なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「で、みんな揃ったところで……どうしようか?」
「ウチとしては、ユニヴァース属性を捨てられたら、なんでもエエんやけど」
結果として全員集合、となってしまったラットハウスの中。
今回の件の中心人物である二人、タマモと沙慈君を囲んで、やいのやいのと話をする私達。……五条さん?天井から吊るされてますがなにか?
「おっかしーなー。俺ってば結構頑張ってるはずなんだけどなー?」
「頑張る方向性がおかしいってやつなのじゃ。素直に反省しておくように」
「……毎度の事ながら、キーアさんってばキャラ付け意味不明だよね」
「減らず口を叩くんじゃありません」
まぁ、吊り下げられててもこの通り、普通に余裕そうなんだけども。
……焦る五条悟というのもなんかイメージ違いだし、まぁそういうもんなんだろう……ってことで、とりあえず放置である。
「ウチとしては、無限ごと掴み取りしとったんが意味不なんやけど……」
「どこぞのケン・イシカワワールドでは、疑似全能は当たり前*1って言うでしょ?ここの五条さんは無限の濃度が低いから、より濃い無限で飽和させれば、そりゃ捕まえられますよってことです、はい」*2
「なるほど、濃度……いや待った、なんかおかしなこと言っとらんか君?」
「はははは」
「いや笑い事ちゃうやろこれ」
なお、曲がりなりにも『無下限術式』を使えるようになった五条さんを、わりとあっさり捕まえた私の行動に、タマモが首を捻っていたけれど。
すまない、私は区分的にはメアリー・スー系列なんだ。*3
深く考えるとあんまり宜しくないタイプのキャラなので、適当に流して頂きたい。
オリキャラなんて大なり小なり俺TUEEE*4なもんですよ、生暖かい目で見るくらいで丁度いい……え?お前俺YOEEE*5が本性だろって?ははは(曖昧な笑み)
……ともあれ、そんなお手軽舞台装置キーアさんですが、出来ないことは出来ないのも確かなお話。
今回で言うのならば、タマモにくっついてる【
「えー、キーアさんならできるでしょー?そーれやーれ、やーれ」
「煽るな大馬鹿者っ!っていうかアレだな、君タマモにもそのノリで吹き込んだんだな、あれこれあることないこと全部!」
「はははは」
「笑ってごまかすなーっ!!」
「……せんぱい、全部ブーメランです……」
……なんてことを懇切丁寧に説明していたのだけれど、上に吊るされた五条さんから、やいのやいのとヤジが飛んでくる。
絶対にスルーなんてさせてやるもんか、と言わんばかりのその態度、まさしく人格が悪魔に支配されている……!!*6
HはHでも『HELL』の頭文字の方だがなぁ、的なことを叫ぶ悪魔でも脳内で飼ってるんじゃなかろうか、今の五条さん。
……みたいな、わりと失礼なことを考えてしまうくらいには、悪ガキ力がめきめき上がっている彼の言動に、ちょっとばかり辟易しつつ。
改めて、どうしたものかと頭を悩ませる。
……基本的に、【継ぎ接ぎ】は成立条件が軽い分、あくまで『付与効果』に留まることが多い現象である。……私とかゆかりんのパターンとかが良い例。
他方で、その人のパーソナリティに深く関わる場合は、その存在の変質も起こりうる現象でもある。……こっちはハクさんとビワなどが該当。
後者の方はある意味で【複合憑依】に近い性質を持つため、私やゆかりんみたいに取っ払うことはほぼ不可能である。
……この差異が起きる原因は、『逆憑依』の
そうすると──不可抗力というか偶然というか、なんにせよ成立前にあれこれ混線した結果としてここに居る二人は、その【継ぎ接ぎ】部分を取り外すことは叶わない……とするのが、普通の判断だと思われる。
……まぁ、絶対に取り外せないのなら【複合憑依】と何が違うのか、という話になるので、単にこっちが外し方を知らないだけ……という可能性も、なくはないわけなのだけれども。
「ええいまどろっこしい。結局外せるんか、外せへんのんか、一体どっちなんや!」
「うーん、とりあえず琥珀さんに聞いてみないことにはなんとも……」
「じゃあさっさと呼べや!!その琥珀っちゅー研究者を!」
「へーい。はい」
「……ん?はい?」
またまたヒートアップしそうな感じになってきたタマモの手に、何処からともなく取り出した
……うん、すまんなタマモ。
どこぞの
なので大人しくモルカー*8……もとい
察しのいいお客様方は、もうお気付きのはず。
