なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「なにが、なにがどうなればこんなことになるんですか……!」
「えっと、多分だけど仙人の基本・霞を食べる……もとい、自然界からのエネルギーの調達が上手く行き過ぎた、ってことなんじゃないかな?」
「……それはつまり?」
「多分だけど、時間経過で元に戻ると思うよ」
「ああ──安心した──」*1
口々に『
その内容は端的に言えば、仙術による力の過供給の結果が、今の彼らの姿の理由だろうというものだった。
……いわば現状の彼らは一時的に
まぁ確かに?仙術の基礎とは自然との融和にこそある。
大いなる自然から有り余るほどの力を供給され、ちょっと気分が高揚してしまうというのもまぁ、全くわからない話というわけではない。
……だからと言って、みんなの姿がゴンさんみたいになっていることの方については、一切わけわからないのだけれども。
ともあれ、放置しても問題ないと言うのであれば、見ているだけでこちらの精神力をごりごり削っていく彼らの様子なんて極力見たくない、というのも確かな話。
なので私達無事な三人は、彼らが元に戻るまでの間、飲み物を飲んだりしながら気楽に待っていたわけなのだが……。
そうして数分後、こちらの見立て通りに元に戻った面々が口にしたのは、こちらに驚愕をもたらすとても意外な言葉なのであった。
「……え、UFOを見たぁ?」
「ええ、この目でしっかりと。……
「……いや、わかんねーっすよ流石にそれは」
それは、あの姿の時の彼女達は、こちらがずっと探していたモノ──UFOを見付けていた、という言葉。
……ええと、ナルト側の技術である仙人モードは、確か感知力が高くなる効果があったはずだし。
ミラちゃんの方の仙術も、使える術の中に『生体感知』というモノがあったはずだから、そういう仙術由来系の感知術の派生で、普通なら見えないようなものが見えるようになった、ということなのだろうか……?
正直話を聞いているだけのこちらとしては、それらの発言には猜疑心*3しか抱けないわけだが……彼らのその証言が、この状況では貴重な手掛かりであるというのもまた確かな話なわけで。
なので、私達はどうにかして、彼らの話の真偽を確かめなければいけない、ということになるのだけれど……。
ええともしかして、みんなにもう一回ゴンさん化して貰わなきゃ、いけなかったりするのこれ……?
「いや、そういうことならわしが『生体感知』をすればよいのではないか?」
「
「ぬぐっ!?」
その結論に思わず白目を剥く私に、それならわしが代わりにやれば良いのでは?とミラちゃんが声を掛けてくるが……そもそも彼女、私達よりも先にここに来てあれこれと調べごとをしていた、と自分で述べていたわけでして。
彼女が調査をさぼっていないのであれば、寧ろ『生体感知』でこの場所を確かめていない、ということの方がまずおかしな話となるだろう。
──彼女の『生体感知』では認識できないものが、今回私達が探しているUFOだというのは少し考えればわかること。
つまり今回のミラちゃんは、感知方面では役立たずみたいなもの、ということになるのである。
……いやまぁね?そもそも彼女の探知技術は『生体』と名前に付いている通り、本来は生きているモノを──それらが発しているマナを探知するためのもの。
ゆえにそれに引っ掛かるモノというのは、特に断りがなければ生きているモノしかない、ということになるわけで。
……もし仮に『UFOが生きている』となったら、それはそれで問題以外の何物でもないというのも確かな話。ゆえに
なお、「探せなくてよかった?というか、生きているUFO……?」と私の言葉にミラちゃんは首を捻っていたが……。それに『ピンク玉』の一言を添えればあら不思議。*5
彼女は「ひぃっ!?」という言葉と共に、ガタガタと恐れ戦いていたのだった。……もし仮に
さて、ここに来て目的のUFO達を確認するためには仙術が必要、みたいな話になってきたわけなのですが。
……さっきの彼女達は、何故私達を放っておいてUFOの方を追い掛けなかったのだろうか?
ゴンさんと言えば、その身に秘められた力を限界まで引き出した状態のゴンを指す言葉。
身体面では他の追随を許さないフィジカルモンスターであるそれを、恐らくは簡易的に【継ぎ接ぎ】していた彼らであるならば、UFOを捕まえるなど造作もないこと……のはずなのだが。
……もしかしてあのゴンさん、実際はその姿は見掛け倒しで、言うほど早くも動けないし言うほど強くもない*6、とかだったり……?
