なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・求むるものが極端であるのならば

「……あー、なるほど。例の光体は魔法によるものだった、ってこと?」

「そうだね、スカさんの知識から産み出されたもの、ってことになると思う」

 

 

 私の口から飛び出した名前──スカリエッティのそれに、されどゆかりんは大した感慨も見せずに頷くに留める。

 さもありなん、【複合憑依】の話は既にしていたのだから、地下ちゃんに引き寄せられるものなんてそんなに多くはない……と当たりを付けていたのだろう。

 

 基本的に【複合憑依】は()()()()()()()()()()()()

 無論、それらは他者から見て分かりやすい共通点だけではなく、それこそ普通のなりきりにおける『掛け合い』形式と同じように、その当人にしかわからないような繋がりの上で選出されることも多いが……それでも、一応は『なにかしらの繋がりは見える』というのが普通である。

 まぁ、同時に大したことのない……それを繋がりというのか、みたいな法則に従っていることの方が多いのも確かなんだけど。

 例えば研究者繋がり(カヤバーン達)とか?

 

 まぁそういうわけで、死という現象を追い求める存在の対となるものとして、生を探究し尽くす存在が選ばれるのはある種当たり前と言っても過言ではない状態だと言えるのだ。

 そこから、強く生の先を求める存在としてスカさんのことも候補には入れていたのだとすれば、彼女の落ち着きぶりも理解できなくはない。

 

 

「まぁ、その場合だと間になにが挟まる(三つ目はなんだった)のか、って疑問もなくはないんだけど」

「ああ、それに関しては単純。セフィアちゃんと同じで最初から【星融体】としての成立の余地しかなかったんだよ、あの人」

「……それはまた、なんとも哀れというか」

 

 

 ホントにね。

 ……【星融体】は【複合憑依】のシステムに【星の欠片】が関わった結果発生したバグのようなもの。

 ではあるのだけれど、一応扱いとしては【複合憑依】の延長に当たる、というのも間違いではない。

 なので、三つ目となる【星の欠片】以外の相性で成立してしまう、なんて事態に陥るのである。

 

 

「まぁ、基本的には呼ばれてくる【星の欠片】も両者にとって意味のあるものであることが普通なんだけどね」

「んん?でも呼ばれてきたのって『死』に纏わる【星の欠片】だったんでしょ?スカさんのことだから興味を抱かないわけはないけど……関係性としては微妙なんじゃない?」

「その辺は【星の欠片】ってシステム自体が相性がいい、ってことかな」

「……あー」

 

 

 なお、【星の欠片】は科学の行き着く先と何度か言っていることからわかるように、実のところスカさん相手には普通に……というか、なんの【星の欠片】であれ相性が良い部類になっていたりする。

 ……逆に言うと、メインがスカさんの状態で【星融体】になってたらヤベーどころの話じゃなかったんだけども。

 

 

「……ん?メイン?」

「【複合憑依】の場合、含まれている三者の間で人格の切り替えみたいなことができるでしょ?でも【星融体】の場合そうはいかない。基本的には一人のキャラにあらゆる全てが乗っけられる形になる。これは、【星融体】の名前の通り他の要素が全て融け合ってしまうからだけど……」

「なるほど、融けて固まってるわけだから切り替えなんてできるはずもない、と」

 

 

 この辺りは、さっきも少し話題に上がったセフィアちゃんのような【星融体】に似ている【継ぎ接ぎ】についても同じ。

 一つの要素に他の要素を注ぎ込む形になるため、結果として本来【複合憑依】に存在するはずの人格の交代、という要素が見られない状態になる。

 

 ある意味では【継ぎ接ぎ】に近い状態に……退化?してるようなものというか。

 いやまぁ、別に【複合憑依】や【星融体】が【継ぎ接ぎ】より優れてる、なんて話ではないんだけども。

 

 

「……そうかしら、パッと思い付く限り三位一体やそこからの派生で生じた彼らは基本強力な存在だと思うけど」

「アルトリア」

「…………例外みたいなものとはいえ、それを持ち出されると私としても唸らざるをえないわね」

「まぁ、世界有数のキングメーカーが関わってるんだから当たり前なんだけどね」

 

 

 でもまぁ、そもそも成立する・しないの差異がいまいち不明な【複合憑依】と比べ、変身という形で様々な活用をされている【継ぎ接ぎ】の方が扱いやすさの面では上なのは確かというか?

 

 ……話がずれてきたのでいい加減に軌道を戻すと。

 

 

「恐らく、今の地下ちゃんはセフィアちゃん達に似たような──【星融体】めいた【複合憑依】、とでも言うべきものに近い状態ってこと。いや寧ろそれが発生した起因を思えば、地下ちゃんの方がオリジナルってことになるのかな?」

「なるほど、そういった存在の手が加わっていたから他の人達にも似たような影響が波及していた、と」

 

 

 順序を考えると、【兆し】が二つに『死』に纏わる【星の欠片】が近付いたことで、【兆し】達は地下ちゃんとスカさんになりうる素養に変化していき。

 されど核はなかったためにそれを求めるため、外へ武器をばら蒔くという形で影響の手を伸ばした、と。

 

