なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
──固有結界、『無間焔獄』。
それは悪徳者に対する責め句であり、また自身への止めどない自虐・自罰行為でもある。
「ある意味ではノブナガさんの宝具に近いのかもしれませんね。*1……まぁ、規模の面で言うと本来の私の方が広い、ということにもなってしまうのですが」
なにせ、本来の彼女はビーストⅠiである。
……ならば、局所的に人理焼却の真似事ができてもおかしくはないわけだ。
その辺の話に関しては、私もあくまで彼女から聞いたことがあるだけなのでなんとも言えんのだが……うん、【偽界包括】で確かめたら事実だったっぽいので震えたというか()
……え?お前の【偽界包括】だと『逆憑依』は模倣できないんじゃないかって?
いやいや、私という世界から取り出せないだけで、コピー自体はそもそも自動的に行われてるからその辺の設定を確認するくらいなら余裕なんだわ。
そもそもの話、桃香さんは二次創作の彼女のなりきりだから、極論二次創作の方の彼女を参照すればいいし。
「まぁ、迂闊に触って火傷してからは極論触らないようにしてたんですけどねー。……っていうか、場所の特殊性ゆえとはいえ固有結界開けるようになったのね桃香ちゃん」
「その辺はまぁ、正直場所に助けられていると言いますか。展開のための魔力は掠めとればいい、世界からの修正もこの場所の特殊性ゆえに気にする必要がない。……となれば、あとは個人の気持ち一つと言えなくもないですし」
『あち、あちちちちっ!?いやおかしーだろにゃにこれ滅茶苦茶焼けてる!?あばばばばネコ魔神柱達の統合がほどかれるぅ~っ!!?』
「中途半端に名言真似るのやめにゃい?」
絵面としてはギャグなんだし。
……いや、言うほどギャグではないか?そこら中でネコ達が文字通り燃え上がってるわけだし。
「本来なら周囲の皆さんにも燃え広がりかねないのですが……先ほど本人が仰っていた通り、彼女はビーストⅠを模倣したもの。となればある意味では
『こっわ!?なに考えてるにゃこのクレイジーガール!?それ要するに自爆技ってことにゃ?!いやあちしにもあるけど!月まで行ってから落下する超技があるけど!でもあれあちしのボデーが耐えらんねーから使ったことねーよ?!』
「なぜ?なぜと言いましたか?……ふふっ」
『お、おう?にゃんか悪寒が……』
おう、言葉を選べよお前の命は風前の灯だぞ(白目)
……ギャグキャラとはいえ逃げられないものもある。そう、極度のシリアス環境である。ボーボボだってその流れからは逃れ切れなかったのだからさもありなん。
いやまぁ、逃れられなくても塗り替える速度は早かったけどね?
まぁともかく、ネコアルクが逆鱗に触れてしまったことは事実だろう。
「銀さんを吸収して獣の座に至ろう、というようなことを仰ってましたよね、貴方」
『えっ……いやその、どっちかと言うとその肩にいる方の……』
「どちらにせよ同じことです。彼の第一の似姿は、すなわち彼の似姿も同じ。──なれば、それを取り込むということは彼を害するということ」
『ひぇっ』
「本来、その辺りのことを私がとやかく言う権利は──貴方が一の座を目指すことを妨げる権利はないのですが。それが彼を犠牲にするものならば話は別。──貴方には、ここで燃え尽きて貰います」
『ゲェーッ!!?ヤンデレやんけこのクレイジーガール!?』
「む、失礼な。この場合は貴方がやらかしただけだと思いますが?──ですので安心してお腹をかっ捌かれてくださいね?」
『中に誰も居ませんよ!?っていうか半ば悪ノリしてねー!?』
「いえいえそんなことは♪」
……うんまぁ、キレ散らかしてたのも確かだろうけど、今となってはビーストⅠi擬きみたいな状態になってるのでちょっとテンションがおかしくなってる面もあるんだろうなーというか。
これが敵対状態なら色々と問題だけど、今回に関しては味方なので極力スルーすることを決めた私なのでしたとさ。
『グワーッ!?リソース取られるわ統合阻害されるわ滅茶苦茶熱いわで踏んだり蹴ったりでしかねー!!?』
『熱いにゃー熱いにゃーなんにもしてないのに滅茶苦茶熱いにゃー』
『外出た瞬間終わったにゃ熱高すぎてお亡くなり』
「実は余裕ないかにゃちみら?」
上からニンスレ・ホシノ・強風オールバックか?
