なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「なるほど~、これがそのサンプルというわけですね~」
「そういうこったですね。解析の足しにでもなればなーって」
「いえいえ、足しどころかこれのお陰で色々と進みそうですよ」
はてさて、場所は移動して琥珀さんの研究室。
さっきまで集めてたサンプルデータを特にもめることもなくサクッと渡せば、彼女は嬉しそうに微笑むのだった。
そんな彼女の裏では、ゲッソリとした表情で『目標をセンターに入れてスイッチ……』*1してるクリスの姿が。
……こっちはこっちで武器のデータを取ってる、って感じかな?
「そうなんですけど……いや~、なんというか凄いですね~あれ。確かオクスタン・ランチャーとクリスさんが参戦したことのある格ゲーでの技が元ネタなんでしたっけ?」
「まぁ、説明文とか読んでる限りはそうなんだと思うけど……それで?」
「それでもなにも、科学というか物理法則というかに喧嘩売りまくってるんですよあれ。火炎放射とレーザーの撃ち変えができるというのも意味不明ですが、それに加えてエネルギー保存の法則もぶっちぎってるんですよ~」
「……ほ、ほう。なるほど?」
そんなところからあれなのか……()
詳しく話を聞くと、具体的には次のような説明が返ってきた。
まず、攻撃モーションの元になっている未来ガジェット達について。
火炎放射は五号*2、それからビームは一号*3がそれぞれ担当しているが、そもそもこいつらは武器じゃない。
前者は掃除機の排熱風を利用したドライヤーであるし、後者はリモコンを銃型にしただけのものだ。
どちらも本来攻撃性能を持たないモノであり、それらを組み合わせたとしても本来ならなんの意味もないガラクタにしかなりえない。
「まぁ、その辺は格ゲー補正様々と言うべきなのでしょうが。私にも覚えがありますし?」
「……居合とかチャイナとかは補正のお陰だっけ」
「その通りです!琥珀さんは普通の一般人ですので」
嘘つけ、ってツッコまなかった私は偉いと思います。
まぁともかく、そもそもの時点で色々とおかしなことになっているモノだったせいなのか、それを元にして作られているあの武器もおかしなところだらけ、というのは間違いないようで。
「まず第一に、動力源が見当たりません」
「えっ」
「流石にバラすのは危なすぎるので自重しましたが……外から確認した限りはそれっぽいものがなかったんですよね~。それと元ネタを知っているのならわかるでしょうが、ビット粒子砲はともかくもう一方の方はまんま掃除機ですからね。それがオクスタン・ランチャーのようにコンパクト化している、という時点でわからないことだらけと言いますか」
まぁ、一応形状的にスティック掃除機を元にした別物なのでしょうが、と嘆息する琥珀さんである。
……確かに、最大展開時こそクリスの身長の二倍近い長さになるが、携行時はわりとコンパクトに伸縮できる辺りどういう構想なんだ感は見え隠れしてるのは確かだろう。
いやまぁ、ファントムブレイカーでの彼女の動きを前提とするなら、対人地雷とか使い出さない分自重してる感もあるんだけど。*4
「私はダイ・ガードか……」*5
「実際にやってたんだから仕方なくない?……でも……ふむ。エネルギー源不明と来たか。案外ハロウィンゲージ稼働だったり?」
「駆体そのものが電池、ということですか~?まぁそれなら計測してもエネルギー源が判別できなかった、というよも一応納得できますが~」
方向性的にはイデみたいなもの、というか。
……ハロウィンが関わってるんだからなにが起きてもおかしくはない、ともいう。
というか物理に逆らうような現象を起こすってなるともうそれくらいしかなくない?
