なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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聖夜に雪を降らせる必要性、なくない?

「はーい、そーいうわけでさもしい男性陣も仲間に入れて、今日は遊び倒しまーす」

「わーい」

「いやわーいじゃねぇよ。さもしいってなんだよさもしいって」

「……さもしいとは、どういう意味なのですか?」*1

「あ?……あー、可哀想、みたいな?」

「なるほど。ハセヲは博識ですね!」

「お、おう……」

 

 

 うーん最初からぐだぐだだな?

 ……そんなことを思う、毎度お馴染みキーアんでございます。

 

 っていうかハセヲ君よ、本編の君よりもなんか純情っぽいのは、その本編の記憶が最後まであるから……みたいなあれなのかい?

 ……というような感じで、アルトリアに詰め寄られ、思わずたじたじになっているハセヲ君を見ている私である。

 声が原作のヒロインと同じなのもあってか、なんというか通常よりも割り増しで押され気味、というか?……まぁ、端から見てる分には面白いので、特になにか彼を補助しようー、とかは思わないのだけれど。

 

 

「銀さん、今日はちゃんと起きられたみたいですね」

「あー?……あー、まぁ、ゴジハムに起こされたしな」

「ふふ。私が起こさなくても大丈夫なんですね、安心しました」

「……いや、なんなんだよその台詞。お前は俺のかーちゃんかっつーの」

「おや、母性をお求めですか?」

「ちげぇーよ、調子乗んなっ……ったく」*2

 

 

 その他は……一応ポジション的には新八君になるからか、自然と銀ちゃんの斜め後ろに回った桃香さんが、大和撫子的三歩後ろ*3、みたいな感じになっていて笑ったとか。

 

 

「おおー、君がキリトちゃんだね!私、保登心愛!宜しくね?」

「え、ああ、宜しく。……あのさ、なんでこの子、こんなにフレンドリーなんだ?

それはですね、どうにも綿貫さんに桐ヶ谷さんが妹扱いされていたことを、どこからかお耳に挟んだみたいで……

「……キリエライトさん。俺、崖から飛び降りてくる」

「それは二重の意味でどうかと思うのでしゅが!?」*4

「妹同士、仲良くしようね?」

「うわぁぁぁぁぁあぁぁ嘘だぁぁぁぁぁあぁぁっ!!!」

「うわっ、びっくりした」

 

 

 はたまた、いつぞやかのはるかさんからの妹扱いの件を聞いていたらしい、ココアちゃんからの仲間判定に耐えられなくなったキリトちゃんが、近くの手すりからフライハイしそうになっているのを、マシュが必死に止めていたりだとか。

 ……その横でライネスが、涙目で腹部を抑えながら大笑いしているのが視界に入るせいで、どうにも危機感とかが吹っ飛ぶ光景になってしまっているけども。

 

 まぁ、そんな感じに和気藹々。なりきり郷はいつもハレときどきぶた、というわけであります。*5

 

 

「は?豚?いきなりなにを言い出すんだキーア、酔っ払うにはまだ時間が早いぞ?」

「飲んでないっての。……ほら」

「ん?……んんん?」

 

 

 そんなこちらの独り言に、いつの間にか近付いて来ていたライネスが反応を示すが……別に適当な冗談を言ったわけではない。

 

 なりきり郷の天候については、それを整備する者が居る……みたいなことを述べたことがあるが、逆に言うとそれを()()されると、適当な天気を好きに操作できてしまう……ということでもあるわけで。

 

 つまり、どういうことかと言うと。

 ……典型的な豚面のオーク君達が、空からぴゅーぴゅー落ちてきてるわけなのであります。

 いやまぁ、流石に雨と言い張るような量ではない、疎らな感じの降下ではあるけども。

 ……いや、それそのまま地面にぶつかって、潰れたトマトになるやつでは?

 なんなの?お茶の間にスプラッターをお届けしたい感じなのこれ?

 

 みたいな感じに、文字通り養豚場の豚を見る目になっている私なのであります。……まぁ、多分『しっと団』の破壊工作、的な奴なんだろうけども。あのオーク達も【顕象】なんだろうけども。

 ……なんというかこう、もうちょっとやりようがあるのでは?と、思わず憮然とした表情にならざるを得ない、私でございましたとさ。*6

 

 そーいうわけなので。

 

 

「……ちょっと行ってくる」

「は?ちょっ、どうするつもりだキーア?!」

「流石に可哀想だから助けてくる!」

「はぁっ?!」

 

 

 ベンチから立ち上がって、そのまま空を翔ける私。

 

