なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まぁとりあえず、このクラスカードを使うと一時的に全知の状態になる、ってこと。色々知りたくて仕方がなかった琥珀さんには向いてるんじゃないかな?」
「もしかしてやっぱり根に持ってらっしゃいます???」
ソンナコトナイヨー?……このやりとりも食傷気味だな?
まぁともかく、こやつを上手く使いこなせば、別に私に確証を取ろうとせずともあらゆることを知り尽くすことができる、というのは間違いない。
……ただし、さっきから言ってるように全知は全能とは結び付かぬもの。
「仮に【創世記】の【星融体】になるとかそれに選ばれるとか、そんな感じのことになったら単なる語り部としてしか生きていけなくなるんですけどね」
「やっぱり根に持ってらっしゃいますよね?なんですか実はここで私を亡き者にしようとしてらっしゃいます???」
「ええい、話は最後まで聞けい!」
不安を煽る語り口をしてるお前が悪い?そりゃごもっとも。
……とはいえだ、個人的には整えられている状況を見れば、頭の良い人なら気付いてもおかしくないだけの情報は既に与えられているわけで。
そう考えると、なんというかこう相も変わらず混乱状態なんですかね琥珀さん?
……みたいな気分にもなろうというもの。
「……はい?」
「本気でわかってねぇ顔してる……はーい、他にわかった人ー」
「じゃあ、はい」
「おっと早かったUちゃん。では答えをどうぞ」
「あれでしょう?これはクラスカード。ゆえに夢幻召喚しようとも結局は一時的な変身。恒久的にその力に呑まれるわけでもないのだから心配のし過ぎ、ってことよね?」
「いやそんなバカなことが……」
「はいUちゃん大正解~」
「あれー!?」
そう、どんなに凄い肩書きを持とうと、今現在私たちの手元にあるのは単なるクラスカード(擬き)。
ゆえに、それを使ってどんなに凄い力を得ようとも、それは一夜限りの幻。
それによって今後の生活を常に左右される羽目になる……なんてことはあり得ないのである。
「わかりやすく言うと、クラスカードとして使ったくらいで【星融体】になるとかナイナイ、ってことですね」
「わ、わからないじゃないですかー!もしかしたらクラスカードシステムを侵食して使用者を蝕む、みたいなこともあるかもしれないじゃないですか!だって【星の欠片】ですよ!」
「うむ、【星の欠片】だよ?私が何度も言うように、
「……え、そういう……?」
私が強調して述べた言葉に、琥珀さんはぶつぶつとなにごとかを呟きながら思考の海に沈んでいく。
それに困惑したのはアスナさんだ。一応話には付いてこれていたけど、今の流れは理解に苦しんだらしい。
「えっと……つまりどういうこと?」
「チート臭い技能に思えるけど、根本的に【星の欠片】ってのは
「え、ええっ?!」
そんなわけで、もう少しわかりやすく解説。
今回の話題の中心である【創世記】は、特に【星の欠片】の中でも一部の性質が強く強調された存在である。
その性質と言うのが『弱い』というもの。
……基本的に【星の欠片】は物事の土台──誰もが気にもせず踏みつけている地面のようなもの。
自然と下に見ている──気にも止めず土台にしている──モノであるため、原則的に大抵の相手に勝てない。
仮に勝っているように見えても、それらは無限概念ゆえのバグによるものなので、普通は(それが鍛えてもいない一般人でも)負けることは早々ないわけだ。
まぁ、
「それはまぁ置いとくとして。システム的に弱者であり、かつ本人達の性質的にも土台として誰かを支えるのが趣味みたいなところもあって、【星の欠片】達は積極的に負けに行くことが多いわけ。ここまではオッケー?」
「ええと、うん。前から聞いてたことの焼き直しみたいなものだよね?」
「うむ、そうそう。……で、その前提の上で【創世記】についてなんだけど。
物事の結果を片方だけにする、とでも言うべきか。
本来コイントスをすれば表か裏か、確率は二分される。
無論、使うコインの重さの偏りだとか、コイントスを行った人間の癖だとか、様々な要因によって確率は半々にならないだろうが……それでも、まったく片方の結果が発生しない、なんてことにはならないはず。
