なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「大雑把に言うと、触ったのがクリスだったってのがポイントだね。──最初に対象外の人間に渡されたせいで、一先ずおもちゃとして固定されてしまった、というとわかりやすいかな?」
「なる、ほど?」
まず、少し前に話したことを思い出してみよう。
ハロウィンの時と違い、現状の件の武器達は
ゆえに、武器側の性質として自ずから変わるか、他者からの影響で変わるかの違いがある、という話だったはずだ。
「……ええと、そういう話でしたっけ?」
「意訳すると、だけどね。ハロウィンの時はお菓子のように
そしてその変化の性質ゆえに、変化する前の武器の性質はその印象とは真逆のものとなる。
ハロウィンの時のそれらはただ一人の武器となる雛形であるため、
クリスマスの場合はその反対、贈る相手に形を合わせる必要性から、最初の姿は無垢な──一人にだけ贈るもののようには思えない、既製品のような見た目となる。
「まぁ、最終的にはどっちも相手に合わせた形になるんだけどね?そうなる前の姿に違いがあるというか」
「んー……つまり、ハロウィンの時に省かれてる行程が、クリスマスには省かれずに残ってる……ってこと?」
「……どういうこと?」
「えーと、ハロウィンの時もクリスマスの時と同じ様に、本来渡す相手を定めていない時の姿がある、ということでしょうか?武器が自在に姿を変えられるのは誰かのものになるまで。ゆえに、
「……なるほど???」
うーん、Uちゃんが困惑している。
……いやまぁ、私が説明下手だからなんだけどね?
とりあえず、琥珀さんの言い方で概ね合っている、と思って貰っていい。
なんでそんなことになるのか、って部分を理解しようとすると私の説明が必要になる、って感じで。
で、わかりやすい例に合わせて話を続けると。
ハロウィンだろうがクリスマスだろうが、件の武器には
ここでいう『誰のものでもない』というのは正確には誰かの所持品である、ということではなく『誰の祈りも受け取っていない』というのが正解。
「祈りや願いを受けた時点でその人専用の武器になっちゃうからね」
「うーん、その説明だとセフィアちゃんが微妙じゃない?あれって大会の景品だったから、確実に誰かが手に持ってる──さっきの説明で言うと
「それに関しては単純、あれが件の武器になったのは
「ええ……」
その説明だとセフィアちゃんのパターンがおかしくない?……とアスナさんからツッコミが飛んできたが、これに関してはあれが特殊だったというのが理由になる。
……というか、『tri-qualia』内で発生したやつは全部特殊例だよっていうか?
「何度か言ってるように、電脳空間ってやつは『逆憑依』関連の現象にとってはかなーり無茶苦茶やれる場所だからね。一秒前は無関係、一秒後はビンゴみたいな状況を作ることなんて朝飯前なんだよ」
「……それ、大分無茶苦茶じゃない?」
「だから『tri-qualia』はヤバいって話になるんだよ……」
「あー……」
……うん、この話は色々な意味で長くなりそうなのでこの辺で切り上げておこう。
まぁともかく、ハロウィン武器にもクリスマスのそれと同じ様に、本来ならばスノーホワイトに相当する『無垢の形』とでも呼ぶべきものがあるはず。
あるはずだけど、そこから個人専用の武器になるまでの時間が凄まじく短いためこっちが認識するのは不可能に近い、みたいな感じになるのだろう。
「それが今回の話にどう関係してくるんです?」
「原理は同じで過程が違う、ってところが必要かな。ハロウィン武器持ちがクリスマス武器の干渉を弾けるってのは前提条件だけど、その理由がちょっとややこしいっぽい、って感じかな?」
「はい?ややこしい?」
うむ、ややこしい。
単純に同系列だから弾けてるのかと思ったけど、微妙に原理が違ったというか。
それで今の状況が引き起こされているのでややこしい、ってわけ。
……うん、このまま説明するとまたよく分からない話になりそうだから、サクッと結論だけ述べると。
「
「はい?」
「ハロウィンは渡す人の判定が省かれていて、クリスマスの方は省かれていない。それが変化のラグを生んでるわけだけど、その結果相手が武器を受け取れるかどうかの判定がおかしなことになってるってわけ」
「……???」
あれー?おっかしいなサクッと結論だけ述べたのに不思議そうな顔されてるんだけど?
