なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「いやはや、年末は凄いことになってたねぇ」
「八雲さんも相当おかんむりでした、見たこともないような剣幕になって……」
「まぁ、言ってる内容としては『ちゃんとみんなの監督しなさいよもー!!』って、至極普通のことだったんだけどね」
新年が開けて、初日の出も無事に見終わって。
久々に郷の外に出てきていた私達は、さっくりと初詣を済ませたのち、境内の出店を回っている最中なのであった。
……無論、なんの対処もなしに単純に外に出ていると、いつぞやかみたいに人波に揉まれて酷い目にあうのでー。
『最近のせんぱい……私の扱い方が、結構雑になってきていませんかぁ?』
「そんなことないぞー。とても優秀で可愛くて頼れる私の自慢の後輩だと思ってるぞー」
『えっ!!……そそそ、そんな大胆な口説き文句……もう、せんぱいったら、このすけこましっ♪』*1
「……BBさんと、随分と仲が宜しいのでしゅね、せんぱい」
「んー?マシュも可愛い後輩だって思ってるよ?」
「……むぅ、せんぱいはズルいです……」
こうして、いつかの遠出の時のように、BBちゃんフラッシュによる認識阻害で、ごにょごにょとしているわけである。
その際、BBちゃんから不満の声が上がっていたのだが……、そもそもBBちゃんってば、私の
まぁ、別に彼女の行動を逐一確認しようー、とか考えてもいないし、居ないことに関してなにか文句があったりするわけでもないんだけどさ。
もう一人の後輩であるマシュにしたって、別に私が行動を管理しているわけじゃないし。
なので、頼りにしてるよーと声を掛けるくらいの労いはしておりますよー、とアピールしておくのである。……誰に?さぁ?
……ところで、時々光(の後輩)と闇(の後輩)の
それを当事者二人に尋ねると、凄い白けた顔を返されるんで、初回以降尋ねたことはないんだけども。……私あの顔怖い(震え声)
「ひょっとして、それ本気で言ってたりする?いやー、引くわー」
「……五条さんはホンット、最近キャラが原作に近付いてきたよね」
「一応聞いておくけど、褒め言葉だよね、それ?」
そんな風に小さく唸っていると、背後から声を掛けられた。
その声に若干の気後れというか辟易というか、そういったモノを感じながら振り返ってみれば、案の定そこにいたのは五条さんだった。
今は以前私が渡した
いやまぁ、元々再現度が足りてないってだけで、ここにいる彼は最初っから『五条悟』その人で間違いないんだけども。
……あとから再現度は上げられるって最近わかった事実を考慮すると、その事例の実例として、わりと重要人物化してるような気がしないでもなく。
そういう『重要度』って面からも、彼の
で、そんな重要人物である五条さんが、何故こんなところにいるのかというと……。
「みんなの護衛兼いつものお仕事、って奴だね」
「もう止めたのかと思ってたよ、スカウト業」
「いやいや。僕のキャラ的にも向いてる仕事だし、
まさかの、元旦からお仕事のため……なのであった。社畜かなにか?
こっちでの彼は、原作のような使命感から仕事をこなしている……わけではないと思うのだけれど、それでも自分からあれこれ手を出し始めた辺り、これは……。
「
「ご明察!いやー、最初は流行り廃りで選んだだけだったんだけど、こうして長く付き合ってみると愛着がわくというか、まともにやれるようになると楽しくなってきたというか!こういうの、充実感って言うのかもね」
「はぁ、なるほど?」
低再現度だから戦闘なんてもってのほかだった彼が、今となっては普通に戦えるようになっている……。
それゆえに、原作で反転術式に目覚めた時のような、ある種のハイな状態になっているという風に思うのが正解……なのだろうか?
