なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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海と陸と空をコンプしろとガイアが囁いている

「……話を聞く限り、貴方もさっきの私と似たようなものなの?武士じゃないけど武士を気取ってる、みたいな?」

「あーうん、見ようによっては近いと言えなくもないというか……」

「はっきりしないわね……」

 

 

 その辺ややこしいんですよ……。

 というか話題にあげすぎると肉体が張り切っちゃうのでその辺にしてもろて。

 

 ……ってなわけで話題を戻すと、アライさん本人は多分地上にいるのでそういう(彼女を探すという)意味では月に向かう必要はないけども。

 鬼がいる、という事実だけでも桃太郎がそこに向かう理由にはなりえるので、最早『桃太郎、宇宙を翔る』的なことになるのは確定しているようなものだ、って感じだろうか。

 ……うん、真剣(マジ)に聞きたくなかったね、この話。

 

 

「そーもそも地上の鬼の話も残ってるんですがー?なんで対鬼戦闘二回することがさらっと決定してるんですかー?」

「む?海の鬼はいいのか?」

「おいこらカグスレさんなにを唐突に言ってやがりますか」

 

 

 ふざけんなよ今の発言で行かなきゃいけないとこまた増えたんだが???

 そんなこちらの剣幕に『む、よくわからんが済まない』と頭を下げるカグスレさんである。

 ……見た目ニンスレさんなのに普通に会話できるのなんか違和感凄いな……。

 

 まぁともかく、これ以上話を続けるのは宜しくない、というのは今のやりとりでよーくわかった。

 下手すると月どころかもっと遠い──火星とか冥王星とかに向けて鬼退治に行く羽目になる、なんてことになりかねない気がひしひしとしてくるというか。

 

 そんなわけなので、話題を変更するために──、

 

 

「とりあえず、ご飯にしましょう。ちょうど婆さまが用意してくれたみたいだし」

「今日はお鍋ですよー」

「へぇ、お鍋。いいわねお鍋」

「いいですな、お鍋」

「……一応聞いておくけど、貴方達の言うお鍋って私達の思ってるやつと同じものよね?」

「……?寧ろ違うことなんてあるの?」

さっきまで結構違ってたんだよなぁ……!

 

 

 スレイヤーとかウサギとか微妙に違ってたじゃんかぁ……!

 異文化コミュニケーションは難しいと言うけれど、よもやこんな童話世界でも味わう羽目になるとは思わへんやんか、止めてよねそういう地味ーに現実を思い出させるようなことするの()

 

 ……とか言いつつ、具材をよそった器を婆さまから受け取り、みんなに配っていく私である。

 この時代なので味付けはほぼほぼ具材そのものの味だけど、これはこれで嫌いではないというか。

 

 

「せんぱいは普段もあまり調味料を使われませんよね、どうしてなのですか?」

「……あー、聞きたい?」

「何故深刻そうな顔を……?」

 

 

 いやまぁ、あんまり食事時にする話じゃないというか。

 そんな風に目線を逸らす私に対して、なにやらマシュの方は興味津々の表情。

 ……これはあれか、自分の知らないせんぱいの話が聞きたい……的なやつか?

 ホントに面白い話でもなければ、基本的に食事時にやるような話じゃないんだけどなぁ……。

 

 とはいえこの時代の食事時、パソコンも無ければテレビもないので会話を求めたくなるような静けさが側にあることも事実。

 仕方なく、他の話題もないみたいなので私の話で場を繋ぐことにしたのであった。

 ……ところで、これって爺さま婆さま的にはどういう判定になるんかね?

 あれかな、桃太郎はここに来る前は大きかったのだ、みたいな感じになるとか?

 

 

「……まぁいいや。とりあえず前提として、私って一時期家を出てた時があるのよね」

「おや、それは初耳です。基本的にご自宅から通学されていたイメージしかないのですが」

「そりゃそうさね、マシュに会うより昔の話だし」

「……ふむ?」

 

 

 まぁ、その辺は色々あったということで詳しく話すことは止めておくとして。

 とりあえず、この場合の『家を出ていた』とは家出をしていたという意味ではなく、しばらく親元を離れて他の人との共同生活をしていたことがある……ということになる。

 

 

「大雑把に言えば寮生活をしてた、ってわけだね。寮の先生が管理してるようなタイプで、近い歳の子と一緒に生活してたというか」

「寮?寮ってあの寮?」

「……姫様が言う寮が私の思い浮かべてるやつとあってるかわかんないですけど、まぁそういうことになりますね」

「なるほど、だから……」

「……?」

 

 

 ……なんだろうねこの、あってるんだけど間違ってるよ、みたいな謎の空気感。

 大筋は間違ってないけど細かいところで認識の齟齬があるというか、齟齬といっても追求する必要性はほぼない気もするというか。

 あれかな、陰陽寮とかの仕事関係の話と思われてる?

 私の場合は桃太郎だから、侍達の集まり的なやつとか。

 

 ……よくわからんけど、指摘するほどのものではないという自身の直感も間違ってなさそうなのでここでは置いておくことにする。

 

 

「まぁともかく、しばらく寮で暮らしてたことがあるんだよ。……ただまぁ、当時はなにぶん子供でねぇ」

「はぁ」

 

 

 思い出すとなんとも渋い顔になってしまう。

 特に、今ではさほど気にしてないことが関係しているからなおのこと。

 ……とはいえこの情報だけだとなんのことやら、って感じに周囲のみんなはピンと来てないみたいなので続きを話すしかないのだが。

 というかあれだな、この反応だと爺さま婆さま設定はともかく知識はあっちの二人のそれ基準になってるなこれ?

