なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
特になんにも起きませんでした!やったね!
……いや、それを一々祝わねばならぬほどに、今のなりきり郷は危険地帯なのか……?それってもう逃げ出した方がよいのでは……?
そんな疑問をナポリタン*1と共に胃袋に流し込み、お昼も終えて再び訪れた、やることシンキングタイム。
……男女で固まってるから、もうちょっとリア充オーラを感じて
んー、ボウリングの時だけしか現れない(上に
……みたいな煽りにも、特に反応は無し。
むう、変に警戒されてたりするのか、はたまたもう『しっと団』としての体をなしていないのか。
よくわからないけど、周囲の人々が言う程楽しげじゃない……もとい、クリスマスにしてはお祭り感がたりないー、みたいなのが、彼等がここに来ていない理由だったりするのかも知れないなー、なんてことを思ったり。
「ふむ?そういえばなんだか盛り上がりに欠けてるような……?」
「いや、そりゃアレだろ。クロスオーバーものの醍醐味にして問題点の一つってやつ」
「醍醐味にして問題点?」
そんな風に提示された疑問に答えるのは、なに言ってんだコイツら、みたいな表情の銀ちゃん。
クロスオーバーの醍醐味っていうと……本来関わらないモノ同士が、新たな繋がりを作ること……とか?
このキャラが居ればこうなっていただろうとか、ここでコイツが居てくれたら良かったのにとか。
本来の筋書きをどうにかしてねじ曲げようとする、創作者の悲哀が見え隠れするようなものが、クロスオーバーの醍醐味……みたいな?
まぁ同時に、筋書きはそのままで、他所様のキャラを突っ込んだ時の元の作品のキャラ達の反応がみたい……というような感じのモノも多いわけだけども。
そんな
キャラの扱いのバランスや、戦力差のバランス。描写数のバランスに、関係性のバランス……。*3
本来混じり合うはずのないモノ同士であるがゆえに、それらのバランスというものは、普通に作品を作り上げるよりも調整の難しいモノのはずなのだ。
その割には結構な頻度で、クロスオーバー系の新作が作られてる気がする?……いやまぁ、憧れは止められねぇんだ、というか?*4
それはそれで『憧れは理解から~』云々言われるだけ、ということでもあるのだけれど。
「いや、そこまで小難しいもんじゃねえよ……」
「お?そうすると、なにが問題なの?」
「そりゃまぁ……作品跨いでの恋愛とか?」
「……わぁ、露骨に小さな声」
「うるせー!弄って来るお前らのせいだろうが!っていうか銀さんはまだ恋愛とかいいんですー!永遠のジャンプっ子なんで、恋するのは西野つかさくらいなんですー!」*5
「……いや、それはそれでどうなんだ?」
「っていうか
……あー、なるほど。
銀ちゃんからの言葉に、なるほどと頷く私。
単なるクロスオーバーものならば、そんなに問題にはならなかったのかもしれないけれど。
ことなりきり郷という空間においては、各作品から登場するキャラは大体一人。『元のスレ一つにつき原則一人』という制限めいた選出基準?的なものがある以上、同じ作品のキャラが集まるというのは、本来ここでは珍しい話なわけで。
──故に、原作において決まったお相手が居るようなキャラ達は、恋人達のイベントとしての要素が強いクリスマスというものを、今一楽しめない状況にいる──と。
まぁ、ココアちゃん達みたいないわゆる『日常系』のキャラであれば、クリスマスも単に友達や仲間達との楽しいイベント、として消費できるのだろうけども。
皆が皆、日常を単に楽しめるような人生を送っているわけでもない、というか。
……でも、んん?
だとすると、なんで今回『しっと団』は『白面の者』へのワープ進化などという、ある意味で胡乱な感じの変化を遂げてしまったのだろう?
いやだって、アレって本来イチャイチャしてるアベック*7を襲うものでしょ?……居ないじゃん、アベック。
そもそもの話、前年度にも『しっと団』は居たらしいけど……、なりきり郷の基本原則が変わらない以上、根本的にカップルなんて増えるはずがないのに、なんでカップルへの憎悪が一定値に貯まった、なんて話になるのだろう?
