なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「死ぬかと思った……っていうか、多分死んでたよ私」
「いや、アナザーやないから死んでへんよ」*1
「いいや死んだんだよぉっ!!私は死んだんだー!!君達の愛したキーアは死んだ!何故だ!」*2
「バカだからでしょ」
「大正解ですよパイセンんんんっ!!!」
「おおお落ち着いてくださいせんぱいっ!!?」
辛いものそこまで得意でもないのに、無策で突撃するバカなやつが居ると聞いて。……アタシだよっ!!*3
まぁともあれ、年の初めの三が日から、残機を減らしてる感ありありの私でございますが、今日も一日頑張っていきまっしょい。*4
「そこは『ぞい』ではないんだな」*5
「まぁ、どっちにしろ古いって言うね」
「やかましいわ!アンタ達だってどっちも元ネタ的には古い方でしょうがっ!そんな奴らに古いとかなんとか言う資格はありませぇええん!!」
「なんやとぉ……」*6
「せんぱい、その辺りを突っ込むのは止めましょう、死人が出ます」
なお、構成メンバー的に新しい世代、と言えそうなのが実はゆかりさんとマシュくらいしか居ないので、年月云々は触らないように。
……とお叱りを受けることにもなったけども、それはそれ。
会話の内容なんてものは無いようなもの、特に今回みたいなパターンではな……とごまかし、ぐだぐだと管を巻く日々なのでございます(適当)。
……ウマ娘組?彼女らは元ネタが実在の競走馬なので、彼らの生誕年月日を基準にしておりますので、はい。
それとパイセンは、キャラクターとしての成立は結構新しいけど、キャラクターの
「……アンタと一緒?なんでまたそんなことに」
「先輩、私が貴方より歳食ってるって言ったら、驚いてくれますか?」*7
「!?」
なお、キャラの年齢という部分で区分けすると(中身は別として)私が一番年上、というのは覆しようがないので、実はパイセンは先輩じゃない、という
「そういうわけで、午後になりましたのでシャナとオグリの要望に従って、街を歩くことになったわけなのですが……」
「……?どうかしたキーア?なんだかまた死んだような目になってるけど」
「いやその、寧ろ貴方がどうしたんです?」
「どうって……折角だから、色々着てみただけだけど?」
山小屋風の喫茶店を後にした私達は、朝の内に希望を取った時に発言をした残り二人──シャナの『服を見て回りたい』というものと、オグリの『食べ歩きをしたい』という要望にしたがって、初売りで福袋を購入したりしつつ、あちこちの店を見て回っていたのだけれど……。
その、なんと言えばいいのか。
彼女の中の人……声優である釘宮さんのやったことのあるキャラクター達のコスプレというか、モチーフというか。
そういうものを中心とした、普段のシャナなら絶対に着ないようなモノをあれこれと試着しまくっており、最早ひっちゃかめっちゃかになっているのである。
始まりは、たまたま売れ残っていたピカチュウの耳が付いた帽子。
それをじっ……と見詰めていた彼女は、なにを思ったのか徐にそれを頭に被り、
「……めっちーっ!!」*8
「!?」
と叫びだしたのである。……気のせいでなければ、ちょっと電気っぽいものを発しながら。
普段の彼女なら絶対しないような奇行に、みんながビックリとする中。彼女は小さく首を捻って、帽子を元の場所に戻すと。
「うむ、儂こそが第六天魔王、織田信長であるっ!」
Σ´川ヮ○)「ノブブブブッ!!?」
「せんぱいのお顔が突然ぐだぐだしたものにっ!?」
「いや、突っ込むべきとこ絶対そこちゃうてマシュ」
別の場所にあった軍帽を被り、そんな風に堂々と宣言したのである。……是非もないカナ!?
以後、立て続けに繰り出されていくのは、釘宮キャラクター達の物真似?のオンパレード。
「この変態!ド変態!