 桃太郎が変なこと言ってる、みたいに困惑してないし。

 

 

「えーと話がずれたから元に戻すと。……寮生活ってことは衣食住を自分達である程度こなす必要がある、ってのはなんとなくわかるよね?」

「そうですね、集団生活となるとそういうことになるというのは、なんとなく」

「我らの忍寮もそうだな。……装束を洗う際に微妙に困ったりしたものだ」

「あー、闇に忍ぶんなら匂いがしないのも変ってやつ?」

 

 

 あれだ、隠れるためにわざと汚物を服に塗り込む……みたいなこともあったみたいだし、そういう匂いを完全に落とすのもまた問題があるというか。

 染み付いた匂いが隠れるのを助けることもあるし、寧ろ邪魔をすることもあるからどこまで綺麗にするか、みたいな部分で困るとかだろうか?

 

 ……まぁその辺は詳しくないのでスルーして話を戻すと。

 

 衣と住というのは意外となんとでもなる。

 衣に関しては基本洗って綺麗にすればなんとかなるし、住に関しても掃除をして綺麗にすれば問題はない。

 そう、この二つは基本やるべきことが似通っている上、それをこなすための方法というのもほぼ同じ。

 ゆえに、それらを日々の中で回すことは──続けるのがめんどくさいとかはあっても、それのやり方からしてわからないというのは珍しい……となるわけだ。

 

 

「全国の主婦・主夫の方々を敵に回したような気がしますが……」

「これで喧嘩を売られたって思う人の方がおかしいのよ、実際やることそのものは単純なことは間違ってないんだし。寧ろ単純労働だからこそ簡略化が難しくて負担が減らせない、って感じなんだもの」

 

 

 基本的に()()()()()()()()()くらいしかないというか?

 お手伝いでも掃除ロボでもいいけど、誰かが動かない限り残り続けるというか。

 

 そういう意味では残る一つである食、というのは中々に異色である。

 食べないと死ぬとは言うものの、場合によっては二・三日抜くような人だっている。

 他人に任せる際の難易度も、単純に出来合いのものを買うなど手段が豊富なこともあってそこまで難しくもない。

 

 ……まぁ、その分お金が掛かったりするわけだが……その辺は他の二つでもさほど違わないだろう。

 ゆえに、一番の差異はやはり()()()()()()()ということになるはずだ。

 

 

「上限とな?」

「そ、上限。……いやまぁ、掃除も洗濯も拘れば際限はないけどさ?とはいえある程度妥協してもそんなに困らないじゃん」

「そう……でしょうか?」

 

 

 一日で汚れる具合なんてたかが知れてるので、よっぽど酷いことになっていたりしなければほどほどでも構わない、というか。

 ……毎日欠かさず終わらせることこそが一番重要なので、サボればサボるだけ後々苦しくなるという方が正しい、みたいな。

 

 

「そういう意味では、料理って最低限求められるラインが高いのよね、特に日本人だと」

「海外の方はそこまで食事に拘らない、とも聞きますね」

 

 

 世界の状況をみる限り、寧ろ日本がおかしいのかもしれない。*1

 ともかく、日々の食事に対する要求値が高いというのは間違いないだろう。*2

 そうなるとどうなるのか、日々の負担の中で調理というものが結構な重さになる、ということである。

 

 

「単に食えればいい、ってだけなら幾らでも雑にできるけどね。でも健康とかに気を遣うとお金も時間も手間も避けられなくなるっていうか」

「それは確かに。……ですがそれがせんぱいの調味料云々の話と繋がるのですか?」

「繋がるよー?確かに食って本来水準を下げ辛いけど、()()()()()()()時はガクッと下がるじゃん?」

「……はい?」

 

 

 だから話したくなかったんだけどなぁ、とか思いながら器の中身を一口。

 ……普通に食べられるって幸せだよなぁ、とか思いながら私は答えとなる一言を告げたのだった。

 

 

「まぁ色々はしょって答えだけ言うと。……寮での食材管理が雑でね。普通に一月・二月、下手すると一年以上賞味期限の過ぎた調味料がそこらに転がってたし、他の子達は気にせず使ってたりしたんだよ」

「……それは……その……」

「今となっては賞味ならそこまで気にしなくても、ってなるけど当時の私はまだ若かった。そんなの使うくらいならそのまま食べるよ、なんて風になるのはおかしくないと思わない?」

 

 

 まぁ、ある種のトラウマみたいなもの、ってわけである。

 ……なお、この時代の人達には賞味期限云々の話はよくわからなかったようで、四人で顔を見合わせたりしていましたとさ。

 いや、なんだったんだろうねこの一連の流れ?

 

 

*1
よく取り沙汰される話。海外においての食事というのは『ある程度特別な日に張り切るもの』で、毎日食べるものが全く同じ、ということも少なくない。さらには手間もさほど掛けないことが多く、パンにジャムを塗っただけのものが真剣に食事として出てくることもあり、各国料理をイメージして他国の食事を覗くとギャップに苦しむことになる。酷い言い方をすれば、普段の食事に関しては大抵の国がイギリスを悪く言えないレベル……というか

*2
日本で食事を作る際に負担になる事柄について意外と多いのが『献立を考えること』だったりする辺りが中々に根深い。学生がお金がないのをパスタばかり食べて乗りきる、みたいなことを家族のいる状態で行うと酷いことになるだろう。なお海外ではそういうパターンの方が一般的である(貧乏だからではなく、それが当たり前なだけだが)

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