なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
私の発言に、みなが「え、マジで言ってる?」みたいな顔を向けてくるが……そもそもの話、私達がこの場所にわざわざ来て、UFOの目撃情報を洗っているのは──正確にはそれが『逆憑依』関連のモノである可能性があるから、である。
「つまり、
「た、確かに……言われてみればそうです、普通ならおかしな話ですが、もしこれが『逆憑依』関連の話であるならば、まさに爆発律*2みたいなもの。前提がおかしいのだから、結果がおかしいのもまた自明の理……!」
こちらの言葉にわなわなと震えるはるかさんの言葉に、みんなが徐々に動揺を伝播していく。……この状況を作り出したココアちゃんだけが、「アルくんの真似しただけなんだけどなー……」*3とぼやいていたが……まぁ、それは置いといて。
可能性の過不足に関しては、結局のところ
つまり、『起きないはず』の物事は
……まぁ、あくまでも可能性として存在している、というだけであって、実際にそれらの可能性が顕在化するかどうかはその時々によるのだろうが。
意味がわからないと思うので、ざっくりと説明させて貰うならば──結局のところ、選択肢とは全て同確率である……ということ。
人の世において『選べなかった選択肢』を確認する術はなく、物事は実際に起きた時点で全て発生確率は百パーセントとなる。*5
つまり、実際の物事において、『◯◯が起きる確率は何パーセント』と述べることは、実際にはとても滑稽であるということでもある。
……話している内に話がずれてきた気がするので結論だけ述べると、この話が単なる噂でしかない可能性も、UFOという情報はカモフラージュである可能性も、そしてこの場所がUFOの発着駅であるという可能性も、結局のところ
結果を知りえない私達は、全ての可能性について検証を行わなければならない……ということである。
「……また人海戦術?」
「だねぇ。……気のせいじゃなければ、さっきから人手を多く求めるモノが多いような……?」
そこまで話し終えて、榊君から返ってきたのは徒労感混じりのそんな言葉。
確かに、さっきのナルト君もとい狐憑きの少年の捕獲作戦といい、今回のUFO騒ぎといい、調査のためにマンパワーを要求されるモノが多い気がする、というのは間違いではないだろう。
こうなってくると余所からの応援を願いたいところだが……当初から言っている通り、現在どの組織もマンパワーフル活用中である。……いやまぁ、正確にはそれぞれの組織の本部には人は居ると思われるが……。
「通じないしねぇ、連絡」
「あー……」
さっき確認した通り、現在郷の方は取り込み中。
どういう状況なのか、こちらからでは確認できないが……電話にも出られない辺り、こちらに追加要員を送るような余裕はない、と見る方がいいだろう。下手すると「寧ろ手伝いに戻って!?」とか言われかねないくらいだ。
つまり、私達は孤立無援。そのくせ、必要とされるのはともかく手数、という始末。
……さっき神様がサイコロ云々と言っていたが、もし仮にこれらの状況が何者かの望んだモノであるというのであれば。
私達は、その神と名乗る何者かを撃滅せねばならないと確信すること頻り、である。
「まぁ、居るかどうかもわからない、神様相手への恨み言はこの辺りにしておくとして……さて、どうしようか?このノリだと、さっきみたいに無理やり手数を増やすのが一番、ってことになりそうだけど」
「う、うーん……流石にもう一回マジシャンですってごまかすのもなぁ……」
愚痴ばかり言っても仕方ない、という至極当たり前の結論を以てうだうだ言うのを止め、どうやって対処していくのかを検討することにした私達。
……とは言うものの、愚痴っていた通りやはり人海戦術が一番、というのが結論になってしまうことは避けられず、どうにも困ってしまうわけなのであった。
何故この場でも人海戦術なのかというと、相手が姿をごまかしているのかいないのか、そもそも件のUFOに出会えていない私達では判断ができない、というところにその理由がある。
……つまり、仮に相手がなにかしらの記憶改竄手段を持っていた場合、一人で発見した場合にその違和感に気付けないのだ。
発見者達が皆
UFOを見たという噂は、確かに辺りに広まってはいる。……が、それほどの発見例があるくせに、あくまで噂止まりというのはおかしい話だ。
