なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「うーむ、こんなところで分身のデメリットが効いてくるとは……」
「どういうことじゃ?」
対処が思い付かず小さく唸る私に、隣に降り立ったミラちゃんから声が飛んでくるが……。
どうもこうもない、先ほど言った通り私の分身は、属性を核としての分割という条件を含んでいる。*1
要するに、従来の万能性能を文字通りに二つに割っているため、わけた方の属性は逆立ちしても使えないのだ。*2
霊体に対しての特攻となる聖属性の魔法や技などは、今の私には一切使えない。
すなわち、現状の私には『
「単純に私達の火力を総動員するのではダメなのかい?」
「んー……どうだろ。とりあえず、鬼太郎君は倒せそうだと思う?あれ」
「えっ?……あーいや、どうかな……」
その発言に、近くに居たバソから質問が飛んでくるが……それをそのまま横に居た鬼太郎君にパス。
ここに居る面々の中では唯一、そもそもに霊体関連に一家言あると思われる系列の存在である鬼太郎君に対し、周囲からは期待の視線が向けられるが……それを向けられた当人は、眉尻の下がった困り顔を浮かべている。
それもそのはず、相手は確かに『魔列車』──すなわち『幽霊列車』ではあるが、同時に『イマジン』でもある。
問答無用で成仏させる『ターン・アンデッド』*3などが使えるのならばいざ知らず、彼が行うのは基本的には物理(霊体)である。
お経を唱えてなんやかや……とかではないため、彼が有利に立てるのはあくまでも『幽霊列車』である間だけ。
それ以降は、普通の戦力としてしか扱えないのである。
そういう意味では、対イマジン戦闘のエキスパートと言えなくもないモモちゃんに後半を任せる、という戦術の組み立てをするのが普通なのだろうが……。
「なにか、問題でも?」
「……イマジン自体が【継ぎ接ぎ】と相性が良すぎるから、向こうの『魔列車』っていう擬態を迂闊に剥がすと、こっちに有利な別の姿に変化しそうな気がするというか……」
「なん……だと……?」
パズル&ドラゴンズ*4という作品を知っているだろうか?
インフレが進んで様々なギミックが生まれていった結果、それに対処できなければ死ね!……とかされるゲームである。
これが言い過ぎでもなんでもなく、
まぁ勿論、あくまで難易度高いところがそうなっているだけであって、普通のダンジョンは普通にパズルをしているだけでクリアできるわけなのだが、今回はそんなパズドラが面白いか面白くないかとかは関係なくて。
パズドラという作品に存在するギミックの一つ、『超根性』を今回の説明のために引用させて頂きたいと思い、話題にあげた次第でございます。
で、すさまじく雑に言うと『超根性』とは、『絶対に一撃死しない』耐性である。
自身の体力の最大値を越えるダメージであろうが、設定された値よりも下には絶対に体力が減らない……という、かなり強力な耐性だ。……『超』って付いているように、元々あった『根性』という耐性の強化版なのだが、そこは割愛。*11
ここで問題なのは、『相手になにもさせずに一撃死』させることができない以上、
ロールプレイングにしろカードゲームにしろ格闘ゲームにしろ、勝つために一番楽なのは、相手になにをさせる暇も与えないことである。*13
当たり前の話だが、殴りあい──すなわち相手に反撃のチャンスを与えるということは、例え数パーセントであろうとも相手に勝ちの目を与える*14、ということでもある。
残り体力が一ドット、単なるガードですら削り倒されるという状況において、敵の攻撃の全てを
特殊召喚も通常召喚も封じ、妨害も複数立てたのにも関わらず、耐性の隙間を縫われて逆転を許してしまうことがあるように。
耐性やら強化やらを積みまくって相手の攻撃では死ななくなったのにも関わらず、強化を全て消すスキルを使われて唖然としたり。
まぁ、要するに。
相手に動く機会を与えるということは、例えそれが蜘蛛の糸のような細い可能性であったとしても、逆転のチャンスを相手に与えてしまう、ということでもある。
この辺りは最近の遊戯王をやっていれば、なんとなくわかるだろう。
例え封殺した気になっていても、相手の動きがこちらの妨害回数より上になってしまえば、その時点でこちらは相手の動きを見ているだけの結果となる。*16
一枚であれこれ動けるような相手であれば、たった一枚でも自由にしただけで逆転の可能性ははね上がり、結果として優勢だったはずが負けてしまった、ということも少なくないはずだ。
……こほん。閑話休題。
ともあれ、対戦相手に動く機会を与えてしまうというのが、勝利を目指す場合にとても恐ろしい選択である、というのはなんとなくわかって貰えたと思う。
