なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「うーむ、銀ちゃんがちゃんと無事に逃げ切れるようにマシュの妨害をしていたら、普段はあまり来ないところに来てしまった……」
無実の罪?によってマシュに追い掛けられるはめになってしまった銀ちゃんを無事に逃すため、マシュの妨害をする……という、お前なんのために今回やってきたの?マッチポンプ?*1……みたいなツッコミを受けかねない失態を犯した私なのですが。
そうしてマシュを邪魔する内に、いつの間にやらマシュとも銀ちゃんともはぐれて、あんまり来たことのない区画に迷い込んでしまったわけでして。
……いやまぁ、最悪瞬間移動でもなんでもすれば、家には戻れるわけだから、別に焦ったりとかはしていないのだけれども。
この歳になって迷子になるとか、なんかちょっと情けなくて涙が出てきそう……という感じでですね?
うん、近くの建物の壁に手を付けて、反省の儀を行っている真っ最中なんだ。……その割には変な躍りを舞っているな、ですって?乱数調整だよ乱数調整。()*2
「あのー、大丈夫ですか?」
「あーお構い無くー。勝手に悲しみを背負っているだけですのでー。その内残像残しながら去っていくと思いますのでー」*3
「はい?……わっ、ホントに残像出しながらスライド移動してる……」
そうしてまるで吐き気を抑える泥酔者、みたいな動きをしていたら、ふと頭上に影が差す。
どうやら、付近の住人が私を酔っぱらいかなにかと勘違いして、心配して出て来てくれたらしい。
日本人の義理人情的なモノに感謝しつつ、ほっといてくれて構わんよーと顔を上げずに声だけで示す私。
……いやね、これって詰まる所自分の不甲斐なさを、勝手に反省してるだけ……だからね。自分の家の近くでやるな、と言われそうだけど、すぐ立ち直って立ち去るので多めに見て欲しいなー、というか。
みたいな感じに、わざわざ見に来てくれた親切な人物の顔を見ようと、視線を上げ……る途中で、なにか聞き捨てならないことを述べていたのに気付いた。
顔を上げる途中の不自然な位置で固まったのが、
んー?……んんー?
聞こえたモノが
思わず首を捻りながら、心配そうに背中側に回ってこちらの背を擦っている
改めて正面に戻ってきた人物を、自身の状態を普通の立ち姿に戻しながら眺める。
……なんというか、不審者だった。
フード付きのマントで全身を隠すその姿は、暗い路地裏で突然に出会ったのなら、真っ先に通報を考えるような見た目だと言えるだろう。
その癖さっきまでの動きからして、普通に親切な人物であることも感じさせるわけで。いつぞやのアルトリア……もといアンリエッタが
あと、声とフードから覗く口元や、諸々の仕草が女性的なモノを感じさせるので、特に予想外なことが起きない限りは目の前の人物は女性だと思われる*4。……口調からすると、年若い女性……ということになるか。
……というか、これもしかしてマシュが
ついでに言うのなら、いつぞやかの体育祭では出てこなかった方。
そんなこちらの不躾な視線に気付いた……というわけでは無さそうだが、「あっ」と声をあげて、彼女は自身の顔を隠すフードを捲ってみせる。下から出てきたのは──。
「申し遅れました。私は劉備、字は玄徳と申します。……えと、どうなされましたか?」
「……どなた様?」
「え、ええ?!」
名乗ったのになんで、みたいな少女の言葉に、困惑するのはこちらの方。
なにせ、フードを捲った下から出てきたのは、桃色の髪をした巨乳の少女……彼女の言葉を信じるのなら、『恋姫†無双』の劉備玄徳だったのだから。*5
「はい、粗茶ですが」
「はぁ、どうも」
彼女に案内されたのは、近くの家屋の中。
……なのだけれども、なんというかそこにたどり着くまでにこそこそしていた辺り、どうにも後ろ暗いところが彼女にはあるらしい。
その癖してどこか大胆というか雑というか、な動きを所々で見せるのは……本来の彼女の一面、ドジっ子なところが出ているから……なのだろうか?
……それにしては、なんというか凛々しいというかキリッとしているというか、どうにも『恋姫の劉備』としては、違和感を抱かざるを得ない雰囲気を醸し出しているのだが。
アニメの方はよく知らないけれど、そっちも性格的には大差無い……みたいな感じだったらしいし、【複合憑依】とか【継ぎ接ぎ】とか、その辺りの人物……だったり?
さっきは暗くてよくわからなかったけど、よーく観察すると桃色の髪の内の一房が、白く変色しているようだし。
……というかこのお茶美味しいな?
