なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「あれはもう使うの禁止」
「えー」
「えーじゃないわ禁止じゃき・ん・し!つーかマシュに知らせんだけマシだと思わんかドアホ!」
「ぬぐぅ」
それを言われると辛いのぅ……。
ってなわけで、終戦処理中にハクさんからお小言を貰っている私である。
自爆技を使うと自動的にマシュに怒られるって流れにしたの誰なんですかね?()
……
周囲にドロップする饅頭と私の破片達に皆が戦々恐々としたのも今は昔。
当のバラバラになった私はと言えば、動かせる
「魔神ブウかと思った」
「千切れ飛んだ腕が……こううにょーんって、バリバリって!ぽわーおぐちょぐちょって!!」
「最後は違くね?」*1
……うん、どうにも他の人には猟奇的シーンだったようで、特にそういうの気にしなさそうなアスナちゃんも含め、子供二人がすっかり参ってしまったのでありましたとさ。
そりゃまぁ、ハクさんの怒りもごもっともというやつである。
「つっても長引かせてたら絶対ややこしいことになってたし……」
「じゃとしても他に解決策なぞ幾らでもあったろうが!特にお主なら他の手段も」
「いや、ないよ?」
「は?」
「あのタイミングですぐにことを終わらせようとするなら、あれ以外の手段はなかったです、はい」
「んなアホな」
事実なんだよなぁ……。
話を一つ一つ整理して行こう。
まず、今回私達が相対していたキングネコアルクまんスライム。
こやつに関して特記して置くべきことはずばり、
「名ばかり、じゃと?」
「うむ。確かにキングスライム方式で合体してたけど、実のところ組体操って言う方が正解だったんだよね」
「組体操ぅ?!」
もしくは直列接続した電池みたいなもの、というか。
出力は確かに上がっているものの、単体のエネルギー量が上昇しているわけではない──あくまで複数電池を使っていること前提の高出力、というか。
「もう少しわかりやすく言うと、スイミーみたいに群れて自身を巨大に見せている……ってのが正解ってこと」
「それがさっきのとどう繋がるんじゃ?」
「単純だよ、全部纏めて吹き飛ばさないと逃げられる」
「!?」
いやまぁ、正確には逃げられるってよりは
……一つの個体に合体している場合、その姿になるためにどれほどの量を費やしていたとしても、結局は一個体であるため単純な大ダメージで倒すことができるし、それで撃破フラグが立ったのなら残された部位も纏めて消えていくことだろう。
どっこい、これが合体したふりであった場合、単純な大ダメージだと取りこぼしが起きる。
そうして取りこぼしが起きると、今度はここが企業ダンジョンである、というのが問題になってくる。
「実態がどうあれ、出現場所的にはボス扱いされてるってことだからね。ってことは、取りこぼしが出ると……」
「撃破フラグが立たぬ。撃破フラグが立たぬから、奴らの補充が行われる……と?」
「そういうことー」
それは言い換えると、下手に瞬殺できないような攻撃をすると
……ほら、ろくなことにならなさそうでしょ?
「そういうわけで、いっぺんに吹き飛ばす必要があったのです」
「……それについてはまぁ納得するが、それを踏まえてもやっぱり他になにかやりようあったじゃろ、としか思えんのじゃが」
「えー、まだ言うー?じゃあもう一つ。確かに、
「ほれ見ろやっぱり……」
「但しその場合、この場にいた人もそうだけど、
「……ゑ?」
もっといい手段があったんじゃ、と探ることそのものを悪いと言うつもりはないけど、それも時と場合によるだろうというか。
……さっきネコアルクの方向性は【星の欠片】に似ていると述べたが、実のところキングネコアルクまんスライム達に関してはそれ以上に似ていたのだ。
「曰く、滅茶苦茶倒し辛い」
「たおしつらい」
「そ。まぁ、個々を潰す、って意味だと全然だけどね?」
ただ、今回のキングみたいなのは別。
全は個であり個は全の極みみたいな性質を持っていたキングは、つまるところ撃滅しようとするとすさまじく面倒な存在だったのである。
生き汚さでORTとタメをはるレベル、と言えばわかりやすいだろうか?
