なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「やめろ」
「っ?!ど、どうしたのさ琥珀さん……?」
「いえ、何故かこう言わないとダメな気がしまして……」
「どういうこと???」
ゴーストが囁いたりしたんです???
……ともあれ、誤解が溶けたことで改めて情報のすり合わせをした結果、やっぱり琥珀さんが『月の君』様から支援を受けていたことが明らかになったりしたわけなんだけど。
「ええとなんだっけ。私を疑ってたから『星女神』様のことも疑ってた、みたいな感じ?」
「お恥ずかしながらそんな感じですね……【星の欠片】は特に意味のわからない技術ですから、その関係のトラブルが頻発する状況に少々疑心暗鬼になっていたといいますか……」
「思った以上に疑われてるやつだこれ」
「そうしているうちにユゥイさんと遭遇しまして、そこから『月の君』様との繋がりができたんですよ~」
「おっしそこに直れ、修正してやる」
「ご勘弁を~!!」
これが国だったら『外患誘致罪』とか『内乱罪』とかになりかねんぞ貴様。*1
ってかなにしてんねんユゥイ、なんや内部から崩そうとでもしてたんか?
「ああいえ、そういうのではなく」
「はい?」
「悩みを忘れるためにバーに顔を出したところ、そこで私の悩みを聞いてくださったのがユゥイさんだったんですよ」
「なにやってんのあの子???」
脳内に疑問符ばっかり浮かんでくるんだが???
というかやっぱりあの子時々侵入して来てるのか。……なんか対策考えておいた方がいいかなぁ?
ともあれ、である。
琥珀さん的には別になりきり郷を崩壊させようと思っていたわけではなく、どちらかといえば私がそれをしようとしていると思っていたため、それに対抗する……とまでは行かずとも、私に知られていない状態で対抗手段を作って起きたかった、という感じなようで。
……そんな思惑とはまっったく無関係にユゥイと出会い、結果その辺なんとかできそうな『月の君』様と個人的にコンタクトを取ることに成功した、と。
「なんだその意味不明な状況……」
「言わないでください……一時の気の迷いだったんです……」
その一時って本当に一時ですのん???
……まぁ、その辺を細かく詰めるつもりはないのでとりあえずスルー。
っていうかある意味いつも私がやってることを他人がしてる、みたいな感じだから強く責め辛いというか。
「はい、なのでこの話はとりあえずおしまい!あとでゆかりんに詰められるかもしれませんけどその時はお互い素直に受けましょう!」
「うう……そうするしかありませんよねぇ……」
「それは仕方ないので!とりあえず!今の状況をなんとかできそうなものプリーズ!」
「はい?」
「いや琥珀さんが裏で色々やってたのは知ってる、って言いましたよね!なにかあるんでしょ作ってるものが!」
「ええと……まぁなくはないんですけど……」
「おっとなにやら不穏な空気」
とはいえ今はその話は必要なし。
必要なのは、いい加減カボチャ頭……もとい首謀者の確保である。
ハロウィンの時期から裏であれこれやってたんだから、きっと重要ななにかを発見してるはず……だって琥珀さんだもの!
……ってなわけで、ドラえもんに尋ねるのび太くんの如く、軽い気持ちで問い掛けてみたんだけども。
うん……?なんか反応が微妙だなこれ?
具体的には『えーと、確かに対抗策は見つけてあるんですけど~、問題とか山積みというか~』とか言いたそうな感じというか?
