なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はてさて、あれから何度か試して見たけど……確率的には半々ってところかな?」
「ハロウィンの時から考えると信じられないくらいの確率だよね……」
「そっちの方は数えるほどしか対象がいなかったんでしょう?これだとバカみたいな量が対象になるわよ」
はてさて、あれから暫く実験を繰り返してみたところ、結果としては次のようになった。
まず、私が袋に手を突っ込んだ場合。サンタ属性を持っていないのでなにも取り出せない……と見せかけて、たまーになにかが指の先に引っ掛かり、引っ張ってみると件の武器が引き出せる……みたいな感じになっている。
まぁ『たまに』と前置いたことからわかるように、基本的にはなにも取り出せないことが大半なのだが。
「なにもないなー、って諦めて袋から手を抜くまでが一回と考えると……大体八回に一回くらい?」
「私達三人の中だと一番低い確率だよね」
「正直全然出ないなー、って感じ」
いやまぁ、サンタ力無しに
「そこから考えるとUちゃんは流石、というか?」
「褒め言葉みたいに言うの止めない?」
「でも正直そう言うしかないんだよね。ええと、十回のうち八回だったっけ?」
「七回と八回の間を行ったり来たり、って感じだね」
そんな私とは対照的に、武器を引く確率が高かったのがUちゃんである。
彼女の場合、今年のサンタであることも手伝ってかプレゼントを引けない、なんてパターンは存在しなかった。
ただそれと同時に武器を引く確率も高かったため、プレゼント配りの面では問題なし……とはとてもじゃないが言えない有り様になってしまったわけだが。
「私がそもそもモノを引けるかって部分では低確率、けれど引けた場合百パー武器ってところから考えると、Uちゃんの方は順当にサンタパワーとハロウィンパワーが拮抗してる……ってことになるのかな?」
「いや、別に武器を引くのがハロウィンのせいってわけでもないでしょ。……いえ、だからこそってことかしら?」
「今の時期ハロウィン成分は武器発生にしか作用しないけど、サンタの方は普通のプレゼントと武器、どっちにも影響してるから平均するとこうなる……ってことだね」
その辺は他のサンタ達にも確かめて貰わないと正確なことは言えないだろうが……。
結果だけ見ると、単純なサンタが武器を引く確率は恐らく半々なのだろう。
その上で、ハロウィンが影響を与えると取り出すモノが武器に固定されるため、平均すると七から八割くらいの確率に落ち着く……と。
「そう考えるとアスナさんの結果が不思議だよね。きっちり半々って感じの確率だし」
「あー……それについてなんだけど」
「うん?」
「……忙しいからっていうのと、ハロウィン武器の影響を受けてたからっていうので、私がサンタのお誘いを断ったせいじゃないかなーって」
「なんか今唐突に衝撃の事実をぶっ込まれた気がするんだけど???」
そしてこの三人の中では最後となるアスナさんの場合。
彼女の場合はプレゼントが出るか出ないかも、仮に出たとしてそれが武器であるかどうかも半々……って感じの結果だった。
ある意味不自然なその結果に思わず首を捻ったりもしたが……いや、サンタを蹴ったとかいう話は初めて聞いたんだが?
「いやその、ハロウィンのお話は既に終わったものだと思ってたから……」
「なるほど、サンタを蹴ったのはあくまでも自身の都合、という面が強いから報告する必要はないと思ったっていうわけね」
「ソノトオリデス……」
呆れたような得心したような視線を向けるUちゃんに対し、アスナさんは小さく縮こまりながら答えを返した。
……まぁ確かに、今彼女が口にした理由のうち、後半は取って付けた感がなくもなかったが……。
「……キリトちゃんといちゃつくのを邪魔されたくなかった、と?」
「いやぁぁぁぁまるで私が脳内ピンクみたいに言うのは止めてぇぇぇっ!!?」
「もう手遅れじゃないかしら」
まぁうん。
ここのアスナさんがキリトちゃん溺愛してるのは、目に見えてるというか周知の事実だからなぁ。
そりゃまぁ、Uちゃんの眼差しも生暖かくなるというものである()
「うー……私は単にキリト君にバブみを感じてオギャって欲しかっただけなのに……」*1
「おっと思ったよりヤベーのが出てきたぞ」
どうすんだこれ?*2
っていうかそうか、この人頼光さん成分が混じってるから母役に拘りがあるんだっけか……。
倒錯してるなぁ、とは思わないでもないが触れるとややこしいのでスルーすることに決めた私である。
「……と、とりあえず他のサンタにも試して貰いましょうか」
「そだね、サンプルは多い方がいいし」
……ってなわけで、何人かに試して貰った結果。
