なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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三十七章 正月だからといって油断してはいけない
そのネコ、トラブルの権化につき


「新年あけましておめでとうございますキーアさん!」

「ん、あけおめ」

「……ええと、あけましておめでとうございます……?」

 

 

 ……ええと、どういう繋がりのメンバーなのこれ?

 新年早々我が家に挨拶しに来たのは、着物を着込んだルリアちゃんとアスナちゃんの二人。

 アスナちゃんに関しては早朝出ていったのは知ってたけど……いや、なんでお着替えして戻ってきたのか。

 

 

「ん、コラボ記念ってやつ」

「コラボ記念……???」

「はい、そうなんです!実はネギまとグラブルのコラボが決まりまして……」

「マジで言ってらっしゃる???」

 

 

 いやだって……ええ?

 魔法先生ネギまと言えば、平成の世に一世を風靡した名作……ではあるけど、同時に平成に流行った作品であって当に終わりを迎えた作品ですよ?

 UQホルダーの方だって終ってから結構経つのに、そっちとのコラボでもなくあくまでもネギまとのコラボ?なに言ってんの???

 

 ……とまぁ、盛大に困惑する私である。

 

 

「でもその困惑はかなり遅い。だって発表されたの先月だもん」

「その時のキーアさん、とてと忙しそうでしたから……」

「ぬぐっ」

 

 

 いやまぁ、確かに忙しかったけどね?!

 でもその言い方だと「えー遅れてるー!」的な煽りに聞こえなくもないから止めようね!キーアお姉さんとの約束だ!

 

 ……ともかく、新年早々挨拶に来た二人を部屋に招き入れる私。

 居間では起き出してきた面々が年始特番を見ている姿などが散見されるのであった。

 

 

「……ええと、なんでモモンガさんがテレビでコメンテーターを……?」

「正月特番に呼ばれたんだって。なんやかんやで大物感すごいからこういうのに呼ばれたりすることも多いんだとか」

「ええ……」

 

 

 なお、やってる番組はなりきり郷特別放送である。

 ……ええと、今やってるのはコメンテーターとしてモモンガさんとかを呼んだ衝撃映像シリーズかな?

 郷外のものも多いけど、郷内で起きたことの方が遥かに多いそれは、私が関わらない範囲でも色々起きてるんだなぁ、と察するに十分なものだと言えるかもしれない。

 

 

「まぁ、だからってチャイナボカンみたいにどかんどかん爆発してるところを見せられるとは思わなかったけど」

「ん、爆発百連発はなかなかに草」

 

 

 女の子が「草」とか言っちゃいけません()

 ……まぁアスナちゃんの台詞はともかくとして。

 わざわざ年始の朝にやってきたのだから、きっと彼女達が求めているのは一つだろう。

 

 

「ってなわけではい、お年玉」

「え、いいんですか?」

「いいともいいとも。……まぁ郷内だとあんまり使う機会はないかもだけれど」

「基本的に全部無償だもんね」

 

 

 そういうわけなので、あんまり貰っても使いどころがないだろう……とお年玉の内訳は諭吉一枚である。

 ……え?今は別人?渡したの古いお札だからいいんだよ()

 

 

「ん、課金に使う」

「おいィ?」

「あはは…………」

 

 

 ……そういえば最近のグラブルはコラボガチャとかするようになったんだっけ?

 ネギまの方もそうなるのかねぇ……と、遠いコラボ当日に思いを馳せる私なのであった。

 

 

「本人の作品の話をしてるの、冷静に考えると意味不じゃのう」

「そんなこと言ったら私とかどうすんのよ、最近リヴァイ兵長と炭治郎君と顔見知り状態よ私」

「あー、そういえばお主はそんな感じだったのぅ……」

 

 

 色んなところでコラボしてるせいでコラボ四天王の一人と化してるんだが?……とハクさんの言葉に反応する私である。

 

 ……うん、そうなんだよね。コラボ云々の話をするなら私……というかキリアの方が節操ないんだよね。

 なんなら話のシステム的に、どこのゲームでもメインストーリーにぶっ込める便利キャラ扱いされてることもあるというか……。

 まぁ、すさまじく便利なのもあって迂闊に使うとストーリーが陳腐化しかねない諸刃の剣みたいなことになってたりもするんだけど。

 

 ……ともかく、そんな感じでコラボの出演数だけなら(キリア)も大概なのであんまりツッコミたくない、というのが今の私の本音だったりするのでしたとさ。

 

 

「まぁそれは話すと長くなるからいいよ。とりあえずすることないならそろそろ出掛けようと思ってるんだけど?」

「出掛ける?……ってああ、初詣というやつか。我は行かぬから勝手に行くがよいぞ」

「……まぁ、ハクさんはそうだろうけど」

 

 

 そんな世間話はそれくらいにしておくとして。

 折角着物を着込んだ面々がいるのだ、そのまま初詣に行くのが筋というものだろう。

 

 一緒に行かない人も何人かいるみたいだが……それはそれとして。

 そんな感じで、私達は初詣に向かったのでありましたとさ。

 

 

 

 

 

 

「……などという風に出ていったのが数分前のことじゃったかのぅ」

「それがトンボ返りすることになってるんだから、相応のトラブルがあったってわけだよね」

 

 

 はい、新年早々トラブル開始のお知らせです()

