なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・可哀想な彼に来年の希望を

「……エネルギーの問題を解決したあとは、どうにかして核を呼び込む道を作る必要があったけど、それに関しては【創世記】による相手の把握と私のワープによって成立した、ってわけね」

「……え、もしかして彼が色々困惑してたのって」

「そりゃ困惑もするよね、()()()()()()()たった今そうなったのにも関わらず、状況的には原作のそれと同じような(クロコに追い詰められた直前の)状態に見えたんだから」

「うわぁ……」

 

 

 あれだ、悪役令嬢転生但し処刑数分前、みたいな?

 ……そんな感じのタイトルの作品どっかで見たな?*1

 

 まぁともかく、困惑・錯乱するには十分な状態であったことに間違いはあるまい。

 唐突に叩き起こされた彼が目にしたのは、自身(からだ)の記憶に残る絶対の死(シロコ*テラー)と同質の恐ろしさを感じさせる相手だったのだから。

 ……結果、とりあえず生き残るために自身の持つ手札(もの)を無意識に使いまくっていた、と。

 

 

「ってことは、さっきまでの話と合わせるとスカさんの技術は受け継いでいるけど、その意識が表層してくることはない、ってこと?」

「まぁ、そうなるね。……実際それでよかったと思うよ。スカさんとか琥珀さんと意気投合する予感しか見えないし」

「……それは言えてるわね」

 

 

 変なもの作成速度が飛躍的に上がりそう()

 ……まぁ、仮にスカさんが出てこずともその辺の速度は上がりそうな気もするんだけど。

 

 

「そりゃまた、なんでよ?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だよ。彼のメンタル的な面でも、琥珀さんに対しての義理の面でも」

「……あー」

 

 

 何故そうなるのかといえば、地下ちゃんの引き取り先はうちではなく、琥珀さんのところになりそうだから、である。

 理由の中でも一番分かりやすいのは【星の欠片】に対しての心情的なものになるだろう。

 

 これまでの行動を見ればわかるように、地下ちゃんの中で【星の欠片】というのはシロコ*テラーのそれと同じような扱いになっている。

 そんな相手と日常生活を共にしろ、なんて言われて正気でいられるだろうか?

 ……流石に今回みたいに暴走することはないだろうけど、それでも凄まじいストレスを抱えることになるのは間違いあるまい。

 

 その点、預かるのが琥珀さんになるとその気持ち(【星の欠片】に対しての警戒心)を共有する相手になりうる。

 ……メンタルケアの点においても、これほど好相性の相手もいないだろう。

 

 またもう一つの理由として、琥珀さんに対してこちらが譲歩する態度を見せる必要がある、というのもある。

 ……より正確に言うのであれば、()()()()()()()()()()()()()()()()ことの確約、というか。

 

 

「あーうん……キーアちゃんのとこに色々放り込むのは楽だけど……」

「それは見方を変えると、トラブルを引き起こせるような存在を次々迎え入れているようにも見える、ってわけ。……今はもうそんなことはないって理解してるだろうけど、それならそれで問題を他者に分配しないことについて眉を顰められるだろうし」

 

 

 その辺はゆかりんも言ってたことなので余計のこと、というか。

 ……言ってしまえば、ゆかりんの懸念をもっと強く感じていたのが琥珀さんだった、ということになるわけだ。

 なので、手に取るようにとまではいかないだろうが、その気持ちを察することはゆかりんにもできてしまう。

 できてしまうので、地下ちゃんを私のところに預けるのはよくない、って気持ちにも共感できてしまうわけだ。

 

 無論、長としてそっちの方が色んな意味で正しいというか、楽であることは理解した上での話になるけど。

 

 

「そうなのよねぇ……単に守るだけならこの郷内でキーアちゃんのとこより堅牢なところはないのよねぇ……でもそれだと全部そこに投げ込むことになるというか、実際今の時点で学校の一クラス分の人数が集まりつつあるというか……」

「ある種の寮生活みたいなものだから、別に苦労はしてないけどね?」

「こういうのは気持ちの問題なのよ……」

 

 

 そういうもんかね?

 ……まぁともかく、色んな意味で地下ちゃんをうちに預けるのが宜しくなく、かつ琥珀さんに預けた方がよいということになるのはなんとなく理解できたと思う。

 

 その上で、この二人が揃ったのなら必然的に、琥珀さんの便利グッズ開発が進むことは間違いないだろう、という話になってくる。

 

 

「単純な地下ちゃんだったらそうでもなかったんだろうけど……うちの地下ちゃんはスカさん混じりの原作後だからね。開発の加速は止められないと思うよ」

「……まぁ、うん。貴方と彼女のわだかまりも解消されたみたいだし、郷にとってはいいことだらけなのだと納得しておきましょう」

 

 

 そんな感じで、私達は報告会を終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 正式な事例とかは後日出すので今日は解散、というゆかりんの言葉と共に部屋から追い出された私。

 あの分だとあれこれ他の仕事を一人でやってそうだなぁ、などと思うもその辺は彼女の従者がなんとかするでしょう、と納得してその場を後にする。

 

