なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
その後、流石に家の前で騒ぎ続けるのはよくないということになり、一時追求を止めて移動。
結果、家の中には
なお、他のニンジャっぽい人達は影に散って行きました。
……人知れず護衛に励む、ということだろうか?
「然り。我らは影に潜むもの、ゆえに護衛もまた同じ」
「やっぱりニンジャじゃん……」
「否、我らはカグヤスレイヤーなれば!」
「そこ拘るところなの???」
まったくわからねぇ……。
まぁ、その辺に関してはこっちにはわからん拘りがあるんだろう、ということでとりあえず納得しておいて、改めて視線をアライさんに向け直す。
……一応、アライさん()は月のお姫様であるという話でもあるので、事ここに至ってもまだごまかすことはできるだろう。
だがしかし、先程までの言動やらなにやらを鑑みた場合、最早ごまかす方が不誠実ということも確かな話。
「というわけで、いい加減そなたのかんばせを拝ませては貰えまいか?」
「……いや、これが私の顔で」
「姫」
「あー、うー、わかったわよ見せればいいんでしょ見せればっ」
アライさんらしからぬ表情を見せた彼女が、一瞬ぶれたと思った次の瞬間。
そこにはアライさんとは似ても似つかない、まったくの別人が鎮座していたのだった。
……見た目的には東方のぐーやが近いかな?
「うんうん、黒髪ロングは人類の生み出した文化の極みだね……」
「せんぱい?」
「さて姫様、もう一度自己紹介をお願いできますかな?ちゃんと今の姿を踏まえた上で」
ちゃうんやマシュ、これは決して浮気とかではなく……(黒姫欲しさに石を溶かしながら)*1
しゃあねぇ眼鏡属性なんだ私は、あれは引かねば立ち行かぬというもの……。
……まぁ、私の性癖についての話をこのまま続けると酷いことになる予感しかしないので適当に切り上げて。
改めて姫様に自己紹介を促せば、彼女は諦めたようにため息を吐いたあと、おずおずと口を開いたのであった。
「……まぁ、はい。かぐや姫って名乗ればいいのかしら。さっきの姿は、月の都の技術で作り出した光学迷彩によるもの。……一応、参照先の相手の許可は取ってるわよ」
「ふむ、許可は取ってると。……ところで、その許可を取った相手はどちらに?」
「私と同じ様に地上に降りてるはずだけど……どこにいるのかまでは。一応扱いとしては私の方が囮、って感じだから向こうは簡単に見つからないように隠れてるはずだけど」
「なるほど……」
ふむ、すぐに合流するとかは無理そうだと。
……というか、なんでアライさん月に居たんで?
姫の影武者として選ばれたってことは、恐らく地上に降りる前に接触していたってことだろうし。
などと思いながらその辺のことを尋ねれば、彼女は不思議そうに首を傾げながら答えを返してきたのだった。
「え、だってあの子月のウサギでしょ?」
「……はい?」
「……んん?」
……あれなんかおかしいな?
どうにもお互いの認識に齟齬があるような気が……?
思わず顔を見合わせる私達、その齟齬がどいうものなのかを確認するため、質問を重ねていく。
「さっきまでの姿はアライさんを模したもの、ってことで間違ってないんだよね?」
「ええそうよ、そもそも話し方とかもあの子を真似てたんだし」
「なるほど、姿と台詞は間違ってないと。……その上で聞くんだけど、兎にしては耳が変だとかは思わなかったの?」
「いや、そんなことは別に。個性の内というか?」
「こせいー?」
いやんなアホな。
流石にアライグマの耳と兎の耳は別もんやでアンタ?
……などと訝しむ私を予想していたのか、横合いから差し出されるのは姿絵。
視線をチラリと横に向ければ、カグスレさんがこちらに小さく頷く姿が見えた。
察するに、月の兎達の姿が書いてあるということだろうか?
