なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ひどい目に……あったゾ……」
「単なる子供のケツなら怒られて終わりだけど、しんちゃんのおケツなら記念撮影くらいされてもおかしくはないからねぇ」
「いやぁ~んっ!!キーアおねいさん思い出させないでぇ~んっ!!」
あれから正気に戻ったしんちゃんが、自身の行動を恥じて自販機コーナーの隅っこで縮こまってしまったわけなのだが……。
普段から下品になりすぎないように努めていた彼としては、まさしく痴態としか言いようのない状況であり、彼が復活するまでには相応の時間が掛かると思われる。
表面上はアニメでたまに見る照れてるしんちゃん、といった感じだが。……その内面は、はたしてどうなっていることやら。
予想も付かないのでとりあえずそっとしておくことにした私達は、改めて遊ぶゲームを選定し始めたのだった。
え、薄情者?こういうのは時間による解決以外ないから仕方ないね!
「……おっ、競馬ゲームじゃん懐かしい」
「ああ、ゲーセンってよりはメダルコーナーとかによくある奴ね」*1
そうして私達が見付けたのは、メダルゲームなんかでたまに見掛ける、簡易な競馬ゲーム。
これは文字通りの競馬ゲームで、筐体内の馬が何着でゴールするかを当て、見事的中させればメダルが増える、というタイプのゲームなのだが……。
「……馬が全部たぬきなんだが?」*2
「みんなジタバタしてるわね……」
その筐体内で馬の代わりに立っていたのは、こちらではビワの姿として馴染み深い、『ウマ娘(たぬき)』達。
……見た感じ
「……
「他はゴルシとかノーマルウィークとかだから、余計に
「そうだね……いやちょっと待ったノーマルウィークisなに?」
「ほら、あれよあれ」
「……だってよスペちゃん、耳が!」
「耳くらい安いもんだったのよ、多分」
「……お姉さん達はさっきからなにを言ってるの……?」*4
本家本元ではまだ実装予定どころか姿形すら出て来ていないハズのウマ娘達が、たぬきとして実装されているという異常。
どっかから怒られたりしないだろうな……などとぼやきつつ、ジタバタしているたぬき達を見ていく中で、クリスが言葉と共に指差したのは
……元が
別のゲームをやっていたハズの荷葉ちゃんが、こちらをジトーっとした目で見ている姿があったのだった。……強いていうならロマンスドーンごっこ?*5
まぁ冗談は置いといて。
子供達にはメダルコーナーはまだ早い、ということで他のところで遊んでなさいと言っていたはずなのだが、何故荷葉ちゃんはここにいるのだろう?
そんな私の疑問を感じ取ったのか、彼女は近くの席を指差して。
「銀ちゃんが、トイレ行くから席取りしといてって」
「子供になにやらしとんじゃァァァア!!」
「ギャァァァアッ!!?」
筐体の上にメダルを積んで、競馬に勤しむダメな
純粋無垢な子供になにさせとるんじゃい、ってな感じで席に座ろうとした彼にシャイニングウィザード*6をぶちかました私と、鼻の頭に打撃を受けて店の黒い床に崩れ落ちる銀ちゃん。
その流れのまま彼に正座をさせた私は、銀ちゃんの言い訳に耳を傾けることに。
「いやちげーんだよ、俺もこんな駄馬はすぐに馬刺にでもなると思ってたんだけど、こうやって天下のウマ娘さんに出演するかもしないかも、なんてオファーが来るようになるとは思ってなくて……」
「誰が
「ギィャァァァア折れる折れる人体は反対に曲がんねーのほれきけ人体から鳴っちゃいけない音してるゥゥゥウッ!!?」
……まぁ、そうして飛び出した言い訳が『彼がジャスタウェイに一点賭けしてる理由』だったため、懲りてねぇなこいつと判断せざるをえなくなったわけなのだが。
仕方がねぇので銀ちゃんを逆エビ固めの刑に処していると、騒ぎを聞き付けたらしいれんげちゃんが彼の顔の前に陣取り。
「かように悪いことする銀ちゃんには、こうなん!」
「ぬぐぇそすんすぅ」
「……なんだその断末魔」
唖然としたようなクリスの言葉と共に、彼はがくりと気を失うのだった。……れんげちゃん、恐ろしい子!
「くそっ、たまの休日がとんだ厄日になっちまったもんだぜ……」
「自業自得でしょ。……そういえば、他のメンバーはどうしたの?」
「今日はプライベートだっつーの!いつもいつでもアイツらの子守ばっかしてられるかっつーの!」
「まぁ切実」
ダメージよりギャグ世界出身ゆえの超回復で立ち直った銀ちゃんは、ぶつくさ言いながら荷葉ちゃんが居た席に座り直す。
……そもそも席取りうんぬんもパチンコとかなら意味があるだろうけど、こういう多人数参加型のモノではあんまり意味がないのでは……?
