なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「前回より引き続きまして、リハビリセンターよりお送り致します」
「……いや、誰に話しかけとるんじゃお主?」
「シュマちゃんとかデップーが見てるもの」*1
「お、俺ちゃん出番だったりする?」
「貴方がデップーか、歩いてお帰り」
「んー、熱烈歓迎に俺ちゃん大泣きしそう!」
「いや、なんじゃ今の」
「ちくわ大明神とか?」
「それもわけわからんのじゃが!?」
なんかノイズ的なものが入った気がするけど、君は何も見なかった。いいね?
それと、ハクさんのキャラがいつの間にかぶれぶれである。君、何時から釘宮ボイスが出せるようになったんだい?
……とまぁ、とにもかくにも相も変わらず、体力測定中の私達なのでございますが。
今の彼等が行っている競技は綱引き。
別に腕力自慢なキャラクターが居るというわけでもないので、普通に良い勝負になるかと思われたのだけれど……。
「せんぱいの!前で!無様な結果は見せられません!!ふんっ……ぬらばぁっ!!」*2
「ぬぉわぁっ!!?おかしいじゃろこれぇぇぇぇぇぇ……」
「大雪山おろし、だと……っ!!?」*3
なんか知らんけど、マシュのおめめがぐるぐるしていらっしゃるのでしたとさ。誰かー、ゲッター線吸収装置持ってないー?
冗談はさておき、なんだか雲行きが怪しくなってきたのは確かなようだと言うか?
変に張り切ってるマシュが【顕象】なぞ如何するものぞ、とばかりに千切っては投げ、千切っては投げを繰り返している今の状況。
なにかしらの対処をした方がいいかと、ちょっと思わなくもないのだけれど……。
……まぁ、いいか!(思考放棄)
「待て待て待てーぃ!!アンタが諦めてどうすんねん!!」
「いやだって、別にどっちかが圧勝したり辛勝したり引き分けたりとか、記録の上では関係ないって聞いたし……」
「限度があるやろ限度がっ!!?」
「ある意味見せ物なんだし、こういう展開も好まれると思うよ?」
「見せ物である前に参考資料でもあるやろがいっ!!」
……なお、思考放棄した途端に、タマモに胸ぐらを掴まれて、前後に頭を揺さぶられるはめになったわけなのですが。
彼女は最近ここに加わったわりに、ずっと昔からここに居たかのように馴染んでるなぁ、よきかなよきかな。
「誤魔化されるわけないやろがーい!!」
「まぁまぁ、そのくらいにしておきたまえよタマモクロス。キーアも久しぶりのマシュの暴走に、ちょっと現実逃避をしているだけなんだからさ」
「ああん?!……って、ライネスやん。なんでまたここに?」
まぁ、この対応はまさに火に油。
タマモは更にヒートアップしてしまったわけなのですが。
でも、しょうがないじゃないか。*4私にもできることとできないことごあるんやで?
みたいな弁解をしようとしたところ、背後から聞こえてきたのはライネスの声。
「ほら、あっち」
「……ビワとピカチュウがバトルしとる」
「ピカ様張りにエレキネットを駆使して、縦横無尽に空間を跳び跳ねるその様は正に変態……」*5
「ぴっかっ!?」*6
「いや、あの跳ね方は七夜オマージュと見たで、ウチは」*7
「ぴっぴかぴーっ!!」*8
「……なんや、なに言っとるかわからんけど、文句言われてるんはなんとなくわかるな」
「
「……いや、その例えは違うんじゃないかな?」
生憎と今回のライネスに関しては逆。
ピカチュウの随伴に彼女が居る、というのが正解なので、今回の彼女は脇役みたいなものなのである。
……まぁ、そこを突っ込んだところで、別にニヤニヤ笑いを崩したりすることはできないだろうけども。
まぁ、そこは置いといて。
今回の主役……というと語弊があるけれど、まぁ主賓?の一人であるビワのための対戦相手として呼ばれた彼は、現在アニメ版のピカ様張りの、高機動戦闘を行っているわけでして。
コットンガード?*9的なモコモコで防御するビワ側は、防戦一方と言った様相であったりするのだった。
……いや、戦闘って言うけどピカチュウの方は、威力の籠ってないへにゃへにゃパンチしかしてないんですけどね?
