人達』の気配が見え隠れしたとしても、別にそれが黒幕というか首謀者というか、そんな感じのラスボスの位置になるとは言えない……みたいな話になるし。

 

 

「同時に、下手に追いかけて『あの人達』にエンカウントしても素直に退いてくれるとも限らない、ってわけ」

 

 

 普通に考えればそこまで肩入れする必要はないでしょ、ってなりそうな話でも彼女達の感覚では肩入れしてるつもりはない、なんてことになりかねないというか。

 ……うん、中ボス判定で『あの人達』が出てくるとか普通にあり得るんだよね。

 全滅イベントだと思っていたら普通に倒さなきゃいけなかった、バルバトスみたいなことになりかねないというか?*1

 

 

「その辺を踏まえて探すのは無理、ってこと。……善悪問わず誰にでも力を貸してくれるからこその問題ってやつだね」

「なんでそんなことに……」

「そりゃまぁ、人の言う善悪なんて本来糾えるもの──すなわちたまたま善だと判定されたもの、悪だと判定されたものって扱いだから。人間そのものの可能性を尊ぶ【星の欠片】からしてみれば善人だから悪人だから、って区別する方が問題というか」

「ええ……」

 

 

 まぁ、可能な限り多数の人の可能性も見たいと思ってるところがあるから、大多数の人間を消費するような所業には眉を顰めることもあるけど。

 ……とはいえそれも消費したものに見合うだけの価値を見せてくれるなら許す時もあるし?

 

 

「まぁ、そういうのって極まった善人が善行だと勘違いして行う悪行、って感じのパターンの方が多いから、単なる極悪人相手だとあんまり該当しないけどね」

「それは喜んでいいのか悪いのか……」

「基本的には喜んでいいと思うよ、今この世界に居る【星の欠片】は基本その辺『他人に迷惑を掛けないように』が方針になってるから」

「……ん?ということは、今回のこれの場合『迷惑って判定になってない』か『この世界に居ない【星の欠片】が手を貸している』ってことになるの?」

「そういうことになるね。……まぁ、気配的には後者ではないと思うけど」

「……そっか、既に居る人の気配だもんね」

 

 

 その通り、と頷く私である。

 ……中ボスとして『あの人達』が出てきそうな空気を感じる、って時点で前者しか当てはまらないというか。

 なんでかって?気配的に『星女神』様自身かその同格であると察せられること、およびこの人に並ぶのは『月の君』様しかいないから、かな?

 

 いやまぁ、特定条件を満たしたキリア()みたいなパターンもあるにはあるけど、そっちの場合『星女神』様みたいな、じゃなくて『星女神』様に近い……になるから判別できちゃうし。

 

 

「そういう意味で、相手はほぼほぼ絞られる……んだけど、明言するとこの場で中ボス()登場とかになりかねないので口にはしません。……そもそも求めてる黒幕じゃないから無駄骨だし?」

「……あれ?でもそれだと琥珀さんが答えを見付けるのもよくないんじゃ?」

「それに関しては大丈夫。そもそも【星の欠片】じゃないと本来関与している相手に気が付けないから、その時点でさっきの『価値ある人』の判定になって手助けしてくれる相手に含まれるようになるし」

「えー……」

 

 

 あれだ、別に一人にだけ肩入れしなきゃいけない理由もない、というか。

 ……まぁ、琥珀さんが武器を確保してる場合、その時点で『あの人』の贔屓を受けてる可能性が高かったりするんだけど、その辺も明言するのはあれなのでここでは割愛。

 最終的に琥珀さんが贔屓を受けてる、って点に合流するのは一緒なのでわざわざ触れる必要もないとも言えなくもないだろうか?

 

 ……なんて話をしているうちに、サンタ達の詰め所に戻ってきた私達。

 問題が起きたこともあって、一先ず待機となったサンタ達はどうやらお呼びが掛かるまで休むことにしたようで、戻ってきた詰め所にほとんど人の姿はない。

 

 その少ない人影の一つにUちゃんの姿が見えたため、その近くに進む私達。

 

 

「あ、戻ってきたのね貴方達。なにか進展はあった?」

「とりあえず調査はその道のエキスパートに任せるってことになったよ。……で、私達はこっちの調査」

「袋の?」

「たまたま発生したのか、ずっと発生し続けるのかとかも調べないとだし?」

 

 

 なお、袋の調査を琥珀さんに頼まなかったのは、万が一武器が出てきた時琥珀さんに防ぐ手段がないから、というところが大きかったりする。

 ……いやまぁ、実際には対処できてるのかもしれないけど、それが明らかになるとそれはそれでややこしい……さっきから言ってる問題に抵触するため、別口で無理ですということにしているというか?

 

 まぁそんなわけなので、袋の調子を確かめられるのは私やアスナさん、それからUちゃんくらいのものってことになるのであった。

 

 

「……ん?私も?」

「ハロウィンの権化、かつサンタに選ばれてるのもあって武器からの干渉を弾けるってわけ。他のサンタも似たようなモノだけど、ハロウィン属性がないから若干怪しいというか」

 

 

 私とアスナさんの対策が『結果を潰す』なのに対し、Uちゃんは『原因を潰す』に近いというか?

 ……まぁ、正確には潰さないといけない原因が二つあるので、それを完全に潰せるのはUちゃんくらいのモノなのだろうが。

 

 

「というか、じゃないと小麦色の肌で水着に着替えたUちゃんとかになりかねないというか」

「……それろーちゃんじゃない?」

「元がUちゃんだから、ってことよねそれ」

 

 

 こういうギャクも潰せるのがポイントです()*2

 

 

*1
『テイルズオブデスティニー2』におけるバルバトス戦(一回目)のこと。ストレイライズ大神殿にて発生するこの戦闘は、相手のバルバトスの体力を一定量まで減らすことで終了する。……のだが、初見かつ操作に慣れていない状態で、かつ仲間も主人公含め二人だけ・さらに特定の行動にカウンターをしてくるなどの要素が合わさりぼこぼこにされる人が続出した、というもの。これを倒さないと先に進めないのか……と絶望した人もいたとか

*2
『艦これ』よりU-511並びに呂500のこと。元々はドイツ所属の潜水艦であり容姿もそちらに準拠したミリタリー風の見た目をしているが、改装もとい日本所属になって呂500と名前を改められた結果、他の日本潜水艦娘と同じセーラー服的なスク水プラス健康的に焼けた肌、という同一人物に見えない変化をすることになる。どうしてこうなった?なお呼び方はそれぞれ『ゆーちゃん』『ろーちゃん』

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