なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「私は今回の話、配信者達が『逆憑依』としてやってくる前触れだと思ってたけど……うん、多分勘違いだったってことになるんだろうね」
「と、いうと?」
「サショウちゃんの出現とすこん部達の出現は別のトラブル、ってこと」
言い換えると、あくまでサショウちゃんの方は普通の『逆憑依』案件であり、すこん部達は今年の正月や去年のクリスマス……否、ハロウィンから続く問題の延長であるということになるか。
いやまぁ、ハロウィン案件どこまで長引いてるんじゃいって気分になるけどね?
「……ええと、仮にハロウィン案件だとして、これからどうなるんです?」
「お教えしよう、こっからマスコット的なやつが増える」
「なん……だと……!?」
まぁうん、なんと言えばいいのか……。
まず、前回のハロウィンは(色んな意味で)不完全燃焼に終わった。
そのため、その影響が次のイベントであるクリスマスにも残ったわけだ。
「で、その後の正月に関しても、実のところは不完全燃焼だった……ってのがさっきの話」
「まぁ、言われてみればそうよねぇ。ミニちゃんに全部集まったと思ってたエネルギーが実際はその何分の一程度しかなかった、ってことになるわけだし」
「その辺あちしはちゃんと見てにゃかったからにゃー。わりと溢れるぱわー、わりと溢れる知性……ってんで、こんにゃもんかにゃーとしかにゃらにゃかったんだわ」
「まぁうん、あの時は予測される結末が結末だったからミニちゃんは連れていかなかったからね……」
推定ロマニポジションだったからね、そりゃ連れていく必要がないなら連れていかねーだろというか……。
ともあれ、そんな感じでミニちゃんはネコ魔神柱達がどの程度のエネルギーを秘めていたのか、みたいなところを知りえていなかった。
ゆえに、自身に集められたエネルギーの総数に関しても『なんとなく多いな?』くらいのイメージしか掴めず、また現場にいた面々に関しても目の前から一瞬で消えてしまったため、それがミニちゃんに全て移動したのだと疑い無く信じてしまったわけである。
「実際には今言った通り、全部どころか何分の一レベルの量しかなかったわけだけど」
「まーでも、その辺に関しては案外よかったのかも、と思わにゃいでもにゃいにゃ」
「その心は?」
「下手に全部あちしにー、ってにゃってたら多分調子に乗ってたと思う」
「ええ……?」
ミニちゃん曰く、実態はどうあれ『こんなもんか』と思う程度のエネルギーだったことが、自身が増長しないで済んだ理由として割合に大きいとのこと。
というか、下手に大きいエネルギーを得ていたらそれこそ普通のネコアルク化してただろうとも。
「ぶっ飛ばされたことでエネルギーに復讐だにゃんだと言った思念が混ざるー、にゃんてことはにゃくにゃったわけだけど、それはそれとして巨大にゃエネルギーってのは人心を乱すからにゃー。それがネコアルクにゃらにゃおのこと。……そうだにゃー、仮にあちしがそうにゃってた場合、復讐はせずとも世界征服とか企んでてもおかしくはにゃかったんじゃにゃいかにゃ?」
「こっわ」
「ネコの心は秋空と考えよ、ってやつだにゃ」
……よく変わるってか?
まぁうん、ライブ感で色々やらかすのもネコアルクの特徴、となれば魔なんて幾らでも差すということなのだろう。
そう考えると、ミニちゃんはネコアルクらしくないと同時に、そのバランスはかなり奇跡的な保たれ方をしているのだなー、とも思う私なのでありました。
「まぁともかく。ミニちゃんに移動したと思っていたエネルギーはその実大半が宙ぶらりんになって郷内を彷徨っていた、と」
「……気付かなかったのが恐ろしいわね。どのくらい蓄えてたのかわからないけど、少なくとも
「完全に集まってたなら向こうから行動を始めてただろうからね」
実際は準備が整う前にこちらが攻め込む、という形だったわけだが。
形式がそうなってる時点で、全体のリソース量としては聖杯に満たないモノであったことは疑いようもない。
……とは言っても、聖杯もといリソースもピンキリであるため、ある程度の量はあったはずともなるわけなのだが。
幾ら相互補完しているとはいえ、最初の動き出しに関しては外からエネルギーを補給せねばならぬだろうし?
