なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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ある種のデュエリストのようなもの

「……私は一体なにを目指しているんでしょうね……」

「マッドサイエンティストでは?」

「隣にもっとやばげな人が居るんですがそれは」

 

 

 はっはっはっ、誰だいそれは?

 

 ……冗談はともかくとして。

 しばらくの追いかけっこののち取っ捕まった琥珀さんと一緒に()()()()()()()()()()()()ところ、いい感じに縁を感じたのでそれを手繰り寄せ加工。

 

 

「そうして出来上がったのがこちらのクラスカードになります」

「……その、言っちゃぁなんだけど禍々しすぎないそれ?」

「見た目はね、中身はそうでもないよ?」

「ホントぉ~?」

 

 

 その結果手元にできあがったのが、こちらの真っ黒なクラスカードでございます。

 

 ……え?嘘を付くな?

 それは単純な黒じゃなくて()()()()()()()()()()()()()()()()()だろうって?

 その証拠にところどころ違う色が覗いてるだって?

 ふっ、よくぞ気付いたと褒めてやりたいところだ!

 

 

「まぁうん、不穏なものを感じてしまうのは仕方ない。でもよーく考えて頂戴、【星の欠片】はその名前の通り()()()()()()()()()()()()()()。ってことはこの色も別のものに見えてこない?」

「……ああそういうこと。カード全体で宇宙を表してるのね、これ」

「そういうことー」

 

 

 そう、Uちゃんの言う通り。

 このカードは複数の色を混ぜに混ぜて黒色になったのではなく、黒いキャンパスに複数の色が輝く状態──大雑把に言えば宇宙の姿を模したものなのである。

 そう考えると、おぞましいカラーリングに見えたものも、どことなくロマンを感じる配色に見えてこないだろうか?

 

 

「う、うーん。決して間違ったことを仰ってるわけではないのでしょうが、なんでしょうこの欺瞞に染まりきった感じは……」

「……はい、とりあえずこの子の能力について解説して行こっか」

「キーアさん?なんで今目を逸らしたんですかキーアさん???」

 

 

 はっはっはっノーコメント。

 

 ……気を取り直して、できあがったクラスカードの解析結果をご報告。

 今回この子を作るに至った理由は、現在巷を騒がしている武器達の元締めをしょっぴくため。

 はたしてそれが可能な効果を持っているのか、ってことになるんだけど……。

 

 

「うむ、大成功。ここまでぴったりのモノを引き当てられるとはちょっと予想してなかったかも」

「キーアちゃんがそこまで言っちゃうようなレベルのものなんだ」

「そうだね、これは全ての『知る』を蒐集せしもの。あまねく知識の成れの果て、全知無能の権化。──その名を【創世記(Zero Memory)】、こと『知る』という事象に関しては他者の追随を許さない究極の一のひとつだよ」

「ほへー」

 

 

 はい、ぶっちゃけますとアカシックレコードです、はい。*1

 中二病罹患すると絶対どっかで使うよね、これ。

 

 

「まぁ、お察しかもしれませんがこれも私ら最底辺(さいじょうい)組は自身の【星の欠片(能力)】で再現できるんですけどね」

「つくづく意味のわからない存在よね貴方達……というか、それならわざわざこのカードを作らなくてもよかったんじゃない?貴方がそれを使えばそれで終わり、って話でしょ?」

「その辺に関しても前に説明した通り、再現できるって言ってもすさまじく効率の悪いやり方をした上で……って話なので。見付けたあと相手を捕まえる時に私が参加できなくなってもいいならそれでいいけど?」

「それは……大分問題だね……」

 

 

 はい、それから最下級の【星の欠片】はそれより上位の【星の欠片】を力業で再現できる……みたいな話がありましたが。

 実のところ、それをきちんと活用できるのって『星女神』様と『月の君』様くらいのものなんですよね。

 それ以外はなにかしらの裏技を使わないと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんてことに陥りかねないのです。

 

 

「無論、再現度を下げたりすれば負担も軽くなるから、そうやって併用するのは可能だよ?……今回の相手、加減した【創世記】で見付けられるような相手じゃないけど」

「あー」

 

 

 要するに、餅は餅屋ってこと。

 ……探し物として扱うと見付けられない相手である可能性がびんびんしてるから、それなら()()()()()()という前提を押し付けて逃げられなくするのが一番簡単、というわけだ。