 で、件の武器はその時の彼らの状態を元に半ば自動的に生み出されたものであったため、【星融体】に見られるような要素の溶融を伴うものとして発生した、と。

 

 

「要素の溶融、ねぇ。上手く言ったものというか……」

「単なる【継ぎ接ぎ】より明らかに影響が大きかったからね。【星融体】に酷似した【複合憑依】になった面々や、メインとサブが入れ替わるとかいう意味不明な事態を引き起こした二人とか……」

 

 

 まぁ、後者に関しては『月の君』様のてこ入れを受けた琥珀さんの手によって無事?に解消されたわけだけど。

 ……逆に言うと『月の君』様の介入がなければ危なかったのかも、って話にもなるんだけど。

 

 

「そもそも【星融体】の時点で不安定だものね。それを人工的に・かつ後天的に起こしたのならなおのこと……ってこと?」

「そこら辺の自覚を得る前に解消されたから特に問題ないみたいだったけど……裏を返せば銀ちゃんにしろモモンガさんにしろ、変な暴走しかねなかったのは事実だろうねぇ」

 

 

 特にモモンガさんの方。

 ……単にモモンガという人物がシャルティアの姿になった、というのならまだ問題は少なかったのだろうが。

 そもそもが『逆憑依』の範疇であったあれは、言うなれば『モモンガの記憶を持ったシャルティアになった』ようなもの。

 存在の矛盾の解消のためにどんな事態になるやら、まったくわかったものではない。

 

 その辺はある意味、地下ちゃんがその末路とでも言うべきものを見せてくれていたわけだが……その例に倣うなら、『妾がアインズ様のはずがありんせん!』とかなんとか言いながらレイドボスになっていた、とかだろうか?

 

 

「……本気で言ってる?」

「本気で言ってるよー。最初から【複合憑依】として成立してたんならともかく、後から無理矢理変化させたのなんて空中分解するに決まってるじゃん。……そういう意味では銀ちゃんの経験が酷すぎるんだけど」

「あー……」

 

 

 あっちは暴走せずに馴染みそうなのがなんとも。

 ……馴染んだとしても問題山積みなので静観とかできんのも確かだが。

 

 ともあれ、問題しかない状態だったので『月の君』様も手を貸してくれたのだろう。

 ……くれたのはいいのだけど、そこから事態の解決には気を裂いてくれなかったというか。

 

 

「琥珀さんに好きにさせてたわけだからねー……ただまぁ、その結果事態が好転した面もあるんだろうけど」

「その心は?」

「多分、琥珀さんが動いてなかったら地下ちゃんの中身が埋まることはなかった」

「……え、そうなの?」

 

 

 そうなのDEATH。

 ……というのも、中身の入る前の地下ちゃんの行動に問題があった。

 そう、中身がないから核となる相手を探しているのに、その際の行動が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という行動だったのだ。

 

 それのなにが問題かって?

 普通なら問題はないんだけど、彼の居る場所がよくなかったんだよねー……。

 

 

「……そういえば、琥珀さんに【創世記】とやらを使わせないとたどり着けないような場所、だったのよね?」

「そうそう。……多分これ、地下ちゃんとスカさんの記憶から自動的に生み出された()()状態だったんだよね」

「え?」

「作中の二人の動向」

「あ、あー」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 その事実が変に噛み合ってしまったのだろう、結果として彼らが隠れている場所は容易には発見できない場所になってしまった。

 その上で、その時の彼らには核がない──まともに考える頭がない。

 結果、暗躍という名の()()()()()状態となり、結果として『核を探しているのにそもそもその核を自身に適用する手段がない』なんてことになってしまったのである。

 

 ……要するにだ、琥珀さんが『鏡の世界』という()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()、そしてそうして彼女自身もまたこちらから隠れて暗躍するような行動をしなければ。

 究極的には、彼女に【創世記】を使わせる必然性が出てこない。

 結果、鏡の世界のような隔絶された世界に目を向ける必要性というのも生まれず、最終的にはハロウィンの終わりと共に干渉は断ち切れていたはずなのである。

 

 

「え、でもクリスマスにも色々やってたじゃない」

「クリスマスに繋がるための経路が鏡の世界だったとすれぱ?」

「えーっ!?」

 

 

 ……唐突にハロウィンの終わりに干渉が途切れたことがあったが。

 あれって実のところ、隔絶された世界に取り残されていた【兆し】である地下ちゃんが、そのエネルギーを枯渇させかけていた様子だったのである。

 なので、特になにごともなければハロウィンの終わりと同時、その【兆し】はエネルギー切れで消えていたと。

 

 そうはならなかったのは、その時琥珀さんが鏡の世界を移動手段に使っていたこと──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にある。

 

 

「……もしかして、その武器を通して鏡の世界を知覚した、みたいな?」

「そこまではっきりとしたものじゃないだろうけど……従来の()()()()()()()()()()()()以外の経路を見つけた、というのは間違いないだろうね」

「……そこからクリスマスに触れ、そこに纏わる嫉妬などの感情を新たなエネルギー源にしたと?」

「補給完了、ってやつだね」

「えー……」

 

 

 まぁ、あくまでもエネルギーの供給路を見つけただけで、核を呼び込む道はその時にはまだできあがっていなかったんだろうけど。

 ……などと肩を竦める私なのでありました。

 

 

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