なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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家賃を定めねば指標にならぬと申すか

「……まぁうん、そもそも育ちゃんってあの面々の中だと盾・タンク役だから、そりゃ勝手には剥がれんわ。相性が良すぎるもん」

 

 

 まぁ、型月的にはそういうのってスパさんを思い出す感じなので、あんまり結び付くタイプではなかったんだけど。……ほら、中の人がね?

 

 ってなわけで、しばらく落ち込み続けたマシュをなんとか宥め賺し、一路我が家への帰路を辿り始めた私たちである。

 ……まぁ、何故かマシュの背(負った円卓の盾)の上に乗って、なんですけどね!

 あれか、一応カメポジだからってことかこれ?

 

 

「それもありますが……盾を背負って更にその上にせんぱいまで乗せて泳ぐ……というキッツ……♡……ごほんごほん、大変な状況を前にして体が勝手に動いたと申しましょうか……」

「うわぁ」

 

 

 これは酷い(真顔)

 なにが酷いって思いの外相性が良いみたいってのが、ね?

 ……うん、この世界から無事に帰れたら、念入りに除染作業を行っておこう。

 基本的には別世界の別人の縁になるとはいえ、このレベルだと普通に因果が繋がりかねん。

 

 とまぁ、そんな感じにマシュの背に揺られて移動すること数分。

 ようやく陸地にたどり着いた私は、そそくさとマシュの背から降りたのでありました。

 

 

「あっ……こほんこほん。ええと、少々性急に過ぎませんかせんぱい?もう少し私の背に乗って移動するのはいかがでしょう……?」

「私には立って歩ける二本の足があるのでお断りします」

 

 

 ……今すぐ除染した方がいいかなこれ?

 

 とまぁ、そんな小話も挟みつつ自宅に戻った私。

 昼食の準備をしていた婆さまにお供として加わったマシュを紹介し、爺さまの帰りを待っていると……、

 

 

「ば、婆さま~大変じゃぁ~!」

「あんれ爺さま、そんなに慌ててどうしたんです?」

「そ、それがのぅ……いや、説明するより見た方が早い!お前も一緒に来てくれ!」

「はいはい?」

 

 

 大層慌てた様子の爺さまが、家の中へと転がり込んで来たではありませんか。

 その尋常でない慌てぶりに、婆さまと私は思わず顔を見合せます。

 そのまま、こちらを急かす爺さまの背を追い掛けててってこてってこ、一山越え二山越え──爺さまの仕事場たる竹林へと足を運んだのです。

 

 

「……しれっと流されたしたが、今一山二山をさくっと乗り越えませんでしたか?」

「昔話に細かいツッコミは不要だよマシュ」

 

 

 そこら辺ツッコミ始めると、桃太郎における桃は若返り薬とかそういう生々しいものになるからね。*1

 桃から子供なんて普通は出てこんのよ。

 

 ……ってなわけで、明らかに経過時間に見合わない移動距離をさくっと進んだ私たち。

 たどり着いた竹林はというと、なんとも奇想天外な光景を見せていたのであった。

 

 

「あんれまぁ、竹が光ってるねぇ」

「そうじゃろう、儂が竹を刈っておったら、突然光り始めたんじゃ」

「なるほど、それは一大事じゃあ」

 

 

 ……ところで、なんでこの二人は典型的な昔話的な語り口になってるんで?

 いやまぁ、普通にしててもそれなりの語り口ではあったけど、今ほど露骨な感じじゃなかったと思うんだけど?

 

 

「恐らくですが、童話のストーリーの強制力が強い時はこんな感じになる、ということなのではないでしょうか?」

「なるほど、今現在この周辺は『日本むかし話』のノリに支配されている、ということだな!」

「いやまぁ間違ってはいませんが……」

 

 

 そのうち龍の子太郎が出てきたり熊の子見ていたかくれんぼになったりするわけだな!(?)

 まぁ、あくまで話の本筋に関わる人間にだけ掛かる制約、みたいなもののようだが。

 

 そうなると、この場から想定されるのはかぐや姫だろうか?

 光る竹とかまさにそれ、って感じだし。

 ……ただ一つ……いや一つかこれ?

 いやまぁとにかくツッコミ処があるとすれば。

 

 

「ところで爺さまや、この竹は()()()()まとめて光り始めたのかい?」

「そうじゃそうじゃ。まるで燃え広がるようにみぃんなまとめて光り始めたんじゃ」

(なんじゃこの光り輝く竹林は?!)

 

 

 そこら中の竹、一つも残らず光ってるってことかな。

 ……いやなんやねんこの光る竹藪ぅ!?

 

 

 

 

 

 

「光源そのものはそこまで強くもないみたいですから、幸いにして目が焼かれるというような心配はありませんが……」

「なにがどうなっとんねん、とツッコまざるをえないぜこの状況」

「うむ、儂としてもその言葉には頷かざるをえんのぅ」

「あ、戻った」

 

 

 わざとらしいくらいの爺口調が普通の喋り方に戻ったや。

 あれはあれで語り口が遅いから聞き取りやすいけど、同時に早く喋ってくれって気分にもなるからねー。

 元に戻ってくれて万々歳というか。……婆さまの方も戻ってるから話の触りは終わった、ってことなのだろうか?

 

 

「とりあえず、割ってみます?」

「いやどうかのぅ、桃と同じには行かんのではないか?」

「その心は?」

「なんとなくだが当たり外れがあるような気がする」

「まさかのくじ引き式?!」

 

 

 なんだ、唐突なかぐや姫ピックアップガチャ開幕ってか?

