なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・初夏を待つ長い一日・①

 はてさて、色々あった『新秩序互助会』での生活も今は昔……って言ってもそこまで時間が経過したわけじゃないけれど。

 

 ともあれ、モモンガさんとゆかりんの会談をセッティングして、互いの組織が持つ情報とか技術とかの交換会も企画して、それからやっぱり向こうの設立に急進派辺りが噛んでたので、改めて『おはなし』*1をしに行ったりして……などなど、あれこれと忙しい毎日を終えたとある日のこと。

 

 

「「…………」」

「……え、えーっと……」

 

 

 休日であるその日、何故か私は近くの公園に居て。

 そこで対峙する二人……否や三人?の集まりを前に、ちょっと反応に困っている最中なのだった。

 

 

「……にゃんぱすー」

「はんなまー」

「「…………」」

「「……はんにゃすー」」

「混ざった!?」

「……なにこれ」

 

 

 驚愕の声をあげる少女……もとい荷葉ちゃんを横目にしつつ、謎の挨拶融合を起こした二人……エーくんとれんげちゃんの意気投合っぷりに、思わずため息を吐くことになったというわけなのでした。

 ……いやなんだこれ。

 

 

 

 

 

 

「暑いのか寒いのかどっちかにして欲しい、切に」

「あ、あはは……そうですね、ちょっと前までは暑いくらいだったというのに、今は少し肌寒く感じるくらいの気温です。春先の気温に戻った、ということなのかもしれませんが……」

「どちらにせよ、服装に困ると言うのは確かな話ですね」

 

 

 つい数日前に炬燵をしまったというのに、今は半袖だと寒いくらいという気温のその日。

 

 雨が降り続いたかと思えばピタッと止むし、なんというか令和の気候は相変わらずわかり辛いとしか言いようがない感じだねぇ……といったようなことを愚痴る私に対し、久しぶりに生で顔を合わせることとなったマシュは、小さく苦笑いを浮かべていた。

 その隣でこれまた久しぶりとなるアルトリアは、温かいお茶を啜りながら視線を窓の外に向けている。

 

 ──今日の天気は見事なまでの晴天。

 だからというわけではないが、この家の居候達は大半がお出掛け中。

 ハクさんは変わらず遊戯室に入り浸っているようだし、CP君は黒フォウ君と何事かを話しながら出掛けていったし、カブト君はいつも通り水槽で元気に泳いでいる。

 

 ……カブト君だけちょっとおかしい気がするが、それは置いといて。

 大半の面子が元気に外へ遊びに出掛けてしまっている中、私達だけが部屋の中であーでもないこーでもない、と駄弁っているのだった。

 いやまぁ、アルトリアに関してはもう暫くすれば出掛ける予定があるらしいし、マシュも今日は午後から用事があるらしいとのことなので、最終的には私とカブト君、それから……。

 

 

「はんなまー、キーア。今日はいい天気だねぇ」

「はいはんなま、エーくん。布団とかは大丈夫だった?」

「うん、問題なしさ」

 

 

 こうしてうちの居候に加わった、エーくんこと∀くらいのもの、ということになる。

 

 ……色々ややこしい話もあったのだけれど、幾ら指導者同士が交流を得たからと言って、下の者まですぐにすぐ迎合できるかと言えば微妙な話。

 いやまぁ、こちら(なりきり郷)の毒に染まられても困るので、呼ぶ人を選んでいるという面もなくはないけど……ともあれ、向こうがどちらかと言えば武闘派、血の気の多い人が多いというのも変わらないわけで。

 

 そういうところに置いとくよりかは、まだ安全……安全?だろうという指導者同士の話し合いにより、彼は私の家預かりの存在となっていたのだった。

 ……面倒事を放り投げられているだけのような気もしなくはないが、まぁそういうのも含めて私の仕事、みたいなところもあるので仕方がないというか。

 向こうからこっちに遊びに来る人も、大体私のところに挨拶に来るしねぇ。……別に私は、相談窓口とか外交官とかでもないんだけど。

 

 ともあれ、存在そのものがわりと厄物である以上、変に自由にさせるのもどうか?……という面も手伝った結果として、彼はこの家の居候になったというわけである。……それが決まったのが、大体三日ほど前のこと。

 

 アル君と違って普通に夜は眠る彼用に寝具を揃えるのは、それなりに苦労したが……寝心地が良かったのであれば、頑張った甲斐があったと言うものである。……え?実際に用意してくれたのは、銀河アマゾヌへの連絡手段を持っていたXちゃんだろうって?知らんなぁ。

 

 まぁ、そんな感じで朝の挨拶を交わしていたわけなのだけれど……他二人は、その挨拶に微妙な顔を返していた。……もう三日目になるのだし、いい加減慣れて欲しいものなのだが。

 そんな私の言葉に、二人は困ったような笑みを浮かべている。

 

 

「……いえ、その挨拶の成立過程などについては、既に聞き及んでいますが……だからといって驚かないでいられるかと言えば、それはまた別の話なわけでですね?」

「はい、アルトリアさんの仰る通りです。……仮にも調理関係の仕事に携わっている以上、どうしてもぎょっとしてしまうと言いますか……」

「マシュがエミヤんみたいなこと言うてはる……」

 

 

 元ネタ(fgo)でもルーム会話で突っ込まれていた辺り、やはりはんなま(半生)というのは、挨拶としては異質感の付きまとうモノであるらしい。

 エーくんは『太歳星君』でもないし、余計のことその異質感が目立つということでもあるのかも。

 

 ……まぁ、向こうでもエミヤん相手にこの挨拶をして、血相を変えた彼が飛び出してきたりもしていたから、更に付き合いの薄い二人が慣れるには、もう暫く掛かると見といた方がいいのかもしれないが。

