なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ええ?いや、ええ???」
「せんぱいの反応に同調せざるをえません。……いえまぁ、素直に考えればそうなるのでしょうが……」
目の前の竹から聞こえてきた声とおぼしき声が明らかにBBちゃんじゃなかった件について。
……いやまぁ、唐突なキャラ変の結果『のだ』とか言うタイプになった、とか言うんならわからんでもないけど……いやそれでも流石にずんだもんみたいな感じにはならんだろう、というか?
ということはだ、自動的にさっきの声──語尾にのだとかつく──の持ち主というのは限られてくるわけでして。
……いや、マジで言うてはる?
「マジとはなんなのだ!?私にはこういうの似合わないとでも言いたいのだ!?」
「いやいやそんなことは。なんやかんや美少女揃いのフレンズ達、馬子にも衣裳*1なんて失礼なことはとてもとても」
「そうなのだ!私も可愛い格好が似合って当然なのだ!……あっ」
「さっくり乗せられてやがる……」
自分からフレンズであることを認めましたね、これがメンタリズムです(適当)
……はい、そんなわけで開ける前から最早中身が知れているわけですが、裏を返せば最高レア確定とも言えるわけで。
そこら辺を爺さまに示しつつ、一思いに叩き割ってくださいと告げる私である。
「そうは言うがのぅ。儂聞いたことあるぞ、これいわゆる
「はい?……ってうわ、いつの間にか他の竹がなくなっとる!?」
「割った竹はまとめて持ってかえらにゃね~」
「お、お手伝いします!」
……マジやん、爺さまってばいつの間に竹藪を刈り尽くしたのよさ?
思わず愕然とする私の前には、先ほどまであったはずの竹が綺麗さっぱりなくなり山肌が見えてしまっている光景が。
……ここまで綺麗に刈り尽くしても、数日経過したらほぼ同じ光景に戻るってんだから竹の成長速度の異常さよ……。
そりゃ竹林が近くにあったら土地の値段も下がるわけですわ()*3
思わずしみじみと頷いてしまった私。
気を取り直して爺さまに竹を割るよう促し直す。
……確かに天井っぽいけど、くたびれ儲けになるよりは遥かにマシってことで……。
そんなわけで、爺さまがえいやっと黄金の竹を割れば、中から金色の輝きが溢れ周囲を照らす。
──その光の向こうに見えるシルエットは、その輝きが収まるごとにその輪郭をしっかりとしたものに変化させていき……、
「おめでとう、大当たりのかぐや姫なのだ!」
「えー」
「なんなのだその反応!?」
いやだって、ねぇ?
ある種予想通りに現れた、豪奢な着物で着飾ったアライさんの姿に、思わず天を仰いだ私なのでありました。
……いやまぁ、似合ってるけどさぁ?
「うーむプリテンダー……」
「順当にBBさんではない上に詐称者扱いとは……」
竹から現れたかぐや姫、もといアライさん。
爺さま婆さまからちやほやされている彼女を遠巻きから
……これあれかな、かぐや姫本人ではなくその影武者とかだったりするのかな?
本物のかぐや姫は月から追放される際に立場も名前も捨て、市井*4に紛れた……とか?
