なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
『ふむふむ、つまり……同じ時間を繰り返していると?』
「……多分」
その姿は可愛らしいが……なんというか、いつも通りの
まぁ、そんなことを気にするBBちゃんならば、そもそもそんな格好をする筈もないのだが。なので突っ込むだけムダ、というやつである。
「ふーむ、世界の繰り返し……ねぇ?つまり局所的なタイムループが起きてるってこと?」
『おや?そういう世界出身の身としては、ちょっと一家言ある感じだったりしますかクリスさん?』
「まぁ、ちょっとはね。そもそも、ループものと言ったら少なくない作品で題材にあげられている、わりとポピュラーなモチーフでしょうし」
「流石はクリスティーナ、解決の糸口とかすぐ見付け出せそうでよいぞよいぞ!」
「クリスティーナって言うなっ」
白衣を着た少女、クリスティーナもとい牧瀬紅莉栖*2が、こちらの呼び掛けに少し怒ったように声をあげる。
彼女はこちらに来てから出会った『逆憑依』の少女であり、
「まさかの妖怪血塗れ女、だもんね。確かに、クリスってば血の海に沈んでるのが似合う系美少女だけども」
「そんな美少女区分あるわけないだろうがっ!……そもそも、その辺りはネタバレもネタバレの話なんだから、あんまり語るものでもないでしょう?」
「うーん、流石の今井さんボイス。クリス可愛いよクリス」*3
「茶化すなっ。……まぁ、可愛いって言われるのは、満更でもないわけだが」
「牧瀬氏ツンデレ乙」*4
「誰がツンデレだ、誰がっ。っていうか、ダルか己はっ」*5
「どうどう、落ち着いてください牧瀬さん」
キャラクター的に、からかわれている時が一番輝いている気がしないでもない彼女なので、どうにもこちらも一言余計な言葉が増えているような気がする。
鳳凰院凶真*6の気持ちも、なんとなく理解できる気がするぞ、今ならば。
「そんなもの理解せんでもいいわっ。というか、そうじゃなくて!」
「繰り返しの世界、って話でしょ?少なくとも、なにかが起きてるのは確かみたいよ。変な感覚、してるし」
わちゃわちゃと戯れる私達の隣では、シャナが首を傾げながら、『贄殿遮那』を下ろす姿がある。
世界がおかしいのなら斬ればいいだろう、と試してみるようにお願いしたものの、どうにも止めておいた方がいいという予感を覚えたため、諦めたとのこと。
「……ふーむ、その辺りも、なんか覚えがあるような……?」
『なるほどなるほど。となると、調べるべきなのは『家の中』と『れんげさん』というわけですね?』
「多分……ただ、家の中を探すのはよく考えた方がいい、かも?」
「考えた方がいいとは、一体どういうことなのですか?」
マシュの言葉に、微かな記憶を手繰り寄せつつ言葉を紡ぐ。
実は家の中は空間が歪んでおり、闇雲に探しても無駄足を踏まされるだけになる可能性が高い……というようなことを実体験したような……?
「はぁ?なにそれ脱出ゲームか?」
「クリスさん、キャラがおかしくなってますよ」
「いや、コレが文句を言わずにいられるかってのっ。そうなるとこの家、【顕象】とか兆しとか、そういうモノの起点になってるってことでしょう?」
「あー、なるほど。言われてみれば確かに……」
クリスの言葉に、小さく頷きを返す。
おぼろ気な記憶の中には、すれ違う大きな豆腐の姿がある。
あれがなんなのかは現状不明だが、そういう不可思議なものが跋扈する場所であることが確か。
であるならば、警戒はするに越したことはない……というわけだ。
「じゃあ、全員で手分けして……ってのは止めた方が良いかもね。何人かはここに残して、残りで中を探索するって形にする?外から見てたら、なにかわかるかも知れないし」
『じゃあ、ここは私ことBBちゃんと、クリスさんが居残りしましょう!』
「……そうね。分析役としては、他の皆は頼りなさそうだし」
真っ先に挙手したBBちゃんと、彼女の言葉に小さく頷くクリス。
確かに、他のメンバーはオグリとパイセンとマシュ、それからシャナだが、皆分析が得意というわけではないだろう。
かろうじて、マシュが二人の手伝いをできそうかなー、と言った感じだ。
……シャナの『審判』?あれも視界の起点を完全な外側に置けないのなら、ちょっと意味がないかなー。
「だから、マシュも二人と一緒に残って貰える?」
「はい、お任せを。BBさんがいれば安心なような気もしますが、れんげさんのことも見ていなければいけませんし」
「マシュお姉さんは、中には入らないん?」
「はい、ですので二人で砂のお城を作りましょうか?」
「わーいなん!すっごいお城作るん!」
「ふふふ。はい、せんぱい達が戻ってきた時に、驚いてひっくり返ってしまうようなモノを作りましょう!」
「楽しみなんなー」
