なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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気持ちのいい朝だねェ~

 はてさて、次の日の朝である。

 あのあと食事を終えた私達は、灯りを無駄遣いする意味もないので早々に床についたのだった。

 ……灯りに使う油もタダじゃないからね、仕方ないね。

 

 で、私の方はこうして時間きっちりに目が覚め、外で日課の素振りをしている最中ってわけである。

 

 

「そしてそんな私の姿を見て、死ぬほどビックリしているのがそこのマシュさんです」

「あっそのいえ別に『まさかせんぱいがお一人で起きられるだなんてっ』なんて失礼なことを思ったりはしていませんよ!?していませんからね!?」

「語るに落ちるってやつじゃねーんですかねそれは」

 

 

 いやまぁ、私だってこんなきっちり起きられるとは思ってなかったけども。

 本人もそう思っているのに結果は違う……ということはだ、その答えはとてもわかりやすい部分にあるとわかるはず。

 

 

「……はっ!桃太郎さんですか……!」

「うむり、その通り。今の私は背格好とか性格とかは元の私のままだけど、その他細かいところに桃太郎の影響が地味に出てきてるんだよね。マシュのそれみたいに」

「……はっ!?」

 

 

 うん、朝から竹刀を持ち出してなにしようとしてたんだ君は()

 違うのです違うのですと大慌てする彼女に深くため息を吐く私である。

 

 ……うん、確か被虐的な快感に晒されている時の育ちゃんの台詞とか目とかって、本人的には認識してないとかいう話だったよなぁ。

 それと、肉体に比べ精神面の耐久が高くないというのは事実でありつつも、その上で精神的なダメージ自体も好物……みたいな感じだったか。*1

 

 はい、つまり今のマシュ、せんぱいに言葉責めされるのを密かに愉しんでおります(白目)

 本人が気付いてないっぽいんで指摘し辛いのが困りもの。

 流石にそこ指摘した分のダメージまで受けきれる気がしないからね、仕方ないね。

 

 

「おっと姫様もお早うございます。煩かったですかな?」

「まぁ、ちょっと騒がしかったことは事実だけど。別に普通に起きてきただけよ?」

「……か、かぐやさんが普通に起きてきた……!?」

「で、この子はなんでこんなに驚いてるわけ?」

「その辺は色々事情があるのですよ」

「はぁ、事情ねぇ」

 

 

 なので、話を明後日の方向に投げ捨てるような姫様の登場は、とてもありがたいものなのでありましたとさ。

 ……まぁ、姫様がほぼほぼぐーや──東方のかぐや姫の姿をしているからこそ、って面も大きいのだろうけど。

 一昔前のファンの認識って、わりとニート姫様って感じだからねぇ……。

 

 

「昼行灯タイプだからマシ、って感じではあったけど。……それはそれとして、姫様は早起きしてなにを?」

「んー、ちょうどいいから貴方の実力でも見ておこうかと思って」

「ぬ、武道派姫様なんです?手合わせ希望?」

「違うわよ、ってか姫を前線で戦わせようとするなっ」

「えっ、姫騎士とかではないんです?」

「いや()()ってなによ!?」

 

 

 む、月は地球より進んでるみたいだから、他所の国の情報も持ってておかしくないと思ってたんだが……この分だとそうでもないのかな?

 もしくは、姫様だけ知らなくてカグスレさんとかは知ってる、みたいなパターンか。……後で確認しておこう。

 

 

「そういえば、カグスレさんはどちらに?もしかして既に護衛任務に戻ってたりとか……」

「いや、まだ寝てるけど」

「あれー!?」

 

 

 なんで寝てるんだあの人。……いや本当になんで寝てるんだあの人!?

 

 昨晩の説明的に彼は姫様の護衛役なのだろう、ならば職務としてそれを全うする義務があるはず。

 ……というかだ、ほぼほぼニンスレさんなのにも関わらず眠りこけてるとはどういうことだよ!スッゾコノヤロー!!

 

 

「仕方ないわよ、あの人低血圧だもの」

「……あ、そういう概念はあるのね」

「え?どういうこと?」

 

 

 低血圧は朝弱いことの理由ではないらしい、って話。

 裏返すとそれでもそういう話が出てくるくらいに噂として浸透しているってことになるが、そこまで説明する意味は特にないのでここでは流しておく。

 

 とりあえず話を戻すと……私もとい桃太郎の実力が見たい、みたいな話だったか。

 

 

「とは言いますが、なにをすれば?型とかまぁないこともないですけど、基本我流なんで見ても面白みはないと思いますよ?」

「……その言い方だと流派の開祖、ってことにならない?」

「いや、開祖ではないですね」

我流なのに!?

 

 

 その辺はややこしいんですよ……。

 まぁ勘のいい人ならわかるかと思うが、ここでいう『我流』とはすなわち『神断流』のことである。

 ……同時に『流派じゃん』とか『我流ではないのでは?』みたいなツッコミも飛んできそうだが、その辺にも一応理由はある。

 

 何度か説明している通り、『神断流』とはその実【星の欠片】の一つである。

 ()()()()()()()()()()()に可能性を見出だしたタイプの割と変人……もとい珍しいタイプの【星の欠片】であるそれは、他の【星の欠片】と比べた時に明らかに違う部分というものがある。

 

 それが、原則一つの世界に一つだけ、という【星の欠片】の性質を端からぶっちぎってるということ。

 本来の【星の欠片】とは世界の滅びと同義、かつそれそのものが新しい世界そのものである、とも何度も説明していると思う。

 それゆえ、本来であれば【星の欠片】同士というのは干渉してしまうものなのだ。具体的にはより強い世界の方が勝つ(負ける)、というか。

 

 ……え?ややこしい?

