なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、ネコアルク本体探知のため、他の面々のみで次の場所の攻略をするよう告げた私。
無論、本気でなんにも手伝わないのもあれなので、ミニちゃんに模した私のコピーを彼女達に同行させることに。
「そういうわけだから、皆の衆宜しく頼むのにゃー」
「……ええと、なんでその喋り方なんです……?」
「そりゃもちろん、TPOに合わせた話し方を心掛けているからだにゃー。この姿で真面目に話しても誰もまともに取り合ってくれないでしょ?」
「いやまぁ、そりゃそうかもしれないけど……」
「なるほど、ゴブリンね」
「ほむらはほむらでどういう納得の仕方してるのかなぁ!?」
……うん、カオスだ。
端末ミニちゃんから伝わってくる光景を前にそう評しつつ、こっちはこっちで準備。
イメージ的には周囲と同化する感じで、己の存在を埋没化させ認識できなくするような方向性というか。
それを行いつつ、頭の上のミニちゃん(※こっちは本物)を通してネコの気配を探っていく感じだ。
まぁ、今はまだその辺の気配は感じ取れないので、あくまで相手が尻尾を出した際に決して逃さぬようにするための前準備、って感じだけど。
「まったく……それで?結局私達はどこに向かうのさ?」
「そうだにゃー。さっきは企業ダンジョンだったから、今度はもう少しわかりやすいとこに行くにゃ」
「わかりやすいとこ?」
「うむ。ところで、寒空の下ネコが集まる場所と言えばどこだと思う?」
「はい?……えーと」
「はい残念時間切れー。正解は近くの公園でしたー」
「いや早っ!?時間切れ早っ!?答えさせる気無いよねそれ?!……って公園?」
おっと、こっちが埋没している間に向こうでも動きがあったようだ。
みんなを誘導して向かっていたのは近くの公園。
今時だと珍しい、普通に遊具とかが設置してある普通の公園である。
……他所だと騒音だなんだと子供の遊び場が減ってたりするけど、郷だと寧ろ大人も遊ぶので普通に存在するというか。
「あー、なるほど。あんまりここに公園があるイメージがなかったんだけど、言われてみれば無いわけもないんだ」
「んーイメージと言ったかにゃPretty Girl?正直どういうことを考えてたのか想像付かんのだけど?」
「え?いやだって、大きな草原とかゲームセンターとか、普通に遊ぶとこいっぱいあるじゃんここ。それと子供が遊ぶって言っても別に徹頭徹尾頭から爪先まで完全にお子さま、って感じの人寧ろ居なくない?」
「なるほど、金ならあるにゃーってことね、おーけいおーけい」
……うんまぁ、言われてみれば確かに。
単純に遊ぶってだけならそれ相応の場所は幾らでもあるし、わざわざこの公園みたいなビルとビルの間のこじんまりとしたやつなんて必要なくない?……みたいな気分にもなろうものってことね。
無論、敢えてそういうとこで遊びたがる人達もいるよな、と気付いたからこそ発言を撤回したんだろうけど。
閑話休題、普通のこじんまりとした公園に到着した私達は、まずその全貌をざっと俯瞰してみる。
砂場とトンネル付きの山、滑り台と鉄棒、それからブランコ。
シーソーまで設置されてる辺り、なるほど最低限の遊具は置かれていると見える。
まぁ、明らかに危ないと言われた回転遊具とかはないんだけど。*1
「……いるわね」
「え、なにもいないように見えますが……」
「巧妙に隠れているわね。爆竹でも投げる?」
「いきなりの過激発言?!」
「にゃー、ここにいるのは他所のと同じあくまでにゃーにゃー言ってるだけのご同類だと思うから、その辺は勘弁してやって欲しいにゃー」
それらを確認したのち、真っ先に声をあげたのはほむらちゃんである。
見える位置にはいないが、ネコアルク達がそこらに隠れていることを察したようで、彼女はそれらを出現させるために爆竹の使用を提言してくるのだった。
……うん、純粋なほむらちゃんでもぎりぎりやりそうな範囲だけど、ゴブスレさんとしては普通にやりそうな案配の策である。
無論、こんなところで爆竹なんか使ったら後で怒られるので、やんわり断っておくのも忘れない。
とはいえ、確かに相手の姿が見えないのは問題だろう。
気配を隠しているというよりは、なにかしらに紛れて見えなくなっている、という方が正しいのだろうし。
そしてそれを引っ張り出そうとすると、相手を驚かせるのが一番楽というのも納得できる。
「にゃーのーでー、こうします。あっ、こんなところに最高級ネコ缶がっ!」
「「「にゃーっ!!」」」
「ぬわーっ!!?」
「ひゃーっ!?」
そんなわけでルリアちゃんの上のミニちゃん(という体の私)が懐から取り出したのは、予め用意しておいた最高級のネコ缶。
相手がネコなら飛び出さずにはいられない至高の品に、隠れたネコも思わずドロンという寸法よ!