そんな風に納得しながら私は視線を絵に向け直して……、
「……なんじゃこりゃ?」
「これは……その、なんと言いますか……」
「節操がない、とでも言えばいいのかのぅ」
「兎どころか犬や猫もいますねぇ」
そこに描かれた者達の姿に思わず唖然とする。
いやだって、ねぇ?……単純に全体像を眺めただけでも、これが兎であると認めるわけにはいかなくなったというか。
何故ならそこに描かれていたのは、兎どころか犬やら猫やら猪やら、明らかに別の生き物の耳を頭にくっつけた人々の姿であったのだから。
「……あーうん、なんとなく理解したぞ。カグスレさん、月の都における『ウサギ』って言葉の意味は?」
「む?獣の特徴を持つもの達、ということになるだろうか」
「あっ、なるほど。スレイヤーと同じだということですね」
本来スレイヤーという単語は、該当する相手を殺すものという意味になるが、月の都においては該当する相手に危害を加える相手を殺すもの、と対象が別物になっている。
それと同じように、
あれだ、コヤンのケモノ判定がウサギ耳付けてると緩くなるのに近いというか。*2
その予想は的中、カグスレさんの発言によれば獣の要素を持つ人型種族全般の呼び方、ということになるらしい。
「……あれか、月にはウサギが住んでいるって話が
「一理ありそうです。……まぁそれだと、かぐや姫さん達はどうなのかという話なのですが」
「……?いや、ウサギと人は別でしょ」
「うわおナチュラル差別発言」
いや、この時期なら単なる区別の範囲か?
実際身体的特徴からして別物なら違う存在と見るのはそうおかしな話でもない。
……ついでに言うと、入れ換わりを提案してそれをこなしている辺り、少なくとも姫様自身にその辺の相手に対しての差別意識があるわけではない、というのもなんとなく察せられるし。
卑しい身分の相手と見ているのなら、それに扮するのは嫌だって話になりそうだし。
「いやまぁ、単純にあの子達力とか強いし?……別に殴られても死にはしないけど普通に痛いから、その辺変に拗らせるようなことはしないのが基本と言うか……」
「思ったより情けない理由だった」
「情けないとか言わないでよ、下克上する気があの子達にあったら普通に追い落とされるわよ私達」
……それはそれで自分達を卑下しすぎでは?
少なくともさっきの光学迷彩とかは普通にオーバーテクノロジーだったし。
その辺上手く使えば反乱も普通に鎮圧できるんでねーの?
などと思っていなかったのだけれど、どうにも話はそこまで簡単でもないようで。
「あの子達の親玉がこれまたすごいのでね。少なくともあれには生半可な技術とか通じないわよ」
「なるほど?獅子目言彦みたいなのがいるのね」
「誰それ?……まぁ、
「ちょっと待って?」
なんか今さらっと衝撃的なこと言わなかった?
ええと何々、月のウサギ達のバックには鬼と呼ばれるような相手がいる、と?
地上を不浄とか言っちゃうような月の民が住まうところに?地上的には不浄の権化とかになりそうな鬼が居ると?
……どういうこっちゃ?
「ああいや、地上の鬼と同一ではないと思うわよ、多分。無駄な殺生とかしないし、どっちかというとウサギ達が勝手に慕ってる感じだし」
「あーなるほど、世捨て人的な方向性だと。……それでも月に鬼がいる、ってのはちょっとあれだなー」
主に月に行く用事が増えた、という意味で。
……いやまぁね、姫様が言うことに間違いがないのなら、地上の鬼と違って人に迷惑は……いや、本人は掛けてないけど周りのウサギ達が掛けてたりしない?
「その辺はなんとも。ウサギ達が適当なのは彼のせいだとも言えるし、そこまで責任はないとも言えるし」
「うーんウサギ達が思ったよりあれな気配……」
脳裏に過るはアストルフォ。
月に関係しててわりと適当って言われると、ウサギ達の性格が彼に近いと言われてるような気がしてくるなー。
確かセイバーのアストルフォってバニーモチーフが入ってた気がするし。コヤン的には『ない』らしいけどね!
「そのあすとるふぉ?だとかこやんだとかは知らないけど……まぁ良くも悪くも癖のある子達が多い、ってのは確かよ。アライさんは比較的その辺まともで、かつ私達の言うこと聞いてくれるって部分があったから手伝って貰ったけど……他の子達にそういうのは、ねぇ?」
「そっかーフレンズより適当かー」
いやまぁ、別にフレンズも適当ってわけじゃないけど。
……それでも割合気ままな子達だから、それより癖が強いってなるとイメージが妖精()になってきたなー。
やっべぇすっげぇ行きたくなくなってきた、鬼がいるって時点でそうは行かない可能性大だけど。
「え?」
「月の都で名を馳せる鬼とか、地上の鬼が気にしてないはずがない。ってことは、倒された鬼が『我らが倒されても月の鬼が貴様に復讐を……』とかって巻き込まれる可能性がとても高い」
「……あ、桃太郎……」
お忘れでしょうか桃太郎、笑いながら鬼を斬る系男子だということを。
……うん、私にそのつもりはないけど、話を聞いたら斬りに行きたがると思うのよねこの肉体。
聞かなきゃ良かった、と天を仰ぐ私は悪いことしてないと思うんだ……。