なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
──劉備玄徳。
三国志における蜀漢の初代王であり、本来は男性。
桃色の髪を持つ彼女は、『恋姫†夢想』においての彼の立場にあたる人物であり、その来歴からわかる通り、英霊エミヤシロウとはなんの関わりもないはずの人物である。
「……
「それがなりきりとして成立する……というのは、ちょっとよく分からない感じがしますね」
「我がことながら、なんとも言い辛い話ではあるのですが……はい、まぁその、仰る通りでございまして……」
左右をstay_nightヒロインズ(の、そっくりさん)に挟まれ、なんとも恐縮した様子を見せる桃香さん。
以前──クリスマス前に彼女が姿を見せた時に、その口から語られていた通り。
彼女は、基本的にゆるーい感じの『なりきり郷』において、唐突に過ぎるくらい重い背景を持った人物である。
これはまぁ、元々の桃香という人物自体が、人によっては偽善者だとかなんだとかと言われやすいところがあった、という話にも繋がるのだろうが……。ともあれ、彼女が恋姫系の創作においてヘイトを受けやすかった、というのは一つの事実。*1
その反論、ということなのか。この彼女は『エミヤ』の生涯を見知っているがゆえに、正義の味方の末路*2をもまた知り得ており、それゆえに原作の彼女よりも幾分かシビアというか、現実主義というか……ともかく、かなり特殊な生い立ちの人物の『逆憑依』という、正直意味不明以外の何物でもない存在なのであった。
……まぁ、正義の味方系のキャラにエミヤの情報をインストールする……というのは、二次創作においてはさして珍しくもないクロスオーバーであるため、二次創作を漁っている人間からすれば「はいはいまたいつものねー」くらいの感想しか湧かないものでしかなかったりもするわけだが。『アーチャー』とか『エミヤシロウ』辺りで検索するとわんさか出てくると思います。……え?その場合はエミヤ転移とかエミヤ転生とかの方が多い?*3
ともあれ、この桃香さんが普通の恋姫の劉備とは違う、ということに間違いはなく。……尊敬の度合いがもうちょっと違っていれば、英霊エミヤに対しての恋心とかに発展していてもおかしくなさそう……なんて判断を、他所からされていても仕方がない立場と言えなくもないわけで。
「……ああ、なるほど。だからこそ余計に私達には話せなかった、ってわけね?」
「そうですね。厳密には皆さん別人ですから、そこまで気にせずともよいのかも知れませんが……その、エミヤさんについては
『まぁ、元を辿ればこちらも
「全年齢……?CCCは全年齢でいいの……?」
『おっとせんぱい、
「
「いや、型月組で勝手に納得すんのやめねー?」
要するに、原作のヒロイン達には恋敵扱いされそうな予感もあるし、そもそも英霊エミヤの生涯を
彼女もまた、元を正せば成人向け作品出身者であるため、その辺りの話を『不潔です』とか言うことこそないものの。
余所の世界では恋仲にもなる恋姫の主人公とは、どうにも反りが合わなかったとかなんとかとの話もあり、
その辺りの話が重なった結果、エミヤに感謝を伝えたくても伝えられない……という、一見すればストーカー以外の何者でもないムーブに繋がったのだという。……なんというか、原作の彼女からしてみれば予想も付かない変貌っぷりである。
まぁ、多感な少女時代にエミヤの生涯インストール、なんてことをされているのだから、それもしょうがないのかもしれないが。……え?彼女の場合はそもそも『千里眼』の方があれだろうって?