偽物かどうかを確認しようとする者、本物ならスクープだと寄ってくる者。……そういった、集まってきてもおかしくないはずの人間達の影がない。
それはすなわち、
いやまぁ、それすらも
しかしそれでも、証言者達が
──おかしなモノを見たはずなのに、さほど混乱も感動もせず、淡々と事実を語っているだけにしか見えない……そんな彼等の姿という事実は。
「だからまぁ、記憶操作されているのは確かなんだと思うよ。それが単に
それゆえにできれば二人一組、もっと言えば四人一組くらいで建物内を見聞し、仮称UFOの出現を確認したい……ということになるわけなのだ。
例え『不思議を不思議と思わない』ようにするなにかを相手が持ち合わせていたとしても、それが『見たものをバラバラに記憶させる』モノであるのなら、近くの人間と認識の差異を確認すれば違和感に気付ける。
人数が多い方が良いと言うのは……もしかしたら同じタイミングで確認すると
もしその性質を持っていたならば、相互監視のようにある程度距離を離して探索することで、発見のタイミングをずらすこともできる。
今現在、私達が相手について知っていることと言えば、それがなにかしらの飛行物である、ということだけ。
暗中模索にもほどがあるため、ならばせめて網目だけは細かくしておきたい……というわりと切実な思いからの嘆願なわけだが……まぁうん、聞き届けてくれる場所があるわけでもなく。
「うーん、こんな時ミラちゃんが居てくれれば……仙術で増えるとかでき……でき?」
「ど、どうしたんですかキーアさん?突然ナルト君を凝視して……
そうして、思わず口から飛び出すのは泣き言。
こんな時
そうなれば、人数が足りないなんて問題、あっという間に解決すると言うのに……などという弱音である。
まぁ郷の側が繋がらないのに、
まぁそもそも論を言えば、私が大きくなれれば一発なのだが、まさに無い物ねだりだしなー……とぼやきながら、ふと視線を上げた先に。
こちらの話がややこしくなったのか、はたまた飽きたのか。どちらなのかはわからないが、屋上の遊戯コーナーに移動したココアちゃんと
こちらの呟きに、みんなが何事かと視線を向け、そこに居るナルト君に気付く。
当のナルト君はといえば、暫くはこちらのことに気付かずにゲームを遊んでいたが……やがて視線が熱を帯び始めたのか、ふと視線を上にあげ。
「わっ!?ななな、なんだってばよ!?」
「え、どしたのナルトく……うひゃあっ!?みんな怖いよっ!?」
「おおっと」
他の面々が、
「……いやでもダメだな、今のナルト君じゃ仙術は多分無理だ」
みんなで見つめることによって、盛大にナルト君をびびらせてから暫し。
一応検討してみたものの、これは無理だと判断する私である。
「あー、そっか。今のナルトは幼少期だから……」
「将来的に使えるようになる、つっても流石に無理があるってわけだな」
榊君達が言う通り、今のナルト君は幼少期の彼。『逆憑依』においては、憑依された側の意識が参照可能な記憶を左右する……みたいな話があるが、それに基づくのであれば今の彼に仙術を使った記憶、というものを
……多重影分身そのものは仙術ではないが、仙術が使えるくらいの年齢に急成長でもしない限り、彼になにかを頼むというのはリスクが高過ぎる。
そもそも仙術を使って欲しい、というのも
彼の負担を考えれば、仙術が使えないのになにかを頼むことはしたくない、ということにも繋がってくる。
つまりは、二重の意味で彼には頼めない、という現実が表層化しただけだった、ということ。……まさに怖がらせ損というやつである。
「むぅ、せめて手取り足取り教えられる人が居ればなぁ……」
「キーアが大きくなって……ってのは、その顔からしてダメなんだね……」
「そんな例外許してくれるわけないじゃないですか、下手すりゃ私ここから居なくなりますよ?色んな意味で」
「い、色んな意味……?」
無論、榊君の言う通り私が大きくなって教える、という手もなくはないだろう。……が、そもそも私が大きくなっても良いのなら、私がやれば済む話である。
結局服を買いにいく服がない状態であり、手詰まり感は否めないのだった。
なので榊君が「森でのマジック、覚えている人が居なきゃいいけどなぁ」とぼやきながら、再び準備をしようとして。
「──ぬ?お主達、何故こんなところに集まっておるのだ?」
──私達は、救い主の声を聞いたのだった。