なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「こ、この声は……!?」
「きたのか?」
「きた!仙人きた!」
「ミラちゃんきた!」
「これで勝つる!」
「……いや、何故に謙虚なナイトコピペ?というかわし待ってたの?なんで?」
思わずブロント(動詞)ってしまった私達に、呆れたような視線を向けてくる白髪の少女が一人。
噂をすれば影、ということなのか。はたまた、これこそ天の思し召し*1というやつなのか。
ともかく、この場において求めに求めた人物の登場に、思わず胸熱*2状態となる私達である。
──そう、私達の前に現れたのは、先ほどから話題にあげていた仙術のエキスパートである少女、ミラちゃんだったのだ!
「……帰ってよいか?」
「あー!?ごめんミラちゃんあやまるから召喚術の普及に努めるからー!」
「いや
「えー?上手いこと行けば『
「……ちょっと心惹かれるものがなくもないが、やっぱりなしじゃ、なし!」
「そんなー!神様仏様お代官様ミラさまー!*4どうか見捨てないでー!!」
「ええい、腰にしがみつくでないわ!っていうか何故に猫なんじゃお主!?」
「
「猫語!?」
突然の救世主の登場、これを逃してなるものかとその腰にしがみつく私である。……ついうっかり仙術の方をフィーチャーしてしまったが、彼女がこの状況を打開する鍵を握っているというのは事実。
ゆえに全力で平身低頭*5していく私である。お望みなら靴だって磨きますぜ旦那ー!
なお、それらのおべっか*6は、全てうざいと切り捨てられるのであった。ひどい。
「それで?お主らはここで一体なにをしておったのじゃ?」
「実はかくかくしかじかで……」
「まるまるうまうま*7とな?……いや、なんで通じるんじゃこれ」
「円滑な会話の進行のため、
「……そんな軽いノリで使っていいモノではなかった気がするのじゃが、それ!?」
さて、『私が諦めるのを諦めろ』作戦*9により、どうにかこの場にミラちゃんを留め置くことに成功した私達なのですが。
どうにも彼女がここにいる理由、私達と同じだったようで。
「なるへそ?ミラちゃんもUFOの話を確かめに来てたんだね」
「日本全国、あちこちで色んな噂が噴出しとるからのぅ。……なんというかこう、
「代わりねぇ……?まぁアンタの勘は置いとくとして、なにか見付かったのか?」
むむむとぼやく彼女は、私達と同じように……というと語弊があるが、ともあれ互助会側に来た依頼によってここにやって来た、ということに間違いはないようで。
周辺住民にあれこれと聞き込みをしてみたものの、この電気屋が噂の発生源であることは知れたけど、それ以上の進展はないままに立ち往生*10していた……とのことだった。……って、ん?
「あれ、ミラちゃんってば結構ここに滞在してる……?」
「かれこれ三日ほどになるのぅ。正直ここについては諦めようかと思っていたくらいじゃよ」
「マジでか」
話の内容が気になって問い質してみたところ、彼女は私達よりも早くこの街に着き、それからずっと聞き込みやら捜索やらを行っていたらしい。
それでいてなにも見付けられていないとは、手数に関しては多いはずのミラちゃんとしてはおかしいような?
そんな風に私が疑問に思っていることを察したのか、彼女はバツが悪そうに頭を掻きながら、こう続ける。
「……期待しておったのなら御愁傷様なんじゃが、ここにいるわしは分身なんじゃよ」
「…………は?」
その衝撃の言葉に、私達が固まること暫し。
硬直から復帰した私が慌てて問い返したところ、彼女はこう返してくるのだった。
「以前の
そもそもの話として、ミラちゃんの扱う『仙術』とは、基本的には攻撃系に偏ったモノである。
いわゆる羽化登仙*11を目指すものとは違い、どちらかと言えばモンク系に寄っているスキル群なわけだが……それでも『仙術』である。
魔眼方面のスキルツリーには、自然界のマナを自分のものとする『仙呪眼』というスキルが存在しているし、そこから
結果、彼女は本来召喚術で補っていた手数というものを、仙術側で代替できるようになった、というわけなのである。……ますます仙術士化が進んでいるのでは、と突っ込んだところ、言ってくれるなと涙を流されたのはよい思い出(?)だ。
「
「ええと……孫悟空が毛を息で吹いて分身するやつだっけ?」*12
「そうそう、それじゃな。まぁ、それに似たようなモノを覚えたわけじゃよ。……それが間違いじゃった、というべきか」
「ま、間違い?」
そんな感じで、彼女は仙術の一つである身外身の法(に、似た技)を会得したわけなのだが。……その不穏な口ぶりに、榊君が困惑の声をあげる。
「うむ。今のわしはフルパワーではないとはいえ……形を小さくすれば無数に繰り出せる『軍勢』と、自身を増やす『身外身の法』を覚えておる。
「あ゛」
「……まぁ、
「……あー、なるほど。今回のあれこれで、一番酷使されているのは……」
「そう、なにを隠そうわしじゃ!(死んだような目)」
「oh……」
そうして彼女が述べたのは──ブラック派遣員・ミラちゃんの実情なのであった。……世知辛い!