 光る竹を割ると色んなエフェクトが発生、大当たりなら虹色に輝いたりするけど、外れだと単に光るだけ光って中からちまき*2とかが出てくる……と?

 いやまぁ、個人的にはちまき結構好きだから仮に出てきたら外れとは言わんけど。

 

 

「せんぱい、話が脱線しています」

「おおっと。……竹刀とかでてくるかもよ?」

「中身は竹縛りなんですか???」

 

 

 いえ、仮に竹刀が出てくるのであればちょっと嬉しいですが……と頬を染めるマシュ君、君やっぱり育ちゃんの影響強いな???

 

 などとあれこれ言いつつ、密かに二三歩後ろに下がる私とマシュ。

 竹を割るのは爺さまの役目というのもあるが、視界からフェードアウトしてここから起きることを予測するための暇を作った、という意味もあったりなかったり。

 

 

「個人的にはBBちゃんが出てくるんじゃないかと思うんだけど、その辺どう見る?」

「まぁ、素直に考えるのであれば私もそうなるとは。……今回は光る竹が無数にありますので、サクラファイブの皆様が現れる可能性も少なくはないと思いますが」

「なるほど……」

 

 

 ある種BBちゃんの専用クラスのようなものであったムーンキャンサー。

 月の癌、と訳されるそれはその名前の通り、月と縁深いクラスだと言える。

 ……まぁ、そのせいで解釈の幅が生まれ、カードの柄を書き換えるという暴挙を受ける羽目になったわけだけども。

 

 ともかく、マシュが居たのだからあの時一緒に居たBBちゃんも巻き込まれている、と見るのが普通だろう。

 その状況証拠とこの現場証拠、合わせればBBちゃんにかぐや姫の役割が付与されている……と推理するのが自然ということになるはずだ。

 

 まぁ強いて言うなら、マシュの懸念の通り複数の光る竹、という属性が影響してサクラファイブが出てくる可能性がある、というのが問題だろうか?

 ……いやよく考えたらなんか色々付与されてるのが(マシュを見る限り)普通っぽいので、そこから一つ二つ捻ってくるかも?

 

 

「具体的にはどう見ます?」

「そうだねぇ……元々サクラファイブってのはBBちゃんのいらない部分を分離した結果生まれたもの。母と子って体裁を取ってるけど、見方を変えれば同一人物ってことにもできそうじゃない?それと数がポイントかな」

「数、ですか?」

「元の五人から別たれたもの──()()()()()()()()()って解釈、できそうじゃない?」

「……ないと断言はできませんね」

 

 

 その場合は、BBちゃん味の増したサクラファイブ、なんて感じのヤツが出てくることになるんだろうか。

 ……うん、今のマシュとは別ベクトルで黒歴史になりそうだなそれ。

 完全に別たれたファイブではなく、どちらかと言えばファイブみたいな言動のBBちゃんってことになるんだろうし。

 ……大分痛々しいヤツだなこれ?

 

 とはいえ仮にそうだったとしても、こちら側からできることはない。

 精々痛々しいBBちゃんが出てきた時に笑わないように堪えること、くらいだろう。

 ……一応断っておくけど、積極的に笑いに行こうとかそういうやましい気持ちは一つもない。

 ただ、プリマを自称するBBちゃんとか見たら堪えきれるか自信がない、というだけである()

 

 

「それはもう答えを言っているようなものでは……?」

「いやいやそんなことは。……ほら、それよりもいよいよ爺さまの竹ガチャが始まるみたいだよ」

(露骨に話を逸らしましたね……)

 

 

 ジトッ、とした視線を向けてくるマシュから顔を逸らしつつ、改めて爺さま達の方に目を向け直す。

 どうやら腹を括ったようで、爺さまは竹を割るために鉈を構えていた。

 頑張れ爺さま、などと応援する婆さまに応えるようにして、爺さまは鉈を一閃。

 標的となった竹は綺麗に二つに叩き割られ──、

 

 

「……壺に入ったメンマですね」

「おっと外れかな。……いやよく考えたら光る壺に入ったメンマってなんだ?」

「外れでも光ってはいるんですね……」

 

 

 おっと残念、生憎のレア・星三アイテムだ。

 流石に単発でお目当てのピックアップは引けないということか。……原作の竹取の翁は引いてるとか言うんじゃありません。

 

 とはいえガチャの残弾はまだまだ残っている。

 爺さまが当たりを引くまで、こちらは素直に待っていることにしよう。

 ……これってある意味課金観戦みたいなことになるのかな?

 

 

「それもただの観戦じゃありませんよ、見える竹全て刈り尽くす……すなわち天井までのド課金観戦です!」

「ねぇマシュ?実は他にもなにかの影響受けてない?大丈夫?」

 

 

 いやまぁ、微妙に構文が違うしあれとは別物というか、あくまで似たような感じのモノの影響を受けてるだけかもしれんけどさぁ……。

 思わず渋面を作る私を他所に、爺さまの課金ガチャ(竹刈り)は続くのでありました。……いや課金はしてねぇな???

 

 

*1
あくまでも解釈の一つでしかない、という前提の上で説明すると──要するに流れてきた桃は精力剤的なものであり、それを食べてハッスルした老夫婦が子供をこさえた……という話になるというもの。色んな意味で子供には聞かせられない話である

*2
主に端午の節句に振る舞われる、(ちがや)や笹でくるまれた餅のこと。もち米で作ったおにぎりみたいな形で粒を潰さないものや、ちゃんと餅にしてから蒸すようなパターンも存在する

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