まぁ、あの時の彼と違って、興奮から来る悦楽というよりは、失くしていたモノを取り戻して喜んでいる……という方が近いのだろうけれども。
まぁ、個人的には彼が楽しそうなのはいいことだと思うので、特になにか文句があったりはしないわけなのだが。……ちょっとキャラがウザくなったなー、と感じたりもするけど、許容範囲である。
「……キーアさんって、歯に
「そりゃまぁ魔王ですし。いい子ちゃんってわけでもないしねー」
「ふーん?」
みたいな感じで彼と話していると、先に屋台を巡っていたオグリとタマが、こちらに戻ってくるのが見えた。
タマに抱えられたビワと三人で、大量の焼きそばやらわたあめやらを、もぐもぐと食べながら歩いている姿が、私達から少し遠くの位置にある。
……普段なら行儀が悪いって言われそうなものだけど、今のこの場所は祭りのようなもの。
周囲にその行為を咎めるような人物はいない……のは確かなんだけども。
「……いや、買いすぎでしょ。ウマ娘がよく食べるってのは聞いてたから知ってるけど、それにしたって限度とかないわけ?」
「ん?ゴジョーさんか。大丈夫だ、これでもいつもの半分にしておいたんだぞ」
「その量で!?」
「ウチはこれでいっぱいやな。……なんちゅーか、ウチに関しては
「だから、その量でっ!?」
「ゆるされよ ゆるされよ われらのしょうしょく ゆるされよ」
「……いや、マジかよ」
彼女達が抱えている食べ物の量に、五条さんが珍しく絶句している。
なにせ、両手に抱えられるだけ袋を抱えて、更にそれらがぎゅうぎゅうに食べ物で膨らんでいる
そのせいかBBちゃんの視線誘導も、微妙に効きが悪くなっているみたいだし。
周囲からは「え、マジであんなに食べるの?あんな可愛い子が?」とか、「……なんか、誰かに似てない?」とか、そんな声がちらほら上がっているのが聞こえてくる。
……うむ。
「即席錬金、四次元エコバッグ~」
「青狸じゃん、それも古い方」
こちらを揶揄してくる五条さんはスルーして、どこからともなく取り出したるは、見た目は普通のエコバッグ。
無論ただのエコバッグなどではなく、どこぞのドラちゃんのポケットと同じく、四次元収納ができてしまう無限容量エコバッグなのである。悪用は厳禁な!
そうしてこれを、こうして……こうじゃ!!
「おお、さっきよりも遥かに軽いぞ」
「はぁー、これ凄いなキーア。あの量のもんが全部、一つのバッグに入ってしもたで」
『ついでにBBちゃんフラッシュ!……で、改めて周囲の視線を散らしておきました!』
「でかした!」*3
「む、むー!せんぱいっ!!私も、私もなにか手伝わせてください!!」
「んー?今はマシュに手伝って貰えるようなことはないかなぁ」
「そんなぁ」
大量の食料達をエコバッグの中にぽぽぽぽーい!……ぽぽぽ?春風でも吹きましたか?*4
そういやあの桃色玉も四次元収納めいた胃袋してたなぁ、的な横道に逸れたことを考えつつ、見た目的にエグいことになっていた食べ物達を、せっせっとしまいこむこと数分間。
なんということでしょう、まるで肉襦袢のように彼女達の姿を覆い隠していたビニール袋が、今ではたった一つのエコバッグに纏まってしまったではありませんか。
無機質なビニール袋に隠れてしまっていた彼女達の着物も、こうして衆目を浴びることに成功したのであります。
「……うんうん。可愛い子が並んでるってのは、絵になるねぇ」
「ほうほう、ゴジョーお兄さんも見る目があるというわけですなー。ところで、ゴジョーお兄さん的には、どの子がタイプぅ?」
「んー?……そうだなぁ、こういうのって選ぶという行為の時点で、後からボコられるのが決まっているようなものだし。……よし、答えは沈黙!」
「それが正しい答えって?」*5
「そうそう。……ところでキーアさん?この手はなんでしょう?」
「選ばないのも失礼だと思わない?」
「……みんな揃ってから、ってことで」
「宜しい。ならば三分間だけ
「ああ、そうして貰えるとありがた……今ニュアンスおかしくなかった?」
「ほっほ~い♪」
「あ、間違ってないわこれ。普通に舞ってるわ」
なお、男性陣におかれましては、誰が一番とか選ぶのはダメでしょ……とか腑抜けたことを仰っていらっしゃる方が一人いらっしゃいましたので、責任を持って選択させることをここに宣言致します。
……全員揃ったら、とかふざけたことを言っていたので、無難にゆかりんを選んで逃げそうだな……と思ったことも付け加えておきます。
それはおいといて。
とりあえず他の面々が集まってくるまで暇、というのも確かな話。
仕方ないので……踊るか!とばかりに、しんちゃんと一緒にレッツダンス!チュー、チュー!*6
「はー、挨拶回りも終わったし、これでやっと普通に楽しめるわね……って、ナニコレ!!?」
「張り切りすぎた、今は反省している」
なお、さそうおどり*7的な効果を発揮したのか、いつの間にかインド映画張りに踊る人達でいっぱいになってしまった*8ため、止め時が見付からずに困った、ということも付記しておきます。
……てへ。