などと私が首を捻っていると、代表してはるかさんが答えを教えてくれる。
「ああいえ、単にですね?目的のUFO達が、かなり上の方を飛んでいましたので……」
「え、単純に届かなかったってこと?……え、あの髪の毛の長さよりも高い位置にいたの?」
「……えっとキーアさん、あの髪って別に、こちらの意思で自在に動かせたりはしませんからね……?」
「なん……だと……!?」
そうして返ってきた答えは『とてもじゃないが捕まえられる位置に相手がいなかった』という、至極単純なもの。その内容に、思わずビックリしてしまう私である。……どうしてか知らんけど、あの長い髪って自分の意思で自由自在に動かせるモノ、だと思ってたんだわさ(真顔)
あー、なるほど。こちらの思っていたよりも、あの時の面子達の行動できる範囲は狭かった……ということになるのかな?
そんな風に一人納得して──頭上?と、改めて視線を空に向けることになる私である。
何の気なしに視線を空に向けてみたが……今のところそこになにかがある、ということを視認することはできない。
……本当にそこをUFOが飛んでいるのか、はたまた彼女達の見間違いなのか。
それを確かめるためにも、私は再び彼らをゴンさんにしなければならないわけだが……。
「……気が乗らないにもほどがあるんだけど」
「ほらキーアさん、しっかりして!確かにあのコピペゴンさん軍団をもう一度見る、っていうのは俺も勘弁願いたい話だけど!!」
「もー、おにーさんが本音ばっかり漏らすー」
そのためにやらなくてはならないこととは、すなわち『再誕のなぜなにナデシコ』である。
なんでまたやる必要性があるんですか……って?
そもそもの話、なんでみんながゴンさんになったのかわからないんだから、全部再現するしかないんだよなぁ……。
いやまぁ、最終的な結果はわかってるよ?みんなにゴンさんをちょっと【継ぎ接ぎ】した、ってことだろうし。
ただですね、さっきの行程のどこに【継ぎ接ぎ】になる要素があったのか、全くわからないわけでですね?
……時間帯的には、まだまだ日は暮れるということはないだろうが。同時にいつまでも屋上に居る人間が私達だけ、という状況が続くとも思えない。
これでもし、屋上に他の一般人がやって来たとして。私達のやっているなぜなにナデシコを見て、他と同じようにゴンさん化したしまったりしたのなら……それこそごまかし切れないことになるし、最悪なぜなにナデシコについては封印するしかなくなるだろう。
ついでに言えば、恐らくは簡易的な【継ぎ接ぎ】だろうとは思われるものの、それが本当かどうかもまだ確かめられてはいない。
もしかしたらなぜなにナデシコに合わせて、誰かが遠隔で【継ぎ接ぎ】を施している……なんていう、悪意しか感じられないようなパターンの可能性もあるわけなのだ。……いや、UFO見えるようになっているのだから、実はアシストなのかもしれないけど。
ともあれ、あんまり悠長にしていられないというのも確かな話。
だから──こんな短期間で再びあの地獄絵図を再現せねばならぬのか、みたいな苦渋の思いを噛み締めつつ、私達はなぜなにナデシコをやり遂げなければならないのである……!
……絵面だけ見ると、ギャグ以外の何物でもないなこの葛藤。
「あれこれと難しく言っておるが、端から見れば『番組収録が嫌で駄々をこねている着ぐるみのおねーさん』以外の何物でもないからのぅ」
「なんという偏向報道……これじゃあ悪いの私みたいじゃんか……」
科学のおねーさん枠のミラちゃんは、小さく苦笑を浮かべている。……演者側がゴンさんに変身してない辺り、あの変化は視聴者側に付与されるもの、というのはまず間違いないだろう。
そういう意味で、ゴンさん化せずに助かったという面もある彼女は、そこまでなぜなにナデシコに嫌悪感とかは無いようだ。
……こういう言い方すると、私が嫌々着ぐるみのおねーさんをやっているように聞こえるかもしれないが、別に私は進行役をやりたくないというわけではない。
単純に、教育テレビを見ながらそれを真似する、微笑ましい幼児達……の絵面が、幼児達が全てゴンさんに入れ替わっている、という視覚兵器になることに辟易しているだけなのである。
想像してみてほしい。おにーさんの『じゃあみんなも一緒にやってみよー!』の掛け声と共に、一切変動しないあの真顔のまま、黙々とダンスを踊り続けるゴンさん達の姿を。……BGMが
端から精神的ダメージを受けることが決まっていて、それに飛び込む度胸があるかと言えば──ないと【
「わかったよ、やってやるよ!!──キルフィッシュ・アーティレイヤー、ガンダム行きまーす!」
「何故にアムロ……?」
やらなきゃいけないんだから、愚痴っても仕方ない。
そんな風に自分を奮い立たせ、私は再びあの悪夢へと立ち向かうのであった。
……終わったら寝込んでいいですかね?