なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はい、気を取り直して外に出ました」
嫌な思い出()しかない企業ダンジョンを出て、新たな目的地に向けて歩を進め始めた私達。
ドロップ品の饅頭に関してはルリアちゃんに食べる?と聞いてみたものの、『流石にこんなには食べませんよ……』と返されたため出口でポイント換金されることになりましたとさ。
締めて一万ポイントなり~。
「それって多いのか……?」
「まぁ普通かな?ダンジョンボス倒すと大体それくらいだから、量だけでボス級の稼ぎってことになるし」
「ほへー」
なお、以前述べた通りドロップ品は正確にはダンジョンリソースの結晶化であるので、リソース回収の面も含め基本高めに買い取ってくれるのが普通だったりする。
……以前ドロップしてたハサミとか、仮に買取にして貰うとエグいポイントになるしね……(遠い目)
まぁその辺は詳しく語ると悲しみを背負うことになるので、ほどほどにしておくとして。
ついでなので、ポイントでなにができるのかを説明しておこう。
「……そういえば、買取という割に金銭ではなくポイント支払いなんじゃの」
「そだね、郷内だと金銭を使用する機会がほとんどないってのが一番だけど、それに加えてポイントの方は制度の補助がある、ってのも理由になるね」
「補助?」
「リソースの買い戻しの場合、郷から助成が出るってこと」
「へー」
基本的に、ポイントは郷内でのサービスの利用などに使うことができる。
食事などの基本的な必要物は『逆憑依』である限り無料なので、そういうものに含まれない──いわゆる必需品外のモノに使えるという形になるか。
まぁ、だからといって幾らでも払えるのか、と言われると微妙な話。
リソースとポイントの配分は決まっているため、払えるポイントもまたある程度定まっているのである。
……だから例のドロップ品は色々と酷い目にあったんだよね……(白目)
話がまたあっち方面に行きそうになったので閑話休題。
……ともかく、基本的に企業ダンジョンにおいてドロップするアイテムというのは、そのダンジョンのレベルによって上限が決まっており、そしてその上限に収まっている限り企業側が買取できないなんてことはありえない。
なので、以前まではポイント方式じゃない方法で報酬を渡す形になっていたんだけど……まぁ色々とありまして、現在ではポイントによる買取方式に落ち着いたのでしたとさ。どんとはれ。
「……徹頭徹尾お主のせいじゃないかそれ?」
「わぁー!?それを言っちゃあおしまいなんだぞハクさん!戦争も辞さねえ!!」
「ぬわー!?止めい止めい追いかけてくるでないわ!!?」
……最後に余計なことを言ったハクさんは絞めておきました()
「惜しい人を亡くした……」
「死んでないですし、仮に死んでたとしたらやったのキーアさんですよね……」
はっはっはっなんのことやら()
お土産の饅頭を持ち帰る()という名目で離脱したハクさんを除き、残った三人。
この面子で引き続きネコアルク達を退治しに行く……のはいいのだが、こう微妙に人手が足りてない予感。
具体的にいうと壁と手数が欲しい、いい加減本体の位置を探りたい……。
「ってなわけで、ゴブリンスレイヤーさんにお誘いの電話を掛けてみたんだけど……」
「?どうしたの、変な顔をして」
「あらやだ普通にオフモードなのだわ」
そんなわけで、気軽に呼べる助っ人としてゴブリンスレイヤーさんに連絡をしてみたところ、やって来たのは私服のほむらちゃんなのであった。
……隣でさやかちゃんが『私もいるぜぃ!』ってポーズキメてる。こっちは振り袖着てるのだわ……。
「ほむらも着ないのって聞いたんだけど、その必要はないわって私服のまんまなんだよねー」
「基本オフとはいえ、着替えないとも限らないし」
「……あーうん、鎧の匂い染み付いてむせそう」
「それはほむら違いじゃないかなぁ」*1
いやまぁ、実際にはここでの両者は繋がりを見いだせないようになってるらしいから、別にゴブスレさんになったからといってその中に振り袖を着込んでいる判定にはならんとは思うけど。
……でも逆に言うと変身の際の流暢さに関わってくるかもしれない、となると変に着込みたくないと言われれば『そっかー』となる案配でもあるというか。
まぁともあれ、ほむらちゃんとさやかちゃんを同行者に加え、ネコアルク退治再開である。
「ところで、ネコアルクというのはゴブリンか?」
「にゃーっ!?」
「うーん見ようによっては?今のところ出てきているのは末端っぽいからそこまで酷いのはいないけど、本体がゴブリンと比較されるような存在かと聞かれると判断に困る程度ではあるかと」
「そうか」
「ほむらほむら、出てるから。ゴブスレ出てるから。あと小さい子達怖がってるから」
「む。……ごめんなさいね、怖がらせたみたい」
「あわわ……」