「……うん、こっちでも大体半々になるとは思わなかった」
「サンプルが片寄ってる可能性もなくはないけど……基本的にはこの数値に収束する気もするわね」
「作為的なものを感じざるを得ないぞ……」
得られたサンプルデータを総合した結果、その平均値は先程と同じく大体半々の数値に落ち着いたのだ。
具体的にサンプル対象としたのは以下の四パターン。
まずは今年サンタに選ばれたモノで、かつハロウィンに関係のない人達。
言うなればスタンダードなサンタである。
「プレゼントが取り出せる確率は百パーセント、その内武器に化けるパターンは大体一から三割程度、って感じかな」
「決して高くはないけど、かといって無視できる数値とも言い辛い感じだね」
この数値のブレが個人によるものなのか、はたまた単なるランダム判定の結果なのかは定かではないが……どちらにせよ、無視して強行するのは心もとないというアスナさんの言葉に間違いはあるまい。
一桁以下の確率ならともかく、二桁の確率は意外と当たるからね……。
「で、次はサンタでかつハロウィンにも関係のあるタイプ。Uちゃんと同じ感じの人達だね」
「サンプルとしては一番少ないタイプね」
「大抵の場合アスナさんみたいに辞退してることが多いからね」
二番目はUちゃんタイプ。
ハロウィンの影響を受けている上でサンタでもある、というのはかなり珍しいパターンなので、サンプルとしては唯一二桁に届かないくらいのデータしか集まらなかった。
……いやまぁ、実のところ前回のハロウィンの影響を受けた上で、今回のクリスマスにサンタとして参加している……という風に定義される人は一人もいないんだけどね?
過去のものも含め、ハロウィンに強く関わったことがあるかどうか?……というところに着目した形だし。
「そもそもの話、代表例のUちゃんからしてそうだもんね」
「で、他の人のデータもUちゃんのそれと同じ。サンタ成分とハロウィン成分でしっちゃかめっちゃかって感じだね」
ではそんな彼らのデータがどうなったかというと、だ。
これまた見事にUちゃんのそれに倣う形になった、と。……露骨というか作為的というか。
「次ー。ハロウィンに関わっている、そしてサンタでもないっていうパターン」
「私やキーアちゃんのパターンだね。……まぁ、結果的に同じ状態ってだけで前提はわりと違ったりするけど」
三番目、ハロウィンの影響は受けているがサンタではない、というパターン。
とはいえ今しがたアスナさんも述べた通り、もうちょっと小分けした方がいいかもしれないタイプだったりもするのだが。
……とはいえそこを区分けすると他所がもっとややこしくなるので、ここでは前提とその結果のみを見ることにした形となる。
「……その結果個人差がわりと大きくなってるのはどうなの?」
「……こ、このくらいなら許容範囲ってことで……」
なお数値の乱高下っぷり()
……うん、最終的な肩書のみを重視した結果、それ単体でグラフを作った方がいいんじゃないのか?……みたいなランダムっプリを発揮したのは予想外というか。
まぁ、これ単体でも平均値か半々になってるので縮図かなんかなんでしょ、と早々に理解を放棄したのだが。
「最後、どっちでもないパターン」
「意味があるかはわからないけど、サンプルとしては一応集めておいた方がいい……みたいなタイプだね」
「まぁ、案の定特に意味はなかったんだけど」
最後の四パターン目はクリスマスにもハロウィンにも関わりのないタイプ。
……とはいっても片方──特にハロウィン──ならともかく、両方のイベントにまったく関わりを持ったことがない人なんて数えるほどしかいないので、正確には『サンタでもないしハロウィンで仮装とかもしたことがない』みたいな感じの区分けだが。
で、彼らが袋に手を突っ込んだ結果だけど……うん、なーんにも起こんねーんでやんの。
例の武器が周囲に生徒化をばら蒔くことを目的にしているのなら、然したる感慨もなく武器が出てくる……なんてパターンも想定していたし、実質そうなってもいいように備えてもいたんだけど……。
「いやホント見事になにも起きなかったね。本当にこの袋特殊なアイテムなんですか、みたいな顔で見られる羽目になったし」
「他の例から推測すると……普通にプレゼントを取り出すにはサンタの属性が必要で、そうして取り出したプレゼントに武器を混ぜるというのが今年のクリスマスのトラブルの根幹で」
「武器だけ取り出せるのはハロウィン残り香のせい、ってことかな?」
うーむ、今はクリスマスだから他者へのプレゼントって形でしか効力を発揮しないから、ハロウィンみたいな不意打ちはできないってことなのかな……?
そんな感じに考察を交えつつ、私達はサンプルデータを纏めて行くのでした。