「やけに具体的な感想ありがとうございます。正解なのが
「あらやだ口が悪いわこの人。……で、問題というのは?」
「先程までの話でご理解して頂けるかと思いますが、今回私は『月の君』様の援助を受けているわけです、事象の解析方面で」
「ふむふむ」
「ですがこれ、援助は援助でもかなり限定的なのですよね」
「……ほう?」
具体的に言いますと、と前置きしながら琥珀さんが話したところによれば、だ。
曰く、『月の君』様は人の研鑽を尊ばれていらっしゃる。
ゆえに力を貸すと言っても、それは援助……もとい補助に近いものなのだと。
彼女自身がなにもかもを解決するのではなく、人がなにかをする際にどうしても用意できないものを代用、ないしは代替してくれるだけ……というべきか。
「ええと……よくわからないのだけど?」
「つまり琥珀さんはこう伸べているのさ。──例えば他に最善の方法があったとしても、それに気付いていないのならそれを指摘したりはしてくれない、と」
「……間違っていても訂正してくれない、ってこと?」
「【星の欠片】的には間違いなんて存在しないんだけど、まぁそういう意味ではなくね」
善も悪も平等に尊ぶのが【星の欠片】であるので、同じ様に成功や失敗も分け隔てなく愛するのです。
……なので、大局的に見るとやらかしてることであっても、それをわざわざ指摘はしてくれない。
これが意味することはただ一つ、
「ええと……つまり、琥珀さんが思い付いた解決策を、例えそれが間違いだったり非効率だったりしても気にせず手伝ってくれていた、ってこと?」
「もっと大雑把に言うと
何回も言ってるように、
それをもうちょっと大雑把な見方をすれば、なるほど人に使われるために作られた道具のようなもの……ということになるのはおかしくはない。
つまり、琥珀さんが得たのは解決策を共に考えてくれる誰かではなく、自身の思い付いた解決策を(間違っていようが)実行できる、できてしまう道具だったというわけだ。
「……そこまで言ってしまっていいんです?不敬だったりとかは」
「いやー、どっちかと言うといい空気吸ってやがんなあの人、って気分の方が強いといいますか……」
「この人の方がもっと不敬だった」
ええい喧しい。
あの人達とまともにかかわり合う方がアレなんだからこんなもんでいいんですよ。
……とまぁ、ああいう人達との付き合い方的なものについてはこの辺にしておくとして。
この前提情報を元に考えると、だ。
……琥珀さんが現在持っている対策案というのは、実際のところ本当に対策になるのかわからないような名状し難いもの、ということになるはず。
いやまぁ、研究してる間は『これしかない!』って感じに確信を持って研究してたはずなんだけど……こうしてこちらと認識を擦り合わせた結果、『あれこれダメじゃね?』ってなった可能性が高いというか?
「個人的に見解を述べさせて頂いても?」
「……いやな予感がしますけど、どうぞ」
「件の武器をクラスカード的なものにして戦力利用しようとしてるとか……」
「ぎゃー!?なんで当てちゃうんですかー!?」
いや、そりゃ『自分でやらなきゃ』的な思考に囚われてた人が思い付くものなんて限られているというか……。
特に琥珀さんって本体ルビーちゃんの方だから、そっちの機能に合わせた対策の方が思い付きやすく試しやすく成功しやすいだろうというか……。
で、大方例の確保した武器達を使ってクラスカード的ななにかを作り、それによって変身したマジカルアンバーのパワーで問題を粉砕しようとした、とかだろう。
普通ならまずクラスカードへの加工の時点で失敗しそうだが、恐らくはあの二人から武器を確保する際にその辺の概念を『月の君』様経由で【継ぎ接ぎ】するなりなんなりして取り出したのだろう。
元々が変身的な要素を持ち合わせている今回の騒動だ、その類似性と『月の君』様の手が合わさればやってやれないことはないはず。
「……ん?ってことはもしかして、鏡の中を移動してたっぽいのもクラスカード……?」
「そっちも知ってらっしゃったんですね……。ええはい、つい先日郷内に現れた【鏡像】──『マン・イン・ザ・ミラー』を加工して頂いてですね?」
「しれっとやべーもん捕まえてんじゃねーですよ」*2
っていうか能力者じゃなくてスタンド単体でこっちに出てくることもあるんかい。
……その辺はまた後で事情聴取するとして、だ。
どうも琥珀さん、クラスカードシステムをかなーり完成させているらしい。
流石は琥珀さんって感じだし、流石は
「……もしかして、問題を解決できるようなクラスカードを作ってから対応に当たろうとしてたり……?」
「いえその……コピー能力を持ったクラスカードも作れましたので……キーアさんをコピーしてクラスカードにしてしまおうかと……ついさっきまで思ってたんですよね……」
「幾らなんでもマッドサイエンティストすぎる……」
さすがに擁護できねぇっすよそれは……。
いやまぁ、私のことを信用できてなかったんだから仕方ないんだけどさぁ?
なお、そんな感じのことを思われていることを理解してか、琥珀さんは顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていた。
……黒歴史真っ盛りですね()