なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「酷い目にあった」
「同じく」
散々胴上げされたせいで、髪がボサボサになっているキリトちゃんと、今時女子ってなにするのが正解なのか、わからずに干からびた私。*1
程度や方向性は違えど、酷い目にあったことだけは共通している私達。きっと、仲良くなれると思うんだ。
……みたいなキリトちゃんの生け贄作戦は、初っぱなから気付かれて頓挫しました。ちぇー。
「ちぇー、じゃないっての。……って言うか、よくわかんないからとりあえずボウリングだーってのもどうなんだ?」*2
「仕方ないでしょう、私達中身大学生。今時若者中高生。オーケー?」
「いやなんだよその、中途半端にカタコト気味な喋り方……」
他の人達の元の年齢がどうなっているのかとか、詳しく聞いたことないのでわからないけど。
まぁ少なくとも私とマシュ(それからここには居ないけどBBちゃん)に関しては大学生なのは確定。……それと、ライネスは多分それなりのお歳の方なんじゃないかなーと思う。
コーヒーミルやらフィルターやらを使ってのコーヒー抽出とか、趣味で齧ってるレベルにしちゃあ、ちょっとばかり腕が立ちすぎてるところがあるし。
……個人的な予想だけど、中の人は喫茶店のマスター、とかだったんじゃないかな?
まぁ、中の人の年齢云々なんて、正直
考えてもみてほしい。『逆憑依』とはざっくり言うと、『聖杯からの知識』が『憑依元となった人間の知識』に差し替わった『英霊召喚』みたいなものなのである(実態が本当にそうかは別として)。
……つまり、憑依元の人間の生きてきた経験こそ知れようとも、それはあくまで知識でしかなく。
……え?じゃあなんで今時女子の遊びがわかんねー、なんて話になるのかって?
そりゃ勿論、ここにいる人間に『ごく一般的な少女』がほぼほぼ居ねーからだよっ!!
それ以外は
肉体の年齢という区分でなら、みんな歳若い女性と言えるだろうが。……どっこい、感性が普通の少女とは言い難いわけで。
そもそもに一般人枠のココアちゃんにしてみたって、あの杜王町……違ったあそこ名前わからんのだった。*6
……えーと、ともかくごちうさの舞台の街自体、明らかに普通の街とは言い辛い感じの環境なわけで。*7
というかそもそも時代設定からしてよくわかんないしあそこ。近くにゲーセンとか絶対無いでしょ、あれ?
まぁ、そんなわけで。
……あさひさんが実際にあさひだったとしたなら、彼女が一番普通に該当しそう……というのもまた笑い話だろう。
だから、女子が集まったらとりあえずやっとけ、みたいなきゃいきゃいした空気も、私達には早々用意できない夢物語となっている……みたいな感じである。以上説明終わり!
「……あー、長々と管を巻いてたけど。要するに単なる愚痴ってことでいいんだよな?」
「……日々の愚痴を言い合うのって若い子的にどうなんだろうね?」
「いや、俺に聞かれても……」
……そうして、話を聞いてくれていたキリトちゃんからの、微妙な視線を受けながら。
改めて、わりと大所帯となってしまった一団がレーンに向かっていくのを、販売機で買ってきたコーラをストローから吸い上げつつ眺める。
遊びに困ったら、ボウリング。……なーんて理屈が、今も通じるのかどうかは知らないけども。
見目分かりやすく、初心者も楽しみやすいボウリングって、遊びの場としては結構良くできてるよなー、と今更ながらに思うのであります。やることと言えば、ボールを投げてピンを倒すってだけだからね。
「人数が多いので、二組にわける形になっちゃいましたけどね」
「はるかさん。……いやー、なんか引率の先生みたいな扱いしてすみませんねー」
「……あ、あはは。……いやいいんですよ。だって女子の中だと一番歳上なのは確かですし……あはは……」
「……あ゛」
「なんだよその声。なにか気付いたのか?」
「いやその、よく考えたら一人だけ女子の中だと、見た目年齢が周囲より高いんだなはるかさん……ってことに気付いてしまったというか……」
「……それ、絶対本人に聞かせるなよ」
「気を付けます……」
そんな風にボウリングの新規参加のしやすさについて、無意味に思いを馳せていると。
お手洗いに席を立っていたはるかさんが、元の席に戻る前にこちらに近寄りながら声を掛けてきたのだった。
さっきのカウンターの手続きでも、率先して前に出てくれていた彼女だけれど。
……よくよく考えたら、単純な見た目的には女性陣の中だと一番歳上に見えるんだな彼女、と今更ながらに思い至ってしまった。
いやまぁ、キャラクター的な年齢を言えば、あさひさんとか中身的に結構な年齢だろうし、私も設定的にはヤバめな年齢してたりするし……って感じで、決して最年長ってわけではないのだろうけど。
ご覧の通り、あさひさんは見た目はあさひなので、高く見積もっても高校生。私に至ってはどう見ても小学生である。
……えーと、
うん、こりゃはるかさんが引率というか纏め役というか、なんにせよ代表者に見えるってのは、間違いでもなんでもないだろう。そもそもスーツ姿だしこの人。
うーむ、変な心労貯めてなきゃいいんだけど。
だってほら、あれこれ言ったけども結局のところ、なりきり郷で周囲の目が云々とか笑いすぎて、腹で茶が沸かせるような話だからね!