 この辺は【星の欠片】の基本原理なので慣れて貰うしかないね。

 まぁともかく、強い世界の方が勝ってしまうのは当たり前であり、それが新たな飛躍を掴むのもまた当たり前のこと。

 ……結果として『立つ鳥』となってその場を去り、空いたその世界(ばしょ)に負けた方が取り残される、というわけである。

 この流れは【星の欠片】の存在フラグが有効になっている場合、必ずと言っていいほど起こる流れであり例外はとても少ない。

 その数少ない例外のうちの一つが、『神断流』の存在っていうことになるわけだ。

 なお、他の例外は存在そのものが別枠な『星女神』様とかが関わるパターンだけなので、『神断流』が割と特殊な部類に入るのはなんとなく理解できると思う。

 

 ……で、その前提を共有した上で説明を続けると。

 例外である『神断流』だが、実のところ明確に要素を見ていくと本当は例外でもなんでもない(ような気がしてくる)枠だったりするのだ。

 というのも、『神断流』の使い手というのは基本()()()()()()()()()という原則があるのである。

 ……え?お前のとこは他の人も使ってたりするじゃないかって?その辺がややこしいってわけだよワトソン君。

 

 詳しく説明すると、『神断流』にとって使い手だと認めているのは一人だけなのだ。

 わかりやすく説明すると、正当な後継者は一人だけ、他は門下生みたいなもの……みたいな?

 あれだ、一子相伝だけど技の使い手自体は意外と多い北斗真拳とかがニュアンス的には近いかも?*2

 

 なお、『神断流』における正当な使い手の条件は中々に面倒臭く、その中でも特にあれなのが『新しい術理を生み出すこと』。

 わかりやすく言うと『なんか新しい技作って♡』となるのだが……これが『神断流』の特殊性に寄与してるってんだからなんとも。

 ……他の【星の欠片】と競合しないのはまさにこれが理由で、新しい技ができた時点で『神断流』の【星の欠片】としての影響力は消え去るのである。

 いやまぁ、『神断流』としての影響力は消えないんでまたややこしいんだけど。

 

 えーと……あれだ、本来【星の欠片】の持つ新世界創造権利を『神断流』は新技開発権利として消費してる、みたいな?

 明らかに両者が釣り合ってないんだけど、『神断流』は数多の世界に跨がっていることから、それらの世界全てで権利を行使することでバランスを取っている、とも。

 

 ……まぁそういうわけでして。

 つまるところ、『神断流』を自身の流派として語るには新技の開発が必要不可欠であり、今のところ私にその予定はないし、そもそも私自身【星の欠片】なのでその権利も無さげ。

 結果、『神断流の剣士』を名乗るには色々足りてないため、我流の身であると説明するしかないのでありましたとさ。

 

 

「……よくわかんないけど、免許皆伝でもないのに流派を名乗るのは許されない、的な理解であってる?」

「まぁ、そんな感じですね。……おっと、そうこうしているうちに」

「ん?」

 

 

 などとあれこれ説明しているうちに、どうやらお天道様が地平線から顔を出す時刻になったようだ。

 まだまだ薄暗かった周囲も次第によく見えるようになり、鳥達も起き出してきて疎らながら鳴き声が聞こえてくるようになる。

 

 そうなればやることは一つ、日の出への挨拶だ。

 これは日課なので、まだ床にいるのだろう爺さま婆さま、それからカグスレさんも起こして来なければならないだろう。

 

 

「……ん?日の出への挨拶っていうか、日の出の鑑賞ってことよね?」

「元旦でもないのに、ですか?」

「あれ、二人はそういう習慣ない感じ?あれかな、竜宮城と月の都だと違うってことなのかな」

「「???」」

 

 

 おや、二人して不思議そうに首を傾げてるわ。

 とはいえその辺を説明してる時間が惜しいので、二人をその場に置いたまま私は家の中へ。

 よくわからず眠気眼を晒しているカグスレさんはともかく、爺さま婆さまは私の言葉を聞いてしゃっきりと起きてきたのだった。

 ……うん、若返る前はもうちょっとゆっくりだったから、そういう意味でも元気になったんだなって実感するね。

 

 はてさて、困惑する三人を置き去りに、支度を整えた私達は日が顔を出し始めた地平線に向いて大きく挨拶を投げ掛けた。

 

 

「「「おはようございますお天道様ー!!」」」

「……い~い挨拶だねェ~」

「「「!!?」」」

 

 

 するとどうだろう、その挨拶に返事をするように大きな声が返ってくるじゃあありませんか。

 それはお天道様のおはようの挨拶、国民達はそれを傾聴する、というのが朝の日課なのだ。

 

 

「今日も一日、頑張って行こうねェ~」

「「「はーい」」」

「「「なにあれ!?」」」

 

 

 地平線からすっかり顔を出したお天道様──黄猿太陽に挨拶を返せば、他の面々はなにあれと即座に詰め寄ってきたのでしたとさ。*3

 ……この分だと本当に知らない感じかな?

 

 

*1
ホラーやら振られる妄想やらでも興奮できる。基本的に自分に向くモノは大丈夫、というのが正解。なので他の人がキツくなるような状況には普通に凹む。そういう意味でもマシュと相性がいい……もといシールダー向きと言えなくもないのかもしれない()

*2
『北斗の拳』に登場する暗殺拳のこと。作中ではラオウやトキなども使っているが、正式な伝承者はケンシロウただ一人である

*3
ワンピースの海軍対象の一人。本名ボルサリーノで、ピカピカの実を食べた光の化身……みたいなもの

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