……中々に失礼な考察だが、これが意外と的外れとも言いきれない。
というのも、先程まで周囲にあった黄金の竹達がその理由となっていた。
「中身が全て微妙なものだったあれ、ですね。……ですが何故あれらが理由になるのですか?」
「それは単純だよ、かぐや姫の周りに設置されてたのなら
「……あー、なるほど」
最後に月に帰っていく辺り、かぐや姫の本拠となるのは月の都という認識で間違いあるまい。
一応、罪を犯したためその贖罪のために地上で暮らすことになった……という話もあるのだが、それにしては迎えに来るのは不思議というか。
姫、と付くように実際に月の都の姫であるとする説がもっとも根強いが、それならなおのこと流刑にして迎えに来る、というのが理解不能というか。
なにせ、当時における流刑とはほぼ確実に死刑と同義である。
無論、かぐや姫は不老不死の人であるため一般的なそれとは同じように語れないが……やはりイメージとして、流刑になるような人間が元釜に戻れるような気がしないのも事実。
さらに、月と地球では時間のスケールが違うような描写も散見される。
……つまり、流刑と言いつつも実は『子供が悪いことをして反省部屋に入れられた』ようなものでしかない、なんて可能性もあるわけだ。
それらを考慮すると……よくある説の一つである、理由を付けて彼女を月から遠ざけただけなのでは?……という推論が有力視されてくるわけだ。
そうなってくると、さっきの状況にも一つの解釈が優先されるうになる。
すなわち、周囲にあったものはかぐや姫が過ごすために必要な道具──旅行の際に持っていく家財道具のような扱いなのではないか、と。
「黄金の竹の箱にあれこれ詰めて、彼女を拾った人間に良くしてくれるように頼む……みたいなイメージでもいいかも?……となると、中身はそれなりにいいものにしておこう、ってことにならない?」
「かぐや姫さんが予想通り、月の都における高貴な身分であるとするならば余計のこと、ということですね?」
「そういうこと。逆に言うと大したものが入ってない──
影武者、もしくは囮か。
……普通なら鼻で笑うような話なのだけれど、解析した結果彼女のクラスが
そりゃまぁ、服に着られてる感がするのも仕方のない話というか。
……あれだな、着てるものだけ本物、とかあるかも?そうでないとプリテンダーなんてことにはならなさそうだし。
「……もしくは逆、かなぁ。確率は低いけど」
「仮にそうだった場合も一応考慮はしておくべきですね」
「そだね。……さて、いい加減もみくちゃにされてるアライさんを助けよっか」
「はいっ」
「あんれまぁ可愛らしい子だねぇ~ええこええこ」
「べっぴんさんだなぁ、うちの孫にならんかぁ~?」
「ななな、なんでこんなに好意的なのだ!?多少は歓迎されると思ってはいたけど、それにしたって熱烈なのだ~!?」
いやほら、天井まで引っ張った結果ようやく出た最高レアだし……そりゃ喜びも一入というか?()
そんなわけで、滅茶苦茶服が着崩れるくらいに撫でられまくっているアライさんと、その状況を生み出した爺さま達を一瞥。
そのまま、爺さま達に落ち着くよう言い聞かせることで彼女の救出は恙無く完了したのであった。
「で、そのままアライさんは服を着替えた、と」
「それはいいけど、なんで二人とも手伝ってくれなかったのだ?」
「コンプライアンスの問題ですね」
「こ、こんぷ?」
はははは(乾いた笑い)
いやー、まさかねぇ。……まさかねぇ……?
ともあれ、婆さまの手で着替えさせられたアライさんの姿は、ほぼいつも通りの彼女の姿。
脱いだ十二単は綺麗に折り畳んで、
……いやね、なんやかんやと動いていたこともあって、いつの間にか周囲がほぼ真っ暗なんですよね……。
「この時期完全に暗くなると帰れなくなるし、なんなら野生動物と鉢合わせるかもだし……ってなわけでマシュ」
「はい、お任せください!」
「張り切ってるだけ、のはずなんだけどなぁ……?」
背後に微笑む育ちゃんが見えるわけですが、それはあくまでもトレーニング的に喜んでるだけですよね?()
……などと無駄なフォローを行いつつ、マシュに担いで貰って高速移動する爺さま婆さまである。
いやまぁ、二人も若返ったから体力は有り余ってるわけだけどね?……流石にマシュの速度には追い付かんというか。
「そしてアライさんは私が背負う、と」
「きゃああああああああはやすぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」
(多少は繕えやっ!!)
アライさんはそんな可愛い悲鳴をあげないぞ!()
……プリテンダーってそっちか、と頭を抱えたくなる私でございます。