……うん、ヘルメットも被ってないのに片目を赤く光らせてんじゃないわよ、普通に怖いわ。
んもー、相変わらずゴブリンのこととなると怖くなるー。……それからどっからか『ゴブリンなんかと一緒にされるとか流石に訴えるしかねー!』みたいな抗議文が聞こえてきた気がするので逆探知しますね。
「……ちっ、接続切って逃げやがった。『メタ検索とかあちしだけの手段だと思ってたんだけどぉ!?』とか捨て台詞残しやがって……」
「……ねぇ、これってどこまで本気に受け取っていいんだろうね?」
「え?ええと……さぁ?」
逃げ足の速いネコアルクめ……。
でもまぁ、これでしっかり裏で暗躍しているネコアルクが居る、ということは確定したと言ってもいいだろう。
となればだ、こちらも本腰を入れて探す準備ができたと言っても過言ではないはずだ。
「ってなわけで早速そのための行動を進めていこう。これまでの例で他のネコアルク達を通してリソースをかき集めてる、ってのはほぼ間違いない。ついでに言うと、そうしてかき集めたリソースでまたなにやら大それたことをやろうとしてる、ってのもほぼ間違いないと思う」
「大それたことって?」
「うーん、多分だけど直近の話が関係してるんじゃないかと……」
「直近の話?」
「去年の暮れのFGOのイベント」
「あー……」
いやまぁ、あっちでのネコの目的はシエル先輩への復讐とかだったはずなので、そのシエル先輩がこっちに居ない以上別の目的になってるとは思うんだけども。
同時に、復讐の気持ちに代わりがないのならその矛先が向く相手というのもなんとなく思い浮かぶというか。
「ふぅん?試しに聞くけどそれって誰なの?」
「真っ当に考えるなら
「あー、わからないでもないかも」
まぁ、私だと思考のエミュレートが足りてないのでネコの切れ味のある台詞を真似るのは至難の技だけど。
ともあれ、言いたいことの主体に関してはそう取り間違えてはないと思う。
復讐するは我にあり、敵は本能寺!……的なノリだろうなーとは。
「そこから考えると、リソース確保に関しては大分慎重に行うつもりなんじゃないかなーと。少なくとも確実に勝てるってなるまでは絶対見つかるもんか、って感じに隠れ続けるつもりだろうなーって」
「あー、それは面倒だねー」
「そうそう、ただでさえソロモンの話を参考にしてるっぽいから」
少なくとも
となればそれに対しての対策を練る必要もあるだろう。
……まぁ、相手がネコアルクである以上、実のところマシュにはめっぽう弱いかもしれないのだが。
「え、そうなの?」
「うむ。メルブラでの話だけどね、今までネコアルクが関わったことのあるキャラとは属性が違いすぎて、基本的に振り回される側になってたんだわ」
まぁ、あくまでもメルブラでの話であって、FGO側だと会ったことない判定になってたっぽいんだけど。
……でもその辺は『逆憑依』な私達ならなんとでもできるため、最悪その辺の情報を励起させたマシュを投入する……とかすればネコアルクを壊滅的に追い詰めること自体はできるかもしれない。
「無論、相手の所在が掴めてたら……の話だけどね」
「あ、やっぱり?」
「そりゃそうよ、今の状態でその辺投入しても、実際に激突する前に対策とか練られる可能性大だもん」
というか、メタの権化であるネコアルクがその辺対策してないわけがないというか。
……まぁ、多少のメタならなんとかできなくはないが、仮にそっち方面でなんとかするにしても最後の手段だろう。
少なくとも、今の段階からマシュを引っ張ってきてなんとかする、みたいな方向性にはならないしできないわけだ。
「じゃあどうすんの、って話なんだけど……」
「うんうん」
「次のところでは私は戦闘に参加せず、他のみんなに任せようと思う」
「えっ」
「それも、できるなら相手には私がそこにいないと思って貰うくらいのレベルで存在感を消しに掛かろうかと」
「えっ」
では、ネコアルク本体を捕まえるためにはどうすればいいのか。
答えは単純、私の存在を綺麗さっぱり忘れて貰う、これが一番である。
……というのも、相手の隠れている位置が前回の使い回し()であるならば、それを探るには必然的に【創世記】ないしはそれに類似したものが必要になるから、というのが大きい。
「琥珀さんに手伝って貰う……というのは、相手がネコアルクって時点で、ねぇ?」
「あー、そういえばその二人って相性悪いんだっけ?」
「色物キャラだけど一緒にしないで欲しい、みたいなノリだったかと」
となれば、本来の琥珀さんよりその辺もっと嫌がりそうなのがうちの琥珀さんということになるだろう。
……そりゃまぁ、手伝ってくれとは言えんよね。
「なので私が探すしかないんだけど……流石にそうなると一端相手から居ないもの扱いして貰わないと辛いのだわ」
「逃げられちゃうから?」
「絶対逃げるよアイツ」
さっきのでちょっと警戒してるだろうし。
……そんなわけで、次の場所では私抜きにして貰うことになったのでしたとさ。