いやいきなりちゃぶ台をひっくり返すなよ、というキリトちゃんの言葉を聞き流しながら、私の番が来たのでボールを持ってレーンに飛び出すのでしたとさ☆
「やー、遊んだ遊んだ」
「倒されたピンが、いつの間にか謎の小さいタイツ姿の変質者に変わってる……とかが無ければ、もうちょっと楽しかったのだろうけどね」
「あれはあれで面白かったっすよー?ひれ伏せ愚民共ーって感じで」
時間は再び進み、現在お昼頃。
ボウリングで遊び倒して程よく疲労を貯めた私達は、近くのファミレスに足を運んでいたのだった。
……なりきり郷にもファミレスあるんだなぁ、なんて思っていたのだがそれもそのはず、ファミレスって創作での登場頻度が高い上に、そもそもにそこを舞台にした作品も存在するから、実は建築優先度が結構上位な物件なのである。*8
生憎と某帯刀したウェイトレスみたいな、わかりやすい人は居ないけれども。*9
代わりに奉仕者繋がりなのか、スカートの下から手榴弾とか転がって来そうな見た目のメイドさんとかが、普通に給仕を行っている姿が見えていたりする。……いやまぁ、ちょっとビクッとしたけど、特にドンパチに発展する様子もないので大丈夫な……はず……。
自信がない理由はライネスの言う通り、ボウリング場でも『しっと団』の気配が見え隠れしていたから。
……ボウリングのピンが突然動き出すという異常事態に一瞬身構え、そのままボールに弾き飛ばされてピンデッキの奥に消えていく姿を見て、唖然としたあと脱力してしまったのだけれども。
いや、わりと真面目になんのためにあそこに出てきたのアイツら?ちっちゃかったし捕まえらんないし、なんというかため息しか出てこないんだけども。
ともあれ、そんなハプニングを迎えつつも、しっかり遊び尽くした私達。
良い感じにお腹も空いたので、ちょっとお昼ごはんでも……みたいな感じに移動して、その先に居たのがさっきの『フローレンシアの猟犬』*10さんだったわけである。……いや、そりゃまぁフリーズするよね、と言うか。
別に出会う人全てに因縁を付けるようなタイプの人でもないはずだし、とりあえずは放置する形になったのだけれど……私達のテーブルに注文を取りに来たのがまさに彼女だったので、一瞬とんでもない緊張感が一同に走ったりもした(
「……俺、いい加減ここでの生活にも慣れたと思ってたけど、全然だわ」
「奇遇だな、俺もだよ……」
リアルでは無力なネトゲ主人公組が、揃って机に突っ伏している。……キリトちゃんに至っては『ないよ、剣ないよぉ!!』*11的なトラウマを抉られかねないだろうし、リアルで強い人は怖いよね……。
「まぁ、この中で戦力的に一番ヤバいのは、この端から見ると単なる美少女なあさひさんなのですが」
「ん?火でも吹けばいいっすか?」
「やめて下さい死んでしまいます……」
ともあれ、ここはなりきり郷。
見た目が普通な奴ほどヤバい……なんてことは数え出せばキリがないレベル、キリトちゃんにはめげずに頑張って頂きたい次第です、はい。……『心意』*12とか、下手すると現実世界に影響を及ぼせそうな感じだしね。
「ここはやっぱり、手っ取り早くデュエルを覚えるとかどうかな?極めたらリアルファイトもできるようになるよ?」
「んー、これを言ってるのがブルーノちゃんじゃなければ、もうちょっと説得力というか勧誘力というかがあるのになぁ」
「『イリアステル滅四星』*13がなに言ってんだ、って話だよな。……っていうか『滅四星』ってなんだよ、『滅四星』って」
「……『Z-ONE』*14がここに来たら、彼に直接聞いてみてくれ!」
「あ、ブルーノが逃げた!」
「貴様アアア!!逃げるなアア!!説明責任から逃げるなアア」
「怖いよっ!?けど僕に聞かれても困る!だってアレ考えたの『Z-ONE』だからね!」
なお、もうちょっと手軽……手軽?に現実世界に影響を及ぼせそうなデュエリストについては、正直色んな二次災害の引き金にしかならないんじゃないかなー、と愚考するキーアさんなのでした。