なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ポチャッコポチャッコポチャッコポチャッコポチャッコ……」
「ポムポムプリンポムポムプリンポムポムプリンポムポムプリン……」
「なんじゃこれ」
いやホントになんじゃこれ?
ゴコちゃんが私に持ち込んだお悩み相談。
その内容というのは、最近このなりきり郷に新たに増えたとある人物の対応について、であった。
……いやうん、正直そんなのわざわざ私に頼むものではなくない、って気分でいっぱいだったんだけど。
彼女に促されて室内に入ってきた相手を見たとき、私はなるほどと頷くことになったのでありました。
「どーもー初めましてキーアさん噂はかねがね。おっと申し遅れました私賑やかしネタ枠担当、儒烏風亭一門は前座見習い、
「ええ……」
なんやねんその挨拶()*1
……ええとうん、横のゴコちゃんと同じく見れば誰のなりきりなのかわかりやすいサショウさん。
恐らく彼女はホロライブの儒烏風亭らでんのなりきり、なのだろう。
……まぁ、横の
「あっ……たり前じゃないですかぁ~!!私がどうやってらでんちゃんっていう証拠だよ、って話ですよ!というか私落語とか無理ですよ?!あかね囃*2は面白いと思いますけど、それだけで噺家として身を立てられるわけもなし!というか、誰かに師事しに行くこと自体混乱の元じゃないですかぁ!!」
「ああうん、そうだね」
他の『逆憑依』より実在に一つ近い彼女達は、その辺の対応色々と大変だもんね……。
そうでなくともらでんちゃんにしろサンゴちゃんにしろ、本人の持つ知識量が結構多いからついていくの大変だろうし。
「そうなんですよぉ~!!私なんにもない博物館でその造形やらなにが置かれるんだろうなーとかで話を持たせるの無理ですからねー!?Ibをやって単純なホラーじゃなく美術知識とかで興奮したりとかも不可能ですぅ~!!」*3
「アアウンソウダネー」
よく口が回るなー()
……その辺その姿になったお陰なのかも知れんけど、そこを指摘するとまた面倒臭いことになるんだろうなーと思った私はお口をチャックである。
ともかく、ゴコちゃん的には同業?になるサショウちゃんに出会ったことで、その憂いというか困惑というかに同調。
なんとかならんか、と私のところへと話を持ってきたということになるらしい。
「で、なんとかって言われてもなーって唸ってたらいつの間にかこんなことになってたんだよね」
「ポチャッコポチャッコポチャッコポチャッコポチャッコ……」
「ポムポムプリンポムポムプリンポムポムプリンポムポムプリン……」
「……え、ええと。どういう状況なのでしょうか、これは」
なんとかってどうしろって言うんじゃい。
これには思わずキーアさんも困惑、むむむと唸りながらあれこれ考えていたら、いつの間にかこの二人が謎に同じ単語を繰り返す姿に遭遇することになった、というわけである。
……いやまぁうん、なんとなーく過程を察することはできるよ?
……そうなると彼女の好きなキャラクターはポムポムプリンってことになるわけで。
さすがにサショウちゃんにはまだその様子はないけど、ほっといたらそのうちどこに行くにもポムポムプリンのぬいぐるみを連れていくようになるんじゃねーかなー……。
「な、なるほど。ポチャッコさんもポムポムプリンさんも、ともにサンリオのキャラクター。つまりこれは互いに負けられない推しの主張合戦ということですね?」
「多分そうだと思うんだけど……」
「……ポチャッコ!」
「ポムポムプリン!」
「……うん、よくわかんねーや!」
なんで唐突に互いに熱い握手を交わしてるねん。
その言い合いに一体どんな意味が含まれていたっていうんや、流石に意味不明やぞ。
……なにやら感極まったのか抱き合って互いに抱擁までしているその姿に困惑しきりの私たちである。
「ええと、なんの話でしたっけ?」
「確か我々は同業他社なので馴れ合うのは良くない、みたいなやつだったような?」
「なるほど!じゃあ仕方ないので私はポチャッコを推しますね!」
「じゃあ私はポムポムプリンを……」
「おいこら展開をエンドレスにしようとすんな貴様ら」
えー、と文句を垂れる二人を睨む私。
二人は渋々、といった様子で姿勢を正したのであった。
……うん、十二分に破天荒じゃねーかな君ら()
それはともかくとして、だ。