……え?流石に間が抜けすぎ?こっから語ると長くなるけどいいの?
「できれば手短にお願いしま~す」
「無茶を仰る……えーと、ハロウィン武器は渡す人がいないから、発生後最初に触れた人が武器の所有者になる。ここまではオッケー?」
「オッケー」
「ならよろしい。……で、クリスマスの場合はプレゼントとして精製される関係上、一番最初にそれを手に取るのはサンタ役の人、ってことになる」
「ふむふむ」
最初に触れた人を相手に行動を起こす、という指定でプログラムを動かした時に前者は生産者を無視するが、後者は生産者を無視できないので対象を
これのなにが問題なのかというと、要するに
「ハロウィンの方はそもそも相手を決めてから作ってるからそんな問題は起きないんだけど、クリスマスの方は生産自体のタイミングを自身でコントロールしてないから、目的の相手以外に触れられる可能性があるわけ」
「あー、なるほど。要するに二番目だろうと三番目だろうと関係がないんですね。
「根本的なところを言うとそうなるね」
そう、二番目と言ったが実のところ対象が二番目だろうが三番目だろうがあまり関係はない。
ここでの問題点は、基本『数打ちゃ当たる』方式であること。
特定の誰かを決め撃ちするのではなく、複数の相手にプレゼント──と称して武器をばら蒔けるサンタという職分を利用していることにある。
……見方を変えれば寄生虫の感染拡大の話、というか?
「いや言い方……」
「サンタのシステムにただ乗りしてるようなものだから仕方ないね。……ともあれ、既存のシステムに自身の拡散を頼ってるせいで、ハロウィンの時みたいに効率的……かと言われるとちょっと微妙なんだけど、まぁとにかく目的の相手に確実に接触する手段を失っている、ってのが問題わけ」
そしてそれこそが、今回スノーホワイトが普通のおもちゃの武器になってしまっている理由である。
要するに、目標の相手に当たるまでに他の──目的としていない誰かに拾われる可能性があり。
なおかつ、そうして触れた相手が既に寄生の対象から外れていたとしても、その人物の祈りを取り込み、
「……ということはつまり」
「うむ。クリスは既にハロウィン武器を持ってるから本来対象にはならない。ただしこれはハロウィン武器同士の場合『そもそも対象になりえない』という、前提から否定していくモノであるのに対し、クリスマスのそれは
「えー……?」
安易にオートメーション化した弊害、とでもいうべきか。
原理が完全に同じハロウィン武器同士なら最初から対象外と弾くことができるけど、原理が微妙に違うから『一応見比べないと大丈夫なのかどうかが確かめられない』。
そしてこの見比べるという過程の中には比較のために前提を整える必要が──ある程度形を合わせる必要があるため、『祈りによる変化を終えた状態である』必要がある。
「結果、サンタに次いで二番目に触れた相手であるクリスの祈り……もとい思考を読み取って変化を起こした、と。……多分だけど、素直に見たままのことを思ったんじゃないかな、『これっておもちゃの銃よね、どこからどう見ても』って感じに」
「……で、その思考を読み取ったこの武器は、それを祈りとして受け取っておもちゃの武器になった、と?」
「そういうこと。まぁ、実際には完全に固定化されてるわけじゃなくて、ある程度のきっかけがあれば再度変化して誰かの武器になる可能性はあるけど」
「危険物であることに変わりはなかった!?」
いやまぁ、端的に言うと騙されてるだけだからねこれ……。
そりゃ間違いに気付いたら襟を正すこともあるでしょう。
そんな感じに話を結んだ私なのでありましたとさ。
……うん、おもちゃの武器だと言われて素直にそう信じるとか