なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
なんか変な部屋に突然放り出されたんじゃが……
1:[sage] 20XX/X/X XX:XX
ここに来るまでの前後が不覚じゃし、狭い部屋にぽつねんと端末だけおいてあるし、召喚術は使い辛いし……と言うた感じで、仕方なしにパソコン弄っとるんじゃけど、これは一体どうなっとるんかのぅ……?
2:[age] 20XX/X/X XX:XX
前後不覚だとしても目の前にパソコンがあればスレを立ててしまうのは、現代人の性なのかなんなのか()
3:[age] 20XX/X/X XX:XX
それが私達の性分ですもの、仕方ないわ←
とりあえず、新人さんいらっしゃーい
4:[age] 20XX/X/X XX:XX
歓迎しよう、盛大にな!
5:[age] 20XX/X/X XX:XX
久しぶりの新人だー囲え囲えー
6:[age] 20XX/X/X XX:XX
お、おう……歓迎されておる、ということでいいのかの?
あとじゃな、そもそもこのパソコンスレ立て以外できぬでな?
7:管理者:骨の人 20XX/X/X XX:XX
うぅむ、この時期に見えることになるとはな……ともあれ、新たな仲間が現れたというのであれば、私が顔を見せぬ訳にも行くまい
8:[age] 20XX/X/X XX:XX
げぇ!?ギルマス!?
9:[age] 20XX/X/X XX:XX
えらいこっちゃやでこれは……(ガクブル)
10:[age] 20XX/X/X XX:XX
やるんだな団長、今ここで!
11:管理者:骨の人 20XX/X/X XX:XX
……いや、寧ろ私に何をやらせるつもりなんだお前達は。やらんぞ、少なくとも今はまだ。
ともかくだ、ようこそ新たなる来訪者よ。
我等が新秩序互助会──通称『Now Law』は、君の参加を歓迎しよう。
12:[sage] 20XX/X/X XX:XX
な、なうろう……?
「……とまぁ、その時より
「
「せんぱいー!?」*1
とまぁ、彼女が話す内容を最後まで聞いた結果として、見事に机に
名称の時点で嫌な予感しかしなかったけど、敢えてこう言わせて貰おう。……面倒事の気配しかしねぇ!!
っていうか骨の人?!『
みたいな疑問も吹き出してはいるものの、逆に彼女があそこまで頑なだった理由にも納得がいった。……似たような境遇の人物達が集まっている場所に在籍していたと言うのなら、そりゃ勘違いも加速してしまうってモノですよねぇ!?
賛同者のみで集まってしまうと、意見が先鋭化してしまう*2……というのはよく言われている話だが、そりゃ転生とか転移とか実体験として知ってる人達が集まってるなら、自然と答えは
「……今回のあれこれが終わってからの方がツラいことが確定して、もう既に投げ出したい……」
「お、お気を確かにせんぱい!書類作業でしたら、手伝えますので!」
滂沱の涙を机に垂れ流しつつ、今回の一件についての報告やらなにやらで既に頭が痛くなってきている私に、マシュがあたふたと声を掛けてくる。
前回はすんなり許可が取れたものの、基本的には郷からの外出許可を取るのが難しいマシュ。*3
そんな彼女は、原作のようにこちらを後方からサポートしてみせます……と張り切っているが、正直彼女には郷で大人しく待っていて頂きたいところがなくもないというか。
彼女が郷で守りを固めてくれているおかげで、前線に向かう者達は後顧の憂いを断つことができる、という部分もあるのだから尚更のこと。
……いやまぁ、そのあたりを素直に伝えてしまうと、張り切っていた彼女が一転して涙目になってしまうのも目に見えているので、基本的に口には出さないのだけれども。
ともあれ、ここで未来のことを嘆いていても仕方がない、というのは確かな話。
新たな仕事に付いては未来の私に任せ、今は目の前の問題を片付けていく、という方向にシフトすることにする。
……その前に、一応確認だけ。
「もう一度確認しておきたいのだけれど、今回の貴方はオフでここにいるってことでいいんだよね?」