 そう納得しつつ、とてとてと歩いてきたエーくんを膝の上に座らせる。

 

 メカ系のキャラなのだから、そんなことしたら足が痛くなりそうに思えるかも知れないが……このエーくん、詳しい原理などは不明だが、その体はもちもちなのだ。

 最初のうちはそうじゃなかった気がするので、どこかのタイミングで材質……っていうと変だけど、ともかく固い体から柔らかい体へと変化したのだと思われる。

 

 その辺り、SDガンダムだけどコン感があるとでもいうか。……挨拶も『はんなまー』だし。

 まぁ、仮にコンっぽくなっているというのなら、既にアレなのにも関わらず色々混ざりすぎ、とも言わざるをえないわけなのだが。

 

 

「……まぁ、エーくんさんの摩訶不思議さに関しては、もはやそういうものだと納得するよりほかありませんが……今日はせんぱいは、一日中家にいらっしゃる予定なのですか?」

「んー……散歩くらいには行こうかなー。あれこれと動き回ってたし、暫くはゆっくりしたいけど……」

「なるほど……では、エーくんさんと一緒に出掛ける、というのはいかがでしょう?エーくんさんはしっかりしていらっしゃいますが、お一人で留守番というのはちょっと寂しいでしょうし」

「……む?」

「わぁ、お出掛けかぁ……」

 

 

 そうして彼をもちもちしていると、マシュからの提案が。

 ……部屋の中に籠りきりというのは良くないし、ちょっと散歩に行こうかと思っていたが……確かに、そこまで遠出するつもりはないとは言えど、エーくんを一人で置いとくのは可哀想ではある。

 戸締まりとかは結構頑丈にできるようにしてあるし、実際彼一人で留守番はできると思うが……まぁ手間と言うわけでもないし、ちょっと近所を一緒に出歩くくらいなら問題はない……かな?

 

 まぁ、そんな感じのやり取りの結果、私とエーくんは近くの公園に遊びに来ることになったというわけで。

 

 

「で、私達にあったと。……新しい人が来たって話は聞いてたけど、そっかー、ロボットかー……」

「すごくかっこいいん。エーくんとなら、二人でだぶるひーろーなん!」

「うわぁ、それはかっこいいなぁ……」

 

 

 近くのベンチに座り直した私達は、近くの屋台からアイスクリームを購入して、それを舐めながら話をしている。……どうでもいい話だけど、ヘスティア様のアイスクリームって名前、若干いかがわしくない……?

 

 ともあれ、子供組が仲良さげに話をしているのは、前述した通り。

 そこに疑問の余地はないように思えるかもしれないが……一応、補足しておくことがある。それが、

 

 

「あ、いたいた。二人とも、先々行かないでって言ったでしょ……って、キーアじゃない。戻ってきてたのね」

「はいよー、お久しぶりクリス。そっちはそっちで新生活はどんな感じ?」

「どんなもなにも、特に滞りなく暮らしてるわよ。……二人の検査の付き添いって名目だけど、この分なら今月中には戻れるんじゃないかしら」

「なるほど。……もしかしたら入れ替わりでもう一人頼むかもしれないから宜しく」

「はぁ?……ってああ、なるほど。そっちの子が噂の……」

「はんにゃすー」

「……はんにゃす?」

 

 

 こちらの姿を見て、驚いたような声をあげる女性は、みんなご存じ牧瀬紅莉栖。

 

 うちで居候している組の一人であるはずの彼女が、何故久しぶりに出会ったような顔をしているのか。……いやそもそもの話、荷葉ちゃんやれんげちゃんも、お前のところの居候ではなかったか?……というような言葉が聞こえてきそうだが、それに関しては単純である。

 こっちの生活に慣れたところを見計らって、本格的な検査や調査をスタートしたために三人は現在うちにはおらず、基本的には琥珀さんの研究施設に缶詰め状態になっているのだ。

 

 それに関しては私が出張的なモノを始めるちょっと前くらいに始まったモノで、彼女の言葉を信じるのならもうそろそろ終わりが近い、ということになるらしい。

 それが終われば二人はまたうちの居候に戻るわけだが……そうなったらそうなったでエーくんの検査が始まるだろうから、クリスは再び缶詰めコースになることは必至。

 

 その辺りのことを口にすれば、彼女は得心したように頷いたのち、がっくりと肩を落としたのだった。

 

 

「ううー、マシュのご飯が恋しい……」

「あれ、琥珀さんって料理下手なんだっけ?」

「下手ではないわよ?……ただその、典型的な科学者タイプだから……その、ビーカーでコーヒーを出されたりするのよね……」

「あー……」

 

 

 ぽつりとぼやくクリスの言葉に、琥珀さんって()()琥珀さんだから、料理とかは得意なはずだけど……と聞き返したのだが、返ってきたのはここの琥珀さんはマッド気質の方が強い、という答え。

 さすがにそれ専用……実験で使ったモノを使い回しているわけではないものの、料理の入れ物が実験器具だったりするため、味は良くても気分が滅入るのだとか。

 

 ……わざわざ別で用意している辺り、単にクリスをからかっているだけのような気もするが……まぁ、その辺りには触れないでおく私なのであった。

 

 

*1
俗に言う『高町式交渉術』のこと。元ネタは全体的に話を聞いてくれない相手が多い『リリカルなのは』シリーズにおいて、やむにやまれず相手を打ち倒すことになる高町なのはの姿を別解釈したもの。単純な暴力外交ではなく、先手必勝で極大火力を撃ち込み相手の抵抗の気概を削ぐもの、とされる。sts辺りではこれと合わせて魔王扱いされることもあったなのはさんだが、無論そんな無茶苦茶なキャラではない

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