ともかく、なりきりをやる際のフレーバーのはずのそれらの出来事が、自身の経験した出来事として認識されている……という、じみーに怖い状態でここにいる彼女は、トラブルメイカー気質なところもあれど、基本的には善人に区分される存在。
であれば、エミヤさんが邪険にすることはまずあり得ず。
結果、身に覚えはないものの、彼女の感謝を素直に受け取ることとなったのだった。
……そんな感じで二人の話が纏まった横で、BBちゃんが自身の原作を揶揄し始めたのだけれど。まぁ、それが新たな問題の始まりだったわけで。
今ほど気軽に作品を発表できなかった昔の日本において、『原則として一番規制が厳しい成年向け区分は、逆を言えばほぼなにをしてもいい場所』という扱いをされていたことがあり。*6
それゆえに成年向け要素がほぼ添え物で、本筋自体はいわゆるエッチな話とは全く無関係……なんて作品も数多く生まれていた。
時代が進み、作品の発表が簡単になったり、はたまた全年齢で書ける話題が広がる、などの変革が起こり。
その結果、各社の据え置き機や携帯ゲーム機などに、成年向け要素を抜いた形での作品の移植が盛んに行われるようになり、結果としてそれらが一般層に好評を博した……みたいなことも多くなってきたわけである。
いわゆるDEEN版と呼ばれる方──一番最初の『stay_night』のアニメ化は、一部の描写に非難が向けられることこそあれ、マシュの原型となる人物やアーチャーのオーバーエッジなど、後作に繋がる要素を生み出した点に置いて、十二分に成功したと言える作品の一つだろう。*8
実際に人気が爆発するのは『zero』からだろうが、メディアミックスにおいて型月が比較的恵まれている方、というのはまず間違いないはずである。
……まぁ、そんな昔語り──当事者的な人達からすると昔語りなのか微妙な気もするが、ともかく懐かしいとか良かったねとか、そんな話題で終始できれば良かったのだが。
途中で話題に出た、
彼女のパートナーがその宝具に付けた、ある名称。
──それを口に出したのが、不幸の始まりだったのだ。
元々の成人向けだったゆえか、はたまた作品のテーマから触らずにいられなかったのか。
ともかく、当時の拙いCGですら『これはアカンやろ』と思わされる、とんでもない宝具。
なんでこれが『CERO C』なんだと、誰もが首を捻ったその宝具。
言葉で説明することが憚られ、それゆえに仕方なく、銀ちゃんへの説明のためにわざわざ
「……?……????」
演出を見た結果、見事な宇宙猫顔を披露した銀ちゃんに対し、思わず苦笑を浮かべる中で。
不意に、視線を少し離れた位置へと向けた時。──その暗がりの奥に、
「ふふふ……ソワカソワカ」
静かに舌舐めずりしながら、上気した表情でこちらを見つめるとある尼僧の姿があったことに、背筋を凍らせた私は。
「気を付けろっ、最低最悪の宝具が来るぞっ!!」
「え?いきなりなに言って……ひぃっ!!?なんかいるぅぅっ!??」
『え、コレもしかして私のせいですかぁっ!?』
「うぎゃあぁあああああでたぁぁあああぁぁああ」
思わず、大声で叫ぶ羽目になってしまったのだった。
「……なんで八月でもないのに、背筋が凍らなきゃいけないのよ!?」
「ンンン、被害総額的に見ても背筋が凍りますぞ」
「は?……ってひぃっ!!?桁がエグいっ!?」
その報告を聞き終わった彼女は、寒さを堪えるかのように自身の体を掻き抱いていたのだが……私が取り出した領収書には、目玉が飛び出るくらいの驚きを見せていた。
まぁうん、向こうの施設は丸ごと消し飛んだから、被害総額としてはエグいことになるよねー、というか。……まぁ、やったのは私なので全部自分で直したし、事が事だったので向こうのリーダーさんも許してくれたのだけれど。
「いやー、やっぱり【万色悠滞】はヤバイねー。向こうのリーダーさんは精神耐性あるから大丈夫かと思ったんだけど、作中描写が『沈静化』だったせいか貫通されちゃってさー。危うく飲み込まれちゃうところだったよー」
「ねぇ待って?話を聞いてるとビースト顕現してない?!ヤバイものとやりあってない?!」
「ビーストも二戦目だねー」
「そんな軽いノリで話すようなものじゃないわよねぇそれぇ!?」
あはは、と笑う私。……いやまぁ、ビーストって言っても前と同じく擬き。完全顕現なら貫通で済まずにそのまま飲み込まれてた可能性も無くはないので、そう考えてみたら普通に耐えられていた辺り、まだまだ余裕はあったんじゃないかなー、というか。
……私?私は
ともあれ、唐突なビーストⅢi/Rとの戦闘はなし崩し的に始まり*9、結果向こう一帯を更地にすることで終わった、というわけである。
……更地になっただけで済んで良かったと見るべきか、単なる
……まぁ、つられて他の人がはっちゃけたりしなかったのは、良かったのではないだろうか。
向こうの人は血の気の多いのがいっぱいいるし、そこら辺大乱闘にならずに済んで良かった、と思うべきなんじゃないかなーって感じ?
「あとねー、やっぱり口は災いの元だって、みんなにちゃんと言っとくべきだって深く実感したよ」
「でしょうねぇ!!」
頭を抱えて悶絶するゆかりんに、私は頬をぽりぽり掻きながら苦笑いを返すのだった。