「おおおおこれはこれこそが!!うーん、関西弁魔法少女と聞くと、どこぞの小狸なお方を思い出してしまうロートルなルビーちゃんですが、今回はたぬき繋がり的な意味でジャストフィット!!ルビーちゃんと狸でカレイド☆ルビーの法則、満たしちゃいましたか、満たしちゃいましたね!?では
「えちょま、ぬ、ぬわーーーーっ!!?」
「た、タマモダイーンッ!!?」
下手人の癖に心配するような声を上げつつ、光に包まれたタマモを見る私なのであった……。
「
「ダメですよータマモさん。簡単に命を投げ出していいのは端からそれを期待されているキャラか、はたまた味方になりそうだった敵キャラとかなんですからー。まぁ私が言っていいことなのかは、甚だ謎なんですけどね☆」
「わぁ笑えないブラックジョーク。下手な型月より型月してるって有名な『プリヤ』出身だとは思えない台詞だねぇ」
「私後付けのルビーちゃんなので、その辺りの詳しいことは知りませーん☆」
「……お願いやからなんとかしてーな沙慈……」
「沙慈……?関係……してたんだ……!あの時から……!」
「違ル聞、って言えば満足かい?」*9
「……て、手慣れている……やはり様々な組織を渡ってきた歴戦のスパイ……!」*10
「違うからね?」
数分後。
さめざめと顔を覆うタマモと、彼女の手にあるルビーちゃん……もとい琥珀さんとの遠隔連絡用端末、通称『カレイドルビー・ツヴァイ』から発せられる言葉を聞いて、手に持った用紙に色々書き連ねて行く私と、出来上がった書類を(弄りをスルーしながら)纏めていく(わりと強者な)沙慈君。
ラットハウスの片隅を借りて行われているこの作業は、遠隔端末越しに琥珀さんがタマモの状態を確認し、それを文字にしていくという……いわば、タマモの健康診断、みたいなものである。
「いやはや、全くの一般人に【継ぎ接ぎ】するのはぜーんぜん上手く行かなかったのに、これが『逆憑依』相手だとサクサク進むってんですから、ホントアプローチミスってのは怖いですねぇ」
「そのお陰で変なことにならなかったってんだから、私としてはありがたいけどねー」
「……まぁ、それもそうですねぇ。私が現役の時にこの辺りの情報が判明していたら、それこそ人体実験の雨霰でしたでしょうし」
「今のウチの状況も似たようなもんやんけぇっ!!」
「タマモ、抑えて抑えて。……ところで、あの店員さんはなんで柱の影に隠れて、青褪めながら震えてるんだい?」
「過ぎ去ったと思っていた恐怖が、改めて襲ってきたから」
「……?」
方法としては、新しく産み出された端末である『ツヴァイ』の機能、本体との同調と
変身の実例とか自身の状態への理解度の上昇とか、そういった諸々により可能となった、いわば
……ライネスが柱の後ろでガタガタ震えているのも、有るわけないと思っていた『プリズマ☆ライネス』の実現の可能性が、ここに来て跳ね上がったがため。
まぁ、この同期は結構疲れるらしいので、少なくとも今日中には彼女の警戒するようなことにはならない、と言っておいたのだけれど。
……言外に
ともかく、現在のタマモは、すなわち『プリズマ☆タマモ』になっているというわけだ。
……名前のせいで、どこまで行ってもタマモ属との関係性を匂わせてしまうのは、なんというかご愁傷さま……というか。
というか、一般的にタマモ呼びされる『玉藻の前』と琥珀さんがキャラ被りしているせいで、あんまり宜しくないフラグが立ってしまうらしい。
それがなにかと言うと、【継ぎ接ぎ】と琥珀さんのキャラクター・それから
……雑に言うと、なにかしら別の強い属性で誤魔化さないと、単なる健康診断なのにも関わらず、余計に事態が拗れるかもしれない、ってこと。
要するに、ホントに『タマモナイン幻の十番目』になりかねない、ということなのだそうな。
故に、今の彼女の姿は──。
「……なんでや、なんでまた幼稚園児の格好やねん……」
「さながら『魔法園児タマモ☆クロス』ってところでしょうか?ここまで胡乱だと、他の方向に変化することはないと思いますよー?」
ステッキから
そう、今のタマモはまさしく幼稚園児。
強力な属性付与により、他の属性を弾くことに成功していたのである!!……まぁ、外に出たら変なものを呼び寄せそうなので、あくまで健康診断中のみの変身状態だけども。
それでもなお、涙を隠せないタマモは──ただ一言、
「どっちも地獄やんけぇ……」
と呻き声をあげるのであったとさ。
……あ、その健康診断の結果、完全な分離は無理っぽいけど、変身成分として並列化させることは成功した、とも記しておきます。やったね!
「なんも良くないわー!!」
幕間終わりでございますのことですの。