なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ううむ、探偵と妖怪……?なんじゃ、今までの事件で関わった者共が化けて出たとでも?」
「あー、転生のイメージが強いとそういう考え方になるんだね。……ってことは、【顕象】に対しての扱いもこっちとは違うのかな?」
「むぅ、【顕象】?なんじゃそれは」
「……あれ、知らない?そっちで言うんなら、転生じゃない天然の異能者……って感じになるんじゃないかと思うんだけど」
「ふむ、【
「ふぅん……?」
話している内にお昼になってしまったため、各々が頼んだ昼食に舌鼓を打ちながら、話を続けている私達。
現状わかっているのは、この列車には奇妙な噂が付き纏っているということと、偶然か必然か、引き寄せられるようにしてここに集った探偵擬き達が居る、ということ。
……そういえば、宝石を狙う怪盗も居るんだっけ?
単なるバレンタインの話だったはずなのに、なんというかあれこれとトラブルが集中しすぎである。
まぁ、金田君が一応一般人である以上、ミステリ的な異変に関しては最悪この列車が止まれなくなるとか、はたまた爆発するかもとかについてだけ注意していればいい、ということになったので多少はマシになったわけなのだけれど。*2
「……いや、俺が言うのもなんだけど、それってなに一つマシになってないんじゃないか……?」
「はっはっはっ。金田君、わかっていても見たくないモノってのはあるもんなんだよ」
「あ、はい」
……まぁ、金田君の言う通り、実際は欠片もマシになんてなってないわけなのですが。
コナン君を部屋に待機させる、という方法もどこまで有効だかわからん以上、早急な事態の解決を目指さなければいけないのはわかりきったことなわけだけど……。
いや、これって確か例のカーブより先にも、他の
というかだね、見た目が複数の
「……ぬぐぅ、仕方ない。とりあえず増えるしかないか……」
「ほうほう増えるとな。……いや待て、増える?増えると言うたかお主?」
「紛うことなく瞬きの間に増えておる!?」
仕方ないので、ここで多重影分身の術再び。
脈絡もなく二人に増えた私は、通常の私が赤系なのに対して、向こうは青系。……図らずもミラちゃんに似たようなキャラになってしまったが、些細なことである。
「つまり、私の方は金田さんの護衛を務めれば良いというわけですね?」
「うむ、頼んだ
「へ?あ、いや……はい?」
「こやつ凄まじく雑に増えおったんじゃが……」
なお、私の奇行に慣れていない二人は、完全に宇宙猫状態に陥ってしまった。
すっかり慣れてしまったマシュ、及び私について聞き及んでいるバソはさしたる動揺もなく、普通に料理を口に運び続けている。
なお、増えた方の私はキリアの人格ベースで動いているため、呆然としている二人を見てちょっとわたわたしていた。
「お、落ち着きましょうお二方。ほら深呼吸を。ひっひっふー、ひっひっふー」*5
「う、うむすまぬ……ってまともそうに見えてそっちもネタ要因ではないか!」
「あ、バレちゃいましたか?」
「て、てへぺろじゃと!?こやつあざといぞ!」
「……いや、そのキャパオーバーなんで。静かにして貰えると……」
「金田ー?!しっかりしろ金田ーっ!!」
……まぁご覧の通り、明確に
「……というか、あれはお主と思考のリンクなどはしておらぬのか?」
「テレパシー的なのはあるけど、普段は切ってるよ。流石に分割思考とかマルチタスクとかは一般人には負担が大きいからね」*7
「一般人……?」
お昼を食べ終わり、自身の部屋に戻っていく金田君と、それに付いていくキリアを見送る私達。
そうして小さく手を振る私とキリアを見て、なんとも微妙な表情を浮かべたミラちゃんが尋ねてかけてくるのだった。
一応、元が多重影分身であるため、知識の共有などは行えるものの、中身が一般人である私だと常時
なんというのか、自我の境界があやふやになって、そのうち世界とは……宇宙とは……とか言いそうになるので、ちょっと怖いというか。
みたいなことを述べたところ、彼女から返ってきたのは凄く胡散臭そうな表情と言葉だった。あれー、彼女の前ではそんなに変なことしてないはずなのになー?
「いやまぁ、うちにも蜘蛛子がおるゆえ、単に増える分にはそこまで珍しくもないのじゃがのぅ」*8
「ぶふっ!!?」
そうして、彼女の言葉にちょっと憤慨していた私は、続く彼女の言葉にそんな気分の全てを吹っ飛ばされる羽目になる。
……あー、はいはい。そりゃあの骨の人がいらっしゃるんですから、蜘蛛の子だって居てもおかしくないですね。……神は死んだ!!
