なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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太公望になりたい貴方と私

「ぎにゃー!!?ネコの扱いが悪すぎるー!!?」

「あら、ネコアルクってそういうものだと聞いたけど」

「それはそうだけどこれは幾らなんでもひでぇー!!?」

 

 

 まさかミニちゃんをヒモに繋いでルアー代わりにするとは……()

 いやまぁ、あくまで私のコピー品だから別にいいけどさぁ?

 こうして叫んでるけど、あくまでフリだし。

 でもこう、絵面として酷いのも間違いないというか。

 

 そんなわけで、ほむらちゃんに釣竿の先っちょに結び付けられて件の公園の中に放られた私であります。

 現状ネコ達が寄ってくる気配はないけれど、ここからさっきのネコ缶を出したら鬼のように寄ってくるんだろうなー、というか。

 

 

「なるほど、そうして出てきたところを一網打尽にすると」

「そういうことになるわね。そのためにはさやかの手伝いが必要なんだけど」

「だからってまさかへんしんしろっていわれるとは……」

 

 

 うーん、さやかちゃんのオクタヴィアモード久しぶりに見た気がする……。

 いやまぁ、本人の成立の仕方的にはそっちのが本体なんだけども。

 公園の入り口にスタンバイする彼女の姿に微妙に辟易しつつ、さてどのタイミングで缶詰を出したものか、といった気分の私。

 一応準備はできているけれど、いきなりポン出しして対応ができるかは微妙のような気もするというか?

 

 

「その辺は気にしないで頂戴。スロウの巻物はきちんと用意してあるから」

にゃにそれ!?

 

 

 え、なになに?

 一応ほむらの姿もしているけれど、自分には魔法少女としての能力はないからその辺代用できるような道具を多数用意してある?

 そのうちの一つがスロウの魔法を使える巻物だと。

 ……うん、下手すると実際の本人より対応力高いんじゃないのかこの子。

 まどマギの魔法とか下手に使い続けられるもんでもないからなぁ……。

 

 

「わたしはそのへんだいじょうぶだよー?」

「うーん相変わらずなに言ってるんだかわかんねー」

「ん、自分は魔法使いすぎとかないよ、って言ってる」

「……アスナちゃんは翻訳家でも目指してるの?」

 

 

 すごいな、なにもかも聞き取れてるじゃん。

 そんな感じで駄弁ること暫し、いい加減気を取り直して対ネコアルク達に向け気持ちを入れ換えた私は。

 

 

「たーすけーてくれー」

「わぁ、あるいみよそうどおりのてんかいだぁ」

「ん、そりゃそうなるって感じ」

「え、ええと……何匹捕まってるんでしょうこれ……」

「ざっと百匹くらいと言ったところかしら。……さやかに変身して貰ってなかったらもっと酷いことになってたわね、これは」

 

 

 さやかちゃんの放った投げ網によって、他のネコアルク達と共に一網打尽にされていたのでした。

 ……うん、大量に取られた魚かな?()

 

 

 

 

 

 

「にゃー」

「にゃにゃー」

「ふむふむ、なるほどなるほど。そいつはなかなかにヘビーだにゃー」

「おっと、流石にネコ同士だと話は通じる感じ?」

「いや全然。なんか苦労してるっぽいから共感してあげてるだけ」

「ええー……」

 

 

 ぎゅうぎゅうに纏められたネコ達の塊からなんとか抜け出した私は、変わらず網の中にいる他のネコ達と楽しくお喋り(?)中。

 なんか愚痴を言ってるのだけはわかったため、適当に相槌を打ってたんだけど……さやかちゃん(元に戻った)に変なものを見るような視線を向けられてしまったのだった。解せぬ。

 

 あ、一応言ってる方向性自体は間違ってないよ、とのアスナちゃんからのお墨付きである。

 

 

「それなら寧ろ彼女が会話の矢面に立てばいいんじゃないの?」

「それがそうも行かなくてにゃー。あちきは一緒に捕まってたから話を聞こうって姿勢にはなってくれるけど、他の面々は捕まえた側ってことで一纏めみたいなんだにゃー」

「ん、特になにもしてなかったんだけど同類扱い。正直理不尽」

「なるほど……?」

 

 

 なお、それならアスナちゃんにネコアルク達と交渉して貰えばいいじゃん、となりそうだが……どうにも変な敵対感情というか味方意識というかが発生しているようで。

 さっきのミニちゃんの扱いが結果的に彼らの警戒心を解く助けになっているみたいなのでありましたとさ。

 ……うん、怪我の巧妙というか?

 

 

「まぁ、折角味方意識を持って貰ってもあちきにはまったくわなんねーんだけどねー。あいむのっとすぴーくにゃんこいっーしゅ」

「なんなのさニャンコイッシュって……」

「ネコ達の共通言語。但しネコアルク語とは別物です」

「ダメじゃん!?」

 

 

 だから困ってるんじゃーん。

 ……いや冗談でもなんでもなくね?だってさっきから彼らの言葉を聞いてりゃわかると思うけど、にゃーとしか言ってねーんだもーん。

 

 ネコアルクは普通に喋る(※内容が理解できるとは言ってない)分まだ日本語でも意志疎通を図れるけど、彼らのそれはそもそも通常の言語と別だからニュアンスがほんのりわかるくらいにしかならんというか。

 その辺はアスナちゃんがおかしいのであって、別に私が悪いわけじゃないというか……。

 

 まぁともかくそんなわけで、話を聞くにしても私が矢面に立つしかないけど、それだと意志疎通は難しいよね……なんて微妙なことになってるわけなのです。

 

 

「いっそアスナちゃんもネコアルクに変身させる方が速いんじゃないかなーとか思っちゃうわけよ」

「なるほど、そうしない理由は?」

「迂闊にやって戻れなくなったら困る」

「戻れなくなる可能性があるの!?」

「うむ、なくはないって程度だけどにゃー」

 

 

 そもそもこのネコアルク達の由来がよくわからんからなー。

 例えば人の思ったことの欠片が集まってできあがった、とかならまだマシだけど。

 ホビホビの実*1みたいに『逆憑依』や【兆し】がそれに対応したネコアルクに加工されている、みたいな可能性もなくはないし?