という、真っ先に人死にが出そうなものから始まり、*9
「ダ・ン・ナ・さ・ま♡」
みたいな、多分知ってる人居ないんじゃないかなぁ、みたいな甘々な台詞が飛び出し、*10
「おいらはトカゲじゃねぇ!」
「ビィくぅぅぅううん!!」
「げぇっ!?」
終いには逆に自爆してるのでは、みたいな声を発し、街中に飛び出す始末。
「なんか、どこかで聞いたことあるような声が……」
「くぎゅうううううっ!!!」
「お、おいお前大丈夫かっ!?」
「これは……くっ、急性釘宮中毒だっ!!」
「バカなっ!?アレはもう何年も前に駆逐されたはずじゃあ?!」
「そうだ、だが俺達は忘れてたんだ……百年釘宮病が現れなかったとして、今日釘宮病に罹患しない保証なんて、どこにもなかったってことを……」
「お、おい待て、お前!?」
「生きろ、俺達は、生きて明日に進まなきゃいけなくぎゅうううううう!!」
「うわぁぁあああ嘘だぁぁあああ持ってかれたぁぁああ」
などという、なんというかノリが良い奴が多いもとい、BBちゃんの偽装工作を貫通しているかのような反応により、余りにも危険極まりないモノとして認知され、即座に対処策が承認されたわけである。*11
……なんか小難しいこと言ってるが、要するに
「ふーむ。なるほどね」
「なにを一人で納得してるのか知らないけどさぁっ!?対処するこっちの身にもなってよねぇっ!?」
「ああ、ごめんなさい。ちょっと確認を、ね」
「なんのぉっ?!例えなりきりであろうとも、周囲に感染を広げるクラスターにはなれる的なアレかなぁ?!」
「だから、謝ってるでしょ?……それよりも、あれ。あっちはいいの?」
「あっちィ?なにを言うとるんか知らんけど、ウチは騙され
「うわビックリした、急に叫ばないでよタマモ」
そうして御輿のように担ぎ上げたシャナは、何事かを納得するかのように頷いていたのだが……なんというか、騒動を急に起こすのはやめてほしいと伝えたい感じである。
比較的常識人に区分される彼女ではあるが、その実態はなりきりにおける狂信的な再現度の高さを示す『レベル5』を冠する、ある種の狂人と言っても過言ではない類いの人種。
突拍子もなく問題を引き起こす懸念……というものを、本来常に受け続けるはずの人物、というわけである。
その辺りの問題点というやつを、現在むざむざと見せ付けられたようなところがあるわけで、こちらの口調もどことなく刺々しいものに変わってしまうが……対する彼女は暖簾に腕押しの様子。
言葉の上でこそ反省しているように聞こえるが、はたしてそれがどこまで本心なのやら。
そんな疑いが浮かび上がるようなあっけらかんとした様子に辟易していたところ、彼女の言葉を受けたタマモクロスが、指し示す先に視線を向け……ながら、膝から崩れ落ちた。
その際に彼女が発した叫び声に思わず驚きつつ、担ぎ上げていたシャナを地面に下ろして、先程彼女が指差していた方に、タマモと同じように視線を向ける私達。
そこで私達が目にしたモノは……
「
「──食べながら喋るなぁっ!!?」
「突っ込むとこそこちゃうやろっ!!?なんやオグリお前どんだけ食べとんねんっ!!?」
(´^`)「ゆるされよ ゆるされよ ぼういんぼうしょくゆるされよ」
「ああっ、ビワさんが見たこともないほどショボショボにっ!?」
「
「なによ、食べたいって言ってるんだから幾らでも食べればいいじゃない。金なら出すわよ」
「うわぁ太っ腹~……じゃなくてぇっ!!限度があるでしょうが限度がぁっ!!?」
そう。現れたのは、見掛ける屋台見掛ける屋台、その全ての食料を貪り食らう『馬の厄災』……もといオグリの姿だったのである。
加減をして食べている、とかなんとかいう以前の彼女の主張はまさに是、今の彼女は檻から解き放たれた、飢えたコモドドラゴンのようなもの……。*14
迂闊に近付けばまるでヤミーが空倉町で
「っておかしいおかしい!!」
「……?
「そんなどこかの星の戦士みたいな食事速度ではなかったでしょ貴方!?っていうか皿は?!今皿ごと吸ったよね!?」
「もぐもぐ……ごっくん。うん、私の胃袋は宇宙なので大丈夫だぞ」
「君の胃袋の心配をしているわけじゃないんだよなぁっ!!?」
「いや、そこは体調の心配もしてあげましょうよ……」
目の前で皿ごと料理を丸のみする奴が居たら、誰だって視線が向くんだよなぁっ!?
なんだか久しぶりに周囲に振り回されている感があるが、そもそも好きで振り回されているわけではない身としては、面倒ごとはノーサンキュー!
なので……こうじゃ!!
「──カモンBBちゃん!」
『はーい♡ではせんぱいの熱烈なラブコールに答えまして、BBちゃんフルパワー、です♪それではー……
「BBちゃんが目からビームをっ!?」
「真の後輩は目で殺す、です♪」*16
「む、むむむ!私も、私もやれますよせんぱいっ!!」
「いや、マシュはそのままのマシュで居て。BBちゃんならまだしも、マシュの目からビームは色んな意味で立ち直れないから」
『ちょっとぉっ!?折角せんぱいのためにがんばったのに、その扱いはないんじゃないですかぁっ!?』
「いやー、BBちゃんがビームを出すのは今更だし……」
自身のスマホをクルクルシュピンッ*17、てな感じに取り出して、天に翳しながら叫ぶこと暫し。
唐突に空間投影されたビッグボディBBちゃんがその瞳を妖しげに光らせると、そこから周囲一体に桜色のビームが乱発射され、周囲の人々の認知を改変し始める。
……演出と規模が、どこぞのZEROなおじいちゃんを思い起こさせるものだったことに、若干の不安を感じつつ。*18
人々が再びこちらの奇行に気付く前に、そそくさとその場を後にする私達なのであった……。