 

 

「えーと、どういうこと?」

「単純な『探す』という行為だと悪魔の証明みたいなことになる、ってこと。……というか、多分相手の能力がそれ染みたやつだと思うのよね。だから、例えば特定の場所を探してみたとしても、それ以外の場所──索敵範囲外に相手が存在することを否定しきれないのなら捕まえることはできない、みたいな」

「なにその哲学的存在」

「まさしくシュレディンガーの猫、というやつですねー」

「波道関数の揺らぎの方ね。まぁそれが一番近いんじゃないかな?」

 

 

 そっち(シュレディンガー)の方も好きだよね、中二病患者。()

 ……冗談はともかく、探している相手にそういった類いの──偏在するような能力があることはほぼ間違いあるまい。

 こういった手合いはまともに探しても見付けることは不可能だ、なにせこちらに観測を行わせないのだから。

 ……波動関数であれば観測しさえすれば結果は収束するが、そもそもの観測事態を行わせないのであれば見つける(収束)もなにもない。

 そりゃまぁ、何度探しても見つからないわけである。

 探すという行為そのものが見付けられない理由なのだから、そりゃ必死になればなるほど無駄足になるというか。

 

 

「そこでこの【創世記】でございます。使用者に『無能になる』という強いデメリットを負わせる代わりに、この【星の欠片】には死角というものがまったくないんだよ」

「……そういえば、さっき全知()能って言ってたわね。どういうこと?」

「うむ、真面目に考えると全知全能ってあり得ないよね、ってのがこの話の肝だよね」

「はい?」

 

 

 冷静に考えると『全知』と『全能』って反発しない?

 ……ってのがこの話の一番のポイントというか?

 

 まず、全知と言うのは文字通り『なにもかもを知っている』ということを指す。

 それなら、全能の方は『なにもかもができる』ということになる。

 そしてこの両者は、よくよく考えると()()()()()()()()()()()()()()()()()、となるわけだ。

 

 

「なんでよ、全部知ってて全部できる、ってそれこそ神様らしい状態じゃない」

「ノンノン甘いぜUちゃん。よーく考えてみなよ、全知を持ってる状態で全能だとおかしくなることが一つ存在してるんだぜ」

「はぁ?」

 

 

 もう少しわかりやすく説明しよう。

 

 全知とはすなわち全てを知っている状態。

 成功することも失敗することも、あらゆる全てに対して()()()()()状態だ。

 同じく、全能もあらゆる全てができる状態。

 成功も失敗も思うがまま、()()()()()()()()()状態だ。

 

 

「……もしかして、()()()()()()()()()()()()()()()()()、ってこと?」

「はぁ?それはないでしょクリ(s)

「大正解だクリスティーナ!」

「はぁ?!」

「クリスティーナ言うな!!」

 

 

 察しが早い人が多いと話が楽だね!

 

 ……そう、全知と全能をくっ付けるとおかしくなること。

 それはそれぞれに含まれている『失敗にあたる判定を出せなくなる』ということにある。

 

 例えば全知の場合、新しく未知を生み出せない。

 ……いやまぁ、正確には単なる全知の場合未知も既知である、というわけのわからんことになるのだけど……その辺はややこしいので割愛。

 ここでのポイントは、単に既知であるだけなら未知は阻害されないということ。

 ……極論、自身の知識から漏らさなければ世界的には問題ないのである。

 

 

「ああなるほど、だから無能なのね。なにもできない・なにもしないから全知を揺るがさない……と」

「そういうこと。全能の方も似たような感じだね」

 

 

 やらないこととできないことは厳密には別物だが、それを外から判別するのは難しい。

 ゆえに、自らそれを示さない限りは、全知や全能と言うのもまたシュレディンガーの猫のようなもの、ということになるのだ。

 

 

「……なにかうまいこと言った、みたいな感じでごまかそうとしてませんか?」

「ソンナコトナイヨー」

 

 

 なお、琥珀さんにはジト目で睨まれましたが問題はありません。()

 

 

*1
アカシャ年代記などとも。近代神智学の概念の一つで、原始から全ての情報が──事象に限らず感情のようなものも含む──記録されているという高次元情報体。時に集合無意識とも同一視される

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