なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「しかし……ネコアルクのぅ」
「この子に続いて現れたってわけだから、色々気になるよね」
千鳥足のロイドさんを見送って数分。
改めて、周囲に転がしたネコアルク達に視線を向ける私達である。
その見た目はロイドさんの関係者を思わせるものでありながら、特徴的な顔と頭身ゆえに紛れもなくネコアルクの派生であることをこちらに主張してくる。
……ただまぁ、その割には話す言葉が普通のネコっぽいのは気になるところなのだが。
「ええと……喋らないのはバブルスだっけ?」*1
「そんな詳しいことは知らんわ」
「それもそっか……」
カニファン見てないとわからんしねぇ……。
そもそも私も色々あってグラカニの方は見てないし。
まぁともかく、一瞬その辺りのことを思い出すものの、その実よくよく見ると別物だなぁとなる塩梅なのが今ここにいるネコ達というか。
……うん、曲がりなりにも一応猫語以外の言葉を喋ってるからね、その子達。
「それを思うと、にゃーとしか言わないこっちはまったく別物としか言いようがないでしょう」
「まぁ、それは言えておるのう」
「にゃー」
うん、好き勝手動き回っていたから捕まえたけど、仮にリアル猫なら別に捕まえる必要もなかったんじゃねーかなーというか。
別に破壊工作とかしてたわけでもないしなー。
「規模が大きいからはた迷惑だっただけで、それを除けば別に普通の野良みたいなもの、ということですか?」
「まぁ、それはそれでなんでここにこんなに野良が集まってんだ、って話なんだけどね。居ないことはないけどこんなにいっぱいってことはないし」
「あ、そうですね……」
その辺はさっきも語ったので割愛。
とりあえず、ここで疑問にすべきは『このネコ達の正体は?』『どこからこの量のネコが侵入したのか?』『というか(多分)黒幕のネコアルク本体はどこだ?』であろう。
「本体?」
「いやまぁ、なにを企んでるかはともかく、この事態を引き起こしたのはほぼ確実にネコアルク本人でしょう。考えられるのは【兆し】に干渉して眷属を量産してる、とかかな?」
「ナチュラルに【兆し】を操作しとるんじゃが???」
「相手はネコアルクだ、まともに考えちゃいけない」
「あ、はい」
ギャグ時空の存在の中でも極まった方なのだから、原理とか真面目に考えるだけバカを見ると思っておいた方がいいだろう。
間違っても、ネコアルクの手法を解析して真似するとかやっちゃダメである。
下手すると真似した人間がネコアルク化する、みたいな状態に陥りかねんぞ……。
「こっわ」
「ギャグキャラはそういうとこあるから怖いね。……普通はそういうのも再現度のあれこれに引っかかるから大したことできないもんなんだけど、ネコアルクってある意味
「と、いうと?」
「強いのか弱いのかよくわからん」
「……おお?」
一応サーヴァント二人分の戦闘力、なんて風に言われていたりもするのだが……それにしちゃあ十把一絡げ的に吹っ飛ばされたりするし、ダメージが一瞬で治ったりするし……。
説明を付けるのなら『ギャグキャラだから』となるのだろうが、彼女の持つ特性はある意味私達【星の欠片】にもちょっと似てるとも言えてしまう。
結果、少ない再現度で全力をしっかり再現できる、みたいな扱いになってる可能性があるのだ。動力源ネコ缶だしね、確か。
「ん、狭義の全力と最大限って意味の全力が噛み合わないタイプ?」
「まぁ、そうなるのかな。……だからこう、ほっとくととんでもないことになる可能性大なんだよね」
だからとっとと捕まえたい、ってことになるんだけど。
これがなかなか、言うは易し行うは難しの部類に入るというか。
どういうことかと言うと、この間の地下ちゃんより遥かに相手の気配を探り辛いのである。
「まず強いんだか弱いんだかわかんない、ってのが曲者でね。例えば同じような気配の中で強いやつ、もしくは弱いやつを探せばなんとかなるだろうって探すと、結局本人に行き当たらんのよ」
「なるほど、中途半端だから決め打ちできん、と」
「そーいうことー」
今そこらに転がされているネコアルク亜種達から、ネコアルクというキャラクターを探知するための魔法を作ることは可能である。
……可能なんだけど、そもそもネコアルクって本人はグレートキャッツビレッジの中でも小物、みたいな話もあったりするせいで実力が全然測れないのである。
その結果、中途半端……もとい、反応として多くなるであろう中間値の存在感を持つ者の中からしらみ潰しに探すしかない、なんてことになるのである。
