なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ともかく、現状こっちが取れる手段なんてそう多くはないんだし、とりあえず近付こう!近くで観察したら、なにか上手い手が見付かるかもしれない!」
「……んー、確かに。今の状況じゃあ四の五の言ってる*1暇はないか……よし、じゃあこの中で一番移動速度の遅いコナン君と蘭さんは、あさひさんの背に乗せて貰うってことでいいかな?」
『あれ、
あれこれ相手を倒せなくね?と唸っていた私に、とりあえず両者が争っている近くまで向かおう、と声を掛けてくるコナン君。
確かに、私達がこうして地上であれこれ話していたとしても、状況が好転するわけではない。寧ろ、無為に時間が流れていくだけだろう。
それならば、一人で頑張っているモモちゃんを援護するためにも、彼の近くに向かうのが先決と言うものだ。
彼の発言を聞いてそう決心した私は、現在のメンバーの中で足が遅い二人を、あさひさんにお願いすることにする。
コナン君を戦力扱いはでき……ない?が、それでも彼の観察力が優れているのは事実。
特に、今は状況を積み重ねた結果として本来の『江戸川コナン』へと、知力が近付いている状態。
僅かな隙でも見逃したくない現状、連れていかないという選択肢はあるまい。
それと、社長さんと娘さんに関しては──申し訳ないのだけれどここに放置させて貰う。
こちらとは敵であるとも、味方であるとも言い辛いこの二人のために、気を取られるのも宜しくない。
最終的には彼らの元に『魔列車』は戻ってくるだろう、という事実を顧みても、彼らを連れていくメリットはないだろう。
離れた位置で大人しくしていてくれるのならば、それが一番である。……盾にしたらどうかって?それ向こうの逆鱗に触れて手が付けられなくなるフラグぅー。
とまぁ、そこまで思考を終えた私達は、いつの間にやら随分と距離を離されてしまった両者に、全速力で追い付くための準備を始め。
『ぬぉぉわあぁぁっ!?』
「へっ?……ほぎゃあっ!!?」
モモちゃんの叫び声が周囲に響き渡ったことにより、思わず視線をそちらに向け。
……結果として、『魔列車』が周囲に無差別に
──何の光!?
「……まともに動けねぇ」
綺麗に出鼻を挫かれた私達は、そのまま逃げるようにして列車の中へと戻っていた。
不思議と?攻撃対象に含まれていないらしい
流石にビームの雨は……傘じゃ防げないかな……。
「この列車が顕現のための依代だったから?……いや、元々願いを叶えるために現れたんだから、その願いの基幹となるこの列車には、相手は攻撃できない、とか……?」
「これキーアよ、そうやって理由を考えても答えにはたどり着けぬじゃろう。それよりもどうやってここから出て、あの『魔列車』を打ち倒すかを考える方が先決ではないかの?」
「……むむぅ」
一応相手の動きの考察をしてみるものの、こちら側が相手について知っている情報が足りなさすぎるため、明確な答えにはたどり着けそうもない。
そこをわかっているからか、隣のミラちゃんからの反応はこちらを急かすようなモノだった。
考えるよりも動け、というありがたーい忠告である。
……とはいえ、現状こちらが取れそうな行動というと、マシュに防御して貰いながら無理矢理に相手側に突っ込む、くらいしかないだろう。
そうしてビームの雨を凌ぎつつ、デンライナーに飛び乗るのが現状の最善だと思われる。……まぁ、その手段を取ると、以降の戦闘はデンライナーの内蔵武器任せになってしまうわけだが。
それ以外では、マシュの宝具である【
……問題があるとすれば、彼女の
「何故じゃ?シールドバッシュやらシールドブーメランやら、盾で攻撃する技なぞ幾らでもあると思うが?」*4
「
「むぅ、融通が効かんのぅ……」*5
盾を使っての戦闘術なんて、それこそ幾らでもあるのではないか?というミラちゃんの反論については……聖なる盾で殴ったからといって、聖属性攻撃にはならないだろうという言葉を返す。