サショウちゃんが新人であることは確からしい。
……いやそれどころか、新人どころか生まれたてのレベルであるらしいってのも今の流れで把握した。
「え、どこからそれを!?」
「いやだって、ゴコちゃんのことを思えば『本人ではないと気にする』のって『逆憑依』に成り立ての時くらいっていうか……そうじゃないとあっという間にレベル4まで転がり落ちると言いますか……」
「れべるよんってなんですー!!?」
その辺のことを悩めるタイミングは主に二回、成り立てとレベル上がる直前。
後者に関してはそのタイミングに差し掛かった時点でわりと手遅れであり、そうなった場合は残念ながら『いいえ、貴方はそのキャラクター本人です』と
そこまで行っちゃってる場合見た目からしても結構ヤバイことになってるものなので、そういう意味でサショウちゃんがそこまで酷いことになってないのはすぐわかるというか。
「……そ、そんなに酷いことになるんです?」
「それはもう。最悪封時凍結処理とかしないといけませんからね、まぁ私がここに来てからはキャラと核とのずれを直す方向に進めるようになったんですが」
「……ええと、もし私がそんな感じになってたら……?」
「貴方はサショウちゃんではなくらでんちゃんとしての自覚を持っていただくことになります」
「やーだー!!!?」
いや、嫌だと言われてもそうするしかないんですよ。
まぁ、今のところの彼女はそのラインには達してないので、まだ別方向の対処を行うことは可能だと思うんだけど。
「その前例がゴコちゃんってことですね。そもそも私が来るより前にゴコちゃんはゴコちゃんとして活動してましたし。……その辺考えると、別に私に話を持ってくる必要なかったんでは?」
「いやそんなことはないからね!?」
自分で自分のスタンスを確立してたわけだから、その辺のノウハウをそのまま伝えてあげればいいんじゃねーかなーと思ったのだけれど。
……ふむ、ゴコちゃん的には伝えるもなにもないということかな?
いやまぁ、一応名前を変えるって方法を伝えたのはそのノウハウだとは思うんだけど。
「ええと、そうなんです?」
「うむ。基本的に内面と外面の差というか軋轢というかが発生する要因って、極論ペルソナみたいなもんだからね」
「これは私ではない、という拒絶の感情ですね。一応、それを抱いてしまったからといってキャラクターが核から別れ個別の存在として動き始める……みたいなことはありませんが、それがレベルの上昇に関わることは疑いようもありません」
とはいえ、それで上昇するレベルにも限度はありますが……と話を纏めるマシュに頷く私。
……ここでいう問題児レベルは下から上に上がっていくものではなく、該当するラインに至っていればそのレベルに認定される……という形のもの。
言い換えるといきなり悪化する、みたいな扱いになるので案外見極めが難しいというか。
「そう考えると、名前を変えるのって大分有効だと思うんだよね。特に【継ぎ接ぎ】が引っ掛かってくれたら最高、その時点で別人扱いしてもなんの問題もなくなるし」
「……ええと、その辺はよく知らないのでなんとも言えないのですが」
だよねー。
予想が間違ってないのなら、サショウちゃんってば本当に最近……下手すると今日その日にここに来た、とかになりそうだし。
名前の変更による安定化なんて、それこそ早い段階でやっとかないと大分おかしなことになりかねないし。
……まぁ、相手が配信者のなりきりだと、その辺意外と融通が効くかもしれんのだけれど。
「はい?」
「その辺はゴコちゃんについても同じというか……配信者というか、実在の相手の『逆憑依』って他の『逆憑依』と比べるとそもそも『それは自分じゃない』と思う気持ちが強いというか、ある意味当たり前というか?」
「……なるほど?」
そこら辺を前提とすると、他の『逆憑依』みたいなレベル判定になるとあっという間にそこに到達しかねないというか?
……普通の『逆憑依』が一週間程度でそうなるとするなら、実在存在相手のそれは一日に満たない時間でそうなりかねない、とも言えるだろうか。
「そんなわけなので、別に私があれこれしなくても案外このまま経過観察するだけで問題ない……なんてパターンもあるかもというか?」
「なるほど……」
まぁ、観察してるうちに容態が急変する可能性もあるので油断はできんけど、と私は話を結んだのでありました。