「……あー、さっきの取りこぼしの云々の話と合わせると。つまり、真面目にあやつを倒そうとすると広範囲攻撃が必須である、と?」
「文字通り全身を一度に吹っ飛ばさないとダメだからね。そのレベルの攻撃ってなると、私のやれる攻撃手段から該当するものを選んだ場合、まず間違いなく
まぁ、お察しの通りその例外というのが件の
……無極・流星閃というのは虎空式の技の一つである彗星閃の派生である流星閃、そのさらに派
派醒と呼ばれる技が色々とおかしい、という話は以前したのでここでは割愛するが……無極・流星閃はその中でも特におかしい類いのモノ。
具体的に言うと、こいつ
「……はい?」
「彗星のように相手に突撃していくから彗星閃。そこから流星みたいに……って感じに派生したのが流星閃なんだけど、そもそも普通の流星閃って落下しながら使う技なんだよね」
「どういうことなの……」
端的に言うと、重力加速度を利用して相手の脳天に落ちていく流星になる……というのが普通の流星閃なのである。
ある意味では文字通りに流星になることを目的とした技というか?
ただこれ、冷静に考えて貰えばわかると思うのだが……凄まじく使い勝手が悪い。
なにせ重力加速度を利用するのである。ってことはだ、必然それを活かせるような高いところに行く必要がある、ということになる。
「その辺はまぁ、他の技とか併用して飛び上がればいいとも言えるんだけど……正直大分手間じゃない?使う度に三百メートル上空まで飛び上がるの」
「……まぁ、なに言ってるんだこいつって部分を除けば確かに、のぅ」
「そうそう。で、それをどうにかしましょうって開発されたのが派醒の一つ、極・流星閃。必要な高さを五分の一にした中々にイカれた技さ」
通常の流星閃があくまでも重力加速度を利用しただけのものだとすれば、こちらは自らも加速する余地を含めることで必要な速度になるまでの時間を短縮したものであると言える。
まぁ、それを為すために他の『神断流』の技を併用することが前提となるため、修得難易度は普通に高いし無理をするのも確かなので負傷の懸念も強いのだが。
「とはいえ、火力の面で言うと従来の流星閃より高くなってるし、派醒のネームバリューはしっかり持ってるんだよね」
「なるほどのぅ。……ところで一つ気になったんじゃが」
「はいなんでしょう?」
「話だけ聞いとると流星閃とやらはあくまで単体攻撃のような気がするんじゃが?それがキングを一撃粉砕した理由に結び付かんのじゃが?」
「あー、うん」
さて、そんな派醒の一つ極・流星閃。
……火力は高そうだが、同時にキングを一撃で纏めて吹き飛ばすような火力はないように思える。
となれば、だ。
派醒の派醒、というのが大分ヤバいものであるということにも、なんとなく予想が付くというもの。
「そういうわけでお待ちかね、派醒の派醒である無極・流星閃についての解説だけど。こいつには通常・派醒と明確に違うところがある」
「ほう?」
「まぁ、さっきの私の動きを見てれば気付くとは思うけど……はいアスナちゃん」
「ん、重力加速度とか一切利用してなかった」
「はい大正解~」
無極・流星閃の他との相違点。
それは、流星閃の派醒でありながらその基礎であるところの『重力の利用』を一切行っていない点。
言い換えると、
「それを可能にするのが特殊な歩法。ワンピースの『剃』みたいな技でね、刹那の間に空気を蹴りまくって超加速するんだ。結果、自分の体が崩壊するような衝撃を受ける代わりに、ソニックブームが発生するような速度で相手にぶつかれるってわけ」
「破壊力の理由はソニックブームじゃったか……」
単独で出せて範囲が広くまず取りこぼさない……。
ね、キング向けの技でしょと告げた私に、ハクさんは「理解はした。じゃけど禁止」と返してきたのだった。……あれー?