 初詣に行く途中、とあるものを見つけてしまった私達はそのままトンボ返りする羽目になったんだけど。

 ……いやホント、新年早々面倒なことになったなぁとため息を吐きたい気持ちでいっぱいである。

 

 

「それで、今回は一体なにを見つけたのじゃ?」

「それについてはこれを見て貰えばわかるかと」

 

 

 そんな風に頭を抱える私に、悔いるだけじゃなくさっさと対策を練るべきだとでも言うように詳細を問うてくるハクさん。

 その言葉に答えるように、私は懐から今回見つけたものを取りだし、机の上に置くのだった。

 

 

「んにゃ?」

「我は寝正月に戻らさせて貰うぞ」

「おいこらぁ逃げるんじゃねぇ!」

 

 

 まぁ、それがなんなのかを確認した途端、見なかったことにして部屋に戻ろうとするものが多発したんですけどね。

 無論モノを見たんだから最後まで付き合え、とばかりに今居間に居た面々は居間から離れられないように細工を施ささせて貰ったのだが。

 見えない壁に鼻をぶつけたハクさんが恨めしそうにこちらを見てくるけど、そんな顔をしたいのはこっちも同じであるというか。

 

 

「……もうこの造形を見た時点で察したわけじゃが、これはなんぞ?」

「見た目からしてネコアルクですね。幾分ちっちゃいですが」

「ついこの間嫌になるほど見た顔!!」

 

 

 除夜の鐘代わりにぶん殴りましたね、鐘おいしかったです()

 

 ……ともあれ、もう少しきちんと説明すると、だ。

 私達は初詣──ロイドさんのところに向かう最中、周囲に響くネコの声に足を止めることになったのだ。

 子猫が親を呼ぶようなその声に、気になってしまった私達は周囲を探し回り……。

 

 

「で、こいつを見つけたと」

「にゃー」

「……というか、郷内でネコの声がする、ということに疑問を抱かぬか!」

「いや、場所によったら普通にいるので、野良猫……」

「なんとぉ!?」

 

 

 そもそもの話、『逆憑依』で動物になることもあるのだ。

 ならば郷内に住み着いた生き物について、迂闊に駆除するのも躊躇われるというのはわからんでもないだろう。

 ……まぁ、そういうのは向こうから申告してくるのが多いので、覚えのないところで出くわした場合は新人である可能性が高い、というのもこの話で考慮しておくべきポイントではあると思うが。

 

 

「ともかく、見つけた以上は放置もできないってんで、こうして連れ帰ってきたわけ」

「……いやまぁ、理由はわからんでもないが……ネコアルクぞ?」

「そうなんだよねー」

 

 

 さて、こうなった理由についてはこれで説明できたわけだけど。

 ……ネコアルクという生き物について思考した時、その面倒臭さを思わずにはいられまい。

 

 ──ネコアルク。

 同人ゲーム『月姫』のバッドエンド時に『どうしてそうなったのか』というのを説明してくれるコーナー、『おしえて!シエル先生』に登場するアルクェイドによく似た謎の生物。

 それがネコアルクなのだが、その当時はそこまで変な……変な?生き物ではなかった。

 

 このネコアルクが本格的に意味不明なものに変化したのは、月姫の派生作品である『メルティブラッド』において。

 メタ発言・パロディを多用するこの生物は、その作品において今の立ち位置を確立したと言っても過言ではない。

 

 他、何故か海外に気に入られてネットミームとして受け入れられていたりもする。

 海外の戦闘において、戦車やらにネコアルクが描かれていることを驚きと共に見ることとなった人も多いだろう。

 

 

「だから基本的にはかかわり合いになりたくないんじゃよ、確実に変なことになるだろうからのう」

「そうなんだよねぇ……ただ、ちょっと気になることが」

「気になること?」

「このネコアルクの様子」

「……むぅ?」

 

 

 総じて、あんまりかかわり合いにはなりたくない──できるなら遠くから眺めるに留めたいのがネコアルクということになるんだけど。

 それを念頭においた上で、今現在机の上に乗っているネコアルクに話を移すと。

 

 まず、従来のネコアルクと比べ、遥かに小さいことがわかる。

 普通のネコアルクが二~三頭身くらいだとすれば、こっちはそもそもサイズが違う。

 具体的には妖精サイズとでも言うべきか、めちゃくちゃ小さいその姿は些かの違和感をこちらに与えてくることだろう。

 

 そしてなにより違和感を覚えさせるのが……その行動。

 今のネコアルクは、まるで本当にただのネコとしか思えないような動きをしているのだ。

 後ろ足で頭を掻いたり、顔を洗うような仕草をしたり。

 それから、鳴き声もこちらの神経を逆撫でするような喋り方ではなく、単純に可愛らしいネコのようなもの。

 

 

「──そう、可愛らしいネコのよう。今のネコアルクは愛嬌のある小動物みたいな状態なのよね」

「……う、うむ?言われてみれば確かに、可愛いような気も……」

「まぁ、それが擬態って可能性もあるんだけども」

「ぬぉぉ!?」

 

 

 恐る恐るネコアルクを撫でようとしていたハクさんが、こちらの言葉に仰天しながら飛び退いて行く。

 ……どんだけ驚いてんねんなどと思いつつ、このネコアルクが一体なんなのかということに思いを馳せる私なのであった。

 

 

「にゃー」

「……うーん、なにも考えてなさそうな顔……」

 

 

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