なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
いやまぁね?背中にしょいものしてることをカメのよう、って例えることあるからまぁカメ扱いされるのはわからんでもないよ?
でもそっからこういう方向性でキャラ崩壊するとは思ってなかったというか……いやまぁ受付嬢になられるよりは遥かにマシなんですけどね?*1
などと思いながら、どこにそんなに乗せてたんだよとばかりに籠から降りてくるお客さんに手を振るマシュに、背後からこっそり近寄る私である。
……え?なんでこっそりなのかって?そりゃ勿論、今のマシュが正気とはとても思えないからですね()
(張り切りすぎて空回るならともかく、基本的にあんまり声優ネタには振らない
いやまぁ、なにがどうなりゃ
ともあれ、この状態の彼女に迂闊に近付くのはよろしくない、というのは間違いない話。
その辺を鑑みてこっそりと──ただしおとひーやらウミガメ君やらが見ているので表面上は堂々と──彼女の背に近寄り。
「やぁ、君が噂の新人君かな?」
「はい?次の負荷……げふんげふんお客さんでしょうきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「耳がっ!!」
闇の炎に焼かれて馬鹿なっ!!*2
「………………」<プシュー
「oh……」
赤リンゴマシュかな?
……ええまぁはい、こちら羞恥心から真っ赤っかになってるマシュさんでございます。
なんでも私の顔を見た瞬間あやふやだった記憶が元に戻ったとかで、思わず私の鼓膜を破壊する暴挙に及ぶ羽目になったとかなんとか。
「うう……見ないでください……マシュ・キリエライト、一生の不覚です……っ!!」
「そんな気にすることかなぁ」
個人的には普段もわりとやらかアッイエナンデモナイデス。
……ともかく、マシュが正気に戻った(?)っぽいのでそのまま彼女を連れて爺さま婆さまのところへ戻ることにした私たち。
その道中、ここまでの経緯を聞くことになったんだけど……。
「え?正確には元には戻ってない?」
「ええとはい、それを語るにはこれまでの私の行動を説明しないといけないのですが……」
これがちょっと長くなる、と珍しく渋い顔をするマシュ。
……わりと珍しい表情パターンだな、などと思いつつ私は話の続きを促したのでありました。
「まず大前提なのですが……この世界は恐らく、童話や絵本の物語が混ざりあったものだと思われます」
「まぁ、だろうねぇ。私も桃太郎だけだったらそうは思わなかったけど、
いやまぁ、爺さまが竹藪に仕事しに行ってるのを見るに、その兆候は最初からあったということになるんだけど。
ただそれを聞いたマシュは小さく首を横に振り、そうではないのですと話を続けたのだった。
「その流れですとこの世界は『童話が混じった世界』となります。……先の私の言葉を覚えていらっしゃいますか?」
「……んん?童話と絵本って言ってたけど、それって大して変わらな……あっ」
「……ええはい、せんぱいが今しがた思い至った通り……この世界に混ざっているのは
「まさかのシンデレラ!?」
なんでそんなことに!?というか海の王だか主だかから送られて来た人じゃなかったっけ!?
