なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・酒飲んで忘れる暮れの夜

「まぁ、大枠については納得がいったわ。あとは細々したことを確認したいのだけれど、問題はない?」

「オッケーでーす」

 

 

 そんなわけで、細かな説明タイムである。

 無論、この状況で聞かれることなんてそう多くはなく──、

 

 

「結局、なんで【星融体】にならなかったの?」

「やっぱそこに行き着くよねー」

 

 

 ──【兆し】から変化する姿を地下生活者のモノに固定するくらい過干渉をしていたにも関わらず、現状の彼には【星の欠片】の気配がないのは何故なのか。

 

 思い浮かべるのは、現在先生のところで検査を受けているだろう地下ちゃんの姿。

 恐らく【継ぎ接ぎ】的ななにかの反応が検出されるだろうが……同時に、その中に【星の欠片】のものは含まれていないはずである。

 となると、何故そうなったのかという理由があるはずなのだが……。

 

 

「まず第一に、地下ちゃん本人が嫌がったから、ってのがあるよね」

「まぁ、原作における最新章までの記憶があるのなら、どこか無知による憧れや決めつけに近いモノがあった態度とは変わるのが道理、よね」

 

 

 ……詳しいことは省くが、原作における地下ちゃんは死を理解することを求め、結果死の化身とでも言うべき相手との邂逅によりすっかりプライドを折られてしまう……という結末を迎えることになる。

 そこで情けない姿を晒したことで、実際に自身が死に瀕する羽目にならずに済んだのだが……まぁ、だからといって再度『死』を理解しよう、とはならなかった。

 そこから奮起して再度挑めるほどメンタルが強くなかった、と言うべきか。

 

 そんな原作の記憶を持つ彼は、それゆえに自身の設定(テクスト)に従って近付いてきた『死』に対し、記憶から来る拒絶感を持って接することになった。

 そうなれば、相手の言うことを聞く(に負ける)のが基本原理である【星の欠片】としては従わない理由がない、というわけだ。

 

 

「……幾らなんでも素直に引きすぎじゃない?貴方のこととか見てると本当に引き下がるのか、って気がするんだけど」

「その辺は私とかゆかりんの知ってる人とかがおかしいだけなので……」

「……嫌な説得力があるわね」

 

 

 うん、ごく普通の──一般的な【星の欠片】は頼まれたら断らないですよ?

 無論、頼んでなくても断らないパターンも多いが、基本的には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()し、その頼みに関しても()()()()()()()()()()()()()()()()のが当たり前というか。

 ……そういう意味で私みたいなのは変わり種というか、大分付き合いやすいタイプになるのだろう。

 頼み事の勘違いもしないし、頼み事の押し売りもしないし。

 

 

「まぁ一つ注意点があるとすれば……『断る』という頼みを言えるかどうか、ってことかなー」

「と言うと?」

「一度頼み事が受理された時点で、【星の欠片】側の奉仕は既に始まってるってこと。一秒でも判断が遅れれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()わよ」

「怖っ?!」

 

 

 まぁ、うん。

 だからこそ、地下ちゃんが【星融体】にならずに済んでいる、というのはかなりすごいことなのだ。

 ほぼ百パーセント(敗訴)と言っていい状況から逆転して一パーセント以下の結果(勝訴)を掴み取ってるわけだし。

 

 ……いやはや、どんだけ『死』に関わるのが嫌だったのか、とその気持ちを想像したくもなるが……同時にそれだけじゃないのも事実だったりする。

 

 

「あれ?」

「幾らなんでも『嫌』って突き付けただけで引き下がるほどの状況じゃないってことよ。言うなればもう契約書にはサイン済み・かつそのサインも相手が既に鞄にしまってて、あとはこのまま解散……みたいな状況なんだし」

「……クーリングオフとかしか試せなさそうね」

「ある意味は近いかなー」

「あれー!?」

 

 

 そう、単に嫌がっただけで話が終わるのなら苦労はしない。

 ここでポイントとなるのは『この結果に落ち着く理由となったもう一つの原因』。

 それはずばり『飛鷹』の存在である。

 

 