……とかなんとか言おうとしたんだけど、その前にこっちに飛びかかってくるネコアルクの群れに思わず叫ぶ
血走った目で追っ掛けてくる彼女達の姿にビビらされたため、しばらく逃げ回る羽目になりましたが問題しかありません()
「……し、死ぬかと思ったにゃ……ご同類の空腹感を舐めてたにゃ……」
「こ、怖かったですぅ~!!」
「はいはいよしよし」
結局公園から飛び出す羽目になった私達です。
ええい、ネコアルクの食欲は化け物か!?……え?最高級ネコ缶なら仕方ない?
「こうなるんだったら、外からネコ缶だけ投げるとかすればよかったんじゃない?」
「それがそうもいかないのにゃ」
「そりゃまた、なんで?」
「このネコ缶滅茶苦茶たけーのにゃ」
「はぁ、どれくらいの値段……うへぇ!?なにこれすっごい高い!?」
「……これを一回で使い潰したくはないわね」
なにせこの最高級ネコ缶、お値段なんと七桁ですので!
……一個でこれですよこれ、なにを考えたらそんなことになるんですかね?()
まぁ、色々と理由はあるのだ。
一般の『逆憑依』相手の食事の値段は基本無料だが、そうではない相手への食事の価格は高くなりやすいだとか。
ペットの食事は扱いとして娯楽費になるのでその分値段が上がりやすいとか、まぁ色々。
「どうせ自分には金が掛からないんだからそれ以外に価格転化をー、みたいにゃ?まぁあくまでペット向けの食事の中でもほぼほぼ嗜好品に近いものだから高い、ってのが真実なんだけどにゃー」
「いや、仮にそうだとしても高過ぎでしょ……ぼったくりだよこんなの……」
「そうかにゃー。これをどうぞ」
「……ん?これは一体」
「キーアの給与明細」
「……気のせいかな、なんか変な桁が並んでる気がするんだけど」
「まぁ、危険手当てとか色々ついてるからキーアは貰ってる方ってのは確かだけどにゃー。でも郷に所属してる『逆憑依』なら少なくてもその十分の一くらいは毎月貰ってるはずだにゃー」
「そこらのサラリーマンの年収より高い!?」
とはいえ、庶民的な感覚からするとやっぱり高いと思ってしまうのも事実だろう。
……ってなわけで、郷内では金銭感覚がそもそも違うんだよ、ということを教えるため私の給与明細を開示することにしたのであった。
まぁ、幾ら貰っても使う機会がほとんどないので宝の持ち腐れみたいな感じなんだけどね。
……でもこの間出たHMD買うのには有効活用されましたね()
なお、流石に私の給与明細ほどではないにしろ、『逆憑依』の人達は郷に属している限りある程度の給料を貰ってるはずだと告げると、さやかちゃんは『……こっちに鞍替えしようかなー』とか言っていたのであった。
……まぁうん、互助会ってその辺の懐事情結構厳しそうだもんね……。
「でもそうなると向こうで活動するの面倒臭くなるんじゃないかにゃー?上的にはその辺分けて置くことで色々と運用してるんだろうし」
「ぬぐっ、……うーん、まぁこっちだとご飯には困らないってところで我慢しとくかー」
「……どうでもいいのだけれど、いい加減本題に戻らない?」
「おっと、ごめんごめんほむら」
おっと、ほむらちゃんに怒られてしまった。
それではいい加減話を戻して、だ。
確かにまぁ、割合持ってる方の私ではあるけど。
だからといって一個七桁もするようなネコ缶をぽいぽい使い潰したいかと言われればノー。
……というか、そんなことしてたら普通にマシュに滾々とお説教をされかねないので普通にダメである。
ゆえに、このネコ缶によってネコアルク達を誘き寄せるのはありだけど、同時に食べさせるにしても一度一網打尽にしてからでないとアカン……となるわけだ。
盗られるだけ盗られて逃げられた、とかになったら目も当てられんからね。
「そうなると外から投げ入れて誘き寄せる、ってのはノーだにゃ。何匹いるかわからんから回収できんどころか次のを寄越せとばかりに大合唱が返ってくる可能性大だにゃ」
「逆にシュールストレミングでも投げ込む?」
「さっきからほむらはなんでそう過激なことばっかり提案すんの???」
「怖いですぅ……」
「ん、怖い」
というか、最高級ネコ缶の代わりに最悪臭缶を投げ込むとか喧嘩を売ってるどころの話じゃないでしょ……。
まぁ、仮にそれをやったら喧嘩をどうこうの前にネコ達が全滅する可能性の方が高いけど。
……倒すことが目的ならそれでもいいけど、基本的には捕獲することが目的なので却下である。
「そう。捕まえてどうするつもり?」
「んー、とりあえずは話を聞くかにゃー。上手いこと行けば共存?共闘?できるんじゃにゃいかと」
「なるほど。じゃあやるべきことは一つね」
「……にゃんか、嫌な予感がするんだけどにゃ?」
「大丈夫よ。危ないのは貴方だけだから」
「なに一つ大丈夫じゃにゃいんだが???」
にっこり、と笑うほむらちゃんに戦々恐々とする私なのでありましたとさ。