「うむ。わしも向こうではそれなりの地位に着いておるが、今回は単なる趣味の範疇じゃよ。……わしがそういうのが好きなのは、知っておるのじゃろう?」
「まぁ、それなりには……」
未知の組織である『Now Law』の一員であるという彼女が、この列車に乗り込んだ理由。
それは単に、彼女の余暇の過ごし方の一つによるものでしかない……と、彼女は主張している。
それを額面通りに受け取って*4いいのか、少しばかり疑問に思わないでもないが……。
正直、そこを疑っても仕方がない、というのも確かな話。
なので、とりあえず
「……となれば、話は
「あー、いいよいいよそこからは俺が言うから。ええと一応自己紹介しておくと、俺の名前は
なので、ようやっと話は最初の議題……金田一某によく似た姿をしている、彼についてのものへと戻ってくるわけである。
──金田 一。
「むぅ、妖怪一足りない……」*5
「TRPGネタが多いの?……まぁわしも、最初にこやつの名前を聞いた時には似たようなことを思うたが」
そんな彼の名前に思わずむむむと唸る私と、それを聞いて小さくため息を吐くミラちゃん。
なんでも、彼女的には転生者だと思って話し掛けたため『え?本人じゃないの?』みたいな困惑を抱いたとか抱かなかったとか。……
「仲間の一人が『多分そうだと思う』だのなんだの言って、暫く深入りしていた相手がおったらしくてな。……そっちはなにやら紆余曲折あったあと連絡が取れんようになっていたようだが、暫くしたあとに再会した時には、すっかりキャラが変わってしもうただのなんだのと嘆いておったのぅ……」
「いきなり機密っぽいものを、滔々と垂れ流さないでほしいんですがそれは」
「機密?いやいや単なる世間話じゃよ?」
なお、会話の内容そのものが、微妙にこちらが聞いていいものかどうか悩ましいものだったため、微妙に困る羽目になったりもした。……ぼかされてはいるので、別に大した話ではないのかもしれないが。
ただこう、聞いているとなんだか妙な既視感?を覚えるため、多分これ後で『あーっ!?』ってなるやつだなー、とも思っていたりするのだけれど。
まぁともかく。
見た目があらゆる実写金田一を連想させるものである以上、まさか全く無関係ということもあるまい……と認識した彼女は、それとなく探りを入れるために彼に近付いた、ということらしい。
休暇中なのにも関わらず、随分と仕事熱心なことである。
「そうは言うがの?目の前に金田一が居るとすれば、普通は確認を取るじゃろ?本当に本人じゃったとしたら、この列車内でなにかしら事件が起きるのは明確、というわけじゃし」
「ははは確かに。……ところでこれは親切心なのですが」
「……な、なんじゃ改まって。嫌な予感しかせんのじゃが?」
「見た目は子供、頭脳は大人な探偵君がこちら側の同行者にいらっしゃいます」
「え゛」
そんな私の言葉に、彼女は小さく頭を掻きながら答えを返してくる。
……恐らくだが、普段の彼女の仕事は原作の彼女と同じく、全国各所を回ることなのだろう。
探すのは九賢者ではなく、自身と同じように
ゆえに例え休みであったとしても、いつも探している相手を見付けてしまえば、関わりに行かざるを得なかった、と。
まぁ、相手が
実際に私達がそんな感じで近付いたわけだし。
そんな苦労人感を醸し出している彼女に、私は一つ親切心からとある事実を教えてあげることにする。……愉悦とかではないですよ?
なにせ……一応金田君が本人ではないと言っているのに対して、こちらのコナン君は間違いなくコナン君なのである。
再現度の関係上、本来であればコナン君であっても事件を招き止せる、だなんてことはないはずなのだが……。
「この列車自体が怪しいのは目に見えてるし、これでなにも起きなかったら逆にビックリだよ……」
天井に穴が空いても、気にすらしない乗客達。
路線そのものに関わるという怪異の影。
そして、揃ったのは半端な名探偵達。
なにが起きようとしているのかはわからないが、ろくなことにはならないことだけは予感できて、思わず深々とため息を吐いてしまう私なのでありましたとさ。