 ……いやまぁ、落っこちてくるオーク達が、アダルト系によくあるアレな奴だったらほっといた……もとい撃ち落としていたと思うのだけれど。*7

 降ってくるオーク達が、皆一様に涙を溢れさせながら、『死ニタクネェェェ』みたいなことを叫んでいるのが、僅かに聞こえたのである。

 

 施設を占拠して雨を降らせているのが『白面の者』であるならば、その一面として生き物の恐怖を集めるために行っている……とかが理由なのだろうけど。

 ……趣味が悪すぎて眉を顰めるタイプのやり方なので、ちょっと同情心が湧いてしまったというか。

 

 なので気紛れにちょいとレスキューしとこうかな、と思ったわけなのだ。

 

 

「ふむ。では私も手伝おう」

「……いやオグリさん?なんでナチュラルに空を翔けていらっしゃるので?」

「気合いだ!それと杵柄!」

「こわーい、この子こわーい」

 

 

 そんなことを思考しながら翔んでいたら、ふと背後から聞こえてくる声。

 翼もないのに空翔ける、空を踏みしめ走り出す……とでも言わんばかりのオグリキャップ、推参である。

 ……スキル(『王の馬』)で翔けているのではなく、単純なスペック(と、『王の馬』で空を走ったことがある、という経験)で走っているのだというのだから、末恐ろしいというかなんというか。

 このノリだと、その内『オゾンより下なら問題ない』とか、『オゾンより上でもなんとかなる』*8とか言い出しそうで怖い。……ふふふ、怖いか?私は怖い()*9

 

 

「まぁ、手伝ってくれるっていうんなら有り難くお願いするよ。……それ、『多重影分身の術』!」*10

「……あれ?実は私の手伝い必要なかったのか?」

「全部自分でやるのは寂しいから、そういう意味では嬉しいねっ」

「なるほど、ではこちらも本気を出すとしよう。───『王の馬』(ウマンザム)!!」*11

「……あれれーおかしいなーへんなことばがきこえたぞー?」

 

 

 とはいえ、それでも手は足りていない。

 空を飛べる人物は少ない、みたいな話もどこかでしたような気がするけど、そこから更にオークの救助までしてくれるような奇特な人物は……人物は……、あれ?結構いるかな?

 

 ……ま、まぁ。今現在ここにはいない、と言うのは確かなので、手数を増やす意味でもここは私が一肌脱ぐ場面だろう。

 ってなわけで選択したのが、自分を増やす忍術『多重影分身の術』。

 ()()()()()()私とは相性がいいこの技で、今回は四十八人に増える……すなわち『KYA(キーア)48』!

 ……うん、自分で言っててバカかこいつ感が凄いので、口には出すまい。*12

 

 ともあれ、これで地面に真っ赤なお鼻……もとい真っ赤なお花を咲かせることもなく*13、オーク君達を無事に地面に下ろすことができるだろう。

 ……と思っていたら、オグリが突然無茶苦茶言い出した(だが奴は弾けた)*14

 

 ……え?『王の馬』って無くなったんじゃないんです?って言うか不穏なルビじゃなかったか今?というかそれ二倍じゃなくて三倍ではっ!!?

 みたいなこちらの困惑を他所に、「勝負だキーア!」などと宣いながら、オグリは真っ赤に光ってその背に光の穂を引きながら、オーク達に向かっていった。……いやそれ多分アカンやつぅっ!!?

 

 勢い余って体当たりとかしかねない珍事に、思わず作戦目標を『オグリが無茶をしないように』と変更するはめになる私なのであった。

 

 

 

 

 

 

『……で?トランザムで吹っ飛んで行ったオグリちゃんが、勢い余って撲☆殺しかねないように注意しつつ?オーク達を助けてあげてたら?何故かオーク達に妙に懐かれた、と?』

「……はい、その通りでございます……」

 

 

 通信機越しのゆかりんが、呆れたような表情を浮かべている。

 

 あのあと、「我が世の春が来たぁっ!!」*15的なことを述べるほどにハイになったオグリをどうにか落ち着かせつつ、空から降ってきたオーク君達を救助したわけなのだが。

 ……こう、出来得る限り怪我とかしないように丁寧に対応してたら、なんか懐かれてしまったというか。

 

 ゆかりんからは、恐らく私の後ろにオーク達が『アネサンアネサン』言いながらわらわらしてるのが見えているのだろう。……カタコトで『○○サン』って言うの、なんか一瞬ビクッ……ってなるんで、出来ればやめて欲しいんだけど。*16……彼等に普通に喋れと言っても、無理があるだろう。