「やはりこう、人型の存在がぬるりと増えるのは、視覚的にも精神的にもインパクト絶大と言うかじゃな?……いやまぁ、お主魔王じゃからそこまでと言うわけでも……おい?どうしたキーア?」
「もうやだおうちかえるぅ……」*9
「本当にどうした!?」
あれこれと喋っていたミラちゃんが、こちらの様子に気付いて声を掛けてくるが、正直精神の均衡を欠いている今の私には、彼女を慮るような余裕はない。
名前からして既に危険な団体扱いしてたけど、悉くヤベーイ*10奴等が出てくるものだから、正直危険度判定爆増中だよ!
これで万能回復使いとかありふれた錬金術師とか出てきたら、真剣に滅ぼすことを前提に考慮し始めるからね私!*11
「あー、うむ。言わんとすることはわからんでもない。人間性という意味では、わしらはネジの外れたモノが多いのは確かじゃからの」
「ふむ、だがそれは今さらではないかね?」
「む?一体なにを……ってああ、そう言えばお主海賊じゃったな」
なんて、魔王っぽい?ことを考えていた私の耳に、ミラちゃんとバソの会話が飛び込んでくる。ふむ……?
「そっか、バソがありなら問題ないか」
「……まぁ、事前に戦争の芽を摘めたようでなによりだよ」
メカクレに命を燃やし、メカクレに死す──。
海賊と言う人でなしである以前に、そもそもメカクレ狂い以外の何者でもない
そんな確信を抱いた私が深く頷くと、功労者たるバソは曖昧な笑みを浮かべていたのだった。
「ええと、話が脱線していますので、そろそろ戻しませんか……?」
「おおっと、ごめんごめん。……で、なんの話だっけ?ミラちゃんが未知のスキルに興味を示してないのはなんでだろうなー、って話だっけ?」
「そんな話じゃったかのぅ……?」
とまぁ、あんまりにも無関係な話をしていたため、マシュから軌道修正のツッコミが入ったので、妙に弛緩した空気は崩されてしまうわけなのですが。
とまれ、話題を戻すとすれば、ミラちゃんが多重影分身を見ても『覚えたい!知りたい!』みたいな好奇心を発揮しなかったのはなんでだろう、ということだろうか。
本人は微妙な顔をしているが、ミラちゃんと言えばとかく知識に貪欲なイメージのある私としては、彼女が見たことのないはずの技術に対し、探求より先にツッコミが出てくるのはちょっと違和感があるのも確かなわけで。
……まぁ、これに関しては単純に別所で似たようなスキルを見ていたから、という説明が付いてしまったわけなのだが。*12
「さて、となると……今後の活動方針についてかな。ミラちゃんはどうする?一応休暇中なんでしょ?」
「……話を聞く限り、それはお主らも同じじゃと思うんじゃがな。まぁ、乗り掛かった船じゃ。終点まで付き合うのも吝かではないのぅ」
まぁ、まだ見ぬなろう主人公達の話は脇に置いておいて。
そもそもの話、私達はたまたま出先で変な噂に遭遇したからこそ、場当たり的に解決に動き出しただけであって。
部外者のミラちゃんを拘束したりとか勧誘したりとか、はたまたこちらを手伝うように要請するつもりは一切ないわけで。
なので、言外に手を引くなら今だよ、と示したのだけど……返ってきたのは小さな嘆息と苦笑。
まぁ、探索担当みたいなことを自分でも言っていた以上、ここで手を引くだろうとは一切思っていなかったけれども。
ともあれ、ここに同盟は締結。
近い将来どうなるかはわからないものの、謎の組織『
「じゃあまぁ、うちのメンバーの紹介もしようかと思っ……あさひさん?」
「ぬ?」
「やほーっす。あんまりにも遅いんで、私が代表して見に来たっすけど……また現地妻を増やしたんすかキーアさん?」*13
「……!?げ、げんち……?!」
「人聞きがすっごく悪いんですけどォ!?」
というわけで、とりあえずはこちらのメンバーの自己紹介から始めようか、と食堂車から出たところ。
外にある購買に居た目立つ少女……特に捻りもなくあさひさんだったわけだが、そんな彼女がこちらを見付けて、てててって感じに近寄って来た。
どうにも、こちらの帰りが遅いので見に来たらしい。
……なんとなくお昼まで食べてしまったけれど、そういえば一時間以上、向こうに連絡を入れずにいたのも確かな話。
更にはマシュをこっちに令呪で呼び出したりもしているため、なにもわからない向こうからすれば、色々とやきもきしていたはずである。
だからまぁ、向こうから偵察部隊が派遣されてくること自体には、特に文句はないのだけれど。
それでも唐突に投げ込まれた爆弾については、ちょっと擁護ができねぇですよ!?
いや、私はどこぞの英国の秘密エージェントかっつーの!……あ、ポジション的にはそんなに違和感ないわ。*14
「でもでも、現地妻云々には抗議します!私はノーマルだよ!」
「……?中身が男性なのだから、相手が女性なのは普通なのでは?」
「……あれっ?そうなるのかな?」
「キーアさんはいつも通りっすねー」
なので、一応抗議の声をあげたのだけれど……横のバソの言葉に、微妙に気勢を削がれることになるのでしたとさ。