その上で、先ほどの『超根性』というモノに話を戻して行こう。
この耐性は、どんなに相手の火力が高かろうと、絶対に死なない能力である。
パズドラは相手ターンに動ける手段がプレイヤー側には存在しない*19ため、先の遊戯王の例えで言うのなら『必ず一回、無効にもされない魔法や罠・モンスター効果を、フィールドの状態を無視して発動できる』能力なのだと思って貰えれば、なんとなくその恐ろしさがわかるかもしれない。
素材八枚積みのロンゴミが怪獣で
正しく『インチキ効果もいい加減にしろ!』*21というやつで、これを実装するのなら、
自重しなかった場合には難易度が上がりすぎて、一部の対応できる人々以外は攻略を投げ出す結果になってしまうからだ。*22
……お察しの通り。
それが実装された当初は、そこまで問題でもなかったのだが。
後に超根性で耐えた後に即死攻撃とか、超根性で耐えたあとこっちのスキルチャージを戻すとか、思わず『なんで?』と困惑するような行動をしてくる敵が現れたのであったとさ。……まぁ、威嚇による行動遅延が効く場合もあるのだが、それはそれでこちらの手札を縛る結果になるので、『抜け道はありますよ』と言われても納得できるかは別の話。*23
ともあれ、相手の情報無しには攻略できなくなるという意味で、一定よりも下の層……要するに中堅層とかが最新ダンジョンの攻略を諦めた、というのは確かな話。実際にデータとして公式が出しているので、そこは間違いないだろう。*24
……話が脱線したが、そんなギミック『超根性』による相手の行動の一つに、『一定回数『超根性』が発動するまで体力全回復』というものがある。
字面の時点でなに言ってるんだこいつ感が強いが、『根性』系の特性の一つに『設定体力を下回っている間無効化される』というものがあることを知っていると、意味が見えてくるかもしれない。
そう、悪名高き『以上吸収』や『コンボ吸収』、『属性吸収』などにより体力が規定値よりも回復すると、『超根性』は再び効力を発揮するのである。*25
中でも『コンボ吸収』は無効化手段が存在しないため、コンボできない人間には一生突破できないという、凄まじいまでの壁として立ち塞がることになる。
……すなわち、先ほどのパターンは『相手の行動を必ず何度か許してしまう』ものである、と言えるわけである。
で、このタイプのものとセットになっていることが多いのが、『自身の属性変更』である。
これはいわゆる『無効パ』というものが流行った後から増え始めた(一応流行る前から存在はしていたが、明確に増えたのは無効パがとあるダンジョンをクリアしてから)ものだが、文字通り『自身の属性を変える』ものである。*26
それだけ?と思われそうだが、パズドラにおいて弱点と耐性はとかく強い意味を持つもの。
相手を一撃死させるのが重要なこのゲームにおいて、ダメージが二倍か半分かになるというのは、特に重たい意味を持つのである。
要するに、変化前の属性なら二倍ダメージになるので倒せたはずが、変化後の属性では単純に四倍の火力がいる……ということになった場合、待ち受けるのは倒しきれずに即死、という未来だろう。
……まぁ、カンストによるダメージ制限もあるので、大体半分しか削れずに詰む、ということの方が多いだろうが。
ともあれ、弱点の変化というのは、口で説明するよりも遥かにめんどくさいのである。
ここまで説明して、ようやく『魔列車』の話に戻ってくるが。
相手の『魔列車』状態をダメージを与えて解除する場合、その性質は『超根性』に近いものだと思われる。
要するに、
これがまぁ、単なる敵なら良かったのだが……相手は超強化イマジン、すなわち一撃で倒さないとなにをしてくるかわからない相手。
結果、変に殴り倒すのはよくない……という、なんの嫌がらせだその性質、みたいなツッコミを入れざるを得ない状況になっている、というわけなのだった。
「……いや、それじゃと当初の予定とやらも微妙なのではないか?」
「『超根性』にもなにもさせずに倒す手段があるように、あの『魔列車』も強制成仏ならどうにかなってたと思うんだよね……」*27
「なんと?」
なお、その説明に対してミラちゃんからのツッコミが入ったが……。
もし仮にキリアによる聖属性攻撃を行えた場合、耐性を無視して『幽霊』属性のまま相手を倒す……などという手段も取れたと思われる旨を話すと、彼女は驚いたような表情を浮かべていた。
……まぁ、うん。
パズドラの解説に終始しているさまに、どこかの話で似たようなことをしていたような気がしてくる今日この頃。
解説文書いている時にイキイキしているのは恐らく勘違いじゃないです()