 

 

「ん、そっちの予想は初めて聞いた」

「いやまぁ、あくまでそういうこともあるかもー、くらいの大分確率が低いやつだけどにゃー。でもないとも言い切れんから困る、というか?」

「なるほど。確かロイドさんのところでヨルさんとアーニャの姿をしたネコアルクが見つかったんだったわよね?」

 

 

 そうそう、とほむらちゃんの言葉に頷く私。

 あれに関しては明らかに場所、もしくはそこにいる人に関係する姿になっていたわけで……それは何故かと考えると、周囲の人の願いを読み取っていたか、はたまた成立しかけていた【兆し】を流用したか……みたいに考えるのが自然ってことになるわけだ。

 そう考えると、少なくとも【兆し】くらいは活用してそうだなーとなるというか。

 ……まぁ、そこから気付かれない程度にエネルギーを掠め取る本体がいる、って可能性もあるんだけど。

 

 

「あ、そうだ。その掠め取ってる本人を本体(キーア)は察知できてるの?」

「んー、大本営発表によれば今のところ空振り、らしいにゃー。少なくともこいつらからどこかに転送されてるエネルギーの気配はどこにもねー、みたいな弱音が飛んできてるのにゃ。多分だけど、こっちのこと警戒してそこら辺加減してるとかじゃにゃいかにゃ?」

「警戒って……そりゃまたなんで?」

「なんでってそりゃミーの姿じゃない?」

「えっ」

「唐突に魔女化するやつがいたら誰だって警戒するに決まってるんだよにゃー」

 

 

 ただ、その辺の気配は今のところ一切ない。

 居ないのではなくやってないって感じなわけだが、その理由は恐らく彼らを一網打尽にしたのが魔女化したさやかちゃんだったから、というのが一番大きいと思われる。

 次点でほむらちゃんのスロウの巻物?

 

 一目見てヤベーってなるさやかちゃんは言うに及ばず、唐突に巻物を読んで周囲の時間の流れを遅くしたほむらちゃんも大概危険人物には見えてるだろうなーというか。

 ……まぁ、そのお陰で逆にミニちゃんへの疑惑はどっか飛んでってる気もするので、結果オーライってことになるのかもしれんのだけど。

 

 とはいえ、このままだとあんまり宜しくないというのも事実。

 一応出てきたネコアルク達を一網打尽にするだけなら今回と同じ事を繰り返せばいいけど、繰り返す度に本体の警戒心は上がるだろうから余計に尻尾が掴めなくなりそうというか……。

 私がネコ語がわかればもうちょっと楽?いやー、わかんないからこそ警戒に値しないと思われてる面もあるだろうし……。

 

 

「まぁ要するに、現状維持は良くないけどかといって簡単に打破できるようなものでもない、ってことだにゃー」

「えー面倒臭ーい」

「ふむ。……いっそ鎧に戻った方がよかったりする?」

「止めるにゃ、そっちの方が余計に怖がられるやつにゃ」

「そう……」

 

 

 威圧感倍増させてどうすんねん(真顔)

 さやかちゃんが怖がられてるのもある意味それなんだから、こっから威圧感増すような行動は取るべきじゃないとしか言えんのだけど?

 

 ……って感じで釘を刺すものの、じゃあどうしたもんかと言われると困るのも事実。

 なにかこう、ほんの少しでも警戒が緩むようななにかがあればいいんだけどなぁ……。

 

 

「……そう考えると、やっぱりやるべきことは一つしかないんじゃないでしょうか?」

「おっとルリアちゃん、なにか思い付いた?」

「はい、ここはやっぱりご飯で釣るしかないのではないかと」

「……ふむ?」

 

 

 そこまで語ったところで、さっきから黙っていたルリアちゃんが恐る恐るといった風に声をあげる。

 その内容は、相手の警戒を解くのに一番簡単な方法。

 曰く、やっぱり美味しいご飯で釣るしかないというもの。

 

 

「……え?まさかあちき、大散財して破産しろって言われてる?」

「そこまでは言ってませんけど……でもそれに近いことはしないといけないんじゃないかなーって」

「……まぁ、それが一番楽でしょうね」

 

 

 ……あれ?大量自腹確定の流れかこれ?

 思わず顔面蒼白になった私を誰が責められようか、いいや責められません。()

 

 

*1
『ワンピース』に登場する実の中でも特に凶悪なものの一つ。手で触れた相手をおもちゃに変えてしまう能力。おもちゃに変えられてしまった相手はその記憶が全世界から消える、という追加効果を持つ。また、おもちゃになった相手と結んだ契約は破られることがない、というのも中々強力。記憶が消える、というのが能力者本人も含むため、おもちゃに変えた危険人物を自身が認識できない、という欠点もある(その為予め契約についても滞りなく行われるようにしていないと足を掬われるきっかけになる)

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