……そんな風に思わず困惑する私に対し、マシュはこれまでの自身の道程を語り始めたのであった。
曰く、彼女が確かに海の王のお膝元。
しかして王は王でも女王であり、かつ他の姉妹達は普通に海の生き物であったのだとか。
「長女は美しい龍の娘でした。少々小柄ではありましたが紳士然とした振る舞いを心掛け、龍種としての誇りと傲慢を兼ね備えつつもそれが嫌味とならないタイプの方、と申しましょうか」
「う、うーんなかなかに面倒くさそうな……」
「次女は打って変わって大きな体格のシャチの娘でした。こちらは厳格な騎士といった風情の方ですが、料理が得意などといった可愛らしい一面も持ってらっしゃいましたね」
「……んん?なんか既視感が……?」
「三女は典型的な意地悪な姉、といった感じの方でしたね。まぁ色々あって悪ぶってるだけで、根は育ちの良さや人の善さを隠せていない……というようなお方でもあったのですが」
「ねぇマシュ?その女王様モルガンって名前だったりしない?もしくはトネリコとか???」
「惜しいですね、オティヌスというお名前でした」
「惜しいのかそれは???」
なんで上やんの相方の妖精型魔神やねん。*3
娘三人があからさまに妖精騎士達なんだからそこは合わせろや、などと思わず憤ってしまう私であった。
とはいえそのままだと話が進まないので怒りを抑え、マシュに続きを促す。
その話によれば、件のオティヌスは姿こそ確かに当人そのものではあっても、人格はモルガンに近いものであった、とのこと。
とはいえ元ネタとは状況が違うというか、そもそも海の女王なので強圧的な態度の薄れた──マイルームで絆を深めた時の彼女に近いもの、という形になるらしいが。
「ま、まぁうん。配役的にシンデレラっぽいってのはわかったよ。でもそれだとお話の通りには進まなくね?特に既視感が強くてマシュ的には継母と義理の姉妹だとしても恨むとかできないでしょっていうか」
「そこでその、先程の行動が意味を持ってくると言いますか……」
「あっ」
なるほど、手に負えなくて放逐……(白目)
確かに、まっさらな状態のマシュなら放逐の必要はあるまい。
なんなら彼女のスペックは(本来のそれには及ばずとも)英霊級、多少の苦など物ともしないだろう。
となれば原作シンデレラ的なあれこれもどこ吹く風、特に山もなく落ちもなく続けられてしまいそうだが……そこで、須藤育成分が効果を発揮してくると()
「とはいえ、彼女だけが……というと語弊がありますが、少なくともシンデレラと育さんだけなら、こんなことにはならなかったはずです」
「その言い種だと、なんかほかにも影響があったと?」
「……その、こうして盾を背負って亀を気取ってこそいますが、私は普通に人間ですので……」
「人間?……はっ、他の姉妹とは種族が違う……つまり醜いアヒルの子、ってコト!?」
「恐らくは……」
ああなるほど、そもそもシンデレラに登場する母親と姉妹は共に義理の関係。
その性質が醜いアヒルの子における『そもそも種族が違う』という部分と相性がいい……すなわち【継ぎ接ぎ】されやすい、と見ることができるのか。
つまり今回のマシュは、役割としてのシンデレラに醜いアヒルの子と須藤育が一度に付与されたことにより、本来揺るがぬ精神を持ちこういった事態には滅法強いにも関わらず、須藤育成分が強めに顔を出すような状態になってしまったと。
……うん、他が普通に童謡とかなのに育ちゃんだけ色んな意味で異質だなこれ?
いやまぁ、『100カノ』自体が異質と言われたらなんも言い返せんのだけれど。
まぁともかく、そんな感じで育ちゃん成分が強く出るようになった結果、彼女の悪癖(?)であるストイックさ()もまた強く主張し始めることになるわけで……。
「『いや止めろって、確かに手伝えって言ったのは私だけどそこまでやれとは言ってねぇって!!』とヴァンシー姉さんに焦ったように断られ、『……その、マシュは強いですわね』とゲスト姉様に若干引いたように言われ。挙げ句の果てに『……うん、ボクしーらない』とメリュ姉さまが匙を投げる……そのようなモンスターが生まれてしまったのです……っ!!」
「うわぁ、マシュリー落ち着けぇ!!」<ピロロロ…
「
いやどこの伝説のスーパーサイヤ人やねん()
……ともあれ、さっきのマシュみたいなのが降臨、扱いに困った女王様は乙姫さまのところに預けるに至った、と。
うん、どう考えてもパワハラです、本当にありがとうございました。……ってか、なんの話してたんだっけこれ?
「正確には戻ってない、という話ですよせんぱい」
「ああそうだった、確かにそんな話だった……
「聞き返さないでくださいせんぱい、育さんは
「ああ!?マシュがショボくれた!?」
なるほど理解した、確かにシンデレラ成分もアヒルの子成分も抜けてないなら、同じような流れで付与された育ちゃん成分も抜けるわけねーわ!?
そんなこんなで、私の言葉の刃が深く突き刺さったマシュはというと、しばらくort字に膝を着きショボくれ続けたのでありましたとさ。