なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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例え絵面があれでも、シリアスはシリアスである()

 半ばやけっぱちな気分で、再びなぜなにナデシコを開始した私達。

 開幕のカウントダウンからの爆発、軽妙なオープニングトーク、そこからの本題……。

 

 なんで私達は電気屋の屋上などという変な場所で、こうして本格的な教育番組めいたモノをやっているのだろう……という疑問を内心で押し殺しつつ、それでも懸命にその役目をやりきった私達は。

 

 

「……成功したんだからこういうこと言うのいやなんだけど、でも言わないと後悔するから言うよ。──だから、なんでこうなるのさ!!」

「いやほんと、なんでこうなるんだろうね……」

 

 

 思わずこうして叫んだとて、一体誰が責められよう?

 

 目の前で教育番組のエンディングに流れるような音楽*1に合わせ、腰を振りながらダンスを踊っているゴンさん達の姿*2に、膝から崩れ落ちる羽目になる私達である。

 ……いや、やっぱり地獄絵図以外の何物でもないよ、これ。

 

 

 

 

 

 

「えーと、とりあえずこれが時間制限付きの強化形態みたいなもの、ってことには間違いないわけだから……」

 

 

 そんな苦笑混じりの榊君の言葉に促され、ゴンさん達の示す方へと付いていくことにした私達、なんだけど。

 ……そこはかとなく不安になるんだけど、本当に彼らに付いていっても大丈夫なんですかね……?

 

 

「え、本当に大丈夫?このシチュエーションって、いきなりとかされたりしない……?」*3

this way(こっちだ)

「……くそう、会話が通じてるのかわからない……っ!」

 

 

 ゴンさんっぽい人に「こっちだ(this way)」とか言われて付いていくの、冷静に考えずとも死亡フラグ以外の何物でもなくない……?

 というような疑問が鎌首をもたげているが、生憎とゴンさん達からの返答はない。

 

 この状態(ゴンさんモード)では使える単語が制限されるのか、彼らが喋るのは主に、原作でゴンさんが話していた言葉ばかり。

 ……ようするに、彼らは限られた単語しか使えないということであり、そういう意味では例の『問題児』うんぬんのレベル1を思い出してしまったりもするわけでして。

 

 まぁ、問題児云々の話に関しては、その類似性について考察する度にこのまま定着するんじゃないか?……という恐怖しか感じないような結論が頭の隅を掠め始めるので、極力考えないようにしていたりもするのだが。

 ……いやだよ、この姿に変身する度に蝕まれていく(戻れなくなっていく)とか。

 

 

「ライダーの暴走フォームとかじゃねぇんだぞ……」*4

「さっきからお主は、一体なにをぶつぶつ言っておるのかのぅ……?」

 

 

 そんな胡乱なことをうんうん唸っていると、横合いからミラちゃんの呆れたような声が飛んでくる。

 ……いっそのこと私のこの悩みをぶちまけて、彼女にもこの恐怖を共有させてやろうか、という気持ちが一瞬沸き上がったが……流石に可哀想なので止めた。

 ここではその気配はないけれど、彼女ってば怖がらせるとトイレに行きたくなりそうな(尿意に関する話の多い)タイプの人でもあるわけだし。*5

 

 

「……今なにか、とても失礼なこと考えとらんかお主?」

「いえいえ?そんなことはとてもとても」

 

 

 なお、そんな失礼なことを思っていたのが顔に出ていたのか、ミラちゃんには暫く怪しまれることになる私なのでしたとさ。

 

 そんなやり取りをしながらも、ゴンさん達のあとを追い掛けていた私達はと言うと現在、建物の中を降りたり昇ったりしている最中である。……最初の内は屋上をうろちょろしていたのだが、いつの間にか建物内部に入っていた形というか。

 私達には相手が見えないのでなんとも言えないが、件のUFOが建物内に入り込んだため、それを追い掛けている……という感じなのだろうか?

 

 まぁそのわりに、どうにもゴンさん達の視線が天井付近ではなく、結構下の方に向いているような気がする……というのが気になるところでもあるのだが。

 なにせ彼らの視線を正確に追うと、単に地面すれすれを見ているとかではなく、明らかに階下──ともすれば地下の方を見ているような気がしてくるのだから。

 

 

「……ベタな話だけど、地下に秘密基地があるとか、なのかな……?」

「えー?地下は結構探してみたけど、そういうのありそうなスペースはなかったけどなぁ」

「地下とか普通に怪しすぎるからのぅ。わしも調べたが、特に気になるようなモノはなかったぞい」

 

 

 その疑念を元にして、榊君がわりとベタな考察を述べていたわけなのだが……この電気屋にある地下とは、外からも入れる単なる駐車場である。

 それも体積的には地下一階分しかない、かなりこじんまりとしたモノであったため、調査に関しては早々に済ませてしまっていたりするわけで。

 

 これはミラちゃんも「なんにもない」と太鼓判を押すほどで、仮に地下になにかあるのだとするのならば、それこそなにか()()()()()()()()()()()()ような、特殊な手段がなければ説明が付かない……と言いきってしまえるくらいの確度を持つ情報でもある。

 ……まぁ例えば超科学的な、こちらの専門であるオカルト方面ではない技術による空間拡張……とかであるのならば、今の面子には感知できない可能性は大いにあるわけなのだが。

 

 とはいえ、例え仮になにかしらの超科学が話に絡んでいるのだとしても──わざわざ屋上から店内を通って地下へ移動する、みたいなことをする意味がわからない。

 そんな無駄なことをするくらいなら、普通に屋上に拡張空間を設置した方がよくない?……という疑問が普通に出てくるというか。

 