結果、分析役としてはBBちゃんとクリスの二人が、れんちょんにはマシュが当たることになり、残りのメンバーで家の中を探索することになったのだった。
──そうして、
「……なんか、変な犬にすっごい追っ掛けられたんだけど!?なによあれ!無駄に痛いし!腹が立ったから爆発しといたけど!」
「突然地面から虞美人さんが生えてきたんだが」
『滅茶苦茶ビビってましたね、クリスさん』
「あんなのビビるなって方が無理なんだがっ!?」
「突然落とし穴に落とされたりしたわね……」
「上からシャナが降ってきた。バイオだったら死んでた」
「……それ、遠回しに死んだって言ってないか?」
「そうだよ首がグキッて言ったよ!私多分残機減ったよ!!」
『いやーん、せんぱいの胡乱さが虞美人さんと同レベル~!』
「泣いていいのかな、それ」
相も変わらず、特になにかを見付けられたような感じもなく。
外から見ていた二人も、突然地面から現れたパイセンに驚いたくらいで、特に変化を見付けることはできなかったらしい。
そうなると、あくまでおかしいのは部屋の中……ということになるわけだが。
「そう言えば……」
「どうしたの、マシュ?」
「いえ、こちらは普通に、れんげさんと一緒に砂のお城を作っていた筈なのですが……」
「……ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねーか、完成度たけーなおい」
「いや、これマスドライバーでは?」
「張り切りすぎじゃないか、マシュ?」
「ち、違うんです!作っていたら何故かこの形になっていたんです!本当です信じてください!!」
慌てるマシュの背後に聳えるのは、家の外観を優に越す高さの、塔のような砂の建造物。
余程張り切らなければ作れないような大きさのそれに、思わず信じられないモノを見るように彼女を見詰めてしまうが……彼女の言を信じるのであれば、これは作ろうとしてこうなったのではなく、勝手にこの形になってしまった、というのが近いらしい。
「ここまでのモノを作ってしまうとは、うちはうちの才能が怖いん……」
『いやまぁ、ホントにいつの間にか組み上がっていた感じなので、れんげさんの才能と言うのはちょっと違うような気がしますけどね☆』
「……BBお姉ちゃんは厳しいんな」
『人間には厳しいのがデフォルトな、可愛い可愛いBBちゃんなのでした☆』
なんやかやでちゃんと見張ってくれていたBBちゃんの証言により、作っている最中にいきなりこの姿になった、ということが判明。
なので、別にれんげちゃんが芸術家の才能に目覚めた、とかではないらしい。
いやまぁ、それはそれで『いつの間にか塔になってた』ってことになるんで、わかんないことが一つ増えた形にはなるのだけれども。
「んー、となると……ちょっと不味いかなー」
「なによ、なにかあるわけ?」
「いや、もう日が暮れてるでしょ?なんか、日が暮れると不味い……みたいな記憶があるというか」
「ふむ……宵闇を起点に、時間が遡ると?」
「遡る……んんー?」
どうにも、このままだと解決の糸口も見えないままに、また繰り返すような予感があるというか。
そんなことを口にすれば、クリスからは『日が暮れる』ことを起点にしたループなのでは、という考察が飛び出したのだった。
けど……んー。なんというか、なんというか……。
「なんとなく、遡ってる……わけではないような……?」
「はぁ?」
「時間が遡っているわけではないのに、同じ日を繰り返しているのですか?」
「んー、ホント感覚の問題なんだけど……」
微かに残る最後の記憶。
そこで自身に残ったのは、視界が反転した……否、世界が一巡したような感覚だった気が……。
「……!」
「そう、そういうことね」
「え、なによアンタ達?いきなり笑い出して。ちょっと怖いんだけど?」
「私が此処にいること!それから、ループしてないのにループしたような感覚!だったら答えは端から見えてるってこと!」
「マーリンが絡んでるってんだから、
クリスと顔を見合わせ、二人で笑い合う。
ループものにも種類がある。同じ時間を繰り返すもの。それから、
後者のループの実例として引き合いに出されるのは、例えば『魔法少女まどか☆マギカ』。
時間遡行の魔法によって世界を繰り返している、と捉えられているあの作品であるが、それにしては、まどかに対して以前の時間軸の因果が絡み、その力を強大なものにしている……など、単純な時間の巻き戻しと見るには、少しばかり奇異な面が存在していたりする。
真に世界が巻き戻ったのであれば、起きた物事は
その原因が、
「それが、世界線。無数の選択の内、選んだ物によって収束した世界の形」
「Dメールを用いての過去干渉。意識を飛ばすことによるタイムリープ。それに似たようなことが起きていると見るのが、現状一番自然なんじゃない?」
すなわち、過去に戻っているのではなく、