 なおこのオーク達は、雰囲気的には『いいオークの日』*17とかに描かれているような、わりと善良なタイプのオーク達であった。

 

 ……察するに、『白面の者(自身)』を呼び水にして呼び出せるのは陰の者だけだが、それだと力の増幅にはならないので、陰ではあるが陽に属している感じの『いいオーク』を呼び出した、とかなのではないだろうか。

 いやまぁ、占拠されてた天候操作施設はもぬけの殻、近くで縛られてた職員の人も、なにがなんだかわからない内に目隠しされて、それに慌てている内に意識を失った……みたいな感じらしく、施設を占拠した相手がどんな感じの存在だったかは、一切見ていないらしいのだが。

 

 ……目隠ししている辺り、姿としてはまだ『しっと団』なのだろうか?そうなると『白面の者』の尻尾の一つが『しっと団』になっている、のか……?

 

 

「それはひょっとしてギャグで言ってるのか?」*18

『突然劇画調にならないでちょうだい。……とにかく、そっちのオーク達はルーツさんのところにでも送っておくわ』

「え゛。……いやそれ死ねと仰ってますか?」

 

 

 なんて風に考え事をしていたら、ゆかりんから告げられたのはオーク達の行き先。

 ……()()()の元にオークが云々なら、出来の悪い成年向け二次創作を思い浮かべる字面だけども。

 ()()()()()の元にオーク云々は……蹂躙系オリ主二次創作ですね、わかります。

 

 流石にデッドエンド以外の道が見えてこないのですが、アレでしょうか?ゆかりんは私をも越える鬼畜生だったのでしょうか……?

 などというこちらの考えを読んだらしいゆかりんが、深々とため息を吐いた。

 

 

『以前のあの人なら、それが一番現実的な未来だったでしょうけど。……あさひちゃんの姿を得てからのあの人は、昔ほど話の通じない人じゃなくなってるわよ。まぁ、それをそうさせたのは貴方、なんだけど』

「え?私?」

 

 

 何故か知らないけど、ゆかりんにすごーくジト目で見られている。悪寒を感じて振り向けば、マシュがニコニコ笑っていた。

 ……いや違うぞ、なんか勘違いされてるけど違うぞこれは?

 

 

「……なんつーか、人のこと言えねーよな、キーアって」

「だな。俺達も原作云々でよく言われるけど、あの人は現在進行形で()が原作みたいなもんだし」

「あれー?!なんか謂れのない不当なディスり受けてないかな私?!」

「せんぱい?以前は流しましたが、あさひさんとの御関係、詳しくお聞かせ願えませんか?」

「ひぃっ!?マシュが怖いっ!!?誰だよぅマシュにほんのりヤンデレ混ぜたの!!興奮する!!」

「!?」

 

 

 なお、『fgo』ではきよひー(清姫)も実は推しである……という性癖の開示*19を唐突に行うことにより、一瞬の虚をついて包囲網から逃げ出したことを、ここに記しておきます。

 

 

*1
心が汚く卑しい、浅ましいということを示す言葉。完全に侮辱語なので注意。……言葉の響きは、なんだか可愛らしいが

*2
坂田銀時は孤児である。……母性を求めるのも仕方ない、かも?なお、そのため『特別な出自ではない』という話は、実際には疑問符が付いたりする

*3
『女は男の三歩後ろに下がるべし』的な言葉から。元々は『七尺去って師の影を踏まず』という言葉が、『七尺』から『三尺』、『三尺』から『三歩』に代わり、師が夫に、弟子が妻に置き換わった……という説があるが詳細は不明。男は基本的にプライドの生き物なので、彼等のプライドを守ってやるように後ろに下がるのが、器の大きい妻のやり方……みたいな感じの言葉だったようだが、時代の移り変わりと共に古い概念となって廃れていった

*4
普通に『崖から飛び降りて死のうとするのはよくない』というのと、『ソードアート・オンライン的に崖から飛び降りるのはよくない』ということからくる言葉

*5
『ジャングルはいつもハレのちグゥ』及び『はれときどきぶた』という作品から。どちらもアニメになっているが、『ジャングル~』の方は金田一蓮十郎氏の漫画作品、『はれときどき~』の方は矢玉四郎氏の児童文学作品である

*6
『憮然』とは本来『驚いた・呆れたなどの理由からぼんやりしている・呆然としている姿』を示す言葉だが、近年では『気に入らないことなどが起きて不機嫌な姿』を示す言葉としても使われている。後者の方は元々誤用だが、近年では間違いとしては扱われなくなっているようだ。似たようなモノには『情けは人のためならず』などがあるが、こっちはこの手の話題で必ずと言っていいほど例に上がるので、知っている人も多いのではないだろうか