「んん?えーと確か……流派の方じゃなくて武器の方、ってことでいいのかしら?」

「そういうことになるね。正確にはそれに含まれている神殺しの概念の方、ってことになるけど」

「……んん?」

 

 

 今一度『飛鷹』の基本情報を思い出してみよう。

 この武器は、『神断流』に含まれる流派のうち、射撃・ないしは投擲武器に纏わるモノである『飛鷹』を封入?した武器である。

 そしてその前提条件ゆえに、本来は起こり得ない状態が引き起こされている物品でもある。

 それが、使()()()()()()()()()()()()()()()という部分。

 

 

「……そこに、なんの関係が?」

「『飛鷹』の技に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のよ。もっと言ってしまうと、『神断流』自体にもそういう技はないわね」

「なんと?」

 

 

 まぁ、一応空気中の原子や分子を変換して武器を作る、みたいなことを辛うじてやれなくもないかなー、みたいな技もなくはないんだけど。

 これは型月世界における『投影魔術』……それも衛宮士郎のそれではなく、元義的な──あくまでも代替物として一時的に作り出すそれと同じようなタイプ。

 ゆえに、今ある武器を作り替えて別の武器にする、なんて器用なことはできないのである。

 

 

「つまり、『飛鷹』の変形機能は【星の欠片】由来ではない。……まぁかといって神秘によるものなのかと言われると微妙なんだけど、ともかく【星の欠片】だけでできあがったものじゃない、ってのは確かだね」

「なるほど……でもそれが今の話とどう関係して来るのよ?」

「単純だよ、地下ちゃん本人だけじゃなく【兆し】自体も【星の欠片】とは距離を置きたい、って思う理由になったんだよ」

「!?」

 

 

 ……いや、恋愛的な意味じゃないからね?

 一応釘を指しつつ、再度説明を挟む私。

 

 言うなればさっきまでの話は、中身の核となる人物が地下ちゃんの知識で以て判断をした結果。

 対してこちらは、核の意思とは関係なくガワの方が忌避感を抱くきっかけとなった、という意味になる。

 

 

「多分だけど、地下ちゃんの核が埋まったのは恐らくかなり最近のこと。言い換えると、『飛鷹』を作った時にはまだ【兆し】だったんだよ」

 

 

 そしてそれゆえに、特に先入観もなく純粋かつ単純に『武器に【星の欠片】を詰める』なんてことができた、と。

 ……これに関しては()()()()()()()()()前提の予想になるのだが、恐らく核の埋まってない間の彼の行動指針は、現在【継ぎ接ぎ】となって彼にくっついているモノを有効活用した結果、ということになるのだろう。

 無限の()()()とでも言うべきそれは、確実な未知である【星の欠片】に対しては強く働いた、というわけだ。

 

 

「まぁ、そのお陰というかせいでその【星の欠片】は不利益をもたらす、となんとなく察しちゃったんでしょうけど」

「……いやちょっと待ちなさい、今無限の()()()って言った?」

「ん?そこ引っかかるところ……ってああ、ルビの方か」

 

 

 確かに、普通は()()()()()()()()()()()はずなのに、変な読み方をしていれば気にもなるか。

 ……いや、もっと直接的に想定されうる人物が思い浮かんでいるか。

 

 ──無限の好奇心(よくぼう)

 私達【星の欠片】にとって、欲望というのは悪いものではない。

 ゆえに基本的に好意的に解釈してしまうため……好奇心、などと呼んでしまうわけだ。

 

 では改めて、誰のことを指しているのかを述べるとしよう。

 ──無限の欲望(アンリミテッドデザイア)

 人工的に産み出された天才……『ジェイル・スカリエッティ』のコードネーム。

 

 ゆえに、現在地下ちゃんにくっついているのはスカさん、ということになるのであった。*1

 

 

*1
『魔法少女リリカルなのは』シリーズに登場するキャラクターの一人。『sts』における敵役に相当する人物であり、コードネームの通り飽くなき探究心と知的好奇心を併せ持ち、かつそれらを抑えるつもりが欠片もないマッドサイエンティスト。自身の研究の為なら倫理や道理を平気で無視するが、同時に自身の産み出したものには愛を以て当たるタイプでもある。マユリ様とか類友かもしれない

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