 そういうわけなので、地下になにかある……という説に関しては、正直懐疑的になってしまう私とミラちゃんなのでありましたとさ。

 

 

「でも実際、俺達下に降りてるわけだし……」

「地下って駐車場だったでしょ?……だからそのまま外に出られるわけだし、この電気屋になにかある、とも限らないんじゃない?」

「そっちはそっちで、何故目撃情報がここの屋上に限定されていたのか、という疑問が思い浮かぶがのぅ」

 

 

 ……ただ、そうなってくると疑問なのが、ミラちゃんの言っている通りの──何故UFOの目撃情報が、この電気屋の屋上に限られていたのか?……という部分。

 件のUFO達の拠点が、仮にこの電気屋の中に無いと仮定するのであれば。今度はさっきの『地下に秘密基地はない』に対しての反論である、『無駄なこと』という言葉が跳ね返ってくるのである。

 だって、拠点も発着場所も、全て同一にした方が管理がしやすい……というのは確かなのだから。

 

 いやまぁ、このUFOとやらが本当にUFOであるのなら、中の宇宙人の身体検査は別所で行っている……みたいな感じで説明も付けられなくはないのだが。

 

 

「む、なるほど。駅と検査会場は別、というわけか」

「相手が本当に宇宙人なら、テロとか起こされないように空港は重要施設から離れた位置に建築されている……ってこともまぁ、あり得なくはないしね。……ただ、宇宙人が居るって部分はわりと信憑性薄いわけだけど」

 

 

 なお、こちらもこちらで論理に穴はある。

 それは、宇宙人の実在性に関してのもの。……ゴンさん達に見えているということは、それらは()()()()()()()()()()()()()、という風に捉えることもできる。

 その時点で超科学うんぬんの前提が崩れてしまうし、そうやって看破できる時点でこちら側(なりきり)の存在である、という予測まで立てられてしまう。

 

 日本以外の国で『逆憑依』が見つかっていない以上、それが宇宙(そら)に広がったとしても状況はさほど変わらないだろう。……いやまぁ、ハルケギニアという例がある以上、絶対に無いとは言い切れないわけだが。

 

 ともあれ、宇宙に人の住める星はさほど多くない、みたいな話と合わせるのであれば、件のUFOが本当に宇宙からやって来た、という話には信憑性がないことは明白。

 ゆえにこれは地球上の存在がなにかをしている、という風に考える方が自然なこととなるわけである。

 

 

「まぁそうなると、必然的にこれって『逆憑依』の話、ってことになるわけで……」

「……誰がなんのためにやってるのか、って話になるわけか」

 

 

 そうして出てきた結論に、私達はむぅと唸り声をあげる。

 結局のところ『逆憑依』、もしくは【顕象】が関わっているということになるわけだが。……それは単独犯なのか、はたまた複数犯なのか。

 

 忘れているかもしれないが、今回の私達は全国で起きている異変に関して、それを調査するためにここにいるわけである。

 と、なれば。

 ここでの犯人とやらが、それらに関わりがあるのかどうか?……ということが、とても重要なことだと言うことには、すぐに思い至るだろう。

 

 関係があるのであれば、この事件の解決は目前であり。

 関係がないのであれば、ここを解決したあとにも、まだ私達の出張は続くということになる。

 郷で起きていることも気になるところであるし、できればこのまま解決してくれることが望ましいわけだが……さて。

 

 

「……一つ口を挟むが」

「……ん?ズァーク君、居たんだ?」

「貴様達我のことなんだと思っているのか?我覇王ぞ?……いやまぁ、それは置いとくとして」

 

 

 そんな風にちょっとシリアス分を補給する中、ずっと沈黙を保ち続けていたズァーク君が、その重い口を開いたため、ちょっと騒然となる私達である。

 

 ……いや、ずっと喋んないから、この件には関わる気がないのかと思っていたというか、そもそも余りにも喋らないモノだから、その存在をすっかり忘れていたというか?

 榊君も肩の重みにはすっかり慣れてしまっていたようで、今ズァーク君が声を出すことでようやく彼の存在を思い出した、みたいな感じだったし。

 

 ともあれ、どういう風の吹き回しなのか、こちらに声を掛ける気になったらしい彼は、なにやってるんだコイツら?……みたいな顔を……しながら……?こちらに助言をしてくるのだった。

 疑問系の理由?いやほら、今の彼って猫だし……。どんな感情を抱いているのかは、パッと見わかんないと言うか?

 

 

()()()()()()()()揃いも揃って見えていない、ということに些かの疑問を抱く他ないわけだが……あれ、どう見ても精霊以外の何物でもなかろうに」

「……はい?」

 

 

 そうして彼が述べたのは、私達が追っているモノについてのこと。

 ──UFOだと思っていたそれが、デュエルモンスターズの精霊である、という言葉なのであった。

 

 

*1
『それじゃあみんな、お別れの時間だよー』みたいな感じで流れ出す音楽。謎のアーチを潜ったり踊ったりするアレ

*2
なお全員真顔。こえーよ!

*3
『ボ』とは『HUNTER×HUNTER』より、ゴンさんがしたこと。とある相手に対しての暴力行為であり、空中へ蹴り飛ばすことを指す

*4
『仮面ライダー』シリーズより、大抵一つはある特殊な変身形態。なお少年漫画などにも存在し、その暴走を制御・または克服することで、新しい強さの段階に到達する……というのがお約束。なお、そういう危ない形態のないライダーも少なくない

*5
『賢者の弟子を名乗る賢者』におけるミラの描写の一つ。何故かトイレに関する話が多い。……これで彼女が老人姿のままだったのなら、別の意味合いが付きかねない

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