*7
『オーク』は元々『指輪物語』シリーズに端を発する種族(エルフとの近縁種とされるのも『指輪物語』内にてそう記されているから)だが、こちらは挿し絵を見る限り豚っぽいタイプではない(どちらかと言えば鬼系)。この辺りは『ダンジョン&ドラゴンズ』のオークのイメージが関わっているのだとか。なお、いつからオークがアダルト関連で引っ張りだこになったのかは定かではない……ゴブリンに関しては、『ゴブリンスレイヤー』以降に増えたような気はするが(なお、()()()のであって、昔からゴブリンもそっち方面の出番は多い方である)

*8
『遊☆戯☆王5D's』の楽曲の一つ、『-OZONE-』の歌詞の一文、及び作中の描写から。因みにオゾンとは地球の周囲に幕を張っているオゾン層のこと。これより上は宇宙だと思えばまぁ間違っていない。……オゾンより上でも問題ない。そう、ゴールド蟹ならね

*9
『艦隊これくしょん-艦これ-』における天龍の台詞『オレの名は天龍。フフフ、怖いか?』から。フフフとか言うせいで『フフフ、デッドエンドシュート!』とかくっついたりする

*10
『NARUTO』より、うずまきナルトの得意な術。『分身の術→影分身の術→多重影分身の術』の順に高等な術になっていく。なお『多重影分身の術』が禁術なのは、実体を持つためにチャクラ消費が激しい『影分身の術』を更に複数発動するものであるがために、生半可な術者ではチャクラを使い果たして死んでしまう危険があるから、である

*11
『TRANS-AM』と『ウマ』を組み合わせたもの。無論そんなもの原作にはない。オグリ、ウマンザムは使うなよ?

*12
『AKB48』などのアイドルグループの名前から。なお、『AKB』の部分は『秋葉原』の略などとも言われるが、『48』の方の意味は不明。意味なんてない、なんて風に言われることもある

*13
ジョニー・マークス氏作詞作曲の童謡『赤鼻のトナカイ』の歌詞の一文から。モノは考えよう、という感じの歌。赤鼻そのものに関しては、なんにも解決していない

*14
だが奴は……弾けた。『遊☆戯☆王5D's』での不動遊星の発言。今までのイメージを壊すような言動を取ったモノに送られる言葉

*15
(ターンエー)ガンダム』(∀は本来は『ユニバーサル・シンボル(全称記号)』と読む。ターンエーと読むのはあくまでもこの作品だけ)に登場するキャラクター、ギム・ギンガナムの台詞。後年なにかしらの作品にゲストとして登場する時は、戦闘狂過ぎるキャラ付けをされていることが多いが、原作ではもうちょっと思慮深く行動できたりもしたし、そもそも模擬戦しかしたことなかったりとか、今の人が感じるイメージとはちょっとずれていたりする。……『テイルズオブデスティニー』のバルバドス・ゲーティアとは、キャラ付けが極端になってる仲間として仲良くなれるかもしれない。勝手に殴りあってるかもしれない……

*16
任天堂のロールプレイングゲーム『MOTHER(マザー)』シリーズのキャラクター、ギーグのとある場所での台詞『ネスサンネスサン……』から。なお実際には『ネスサン』は結構な回数言われ続ける。実際に見て貰えればわかるが、言われる場面も相まって普通にトラウマになる怖さ

*17
『11/09』日のこと。いわゆる語呂合わせ。悪役イメージが強いオークを、敢えて善人キャラとして描くことでギャップを狙ったとかなんとか。最近は普通にいいオークも増えて来たので、敢えてこの日に作品を上げる必要性は薄れている……かもしれない

*18
『魁!!クロマティ高校』で登場した台詞。ギャグ漫画のネタ解説はどうかと思うので詳細は省くが、まぁ誰しも発言時の状況に陥ったら似たようなことは言うと思われる。使い勝手が良いので、色んなところで使われる

*19
『性癖の開示!!本気だね』は、『呪術廻戦』の作中のシーンで真人が『術式の開示!!本気だね』と述べたコマをコラにしたもの。『呪術廻戦』において、自身の術式を相手に開示するというのは、それによって自身に『縛り』を付ける事ができ、それによって自身の術式の効果があげることができるから、というのが主な理由である(そういう意味ではケルトのゲッシュなどにも近いか)。……性癖の開示に、そんな理屈は通用しない。単に言いたかっただけである。──なお、相手の虚を突くという意味では、意外と有用な手だったりするかもしれない。……なんでさ?


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