なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「ぬぐぅ、げんこつするとか酷い……娘にもやられたことないのに……」
「喧しいわどこのアムロじゃ!そもそもその話をするのなら、あの子は私にとっても娘みたいなもんでしょうが!」
「すいませんせんぱい?ちょっとその話詳しく」
こちらにニヨニヨした笑いを向け続けるキリアに堪忍袋の緒の切れた私は、自身の体を変化させてマスターハンド*1化したあと、彼女の脳天に特攻!
見事その頭頂部に、たんこぶを作らせることに成功したのだった。
その時、彼女がどこかの凄腕パイロットみたいなこと*2を言い出したものだから、こっちからも一つ罵倒を返しておいたのだけれど……。
違うからねマシュ、ここでいう『娘』ってのはいつぞやかに言ってた、スレでできた娘のことでね?
知り合いに『なりきりやりたい』って人が居たから、その人にネタを提供したんだけど。
それが元々は『キリアの義理の娘』って設定で作ったものだったから、そこから設定を作り直した時に『キーアの娘』って形になっててね?
そのせいというかなんというか、ともかくどっちにとっても娘みたいなものになっちゃってる、ってだけの話でね?別に私とキリアがなのはちゃんとフェイトちゃんみたいになってる、ってわけじゃなくてね?
……んん?こうしてキリアが実在しているのだから、もしかしてあの子も実在してる……???実在してるのなら、逆憑依してくる可能性もある……?
──やべーな、変なフラグ立てたかも?
『それよりもせんぱい、やり返すための変身で死にかけてたら、意味ないと思うんですけどぉ!?』
「いやー面目ない面目ない。まさかこの状態での変化が、ここまで負担がでるものだとは思ってなくてさー……」
「先程の話が真実であるのなら、そうして大きくなっているのも、あくまで別所からの補填あってこそのものなのでしょう?……自身の体を変化させるのであれば、無論使えるのは自身の体そのもののみ。──それでは体調を崩すのも仕方のない話、予め予想できて然るべきことだと存じ上げますが?」
「ぐうの音もでないっす」
まぁそんなこと言ってる間に?キラキラと輝きを放ちながら、そのまま足元から消えそうになったんだけどね!わたしゃサーヴァントかっつーの。*3
……けどまぁ、ただでさえ消耗してるのにそんな軽口叩いていれば、残りのエネルギーはどんどん目減りするわけでして。
「あれ、なんだか眠くなってきちゃったよネロ……」
「それは台詞が逆、というやつだぞキーアよ!」*4
「え?……いや、どこから出てきたのですかネロさん!?」
「うむ、余は高いところが好きだ!一望するのはやはり心地が良い!」
『全然答えになっていないんですがー!?』
キラキラはせずともげっそりとした私は、いつの間にか部屋の中に入ってきていたネロちゃまに驚くみんなを見つめながら、その意識を落とすのだった。
「おや、お目覚めかい?」
「……ん、んん?あれ、CP君おはよう?」
「もう昼前だよ、寝ぼけすぎじゃないかい?」
そうして次に目覚めた時、私はCP君の背中……背中?に背負われて居たのだった。
なんでそんなところに?と混乱している私に彼女が説明したところによれば、ネロちゃまが乱入して来た結果として部屋の中は大混乱に陥り、その喧騒から逃れる為に彼女が私を外に連れ出してくれた、ということになるらしい。
登場初期以降あまり有効に使われていなかった、ステルス能力の活用……というやつである。
「なるほどなるほど、そりゃお手数お掛け致しましたねぇ」
「別に構わないさ。君と僕との仲だろう?」
「そいつはどうも。……ところで、ステルス能力持ちの陰謀家って敵対フラグ凄くない?」
「はっはっはっ。……君のような勘のいい云々、って言っておこうか?」
「……うん、洒落にならないからやめよっか、この話」
「それがいい」
なんだか久々な感じのする軽口トークを交わしつつ、街を歩く私達。
無論、単純に地面を歩いていると蹴飛ばされかねないので、近くの手すりとかの上に飛び乗りながら、である。
「どうせならカブト君も連れてくればよかったねぇ」
「あー、なんか最近進化しそうだから外に出たくない、とか言ってたような?」
「……色々ツッコミたいところなんだけど、とりあえず一つだけ。……なんでレベル上がってんの、あの子」
「なりきり郷は広いから、敵対的な【
「オラリオかっつーの、ヘスティア様崇めればいいの?紐神様~って」
「……久しぶりに見掛けたと思ったら、君は相変わらず意味不明だな」
「おっ、噂をすれば影?*5ってかなんで見えてらっしゃるので?」
「
そうして街を歩きながら思うのは、今ここにはいないポケモン組のもう一人、カブト君について。
最近は水槽の中でちゃぷちゃぷしていることの多い彼なのだが、その理由はCP君曰く『進化したくないから』なのだという。……いつの間に進化できるレベルまで成長してたんだとか、そもそも『逆憑依』でも進化すんの!?とか、言いたいことはなくもないが……。
CP君の言う通り、広いなりきり郷の中には立ち入り禁止になるような危険区域も存在している。……正確には『戦えないのなら』立ち入るな、なんだけども。
ともあれ、その先がいわゆるダンジョン化しているのは間違いではなく。それなりの頻度で中にいる危険生物を駆逐している、というのも周知の事実。
結果、カブト君がこちらの知らぬ間に、それらの作業に参加していたとしても、なんらおかしいことはない。……ちいかわ的なあれかもしれないし。*7
それと進化云々も、例のアインスケとかさやかちゃんとかのことを思えば、起こったとしてもおかしなことではないわけで。
なるほど確かに、彼が水の中に引きこもってしまうのも、一理あるかもしれないと思ってしまう私なのであった。……かわらずの石*8でも探しておこうかな……?