「ええと、ミラさんの話を纏めますと……多数の『身外身の法』による分身と、それらに一対として派遣された白黒の騎士達。その
「……ブラック企業も真っ青な業務内容じゃねぇか、それ」
「影分身のように疲労共有がなくて良かったと思う反面、分身を解除しても情報共有できないのが微妙に面倒でのぅ……」
「なるほど、騎士には連絡要員って面もあるのか……」
屋上内の休憩スペースに陣取り、改めてミラちゃんの話を聞いていた私達。
その結果、私達はそのオーバーワークっぷりに戦くことになったのだった。
……仮に彼女が使っているのが影分身の方だったら、アインズさんへの下克上待ったなしだっただろう。まぁ、実際はアインズさん自身も『
っていうか、互助会の方は特に連絡に支障とかないのね?
「……む?支障とは?」
「いやね、郷の方はなんかトラブってるみたいで、連絡繋がんないのよね」
「……
「……口頭で確認し辛いボケを投げるの止めない?ってかその場合
「いやまぁ、銀時めしかおらぬのではないか?」
「ここの銀時さん、ちょっとラブコメ主人公感あるもんね」
そうして会話している内に、どうにも気の緩んできた私達。……正確には緩んでいるというよりは諦めムード、というやつなわけだが。
ともあれ、どうにでもなーれ感が会話に漏れだしている、というのは確かな話。
仕方ないのでちょっとクールダウンの時間を取ろう、ということで自販機に飲み物を買いに行く私達であった。
「……なんか、ラインナップまでレトロじゃない?」
「ビンのポカリスエットとか初めて見たんだけど……」
「それは最近復刻したらしいよ?」*14
「……新しい東京ミュウミュウといいこれといい、やっぱり今って平成なんじゃ」
「それは『お平醜』って返されるだけでは?」
いつまでこの世の中はOver Quartzerから抜け出せないのだろうか?……なんてことをぼやきつつ、人数分の飲み物を買っていく。
ついでにその横にあった自販機でラーメンとかうどんとかを購入し、お昼として頂くことに。なお持っていった時のみんなの反応。……こっちはどっちかと言えば昭和の残り香、だよね。*15
「うまいってばよ!」
「あー、やっぱりラーメン好きなんだねぇ」
ラーメンを美味しそうに食べるナルト君を見つつ、私もおにぎりを一口。……今のサイズ感的に必然抱えて食べる形になるのだが、なんというか不思議な気分である。……家だとサイズに合わせた料理を、マシュが出してくれるからなぁ。
なんというか、子供の夢みたいな『自分サイズの食べ物』を食べる、という機会は意外とないと言うか。
みたいなことをぼやきつつ、改めて周囲を見渡してみる。
ここで駄弁り始めてそれなりに時間が経過しているが、今のところUFOやそれに準じるようなものを見た者はいない。
これが目撃者が多過ぎるせいなのか、はたまた単にタイミングの問題なのか。どちらなのかわからないせいで、微妙に動きかねている部分もなくはないというか。
「っていうか、結局手数の補充も思うようにいかないし、どうしたものかねぇ……」
「わしに声を掛けてきた理由、じゃったか。……分身から分身できればよかったんじゃが、流石に無理じゃし仮にできても魔力面で無理があるしのぅ」
タイミングの問題であるなら、さっきの予定通りに手数を増やして見逃しをできうる限り減らす、というのが一番の対処となるのだが……。
生憎ミラちゃんにはその辺の期待はできないわけで。……分身から分身はできる人はできるかもだが、やっぱり維持魔力的な問題で無理がある、ということになるらしい。
現在既にかなりの分身を行っているミラちゃんではなおのこと、というやつだろう。
一応ナルト側の仙術も派生して覚えられたらしく、それを使っての瞑想もマナ補充にあてているようだが……そこまでやってもなお、分身から分身は必要魔力が多過ぎて無理らしいし。
そういうわけで、ミラちゃんの加入によって増えた人数は、あくまでも一人(+α)。人海戦術を取るには心もとない、という状況が続いているのだった。
「……それはそれとして『身外身の法』、私も使えるかどうか試してみたいんだけど」
「む?それはその姿で増えようとしている、ということか?」
「うん、この姿で仙術系が使えるなら、私も多少は戦力になるからね」
なので、苦肉の策である。
この姿の私は、魔法などに関してかなりの制限が掛かっている。
だが、もし仙術による周囲からのチャクラ・マナ供給が利用できるのであれば、それによってある程度制限を無視できるようになるかもしれない。
……元の姿なら普通に使えるんじゃ、って?
前も言ったけど、私の場合は
なので、
まぁそんなわけで、分身ミラちゃんから術の原理とかを教わっていた私なのですが。
「ねぇねぇ、見て見て姉ちゃん!分身だってばよ!」
「ええ……?」
……何故か横で一緒になって聞いていたナルト君が、私よりも先に『身外身の法』を会得していたのでしたとさ。……何故に?