「軽く見積もって半分、多めにみれば八割……って感じかな。それが満タンになってたら、あの時ネコアルク本人が語ってたように猫位時間神殿じゃなくてグレート・キャッツ・ビレッジへの改造が行われてたんだろうなーとは」
「……その話で思い出したんだけど、結局あの場所ってどうしたの?」
「どうしたのって……時間神殿をってこと?」
「そうそう」
また話が逸れたが、一応重要な話でもあったのでそのまま説明に移行。
ハロウィンから正月まで、黒幕達が姿を潜めるために使われていた場所。
正常な時間軸、ならびに空間軸に存在しない
「そういう風にあれこれ呼ばれることがフラグになるというか、場所の属性を強化することに繋がるわけで。……言い換えると、放置するとまたなにかしら発生する要因になりかねないから取り壊し処分、ってことになりまして」
「きっちり壊した、と?」
「そういうことになりますね。……ただまぁ、今になって思えばあんまり意味なかったかも、とも思ってたりするんだけど」
「ううん?」
そりゃまぁ、放置してたら今回のエネルギーがまた舞い戻って、今度こそ本当に冠位時間神殿になってたかもしれないわけだから、基本的には壊しておくべきだってのは間違いないんだけど。
……同時に、もぐら叩き的な徒労を生み出すものかもしれないとも思わなくもないわけである。
「その心は?」
「あんなもん自然に生まれる空間じゃないでしょ、ってこと。……周囲の時間軸から切り離されてる上、空間からも隔離されてるんでしょ?そんなもの、幾らなりきり郷が特異な場所だとしても自然に発生するものとは思えなくない?」
「ううーん?……なくはないけどそれこそ天文学的な確率、ってこと?」
「そういうこと。……だったら人為的なものだったって仮定するのはそうおかしなことでもなくない?」
「いやでも、人為的な方ってさらに無理筋な気が……って、あ」
「……気付いたみたいだね」
流石はゆかりん、よく頭が回る。
なお、あんまりこっちの事情に関わったことのないゴコちゃんはよくわからん、って感じの表情を晒していた。
なので、彼女のためという理由も含めて解説すると。
「あの空間を作ったのは、恐らくだけど『星女神』様か『月の君』様のどっちかってこと。……で、多分だけどお二人はなにかを企んであの場所を作ったんじゃなく、あくまで偶発的に作り出されただけ、ってのが正解だと思われるのよ」
「……えーと、よくわかんないんだけど、わざとじゃないってこと?」
「考えようによってはわざとだけど……別に周囲を害そうとしてそうなったわけじゃない、というか」
「????」
……よくわかってない、って顔してるね……。
まぁ大雑把に説明すると、だ。
恐らくあの空間を作ったのは『月の君』様の方。そしてその目的は、地下生活者を匿う……ためではなく、
「隠れ家?」
「『月の君』様は現在『星女神』様に見付からないように隠れ潜んでいらっしゃる最中でね。必然、隠れるのならその場所が必要になる……んだけど、普通の隠れ方だとすぐに見つかっちゃうんだ」
まぁ、見つかる云々は立場を反対にしても同じなので、それゆえにあれと同じ空間を『星女神』様が作る可能性もある、ってことになるんだけど。
「……お互いにそれを使わないと隠れられないから、探す側の『星女神』って人も見つからないように相手を探すのならそこに隠れなきゃいけない、ってことであってる?」
「そうそう。まぁ感覚的には近くにあるもので即席隠密状態になってる、って感じだけど」
隠れ身の術してる、くらいの認識でもいいかもしれない。
まぁともかくだ、二人とも隠れるのならあれと同じような空間を必要とする、ということは間違いない。
ということはだ、すなわちあの二人がその騒動を続ける限り、件の場所と同じような空間は幾らでも量産されうる状態だ、ということにもなるわけで。
「……あ、なるほど。だから壊しても無駄足かもしれないんだね」
「うむ。一個壊してもまたリポップするかも、ってわけ。……かといってそれを止めるように言おうとしても、隠れてる側がそれを素直に聞き入れるわけもないし、そっちが止めないなら探してる側も止める理由がないわけで……」
……うん、実質的に無意味っていうか?
いやまぁ、その空間を作るにしても、本人達がそこから動かないのなら問題はないんだけどね?
そもそもの話、普段キリアや『星女神』様がいる場所ってその空間と同じ性質のやつだし。
「あら、そうなの?」
「というか、寧ろ件の時間神殿とかよりも断絶率?的なものは高めというか。下手に他所と繋がってると、【星の欠片】としての影響力が漏れ出しかねないし」
「あー、なるほど……」
流石に
いやまぁ、一応本人の意思一つでその辺は調整できるというか、できないと困るんでやれないはずはないんだけどね?
ただそれって、常に能力を使っていろって言ってるのと同じような話になるわけで……。
「ぶっちゃけるととっても疲れるのです。その点、空間に条件を付与してどうこうってパターンだと、作る時は大変だけどそのあとはなにも気にせず普通に生活できるから楽なのよ」
「なるほど……」
まぁ、その分相応に作るの大変だから、せいぜいセーフティハウス的な用途でしかない件の空間に関しては、比較的セキュリティがざるってことになるんだけど。
……と、遠回しに『家よりかは作りやすいから気軽に飛んでくる案件である』と述べる私なのでありましたとさ。……話が大分逸れてるな?