「まぁ、そうですね~。そもそもなんで武器の形で安定してるのか、って時点で謎ですし」
「火炎放射もどこから燃えるものと火種を持ってきてるんだか、って話だし?……ところで、クリスはいつまでああしてる感じなので?」
「おっとそうでした。牧瀬さーん、もういいですよー」
「やっと……休める……」
「た、倒れた!?メディーック!?」
~ただいまクリスを医務室に運んでいます。少々お待ち下さい~
「いや面目ない。まさか倒れるほど無理していたとは……」
「そのノリで行くと琥珀さんも倒れる寸前なのでは?」
「いえいえそんなことは」
「へー……」
──絶対嘘やんけ。
倒れたクリスの様子を見に来たブラックジャック先生の話によれば、クリスが倒れたのは過労のせいだとのこと。
そも『逆憑依』は病気に掛かり辛く掛かってもすぐに治るのがほとんどなのだから、倒れるとすればシンプルにエネルギー切れ以外ないだろうと言われればそりゃそうだ、って感じだけども……ふむ。
現在琥珀さんはステッキではなく生身の姿でこちらに対応をしている。
その姿は特に疲れなどを感じさせないものだが……ステッキ状態で徹夜してたとかなら生身の方に変化は現れない、みたいな話があったはずなので今の姿から彼女の疲労度を推し量ることはできない。
とはいえその辺を突っついても特にいい方向に進みそうにもないので、この場ではとりあえず流すことにする私であった。
……あとからかようちゃん辺りに詰めてもーらおっと。
「それはそれとして、スノーホワイトの方はどうだったんで?」
「いやー、それがですね……?」
気を取り直して、ハロウィン武器ではなくクリスマス武器……もといクリスマスに新しく発掘?された武器についての解析はどうなっているのか、と聞き直した私。
さっきの実験で新たに発生した武器達は私が虚無空間に保管しているため、必要であるならばすぐに取り出すことができるんだけど……なにやら、そういうことを言える雰囲気では無さげ?
ゆえに、なんでそんな微妙な顔をしているのかを問い質してみたのだけれど。
「はい?動かない?」
「ええまぁ、はい。迂闊に触れるのはよくない、ということで既にハロウィン武器を持っていたクリスさんに最初は試して頂いたのですが……」
彼女の言うところによると、最初は迂闊に触れる危険性を考えてその辺問題のない(はずの)クリスに試し撃ちをして貰おうとしたのだとか。
ただ、そうしてスノーホワイトを持ったクリスはというと、微妙な顔をして暫く銃を眺めていたのだという。
まさかの棒立ちに琥珀さんも疑問を覚え、どうしたのかと問いかけたのだが……。
「これ、おもちゃじゃないの?……って聞かれましてね~。いやまぁ見た目は確かにおもちゃですけど、キーアさんが確認したモノだから間違いはないだろう……って感じで私も首を捻りましてね?……まぁ、埒が開かなかったので仕方なく私も触ってみたんですよ」
「うっわ」
「止めてください私だってそんなことしたくなかったんですから。……でまぁ、そうやって触れた結果気付いたことがあったんですよ」
「ほう、それは?」
「──あっこれ撃てねぇ、ですね」
「ええ……」
最終的に武器の影響を受けていないはずの琥珀さんも触れてみたが、結局銃器として使うことはできなかったのだそうだ。
おもちゃはおもちゃでも見本の類い──稼働部分が固定されていて振り回すくらいしかできない状態だった、というか?
実際私達も試しに持ってみたのだけれど、なるほどこれは銃として使うことは無理そうだ。
「んー……無理矢理動かそうとすると普通に壊しちゃいそう」
「いつの間にか他のモノに入れ替わっていた、とかじゃないのよね?」
「……うん、それはないね。最初に渡したやつと同じだよこれ」
「さらっとその辺の確認するの止めない?」
いやまぁ、状態の確認は重要じゃん?
……まぁ、調べた結果なんでこんなことになってるのか、ってのもわかったのでやってよかったと言うべきなのかもだけど。
そんな感じで、順番にスノーホワイトの状態を確認していった私達。
結果は琥珀さんの言う通り、何故か
「その口ぶりですと、どうしてこうなったのかについて目星が付いているということですか?」
「目星っていうか解析というか……まぁともかく、ざっと
「ふむふむ、ではそれは一体?」
「言葉通りだよ」
「……はい?」
「言葉通り。今のこいつはおもちゃだ──と、自身を定義しているんだよ」
「……ふむ?」
端的に言うなら、こいつはおもちゃの銃だぁ~!……的な?
……なんでトイ・ストーリー風なんだよ、ってツッコまれたけど仕方ないね()