そんな風に「うーん?」と悩んでいると。
本来ここでは珍しいはずの、正にカップルとでも呼ぶべき者達の声が聞こえてきた。
「ほら、コナン君!これとかどうかな、似合う?」
「いや、そりゃ似合ってるとは思うけどよー。……その、この絵面はちょっとアレなんじゃないか?」
「いいのよ、他人の目なんて。折角会えたんだし、楽しまないと!」
「……俺がよくねーんだよ」
「なにか言った?コナン君」
「なんでもねーよ」
「……おおう、不思議な光景」
そう、聞こえてきたのはコナン君と蘭さんの会話。
……本編の彼女達と違って、
なんというか、元の原作が同じわりに、原作で見ることが出来るかは微妙……というような感じの光景であると言えるだろう。
いやホントに。
コナン君と蘭さんが、ちゃんとカップルとして一緒に居るとか、黒の組織云々の話を片付けてもなお訪れるかどうかわからない未来だもの。
珍しいのはそれだけではない。
fateやアークナイツのようなソシャゲキャラが意外と多いのは、彼等のあり方がそもそもにクロスオーバーに近いから。
個々人のバックボーンが膨大であるがゆえに、物語としての構成が群像劇に近いものだからである。
ソシャゲは基本的にキャラを売るものだ。
そのため、一人一人に秘されたものがあったり、越えるべき壁があったりなど、焦点を絞れば別個の作品を作れてしまうような設定を持つキャラ達が、犇めき合う魔境というのがソシャゲの基本形態なのだ。
ここに関しては『fgo』がわかりやすい。
あれは無数の神話や英雄譚を、一つの長大な物語に纏めたものだと言える。──故に、それぞれのキャラクター達にも、己が主役である『物語』が必ず存在するのだ。
他のソシャゲのキャラ達も、根本的には同じ。
語るべき己の物語を持つ者達ばかりだから、それぞれを主体にしたスレッドというのは、比較的細分化しやすい部類なわけだ。
……いやまぁ、そこまで小難しく言わなくても、艦これで言う所の『第六駆逐隊』はそれだけで話を作ったりもするでしょう、みたいな感じというか?
そういう、比較的同作内で別個の纏まりが出来やすい土壌とでも言うものが、ソシャゲ系には転がっているわけで。
結果として、『一スレ一人原則』に則って『三スレ三人』とかみたいなことになりやすいわけである。
じゃあ、普通の漫画とかアニメはどうなのか?
こちらの場合は、ソシャゲ系とは逆にスレの乱立は避けられる方向にある(いやまぁ、ソシャゲ系も乱立するなって言われるけども)。何故かと言うと、殊更に分ける意味があまりないから。
ソシャゲの場合、キャラクターによっては全く絡みのないキャラ同士、というのもよくあったりする。
所属や立場、実装タイミングなどの様々な要因から、ゲーム部分のパーティとしては一緒に居ても、実際の作中では面識が一切ない、なんて間柄だということもそう珍しい話でもない。
対して、アニメや漫画などの場合。スピンオフなどで全く別の雑誌にでもならない限り、基本的には主人公の視点を通して、読者は物語を読み進めることになる。
それ故に……雑な言い方になるが、主人公が見ていない範囲の人物について、読者は知ることができない、ということになる。
これがどういうことに繋がるのか。それは即ち『出てくるキャラクターは、大小違えど主人公と何らかの繋がりのある人物に限られる』──即ち、『スレ分けする大義名分が与えられない』ということ。
なりきりも他の掲示板と同じく、スレの乱立は嫌われる傾向にある。
故に、なにかしらの事情(個スレにしたい、とか)がない限り、『同じ原作の作品であれば纏める』ように誘導される。
なりきりとは本来そのキャラに
そのため、原作で起きた絡みは再現に掛かるし、敵対していた間柄のキャラが現れれば、時に言葉を重ねて険悪さを演出することだってある。
まぁ、所詮はごっこ遊び、本人や周囲が不快感を抱かないように、原作描写とは異なる行動を取ることもあるわけなのだが……。基本的には原作に忠実に、というのが、なりきりの不文律だというのは間違いないだろう。
──故に、同一の世界観を出身に持つのであれば、まず同じ
世界観が一緒でもスピンオフのような視点違いの話であるとか、完全に同じ原作出身であっても、敵対しているとかで所属組織が違うとか。
そういった、
だからこそ、所属も原作も同じ──完全に
一応その場合でも、個人でやりたいという逃げ道はあるが、余程上手い人でもなければ、最終的には合流を進められるだろう。
……上手くないということは、人が来ずに過疎になりやすいということ。即ち、
なりきりとは、(人にもよるが)キャラになりきることで
結果、原作が同じであれば、スレは纏まっていくのが自然となる。
そしてそれが自然となれば、スレ立ての時からそこを遵守するようになるのも当然……というわけである。
まぁその結果、この『逆憑依』という現象においては、同一作品のキャラとの邂逅が非常に難しくなった……という被害が出てしまったわけなのだが。
そこに関しては別に誰が悪いと言うわけでもなし、素直に諦めるが吉というやつだろう。
……とまぁ、長々と語りましたが。
なんとなくでも、目の前の二人が珍しい立ち位置だというのは、わかって貰えたのではないだろうか?
この間のマカオとジョマもそうだけど、関係性が近い人物が揃うというのは、なりきり郷においては天文学的……は言い過ぎだけども、百円くじで千円以上が当選する確率くらいには珍しいわけなのである。……いや、それはそれでわりとあるのか?*8
まぁともあれ、そんな珍しい二人を見て、仲睦まじいねぇとちょっとお婆さんのような心境になっていたところ。
……私、ちょっとした違和感に気付いてしまったのです。
──この二人、いつ再会したのだろう、と。