……まぁ、死にかけだろうがネタを優先するギャグキャラとしての矜持、ってやつなのかもしれないが。
ともあれ、桃香さんによる固有結界『無間焔獄』の展開、および第一の獣の座の奪取(?)はこの上なく効果を発揮し、ネコ魔神柱達は文字通り烏合の衆と化していたのだった。
ネコ七十二魔神達による相互補完は総崩れとなり、無限に近いリソースは見る影もなく痩せ細り。
圧倒的な耐久力も、それを支えるリソースが枯渇しているためネコパンチで吹き飛ぶ始末。ネコバトス君が「……ぶるぁ?」と困惑していたのも記憶に新しい。
なにより、『無間焔獄』の効果によりどいつもこいつも煌々と燃え盛るキャンドルツリーと化しているのが一番のポイントだろう。
時期が時期ならクリスマスツリー扱いされていそうな姿である。
「……はっ!?もしかしてこれも引き継ぎフラグだったのかにゃ?」
『ふざけんにゃー!!そんな横暴許されあちちちち』
クリスマスに負けたネコ、クリスマスに折られたネコ……なるほど因果は巡る……。
そもそも初回の採集決戦もとい冠位時間神殿自体クリスマスのイベントだったのだから、そりゃ強力な逸話補正が掛かるのは当たり前というか。
……色んな意味で詰んでたんだな、ネコアルク。
『詰んでなかったにゃー!!こんなことになる予定じゃなかったにゃー!!』
「んじゃーまぁあれだにゃ。自分を知り、相手を知れば百戦危うからず。自己にくっついてた悪い補正も、相手方にいた天敵についても知らなかったんだからそりゃそうなるでしょ、ってことで」
『……ムキーッ!!』
発狂してら、可哀想に……。
まぁ、発狂する最中もずっと燃えてるもんだから、さらに可哀想になるんですけどね。
「まぁ、討伐しやすいのは良いことにゃ。生憎無限リソースじゃなくなったから折り放題素材獲得し放題とはいかにゃいけど、残りのレイドもきっちり完食していくにゃー」
「「「おー!」」」
『あちしはオードブルじゃねーんだけど!?あちちち』
「……とまぁ、そんな感じでネコ魔神柱達は朝日を見ることもなく壊滅。お年玉も獲得できてみんなほくほくってわけでございます」
「はぁ、なるほど。私の知らない間にそんなことになってたんですねぇ~」
そんなレイド当日から早次の日。
私は獲得した素材を抱え、琥珀さんの研究所に足を運んでいたのでありました。
なお、いつもならこのタイミングだとゆかりんに事態の結末などの報告を行いに彼女の部屋に向かってるところだが、今回は本人が霊体?……とはいえ同行していたため、その辺は省略される形となっている。
まぁ、あそこで見たことは見なかったことにします、という彼女の主張あってのことと言えなくもないのだが。
……気持ちはわからんでもない。
前々から言われていたとはいえ、あんまり本気で聞いてはいなかっただろう『桃香さんビーストⅠi説』が証明された形になったわけなのだし。
一応、様々な条件が揃った上で地味にややこしい手順を踏まないとそうはならない、って点でそこまで気にする必要がないのが救いだろうか。
特に『時間神殿のような、外界から完全に隔離された環境を必須とする』って点が大きいだろう。
これが無きゃ見なかったことにというか、そもそも無かったことにって扱いにすること自体が不可能だったろうし。
……え?
まぁともかく。
あそこで起きたことの大半は他言無用、とはいえ知らせるべき相手には知らせる必要がある……ということで、今回意図的に蚊帳の外になっていた琥珀さんに色々と説明しにきた、と言うわけなのでございます。
「いやまぁ、個人的に言わせて頂きますと、そのまま蚊帳の外に置いて下さってなんの問題もないんですけどね?あの妖怪に進んで関わりたいという人は少ないでしょうし」
『うーんそこはかとないATフィールド……同じ属性同士、仲良くしようぜ腹黒ガール』
「誰が同じ属性ですか、一緒にしないでくだ、さい?」
『やっほーアンバー、遊びにきたぜ~?』
「くぁwせdrftgyふじこlp?!?!」
『おお、スッゲー滑舌』
……まぁ、説明ついでに経過観察対象となったネコアルクの紹介をしよう、みたいな面もなくはないのだが。
こちらのネコアルク、あの時撃滅されたネコ魔神柱の残りカス……みたいなものである。
「具体的に言うとミニちゃんが変化したもの、というか。まぁ結果的には最後の一匹になったんだから、そりゃ多少は変化するよねっていうか?」
『つってもパーソナリティーはミニの時と大して変わらんけどにゃ。だから復讐とかはもう考えてないっていうか、そもそもそんな気が最初からなかったり?』
「は、はぁ……」
ある意味繰り上がりで首相になったようなもの、というか。
なのでネコアルクの姿をしているけれど、あんまりネコアルクらしからぬキャラクターをしているのである。
……これなら、琥珀さんに引き合わしても問題ないとみんなに判断される程度には。
「……はい?」
「ちょっと前から琥珀さんの方にも色々任せてたでしょ?その流れでこのネコアルクも琥珀さん預かりになったから」
「……はい!?」
『よろしくにゃー琥珀』
「……ええー!?」
こうして、図らずもネコアルクと琥珀さんのコンビが誕生することになったのでしたとさ。