それはそれとして、モンスターもとい【顕象】がポップしてくる環境、というものがダンまちを思い起こさせるモノというのも間違いではなく。
そうして思わず口走った言葉に、返ってくる反応。
現在の私達は見えなくなっているはずなのに、なぜに?……という疑問は、その声が正に今噂していた相手・ヘスティア様だったと認識することで、あっさりと解決するのであった。
まぁなんのことはない、『ステルス』という機能が見た目をごまかすモノ──嘘だと解釈されたことにより、
ともあれ、このままこちらが姿を隠したままだと、ヘスティア様が虚空に話し掛ける可哀想な人になってしまう。
それは可哀想なので、私達はあっさりとステルスを解除するのであった。……まぁ、ヘスティア様からは抗議を受けることとなったのだが。
「まったく……ところで、君達はどこへ向かっているんだい?目的もなく歩いていた、というわけじゃなさそうだけど」
「はい?……ああそうそう。ちょっと探し物をしてるんですよ」
「探し物……?」
そうして彼女の肩の上に場所を移動した私とCP君。
そうなれば自然と、私達がどこへ向かっていたのか?……ということに話題は移っていくことになる。
今はヘスティア様の肩に乗り、彼女の行動に付き合っているものの。──その視線が時折街の中を彷徨っている、というのは別に嘘を見抜けずとも、すぐにわかってしまうことだからだ。
なのでまぁ、特に隠し立てもせず、素直に目的を答える私である。無論、持って回ったような言い方*9になってしまったため、彼女から返ってきたのは首を捻る行動、だったわけなのだが。
……まぁ、別に彼女に目的を隠す必要性は、あまりないわけなのだが。
今回の私の探し物というのは、できれば周囲に話を広めないうちに終わらせておきたい類いのものでもある。
迂闊に口に出せばゆかりんにバレるような、こんな天下の往来では話せない……みたいな事情もなくはないというわけでして。
なので、こんな感じの少しぼかした言い方になってしまっているのでしたとさ。
「……んん?もしかして悪巧みなのかい、それ?」
「見ようによってはそうかもしれないですけど、見ようによってはそうではないかもしれないですね」
「……なんだいその、『どう見るかだ』みたいな台詞」
「……っ!?ヘスティア様がサム8ワードを……?!」
「いや別にそこ驚くところじゃないから!?」
そんな私の物言いに対してのヘスティア様の反応は、こんな感じ。……よもや彼女の口からそんな台詞が出てくるとは思わなかったが、これも色んな人と関わるようになったおかげ、というやつなのかもしれない。
そんな感じでしみじみと頷く私と、詳細を話す気が一切ない私の姿にため息を吐くヘスティア様。
蚊帳の外のCP君だけが、やれやれとばかりに首を左右に振っていたのだった。
「まぁ、話す気がないのはわかったよ。それはそれとして、僕の肩の上からでも探せるものなのかは、聞かせてほしいんだけど?」
「あ、そこは問題ないです。私が探しているのは
「……はぁ?猫?猫って、あの?」
こちらの態度に折れたヘスティア様が、それでもなおこちらに話を聞こうとしてくる。……単純に心配されているのだろうと感じた私は、特に当たり障りのない事実──猫を探しているのだ、ということを彼女に伝える。
「まぁ、ヘスティア様が思い浮かべている猫と、私が思い浮かべている猫が別物な可能性はなくもないかもしれないですけど。……そうです、あの猫です」
「だからその不安になる言い方止めないか?!君が言うと精神汚染してきそうなやつしか思い浮かばないんだよう!」
「それは流石に穿ち過ぎですよ……そんなのだったら秘密裏に解決ー、なんてせずに普通にゆかりんに話しますし」
探し物があまりにも意外だったのか、余計な心配をし始めるヘスティア様に、私は小さく苦笑を返す。
私がこっちに居ない間に、ゆかりんの『
そんなポンポンレベルアップするか?という話でもあるのだが、直近で五条さんに酷い目に合わされた私としては、警戒するのも仕方のない話でして。
いやまぁ、別に彼女に不利益になることをしようとしているわけではなく、耳に入ったら余計に胃を痛める結果になるだろうから、知らぬ間に解決してましたー、ってことにしといた方がいいかなー、と言いますか?
「……そのちっこい体で、解決するつもりなのかい?」
「まぁ、これに関しては見付ければ終わるので。──ところでヘスティア様、現在地わかってます?」
「へ?何を言って……ってあれ!?どこだここ!?」
君達めんどくさいな、みたいな空気を隠さなくなったヘスティア様に、私は小さく笑みを浮かべながら周囲を確認するように促す。
その言葉に怪訝そうな表情を浮かべた彼女は、さっきまで大通りを歩いていたはずなのに、よくわからない路地裏のような場所に迷い込んでいたことに、小さく驚きの声をあげるのだった。