と思わなくもないのだが、私が知らないだけで特定の席だと当たりやすい、みたいなのはあるのかもしれない。完全な運と言うわけではなく、あくまでも電子制御のゲームなわけだし。*8
まぁ、子供に席取りさせてる時点で、まるでダメなおっさん……もといマダオであるというレッテル張りからは逃れられないわけなのだが。
そんな言葉を飲み込みつつ、そういえば今日はよろず屋メンバーがいないことに気が付く。……彼の言葉を信じるのなら、どうやらこっそりと出てきたらしい。
……つまり今の彼の所在を彼女達に教えれば、彼の反省を促すことができるのでは……?
「やめろっての!折角黙って出てきたってのに、アイツらが来んなら意味ねーっつーの!」
「やってみせろよ銀ちゃん!」
「なんとでもはならねぇよ!?」
「……どうでもいいけど、もう出走したわよ?」
「え、ちょっまっ、お、おおおおお曲がれぇえええええあああああ」
「コースアウトだと……!?」
反省を促そうとしてるんだから、相手の嫌がることとか関係ねぇよなぁ?……的な感じでカボチャはないけど踊り始めた私と、そのせいで一瞬筐体から目を離してしまった銀ちゃん。
……途中でクリスが告げたように、彼がジャスタウェイに全賭けしたままレースは始まってしまい。
慌てた彼はとりあえずジャスタウェイを応援し始めたのだが……何故かコースの外に居た芦毛の
……どこぞの
「あ?いきなりなにを……」
「ぎーんーさーんー?」
「ひぃっ!?中には誰もいませんっ!?」
「あっはっはっはっ。銀時君は相変わらず面白くもない冗談が好きですねぇ」
「とりあえず一言だけ言わせて欲しいのだ。……なんで未来予知持ちから逃げられると思ったのだ?」
「その通りです。残念ですが私からは逃れられません……!」
「あー、わりぃ。お前抜きで遊びに行くのは嫌だ、って言われたら俺に止める余地はなくってよ……」
「モーモーターロースーぅっ!?てめぇ大丈夫って言ったじゃねぇ……あっ、やめ、はなはな話し合おう!まだ大丈夫!俺達わかりあえっ」
「対話の余地は、」
「ありませんっ!!」
「とらんざむばーすとっ!?」
崩れ落ちていた彼を迎えるのは、相当おかんむりな様子の
それから、申し訳なさそうに頭を掻くモモちゃんの四人。……よろず屋大集合やんけ、と私が驚く暇もなく、状況はあれよあれよと進んでいき……。
結果、対話をしてもわかりあえない奴もいる、とばかりに謎の断末魔をあげる羽目になる銀ちゃんなのであった。……まぁ綺麗にクロスラリアットが決まればこうもなろうと言うか。
でもとりあえず、子供達の前でそういう修羅場を展開するのはどうかと思います(小並感)
「銀ちゃんはマダオだったん?」
「……まぁうん、一点賭けとかしちゃう辺り、見習うべきではないタイプの人ではあるよね」
「その内四等分にされそうな辺りも、あんまり見習えないタイプであることの証左よね」
「そうそう四等ぶ……なんかおかしな人まで頭数に入ってない??」
二人に引きずられていく気絶した銀ちゃんと、その後ろをついていく他二人。……まぁ、パパポジなのに『パパ臭い』とかされてない辺りは、まだマシなんじゃないかな……。
……え?あの環境でパパ呼ばわりとか、そっちの方がやべーって?
そんなことをぼやいていると、横のクリスからは気になる言葉が。
四等分って、気のせいじゃなければ──まだそういうポジションじゃねぇでしょ、というモモちゃんは置いとくとしても、ゴジハムくんも銀ちゃん争奪戦に参加しているように聞こえるというか。……え?食事的な意味で?……どっちにしろ食われるのか……。
「……?銀ちゃん天ぷらになるん?」
「聞かなかったことにしてお願いだから」
「え、よ、よくわからないけど分かったん……」
「……その迂闊な発言、キーアお姉ちゃんも人のこと言えないんじゃないの?」
「……私からすると
「はいはい、喧嘩両成敗。……そろそろお開きにしない?」
れんげちゃんと荷葉ちゃんの間で、純粋さに差があるような気がする……。
そんなことを宣いながら、荷葉ちゃんとたのしくおはなし()をしていた私は、クリスの言葉に結構時間が経過してしまっていることに気が付いたのだった。
……子供は家に帰る時間だな、ヨシ!
「……なにがヨシなんだい?」
「ヨシってことにしといてお願いだから」
「???」