 ──それにしても、今年もまたなんというか、(せわ)しない一年であった。

 いやまぁ、ここに来てから静かな一年……どころか静かな一月すらろくに過ごした覚えはないけれど、それを踏まえても特に、である。

 

 まず一月、去年の影響で髪色が変わってしまい、そのせいで別人扱いされながら過ごした年明け。

 新年初めから色んなキャラが跋扈していて、今年の騒動を予感させていたっけ。

 特に、【星融体】という呼び方が決まったことで、その厄さも見えてきた人達とか。

 

 二月は特になにもなくて、三月。

 ささらさんという、ある意味【星の欠片】としてはごく一般的な例が現れ、その辺の理解も深まった時期。

 ……何気にウイルスの【星の欠片】とかも現れて地味に危険だった時期でもある。

 

 四月は郷内の火種、郷外の火種と色々と危険が見え隠れした時期でもあった。

 ……オベロンにも新年会の招待状を出したけど、彼は来る気があるのだろうか?

 

 五月は特になにもなくて、六・七月の梅雨の時期。

 まさかのゲーティアもどき、シュガーティアさんの登場に桃香さんが微妙に血を吐いてたっけ。

 ……というか、よろず屋的にはマスコット枠被ってる、とかにはならないんだろうかあれ?

 

 夏真っ盛りの八・九月はまさかのドラえもん(二人目)の登場に驚かされる形となった。

 ……それと同時、デスモモイを初めとしたブルアカ勢力の侵略(?)が始まったのもこの時期になるだろうか?

 

 十月からはイベント続き、そしてブルアカ祭みたいなものであった。

 ……件の武器は一時封印案も検討されていたらしいが、昨今のトラブル件数の増加を鑑みて没案となったとのこと。

 幸いにして対象者は二桁程度、またその当事者達も悪用の懸念は低く、寧ろ突発的なトラブルの対処の際に戦力としてあてにできる……ということでそのまま議論が終結したのだとか。

 

 

「そんな感じで、あれこれとトラブルの多い一年でしたとさ」

 

 

 まぁ、年々トラブルの方向性が濃くなっているので、この分だと来年はもっと濃ゆいトラブルに晒されてそうなのだが。

 ……っていうか、さらっと今回の一件にユゥイが関わっていたことも示されていたし?

 

 ──ユゥイ、かつて私がこの姿をなりきりの元ネタとしていた時に義理の娘となった存在。

 漠然と【星の欠片】になっている、ということだけ把握していたが……ここまで色々な例を見てきたことで、恐らく単なる【複合憑依】ではなく【星融体】ないしはそれに類似するものなのだろうな、というのが確信となりつつある。

 

 それなら、義理の娘としての面だけじゃない、別の要素を持った人物として在るのも理解できる、というか。

 今年の暗躍は今回の一件くらいのものだったが、来年はどうなるのだろうか。

 そして、それに対して私はどう向き合えばいいのだろうか。……要検討である。

 

 

「……寒っ」

 

 

 ……考え事をしながら歩き続けていたら、いつの間にか大分歩を進めてしまっていたらしい。

 ふと空を見れば、空からは雪が──郷内のシステムによって管理された雪が降ってくるのが目に見えた。

 

 

「……ふむ。たまには雪山とか、いいかもしれないわね」

 

 

 そういえば、冬場の定番にも関わらずスキーとかやってなかったな……とふと思い至った私。

 来年はみんなを誘って、その辺の冬のレジャーを楽しむのもいいかもしれない。

 どうせトラブルは放っておいてもやってくるのだ、ならその日を目一杯楽しむくらいでいいのだろう。

 

 そんなことを考えながら、心の予定帳に『ウインターレジャーを楽しむ』と書き込む私。

 どうせなら北海道とか行ってみようか、などと考えたところで「……なんかフラグが立ったような?」と思ったりもしたけど誤差だ誤差。

 

 

「さて、来年にはなにが待つのやら。……巳年だからって蛇とか出てこないでもいいのよ?」

 

 

 なんて冗句を飛ばしながら、遠方で手を振る相手にこちらも手を振り返す。

 無論、それはこちらの帰りを待ちきれずに玄関先で立っていたマシュであり、それに付き合うように隣に立っているクリスであり、その脇にてわちゃわちゃしてるかようちゃん達であったり……。

 ともかく、うちの居候達が総出でこちらを待ってくれて居る姿を目の当たりにして、私は小さく苦笑をしつつ。

 

 

「……風邪とか引きかねないから、さっさと中に入んなさいな」

「はーい」

 

 

 みんなを促し、家の中に入るのだった。

 

 

「せんぱい」

「ん?なにマシュ」

「──今年もお疲れさまでした」

「……マシュもお疲れ様。来年も宜しくね」

「……はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うーん、ここはどこ?あちきは誰?なにやら厄介ごとの予感。うーんこれが世紀末クオリティ。え?世紀末はもうとっくに過ぎ去った?いやいやご冗談を。ネコはそんな戯れ言には騙され……え?令和?なにそれグリコ?うーん、トラブルのか・お・り……」

*1
似たような作品はいっぱいあるので割愛

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