「えと、それでー……貴方は、あんなところでなにをしていたの?」
「迷いました」
「ええっ?!」
「人生に」
「ええー……」
そうしてお茶を飲んでいたら、目の前の劉備さんからこちらを探るような質問が。……探るのはお前ではない、この
みたいな感じで、敢えて色々ぼかした言葉を返せば、面白いように狼狽える姿が見られたのだった。……うんー?なんというかちぐはぐだな本当に。
雰囲気的には、秘書とかみたいな『できる女』みたいな凛々しさがあるのに、いざ話してみると色々と隙みたいなものが多いというか、なんだか調子を外される感じが凄くするというか。
……『恋姫の劉備』的には、天然めいた性格とか空気とかが普通なのだろうから、後者の抜けている感じが正しいのだろう、とは思うのだけれど。
それを是とするには、話をしていない時の……凛々しくもどこか物悲しげな空気を無視しきれないというか。
……うん、わからん。
目の前の少女が普通でないということこそ理解できても、そこから話が進まないのでは、わざわざついてきた意味がない。
さっきの発言の真意を探るためにも、こちらから話を切り出そうと口を開いて、
「あー、ったく。ようやく撒けたか……あの嬢ちゃん、時々おっかなさ過ぎんだろうがよ……」
「あ、銀さん。お帰りなさい」
「へい、ただいま…………わりぃんだけど用事思い出したんで帰る……「何処へ行くんだぁ?」ひぃっ!?瞬間移動っ!!?」
唐突に部屋の扉を開いて中に入ってきた人物……ぶっちゃけ銀ちゃんを視界に入れた瞬間、私の灰色の頭脳*7は今回の事件(?)について超速理解!
重要参考人かつ下手人である坂田銀時を捕まえるため、(あとで使用報告書を書くことを決意しつつ)
私は気が長くないのでね、三分も待ってやらんわ!*8……とばかりに銀ちゃんの背後に跳び、綺麗にその腕を捕まえて逃げられなくするのであった。
なお、そんな大捕物を目の前でやられた劉備さんはと言うと。
「……だから言ったじゃないですか、そろそろ見付かりますよーって」
「いやだってよぉ、またからかわれるのやなんだけどオレ……」
「必要経費ですよ、諦めてくださいね銀さん」
と、呆れたような声をあげていた。……あ、新八君ポジションなのね、貴方。
とまぁ、そんな感じで銀ちゃんを現行犯逮捕したのちのこと。
流石にここでする話でもない……という劉備さんの提案により、郷内を走り回っていたマシュを呼び戻し、ゆかりんルームに突撃した私達。
寝耳に水とばかりの急な訪問にびっくりしているゆかりんの顔を見て、してやったりとばかりにニコニコ笑っていた劉備さんに、自身の疑惑を深めつつ。
数分後、落ち着いたゆかりんを上座にして、彼女から見て右側に私とマシュが、反対側に銀ちゃんと劉備さんが座る、という形での会議?が始まったのだった。
「……坂田君とは、何ヵ月ぶりなのかしらね?」
「ささささぁ?覚えてないなー、銀さんまったく覚えてないなー?」
「白々しいわよ、まったく……一応、理由について聞きたいのだけれど?」
「………………」
「露骨!!露骨なまでの黙秘っ!!」
ゆかりんからの追及に、銀ちゃんが選んだのは意外、それは黙秘!……いや、この状況で黙秘権行使するとか、中々に肝が据わってますわね?
無論、そんな逃げの一手が許されるはずもなく……。
「じゃあ今から来週のジャンプのネタバレを……」
「鬼!悪魔!ちひろ!」
ゆかりんがスキマから取り出したるは、来週のジャンプ。
銀ちゃんの楽しみを無惨に奪おうとするその行為に、思わず彼は泣き叫ぶが……うんまぁ、自業自得というか?横の劉備さんも、心なしか銀ちゃんを見る目が
うーむ、まさに四面楚歌。さっさとゲロっちゃったほうが楽だと思うけどねぇ?……それと(想像上の)ちひろさんと一緒扱いされたことに関しては(魔なる者共の王としては)訴訟も辞さない。
「……はぁ。もういいですよ、銀さん。事ここに至ったのであれば、隠し立てする方が不利益となります」
「でもよぉ……」
「第一、こちらの事情に巻き込んだのが、今回の騒動の一因。……貴方様が、気に病むことはないのです」
「……だけどな
「へいストップ!!へーいストーップ!!」
「あ?なんだいきな……あ゛」
そんな中、仕方ないとばかりに息を吐いて『もういいのだ』と銀ちゃんを嗜める劉備さん。
その言葉に銀ちゃんが躊躇を見せるが、彼女の決意は堅いらしく、意見が変わる様子はない。
その言葉的に、今回の話の主体は劉備さんの方なのかな、と納得しかけたところで。……銀ちゃんが馬脚……もといボロを出した。
恐らくはなにかを気にしたりもせず、いつものように相手を呼んだだけ、なのだろうけれども。
こちらが発言をストップしたことに、最初は怪訝そうな視線を向けて来ていた銀ちゃんだったが、すぐさま自身の失態に気付いて表情を青くした。
よくわかっていないマシュだけが首を傾げているが、なんとなーく知ってるらしいゆかりんが「ん?」という疑問を浮かべ。
よく知っているらしいジェレミアさんが「まさか」みたいな表情で銀ちゃんを見詰め。
──最後に私が、まるで犯人を指し示すかのように銀ちゃんに指を突き付け、その言葉を告げた。
「
「だからなんで景虎……ってぎゃーっ!!!?」
……ということになったため、銀ちゃんは血祭りにあげなければならない。
そう言外に告げれば、皆が銀ちゃんを血祭りにあげるために動き出したのだった。……何故か劉備さんも。……あれー?