メガトンパンチならぬ
「ぴー、ぴかぴかちゅー」*10
「……なんとなく調子に乗ってるな、ってのは伝わったで」
「ぴかぴかっ!!?」*11
なお、ピカチュウ側は珍しく目立てているからか、ちょっと調子に乗っているような気がしないでもない。
ふーむ。調子に乗っている奴は足元を掬われる、という奴じゃなこれは?……ってことで一言。
「……ビワー、仲間を呼べー」*12
「ぴっかっ!!?」*13
なんかいつの間にかトレーナー?的な扱いにされていたらしく、こちらの言うことをよく聞いてくれるビワ。
なので、ちょっとばかし指示をしてみると……さっきまでの非積極性はどこへやら、
「ゆるされよ ゆるされよ われらがつみを ゆるされよ」
「ぴーかっ!?ぴっぴかちゅー!?」*15
「ははは、なに言ってるかわーかんねー」
「ぴかーっ!!」*16
あれまあれまと言う間にたぬき達が周囲から現れ、出来上がったのはたぬきてぃっくふぃーるど、すなわち決戦のバトル・フィールド!(推奨BGM:BOSS3)*17
これによりダメージ値は唐突にインフレ化!謎のピエロっぽいものがチェーンソー振り回したり、はたまた「ヤメテクレェー!」とか叫びながら爆散すること、必至にして必須!……え、グロいのはダメ?ですよねー。
「ぴっか!ぴっぴかちゅー!!」*18
「トリムマウは生命活動を停止……死んだのだ」
「ぴかー!!!」*19
「おお、なんやよーわからんけど、あのピカチュウが必死にツッコミを入れとるのはわかるで!」
「まぁ、あれだとぼこぼこにされるのは時間の問題、というやつだねぇ。戻れトリムマウ」
「ぴかー!」*20
「いけ、トリムマウ」
「ぴかーっ!!?」*21
なお、ドSなライネスにより、モンスターボールに戻されたあと、そのまま再度戦場に送り込まれるピカチュウの姿があったとさ。……いやまぁ、位置変更できてるから、無意味ってことも無いみたいだけどね?
それでもこう、たぬき達に囲まれそうになるという数の暴力からは、そうそう逃げられそうもないのだけれど。
「うおーっ!!せーんーぱーいーっ!!貴方の後輩、マシュ・キリエライトはがーんばーってまーすよーっ!!!」
「ところであれ、放置でええんか?」
「いやもう、そろそろ終わるみたいだしいいかなって」
なお、背後では余計に酷いことになっていたみたいだけれど……。
……うん、知ーらねっ!!(現実逃避)
「ぬぉぉおおぉっ!!!流石に、走りではっ!!負けられへんでぇぇぇえぇぇっ!!!」
「おお、流石タマ。早いな……私も負けていられないな」
「おや、私の事は無視ですか、オグリ?」
「アルトリアか。……いや、誰も無視なんてしてないさ。ただ今は、とにかく楽しくて仕方がないんだ……っ!!」
「私もですよ、オグリ……!!」
「……だーっ!!!なんやのん!?なんでこの二人イチャイチャしとるんや!!?」
「……さーすがにウマ娘組ははっやいねー」
「わ、我はもう限界ぞ……。人の体、走り辛すぎじゃろ……」
「おや、へばるのが早いね、闇の化身どの?」
「……流石に従者の上に乗って、楽をしておる奴には言われたくないのぅ」
「楽だなんてそんな。今回の私はあくまでもトリムマウの付添人、競う主体ではない以上、愛すべき従者の成長の糧になろうと努めているだけのことさ」
「……ものは言い様すぎんか、それ?」
「ぴ、ぴーか……」*22
「潰れたカエルみたいな声になってるみたいだけど?」
「がんばれ♡がんばれ♡トリムマウ、私はお前がもっとできる奴だって信じているぞ?」
「ぴかー!!!」*23
綱引きの結果からは目を逸らしつつ、競技を移してラストは単純な走りでの競争……なのだが。
流石は走ることに命を掛ける気概のウマ娘組というか、タマモとオグリの二人がトップ集団を形成している。
それに続いて走るのが、騎士王としての能力全開で疾走するアルトリア。
魔力放出でのかっ飛びこそ今は使用していないが、それでもなおウマ娘組に追い付ける辺り、龍の因子を持つものの面目躍如ということか。
なお、マシュは今回休みである。……綱引きで張り切ったあと、ふと我に返って羞恥心から地に沈んだから、だったりするのだが。
私は走るってより
……というかシャナがわりと目立たないように立ち回っている気がするんだけど、気のせいかね?
ともあれ、先頭組はデッドヒートの様相だけど、下位集団に関しては話が別。
ビワはそもそも歩幅が小さすぎるため、ウマ属性があっても競争にはならず。
ピカチュウはその背にライネスを背負うという謎のハンデを負っているため、普通に走るのがやっと。……ロリライネスだからどうにかなってるだけで、半分くらい罰ゲームみたいなもんだと思う。
ハクさんはご覧の通り、早々にへばってしまったため競争どころの話ではなく、アル君に至っては……うん。
「疲れたりはしないんだけど、そもそも走るのが特別早いってわけでもないからね」
と彼が言う通り、鎧が走ってると考えると十分に速いのだけれど、正直ウマ娘組とかとは比べるべくもない速度しか出ていないのでしたとさ。……いやまぁ、それでも普通の人よりは速そうなだけ、大したもんだと思うわけだけど。
え、私?どっちかと言うと持久走の方が好きなんで、今回は流す感じですね、はい。
なお、最終的にタマモがユニヴァースパワーを、オグリが王の友を、アルトリアが魔力放出を解禁したため、危うく競技場が崩壊しかけたことをここに記しておきます。