どっこい、波動関数にも似た性質を持つ【星の欠片】の中でも、【創世記】に関してはそうは行かない。
あらゆる全てを知っているということは、すなわち未知を持たないということ。……つまり、この【星の欠片】が
「外れ値とか突拍子的な事態とか、はたまた製作者の知らない謎のシステムだとか……そういう突然に現れて数式を乱すようなもの、なんてものが発生しなくなるって感じ?まぁもっと正確に言うとそれらの出現も
「え、ええー……」
なお、未知が生み出せないので知ってても言い出せない、というおまけ付きである()
……え?予め知ってるんだから、知ってるという前提で話すことも
「その辺はややこしいんだけど……つまり、そういう『知っている』状況に対して
「……???」
あーうん、この辺はわかりにくいよね。
全知とはあらゆる全てを知るもの。ゆえに未知が生まれればそれも自動的に既知にして知識をアップデートする、というのが一般的な全知の──もといアカシックレコードのイメージだろうし。
「その言い方だと【星の欠片】の作ったアカシックレコードだからおかしいことになっている、ということかしら?」
「……Uちゃんは頭の回転早いね、まさしくその通り。【創世記】がおかしいのはそれが【星の欠片】だからなんだよ」
現実に存在する無限概念だからおかしなことになっている、ともいう。
……要するに、【創世記】は
それ以上収める知識も既に存在しない、真の意味で全知であるもの、というべきか。
「ふむ、無限を数式に放り込むのは本来ご法度だけど、こと【星の欠片】に関してはそれを前提にする必要がある。従来のアカシックレコードはあくまでも想像上の存在、ゆえにその情報量に関しては一考の余地があったけど……【星の欠片】が作るそれは一考の余地もない、文字通りの無限の知識ということになる……ってわけね?」
「そういうこと。想像上のモノじゃないから
以前から触れているように、【星の欠片】は一応科学の延長線上にあるものである。
それに見せかけて偽装しているとか、物理法則を間借りしているとかではなく、正真正銘人が科学を極めた先にあるであろう
そしてそれゆえに、法則に反するようなことは決して起こり得ない。
仮にそのように見えるものがあったとしても、それは人がその現象を起こすための法則を発見できてないだけ、という形だ。
それを念頭に置くと、科学で作ったアカシックレコードというのは
何故かって?そりゃ時は明日に進むから……もとい、未知に進むからである。
「本来未来や過去というものは未知の存在。科学では確かめ切れないものだからそれを知識としてカウントすると決して埋まらないものになるのが普通ってわけだね」
「未来はともかくとして……過去もなの?」
「実際紀元前とかよくわかってないでしょ?その場ですぐに触れられるようなもの以外は大抵曖昧なもんだよ」
「なるほど……」
まぁ、その辺は長くなるので割愛。
ともかく、科学としてアカシックレコードを作るのは無理筋、ゆえに従来のそれはオカルト的なものとしてしか扱われてない、というわけだ。
……どっこい、【星の欠片】は(それがどれほどオカルトチックに見えたとしても)科学に分類されるもの。
ゆえに、【創世記】の作るアカシックレコードもまた、
「それが全知無能ってわけ。あらゆる全てを知ったと嘯くのであれば、それはすなわち
「なる、ほど?」
全てを知った、と科学的に証明できるのなら、その時点で未知は一つもないということになる。
科学は例外を許さないのだから、その性質を持ち合わせる【創世記】もまた、その性質に準じなければならない。
結果、これを司る存在は
「……え、まさかそういうことなんです?」
「はい琥珀さん、思い付いたことをどうぞ」
「……相手に助言をするのは無能の範疇。その結果起きることを自身が知ってるのなら未知を生むことはない、と?」
「そういうこと。今回みたいにクラスカードとして使うのならまさしくその判定ってわけだね」
はい、要するに図書館で調べものしてきてね、ただしそれは地球の本棚みたいなんもんだがな!*1
……的な話ってわけですね、はい。