なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「そもそも負けてる存在だから侵食もなにもない。ついでに言うと自身の存在を脅かすだけだから積極的に他者に関わりに行くこともない。……ほら、自分がなるならともかく単に知識を借りに行くだけなら怖いことなにもないでしょ?」
「モノは言い様のような気もしますが……」
「その『モノは言い様』ってのが重要なんだよ」
「ううーん?」
……ええい面倒臭いな、わからんことがあればそれこそ
迂闊に使うと侵食とか主にとか色々問題が起きるんじゃないかってことなんだろうけど、その辺は既に
「ゆえにそれ以上うだうだ言うなら強制的に
「強制的に!?そっちの方が嫌な予感しかしませんよやりますやります夢幻召喚!」
「…………」
(話が進んでよかったけど、その代わりに自身への信頼のなさに釈然としない想いを抱いている……みたいな顔ね)
「……ええい、こっちを見て生暖かい笑みを浮かべるんじゃないよUちゃん」
「はいはい」
……与太話の権化みたいな存在の癖して、微妙に精神年齢高くないこの子?
とまぁ、Uちゃんについて思ったこととか無くもないけど、現状重要度は高くないため後回し。
言葉通り、【創世記】のクラスカードをインストールした琥珀さんは目映い光に包まれ、その姿を変じさせていたのでありました。
「そういえば……クラスカードってことは特定のクラスに当てはめることで能力の範囲を制限してる、ってことよね?……あのカードってなんのクラスなの?」
「ああそれ?【星の欠片】相手だと当てはまるクラスがないのが普通なんだけど……」
「えっ」
既に知っているかとは思うが、【星の欠片】の本質は小さな
なによりも弱い、という状態を明確に示すためにたどり着いた形が『自身以外のなにもかもを削ぎ落とした極小の形』であるわけだが、これが既存の指標と非常に相性が悪い……もとい
上を目指しあらゆる全てを積み上げていくのが現代の、ひいては消費文明の本懐であるが、【星の欠片】はその原則に真っ向から反発していく存在である。
なにせ弱い方がよい、小さい方がよい、積み重ねのない方がいい……みたいな感じのモノ達だ。
消費文明の原則で語ろうとすると、そもそも生きて動いていること自体が不思議だと断じられてしまうレベルのモノでしかないというか。
……これがどういう結果を生み出すのかというと。
例えばサーヴァントシステムのような、
まぁ、他の人達が全力を百として、【星の欠片】達は一にも満たないくらいが全力なのだから仕方ないのだが。
なので、仮に【星の欠片】をクラスシステムに当てはめると、わざわざ特定のクラスに制限して規格を落とす……みたいなことをせずとも普通に全部再現できてしまうのだ。
ある意味クラス・ギルガメッシュみたいなものというか?*1
「なので、あのクラスカードも形こそクラスカードだけど、システム的にはバグった扱いになってるわけ。……最近のやつだとプリテンダーとかになるんじゃないかな?ルーラーを詐称してる別のなにか、的な?」
「……あ、ルーラーなんだ」
「まぁ、どうしても当てはめないといけないなら、
まぁ、正確には持たないんじゃなくて持てないんだけど。
……そもそもルーラーのようなエクストラクラスというのは本来簡単に召喚できるモノではないらしいので、それをクラスカードとして使用すること自体バグってる気もするが、その辺は言いっこなしってやつである。
ともあれ、クラスカードのインストール自体は正常に機能している様子。
光が収まり、服装を別のものに変じさせた琥珀さんの姿を見れば、それは一目瞭然だろう。
「…………」
「成功したみたいだね。……ところで、なんでそんな渋面なの?」
「……首吊ってもいいですか」
「突然の死にたい宣言!?」
幾らなんでも突拍子が無さすぎるんだが?!
……いやまぁ、どうしてそんな言葉が飛び出したのか、というのはなんとなーくわかるのだが。
「どういうことよ?」
「さっきも言ったでしょ、【創世記】は全知だけど無能だって。……要するに、使った時点であらゆる未来を知り得るけど、それらを自身の意思で選び取ることはできないのよ」
「……あー、仮になにかを失敗することがわかっていても、それを別の
「そういうことー」
いやまぁ、夢幻召喚止めたらその辺の変更は利くようになると思うけどね?
但し見えていた未来との繋がりも失うので、
「……どういうこと?」
「未来ってのはそんなに簡単には変えられないってこと。……いや、どっちかと言うと
「???」
まぁうん、その辺は未来視の是非的な話になるからスルーさせてください。
ただでさえ今回長々と語ってるからこれ以上話を伸ばしたくないのよ……。
ともかく、今現在琥珀さんはあらゆる全てを知っているけど、それらを好きに使うことはできない。
使用している【創世記】を停止すればそれらの未来に干渉することはできるようになるけど、代わりにそれらの未来が本当に未来である確証を失う。
……という、この説明をそのまま覚えておけばいいと思います。
「……まぁ一応納得するとして、結局なんで琥珀さんはあんななんとも言えない顔になってるわけ?」
「大雑把にいうと……黒歴史は修正できないってことかな」
「は?」
エミヤんとかに聞けばそういうことか、って納得してくれると思うよ()
……うん、一番の大敵は基本自分ってよく言うよね。
ともあれ、あの様子なら【創世記】は正常に機能していると思って良さそうだ。
なので琥珀さんには悪いのだが……その気分を抱えたまま、目的の相手を探してもらいたい次第である。
「鬼ですか貴方……」
「鬼じゃないです【星の欠片】です。……真っ当に【星の欠片】に目覚める場合はその行程必須ですよ?」
「お断りしておきます」
「そりゃ残念。まぁその状態を長く続けると自動的に修行しているような扱いになるんで、なりたくないならさっさと目的のモノを見つけて使用を取り止めるべきなんだけど」
「はい見つけました見つけました見つけましたけどこれどうすればいいんです!?」
「いきなり元気になったなー」
ローテンションよりはよっぽどいいやね()
……冗談はともかく流石は【創世記】、こっちの網には毛ほども引っ掛からなかったけど、こんなにあっさり捕まるとは。
いやまぁ、捕まってくれないと困るわけだからその辺文句はないけども。
とはいえ、先ほどから触れている通り、【創世記】を通して得た情報というのは原則
なので、その情報を他人が受け取ってやる必要がある。
「そんなわけで失礼しますねー」
「ぎゃあ?!視界共有!?」
「前も他の人にやったことあるんで特段驚くことでもないですねー。……ふむふむ、なるほどなるほど」
「視界を共有するのはいいけど……そこからどうするのよ?」
「こうするー。秘技、『神断流』【虎視眈々】!」
「しかのこ?」
「のこのこじゃないんだわ」*2
ターゲットロックオンなんだわ、見逃さないんだわ。
……ってなわけで、目的の相手──カボチャ頭だったりした今回の黒幕、見事にターゲティングである。
それはまぁ、素直にめでたいんだけど……。
「……んん?」
「どうしたの?」
「いや……なんだこれ?」
見付けた相手の姿に、私は思わず首を傾げることになったのでありましたとさ。