なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……結局、なにがどうなってどうなったのよ今回の話」
「大雑把に言うと、仮決めされた地下ちゃんの中身を埋めようと【顕象】もどきが動いてたってのが正解かな?」
「はた迷惑……!」
正しくは、地下ちゃんになりうる【兆し】が暴れてたと言うべきか。
それこそ例として挙げた桃香さん……が、桃香さんになる前のフードキャラと似たようなものというか。
いやまぁ、被害規模としては全然レベルが違うけどね?
「まず、恐らくだけど……相手をブルアカの生徒にする、っていう武器の能力はそれこそテクスト・ないしはテクスチャの張り替え的なもの……ってことで、要するに該当の【兆し】がブルアカを由来とするものであった、ってことで間違いないと思う」
「ふむふむ」
「じゃあなんでそんなことをしてたのかっていうと……極論、中身を探すためだった、と」
「【顕象】ないしは【鏡像】の基本行動ってやつね」
安定していない【顕象】──
それらと件の【兆し】はまったく同じ原理で動いていた。すなわち、核となる『誰か』の捜索である。
……まぁ、それ自体は驚くような話ではない。
安定していないものが安定するように動く、というのはいわば当たり前の動き。
「だから問題があるとすれば──それが【兆し】だった、ってことだね」
「……ふむ?と言うと?」
「桃香さんもフードの時は【兆し】だったとされるけど……今回の場合、その時よりもさらに存在があやふやというか、希薄だったってわけ」
「…………あれだけのことをやっといて?」
「あれだけのことをやっといて、よ」
ゆえに、ポイントとなるのは
端的に言えば『
言い方を変えよう。何故本質を発揮できていない【兆し】の状態で、探すことにかけては他の何者をも寄せ付けぬ【創世記】を持ち出さないといけないほどに優れた隠行を発揮していたのか?
……というのがここでの疑問になるわけだ。
本来、安定していない【兆し】というのは誰もがすぐに気付けるほどにその存在感を周囲に撒き散らすものである。
それは、ある意味で
「まず、確かにやってることこそ派手──無差別に生徒を増やしてたって点では周囲に存在感を示してたって風に言えるけど。その実、その行動が『核』を見つける手助けになっていたかというと微妙だよね。だって【創世記】を使った上で私がワープしないとたどり着けないような場所に相手はいたんだよ?」
「状況証拠的には『逆憑依』と化したあとも移動はしていない。【兆し】が隠れ潜んでいた場所とそれが『逆憑依』になった場所は同一……という見解だったかしら?」
「うむ。私の見当違いじゃなければ、そもそも【兆し】の発生地点もあそこだし、そこから私達と戦闘するまでずっとあそこに居たってのも間違いないね」
あの場所自体が隠蔽の役割を果たしていたので、仮にそこから出て来ていたのならその時点で正体を掴めるはず……というか。
……え?外で見掛けたカボチャ頭はどうなんだって?
あれは桃香さんにとってのフード姿みたいなもの……というのが近いんじゃないかなぁ?
「なんだか歯切れが悪いわね?」
「まぁそこはおいおい説明するとして……ともかく、言い方は悪いけど『核という獲物』を捕らえるのに大概適していないやり方をしてた、ってのは間違いないと思う。……これが【鏡像】に近い状態なら、既にできあがりつつあった地下ちゃんのガワに行動が引っ張られてた、ってことになるんだけど……」
「……ああなるほど、そこでカボチャ頭ってわけね?」
「後回しにした話をすぐに察するの止めない?」
長くなるから後回しにしたのに……まったく。
……まぁ、はい。
カボチャ頭が面倒臭いのは、フード姿相当だとするとそこから地下ちゃんに繋がらない……もとい
フード姿の方は特に属性が付与されてないけど、カボチャ頭の方だとハロウィンとかマフティーとか、分かりやすいキャラクター性が付与される形になるというべきか。
「これの問題点は、
「……ああなるほど、その状態で【兆し】のままなのがおかしいってことね?」
「そうそう。少なくとも【鏡像】にはなってるべきなのよ、それだと」
核を必要とする、という点で【兆し】とそうでないものとの間には然程差がないように思えるが……その実、それらの差というのは思うよりも大きい。
根本的な話として、【兆し】に明確な意識はない。
あくまでも単なる現象として、それが安定するために核を求めているだけでそこには悪意も善意も存在しない。
翻って、【鏡像】や【顕象】の場合はそこに意識が介在する余地が生まれる。
そりゃそうだ、既になにかしらのキャラの姿をしているのだから、それに則った動きをするのは寧ろ当たり前ですらある。
下手にそのキャラらしからぬことをしてしまえば、核を持たない状態の彼らはそのまま霧散しかねないのだから『らしい』動きをするのは必然なのだ。
……そう考えるとだ、カボチャ頭なんて特徴的な姿、既に意識が芽生えていると受け取るのが普通、ってことになる。
実際にはそこまで行ってもなお【兆し】だったのだが……この辺をややこしくしていたのがハロウィンに発生した、という状況であった。
「……あー、もしかしてハロウィンゲージが臨時の核を務めていた、みたいな話?」
「うむ。っていうかカボチャ頭の姿だった間はずっとハロウィンゲージが【兆し】に【継ぎ接ぎ】されてた、と考えてもいいかも」
「oh……」
……はい、大雑把に言うとハロウィン特有のトラブルってことですね()
これがなければ話はもっと楽だったのに、と思わざるを得ませんね()
ともかく、カボチャ頭状態はハロウィン期間中限定の姿だった、と認識しておけばよい。
そして、ハロウィンが終わったので自動的にその姿の使用期限を迎えてしまった、とも。
「ハロウィンが終わってしまったから、カボチャ頭姿は自然と消えていく……もとい剥がれていく形となった。そうすれば残るのは【兆し】だけ、核の代わりをしていたようなものだったそれが失われれば、普通の【兆し】のような動きに戻るはずだった……」
「そうはならなかった、と?」
「そういうことだね。で、なんでそんなことになったのかと言うと……多分、ずっと【星の欠片】が近くにあったんだろうね」
正確には『死』に纏わる【星の欠片】が、だ。
……【兆し】が最終的に地下ちゃんの姿になったのは、恐らくそれが原因である。
元々ブルアカ属性があったところに『死』という属性が近付いて来たのだ、そりゃまぁ結果も左右されるわなというか。
とはいえ、それだけなら他に変化するだろう姿もなくはない。
ないんだけど……そっちに関しては
「ん?埋まってる……って、シロコちゃんか」
「大当たり。本来ブルアカ系で『死』を想起するってなるとシロコ……もといそのテラーになるはずなんだけど。既にシロコというキャラはこの郷内に存在していた」
まぁ、テラーと本人は別物として存在できそうなので問題は無いように思えるのだが……。
同一人物に近しいものは中々『逆憑依』として成立し辛いため、より成立しやすいものに流れるのは必然とも言える。
結局は安定するための要素でしかないのだから、変に拘る──難しいことをする必要もないというか?
「結果、選ばれたのは地下ちゃんでした、ってわけ」
「なるほどねぇ」
私がそう告げれば、話していた相手──ゆかりんは、納得したようにため息を吐き出したのでありました。