なお、試しに『一番弱いネコアルク』で探知したら私の頭の上を指し示されました。
……はい、ミニネコアルクちゃんですね。そりゃそうだ()
「で、潜在能力って意味だとそこのネコアルク・ヌンノスとネコアルク・ヨルは大分ヤバいみたいだね。思考回路が普通のネコだから完全に宝の持ち腐れだけど」
「素体から考えれば当たり前としか言えんのう……」
まぁ、ヌンノスとヨルさんだからね……そりゃそれを模したネコアルクも相応に実力者になるだろうなぁというか。
……そんなわけで、首謀者のノーマルネコアルクをピンポイントで探すのは難しい、ということになるのだった。
「他の理由は?」
「純粋にこっちにいるのかがわからん」
「……ええと、地下さんみたいなパターン、ということでしょうか?」
「あやつほどのメタキャラになると、以前のトラブルをどうにかして知ることでそれを活用するとか普通にやり出すから……」
うん、そもそも彼処も目標にピンを指してそれ目指してテレポートした、みたいな感じだからあとから再度向かう……とかもできないんだよね。
まぁ、なにごともなければたまたま生まれた狭間のようなもの、そのうち自然と消えていくはずだと思うのだが……消える前にネコアルクがその場所を知った、とかだと消えるのをなんとかして先伸ばしにして利用してる、とかもありそうなのがなぁ。
「まぁ私の勘としては多分じゃなくて絶対利用してる、って思ってるんだけど」
「その心は?」
「多分ソロモンパロやらかす気だから」
「うわぁ」
……うん、やりそうって反応どうもありがとう。
ネコアルクは本来ルール無用、
そう考えると、容易に到達できない隔離世界とかゲーティアの本拠地として代用可能だし、そこらに増えてるネコアルク達も魔神柱相当の存在だとすれば幾らでも増えていく予感しかしないだろう。
なんなら年末レイド、って辺りそもそも本家の方でも一瞬パロる予定あったんじゃないかって思うくらいなのだから、こっちに来てその辺の制約全部なくなったなら絶対やるだろうというか。
……そうなると、なんか本格的に頭の上の子が消えそうな予感がびんびんするわけだが、こちらとしてはそうならないようになんとか事態を積み上げて行きたいところである。
今の状況だと、首謀者のネコアルクは満場一致で【鏡像】でしかないし。
「ええと……?」
「単刀直入に言うと、アイツ加入イベントとして今回の騒動を画策してるかも、ってこと」
「ドノツラフレンズ……!」
ルリアちゃんがなんとも言えない顔をしている。
……まぁうん、そっちもそう言われるキャラ多いもんね……。
ともかく、このままだとミニちゃんをリリースしてネコアルク(正式)召喚、みたいなことになりかねないので、積極的に邪魔をしていきたい所存である。
「そういうわけなので、多分なりきり郷各地にネコアルク亜種達が発生してると思うので、それらを取っ捕まえに行こうと思うのですが……」
「乗り掛かった船だしの、最後まで付き合うぞ」
「そう言ってくれると信じてたぜハクさん」
「わ、私も手伝います!仮に迎え入れられるとしても、御祓はしっかりするべきかと!」
「なんか色々実感がこもってるねルリアちゃん」
「ん、ギャグ相手にはハリセンが必要」
「色んな意味でネコアルク特攻っぽいよねアスナちゃん」
そんな感じで認識を共有しあった私達。
ゆえに、ここから一番近いネコアルクの反応があった場所まで一先ず移動したのだけれど。
「……前言撤回、途中で降りてもよいか?」
「途中下車はできませんー!最後まで付き合って下さいー!!」
「ぬぐぅ、安請け合いした覚えはとんとないが、これはとんだ貧乏くじよ!?」
「え、ええー、なんですかこれぇ……」
「ん、叩き甲斐がありそう」
向かった先で私達を待ち構えていたのは、見上げるような巨体を持つ相手。
……その姿は全身桃色で、ところどころアクセントのように白い飾りが添えられている。
また、その白に紛れるように紫や赤、黄色の個体が含まれており、全体的に色彩感覚を刺激する見た目をしていると言えるだろう。
……ぶっちゃけてしまうと巨大パンケーキである。
あれかな、パンちゃんだったりするのかな?*2
「に゛ゃああああああああ」
「一緒にするな、私はハーゲンティだよ……だって」
「なんで言葉がわかるのさ、ってツッコミは今は置いとくよ、その上で言わさせてくれ。……ハーゲンティ、お前身も心もパンケーキになってしもうたんか」*3
いやまぁ、巨大パンケーキが襲い掛かってくる、って点では大差ないと思うんだけどね?
それとその頂点にくっついてる