基本的に、聖属性というのは
特に聖なる盾ともなれば、その盾に秘められた聖属性は他者を護るときにこそ発揮されるもの、という風に定義されていてもおかしくないだろう。
どこぞの聖職者ちゃんの『
ともあれ、その辺りの属性の発揮条件を考慮せずに聖盾で殴ったとしても、それは単に
敵の攻撃は防げるが、同時にこちらの攻撃も決定打にはなり得ないというのであれば、肉ある人間であるこちらの方が、スタミナなどの面からして不利である。
相手側のエネルギー枯渇を待つというのも、盾役も攻撃役もマシュという形では無理があるだろう。
あさひさんが区分としては雷使いになるので、一か八か
まぁ、そんな感じなわけで。
窓の外で雨あられと降り注ぐビームの洪水を横目にしつつ、微妙に打つ手がないなー、とため息を吐いた私は。
「……どうしたの、コナン君?」
「あ?……ああいや、ダイヤルを最大にしたからあんなことになったのか、それともそもそもにイナイレなりきりグッズみたいなものだったのか、ちょっと気になってな……」
「……なりきり、って付くと途端にヤバいモノに見えてくるよね、今の状況だと」
「……否定はしない」
少し離れた位置で、コナン君が履いていた琥珀さん謹製のスニーカーについての話を、二人が喋っているところを目にするのだった。
……イナイレ……技……なりきり……。
「──それだぁっ!!」
「ぬわっ!?ななななんなんだよいきなり!?」
「あるじゃん聖属性攻撃!そうだよイナイレ!超次元サッカー!どんだけ再現できてるのかわかんないけど、流星ブレードが行けるなら、琥珀さんなら必ず作ってるはずだよ!」
「ちょちょちょ待て待て前後に首を揺らすのは止めてくれぇっ!?」
「わわわ、ちょっとキーアさん落ち着いて!」
「……のぅ、こやついつもこんな感じなのか?」
「あ、あはは……」
この状況を打破する
気分は正に
振り回されているコナン君が真っ青になりつつあるが、そんなもん誤差だよ誤差!
「……はい、キーアさん反省してます。ちょっと思考が煮詰まってたので無茶苦茶しました、すみません」
「わかればいいんですよ、わかれば」
あのあと、暴走していた私を止めたのは蘭さんの空手チョップであった。……きゅうしょに あたった !
頭蓋骨が陥没するかと思うかのような衝撃に、浮かれていた私のテンションは急降下。
こうして、蘭さんの前で正座をして反省をしていたわけなのでございます。……いやまぁ、悪いのは私なので仕方ないんだけども。魔王より魔王らしい笑みを浮かべた蘭さんは、正直夜眠れなくなる怖さだったというかですね?
ともあれ、冷静になってから、改めて先ほど思い付いた作戦について、それが本当に実行できるかどうかを考えていたのだけれど……。
「な、なんだよ」
「……ふむふむ。解析終了、かな」
「は?……えっと、なにを解析してたんだ?」
突然向けられた視線と言葉に、先ほどの事件を思い出したのか、露骨に警戒を見せてくるコナン君。……さっきのはわざとじゃないよー、と微笑みを返しつつ、指差すのは彼の足元。
「……もしかして、このスニーカーか?」
「大当たり。それって琥珀さんが作ってくれたって言ってたよね?」
「ああ、『江戸川コナンにはこれ、ですよねー』って言葉と一緒に渡されたけど……」
「で、普通に使おうとしたら、何故かモーションアシスト付きで流星ブレードを使う羽目になった、と」
「……そうだな」
そうして私が確認を取ったのは、先ほど彼が話したことについて。
この列車から『魔列車』を追い出すことを目的として、内装を破壊することを選んだ彼は。
普通にサッカーボールを蹴りまくることを選んだはずが、超次元サッカーな技を発動する羽目になり、結果として内装は粉々に砕けて散った……それが、彼が先ほど行ったことである。
「じゃあ、今度はそれを『
「……は?」
改めて彼のしたことを確認した私は。
今度はそれを、あの『魔列車』にぶつけてやれ……と、そう宣言したのだった。
それを受けた彼は、呆けたような声をあげるのだった──。